【 engawa young academy 】 メンターインタビュー 島津製作所篇

#インタビュー

2019年11月より、engawa KYOTOにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eya参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第4回目は、島津製作所の今井大輔さんにお話を伺いました。
※第一回インタビュー(みずほFG)はこちら
 第二回インタビュー(日本たばこ産業)はこちら
 第三回インタビュー(積水ハウス)はこちら

 

左) 島津製作所 人事部 人材開発室 採用グループ グループ長 今井 大輔さん
右)インタビュアー) 電通 京都BAC engawa young academy 事務局  
湊 康明

 

―eya初日を終えての率直な感想は?

正直言うと、普段使ってない頭を使ったなぁと思います。学生自体の意識が高く、自分の時代を含め、これまでに出会った学生とは種類が違うように感じました。今回“自分で行動を起こして何かを変えてやろう”という意識を持っている学生がすごく多い印象でした。

 

―チームクリエイト※での様子を見て、どのようなことを感じましたか?
※eya期間中のグループメンバーを、学生自身に決めてもらうプログラム

やり方は面白いと感じました。 “ありたい姿”をきちんと描いているのが学生たちに見られたので、「同じチームに」と言われたからOKするのではなく、拒否するシーンもありましたね。

 

―午後のメンタードラフト※の感想を教えてください。
※メンターが企業名を隠して、学生に対して自己紹介プレゼン。学生が希望するメンターを指名するプログラム

あれは心臓に悪いですよね。(笑)学生が何をみているのかは、すごく気になるところはあります。誰がつくことによって自分がどう成長するかを、学生は気にしているのは分かりました。

 

―学生からの印象的だった質問は何でしたか?

「私がメンターにつくことによって、どう伸ばしてくれますか?どうマネジメントしてくれますか」ですね。私は少年野球の監督の経験があったので、その経験をもとに適材適所で伸ばすところは伸ばし、足りないところも含めてチームの総合力を上げていけるような取り組みをしたいとお返事しました。

 

eya初日、学生と語る安信さん

 

―こういった試みに関しては率直にどう思いますか?

すごくワクワクしています。まだ結果も出ていないですが、一日参加した上では、この取り組みに参加して良かったなと思っています。自分としても頭の整理というか、学生が何を考えているのかを感じることが出来ましたので。

 

―では、ここからは御社の今についてお伺いしたいと思います。
島津製作所について、学生が持つ既存のイメージとは違う、知られていない強みなどを教えてください。

学生のイメージとして、島津製作所というと堅くて歴史のある企業・動きも鈍いイメージを持たれているかもしれません。実際はというと、積極的に新規事業に取り組んでいる会社です。創業以来140年以上、伝統をずっと守り続けているのかというと、守り続けているのは“科学技術で社会に貢献したい”というその気持ちです。製品や事業内容は、時代に合わせて結構変わっているんです。おそらく5年後10年後は今ない製品が主力になっているのではないかなと思います。つまり、失敗を恐れず新しいことに挑戦し、失敗も繰り返しながらビジネスをやっているのが島津製作所の特徴かなと思います。

 

―具体的に、島津製作所を象徴する事例や製品はどういったものでしょうか?

当社は元々、分析装置の開発と医療機器の開発は、それぞれ独立した事業部で行っています。が、そこを上手く融合して医療分野で分析装置を使う動きを強めています。例えば分析装置で血液を分析することで、色々な病気が分かります。例えば、アルツハイマーも血液を分析することで分かるようになってきたんです。大腸癌であれば、GCMSという分析装置で分析すると分かるんです。知っていただきたいのは、分析装置を作っているメーカー・医療機器を作っているメーカーはそれぞれありますが、両方を作っている会社は島津製作所だけです。その強みは活かしていきたいと思い、注力しています。

島津製作所が描くアドバンスト・ヘルスケア:
https://www.shimadzu.co.jp/advanced-healthcare/common/base/pdf/advanced_healthcare.pdf

 

―新しくはじめた取り組みなどありますでしょうか?

特に、オープンイノベーションは是非知っていただきたいと思っています。HPにもありますが、社内のリソースをうまく使いながら、ベンチャーを立ち上げようという取り組みです。社内には、いろいろな技術が眠っているので、それを上手く呼び起こして目覚めさせ、スタートアップをいくつか作っていってビジネスにつなげていこうということです。小さい組織だからこそ出来る取り組みがあるはずだということで立ち上げたものです。

挑戦し続けるDNAを引き継ぐ島津流のオープンイノベーション:
https://www.shimadzu.co.jp/boomerang/41/08.html

 

―そういった事業や新たな取り組みの中で、採用の指針や人材像どのようなものでしょうか?

“ものづくりへの興味”は、文系理系関係なく必要だと思います。どんなものづくりでもいいので、何か手を動かしてものづくりをした経験は重要かなと思っています。私がエンジニアをやった後、3年前に今のポジションに着任して、“ゼロからのものづくり”の発想力を鍛えるイノベーター人材を採用する手法を考えたいと言って新たに作ったインターンシップが、「発明体験インターンシップ」です。当社の知財部にも協力していただいて、イノベーション人材の定義から、その人たちがどういった思考を持っているのかを分析し、設計しました。具体的には“世の中の身近なものを再開発しましょう”というのが肝になっています。題材は、傘・鍋・ティッシュなどをこちらが提供して、それを他のものに変えましょう。その発想力から新しいものを生み出していくのをプレゼンしていく流れです。いい例でいくと、ティッシュであれば、最新のニュースをそこに印字し、最新の情報を新聞のように出していきましょうだとか。

 

 

―面白いアイデアですね!イノベーション人材の定義は、どのような要件なのですか?

発想力があり、たくさんアイデアを出せる人ですね。質より数です。そもそものアイデアの数を出してくるのは、鍛えてもなかなか出来ないところなのかなと思っております。求める人材像も“変化を楽しみ、これまでにない価値創造の主役となれる人”と定義しています。今の世の中は変化の連続ですので、新しい発想力を持って、今までにないような価値を創造する主役になれる人が、当社が求める人材、かつ、当社で活躍できている社員像です。

 

―島津製作所の特徴である「多品種少量生産」について、教えてください。

企業や大学の研究者が使っていくような製品が多く、それぞれやりたいことが違うので、その人のニーズに上手く応えていこうとすると、それを使いたい人は実は日本に10人みたいなレベルなので、いわゆるニッチな市場と言われるところなので、そういったものが多いです。それをビジネスとして成り立たせる生産技術も捨てたものではないです。

 

―顧客ニーズをヒアリングする力も必要なのですね。

そこが本当に重要ですよね。ストラテジーを立てて物事を進めていく計画・市場の動向を見極めていくのは、文系の方が優れているケースもあるので、文理が上手く融合しながら開発を進めていく形です。当社は開発のためにいくつかフェーズがあり、営業とエンジニアで製品開発をしていくんです。ですから営業から見たときに、自分が出したアイデアが製品に盛り込まれているところが、やりがいにはなっていると思います。

 

―文系人材にも、大きな活躍の機会があるのですね。学生のイメージにはあまりなさそうです。

今はビジネス戦略担当で、元採用担当たった文系の部下がいるのですが、彼は様々な会社説明を聞いていて、一番わけが分からなかったのが島津だったから島津にしたと言っていたんです。製品の想像しやすいものは、参入障壁が低いので色々な人が真似してビジネスとしてやり始める可能性があるが、訳が分からない=製品の競争力が強いということで島津を選んで、結果、島津を選んで正解だったと言っていました。技術者同士の話では思い浮かばなかった、文系の“素朴な疑問”が全てを解決してしまうケースもあるわけです。あとは、その道の最先端のビジネスに触れ、最先端の研究者と対等に話ができます。食品・化学・材料・自動車・半導体等ほぼ全ての業界がお客様なので、各業界の最先端動向・5年後・10年後が見られるのが当社のやりがいです。

 


 

―今井さんは、エンジニアの時はどんなお仕事をされていたのですか?

成功事例と言っていいのかわかりませんが、私は液晶ディスプレイの検査装置を担当していました。入社してすぐで、まだ液晶テレビが世の中にない2000年ごろに携わりました。これからの世の中液晶テレビの時代が来るだろうという市場ニーズを掴んでいて、そこから液晶ディスプレイの画素が正しく駆動できているかどうかを検査する装置を開発しました。その装置は、元々島津が開発していた電子顕微鏡の技術を応用したものです。

 

ーじゃあ今、皆が普通にテレビを観ているのは島津さんのおかげってことですか?

あ、それ自信を持って言えますね(笑)ある一定割合で製造の欠陥が出るので、昔は全て捨てていたのを全部直して出荷できるようになったんです。普通に液晶テレビが買える値段になったのは、我々の作った検査装置のおかげだと自負しています。当時の中国や台湾のお客様にプレゼンをしたら、皆ハイテクの極みだ!と言っていましたね。

 

―技術者の方は世界に散らばっていらっしゃるんですか?

うちの産業機器の事業部は、そうですね。営業もバンバン海外に行きます。市場のあるところなら世界のどこでもという感じですね。

 

―入社されてから今までで、社風の変化はありますか?

昔からチャレンジを尊重するのは変わっていなくて、若手のアイデアは尊重されます。1年目2年目であっても、そこで出てきたアイデアが採用されるケースは非常に多いですし、誰もやったことがないこと、教科書にないことをやる上では、必ずしもマネージャーが答えを知っているわけではないんです。

 

―そういった企業風土の御社にとって、eyaに参加される意義や理由はどのようなものでしょう?

やはり外の風を入れないと、新しい発想は出てこないのではないと思っています。採用も口を開けて待っているだけでは、元々当社を希望して知っている人だけしか入ってこないです。だけど革新・イノベーションは島津を知らなかった、という人から起こる可能性もあると考えています。eyaは島津製作所とは違う思考を持っている人に触れる機会があるので、是非当社に興味を持っていただきたいと思っています。

 

―異業種による、人材育成の取り組みについてについてはどうでしょう?

やはりある周回軌道をずっと回っているところにその業界での限界があると考えていて、異業種に1つの発想転換の起爆剤があるのではないかと、昔から思っています。今回のeyaも、業種が違うことが非常に大きな魅力になっていて、全然違う考え方で仕事をしていると思うので、私も刺激を受けたいなと思っています。

 

―eyaの学生に感じたことや期待することはどのようなことでしょう?

総じてみなさん動ける・動いた経験があることは自信にもなっているのかなと思います。経験談で語れるところも多少あるとは思いますが、色々な人と物事をやって行く楽しさと難しさを感じてほしいですね。あとは、自分の思っている範囲を超えた発想力を周りから受けてほしいと思います。「この人は自分とは違うな」と思ったら、その人を上手く取り込むという感じで。

 

―最後に、メンターとしてチームやeyaの学生に伝えたいことはありますか?

メンターとしての責任はありますので、成長を感じ取ってもらいたいと思っております。私と私の会社のメンバーが他にも来ますので、具体的には、チームを動かした経験・そこからアウトプットを出した自信をつけてもらいたいなと思います。

 

 

RELATED

#インタビュー

【 engawa young academy 】 メンターインタビュー 電通篇

2019年11月より、engawa KYOTOにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eyaに参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第6回目は、電通の小島雄一郎さんにお話を伺いました。(メンターインタビューは、こちらが最終回となります。) ※第一回インタビュー(みずほFG)は こちら  第二回インタビュー(日本たばこ産業)は こちら  第三回インタビュー(積水ハウス)は こちら  第四回インタビュー(島津製作所)は こちら  第五回インタビュー(パナソニック)は こちら     右) 株式会社 電通 ビジネスデザインスクエア 事業創造2グループ 小島雄一郎さん 左)インタビュアー) 電通 京都BAC engawa young academy 事務局   湊 康明   ―eya初日を終えての感想は? 電通のインターンに来る子たちとは違うなという印象ですね。アイデアにワクワクするとかっていう子が多いんですけど、どちらかというとビジネス・仕組みとか少しコンサルよりの思考が多い印象ですね。   ―初日のプログラムについてですが、チームクリエイト※の時の学生の様子見ていてどのように感じましたか? ※eya期間中のグループメンバーを、学生自身に決めてもらうプログラム チームとして何が必要なのかを考えた時に、同じような人じゃなくて違う人を組み合わせなくてはいけないことも分かった上で、戦略的にやっているなという印象でしたね。実際の仕事もそうやって進むと思うんですよね。自分が選ぶ側であれ、選ばれる側であれ、経験を一回やってみておくことは大事だなと思いました。   ―メンタードラフト※の感想はいかがですか? ※メンターが企業名を隠して、学生に対して自己紹介プレゼン。学生が希望するメンターを指名するプログラム まぁドキドキしますよね。(笑)とにかく印象に残らないと終わりなので、どうやって印象を残すかを考えてやっていたので、実際に票が入ったんでよかったですね。     eya初日、メンタードラフトでプレゼンする小島さん   ―学生からの質問で印象的だったものはありましたか? 「小島さんは僕をどう成長させてくれますか?」という質問ですね。僕はそれに対して「自分で考えてください」って答えました。僕も対等な立場でいたかったので、教えるみたいなのは嫌だなと思ったんです。どちらかというと「電通ってこういう考え方の人がいるんだ」とか「こういう人をチームに置いたらどうなるか」を考えて欲しかったので。   ―ありがとうございます。 では、ここから企業について伺っていきたいと思います。電通ってこんな会社だと、学生さんの知らない部分を含めて教えてください。 基本的には広告を作っている会社だという印象を持たれていると思います。多くの人は広告制作やプロモーションの仕事をしているので基本的にはその通りです。広告の源泉はアイデアなんです。最近はそのアイデアを違うことに使うこともある。例えば新商品開発や新規事業開発・採用コンサルティングに使うこともあるという考え方の会社ですね。アイデアと実現力の会社だと思ってもらえれば良いかなと思います。   ―では、今後電通が目指しているところは? 広告会社(Advertising Company)からビジネスを生み出せる会社(Business Producing Company)へと言っています。何のために広告をやっているのかと言うと、クライアントのビジネスをどうプロデュースし、エンパワーメントしていくかという話なんですね。そうすると、For client(受注型)からWith client(パートナー型)というキーワードが出てくるんです。「広告やります」って決まってから電通に話がくるのではなくて、そもそもこの商品は広告をするべきなのかという所から一緒に考えるパートナー型の付き合いに変わって来ていますね。   ―そういった変化の中で、新たな取り組みとしての事例はありますか? 今うちの会社は投資だとかクライアントと一緒に会社を作るみたいなことが多いんですよね。この間もキリンさんと「INHOP(インホップ)」という会社を作ったんですね。それは、ホップというものをビール以外のものに使おうという会社です。新しい商品開発とかっていう部分です。あと複数の企業の協力を得ながら、一緒に車を持っている人が貸し合う“カローゼット”という会社を作って、そのビジネスモデルを作ったり、とか多くなってきましたね。 キリンホールディングスと電通が合弁会社「INHOP(インホップ)株式会社」を設立 https://www.kirin.co.jp/company/news/2019/1031_01.html 電通、初のCtoCサービス 愛車の一時交換アプリ「CAROSET」を本日よりサービス開始 https://www.dentsu.co.jp/news/release/2019/1210-009977.html   ― そういった広告以外の領域で“電通が入る意義”や“活かせる強み”は何だと思いますか? 何かを開発する時に、大体はこれだけ市場があって今シェアはこうなっていて・・・みたいなことだと思うんですよね。でも電通の人って、分かりやすく言うと「CMどんな感じになるかな」とかあくまでも生活者側からどんどん発想していくので、これは面白くなりそうだなという勘も鋭いし、何かをアウトプットするときのスピードが早いんですね。そこは一番バリューだと思います。     ―では今、電通が求めている人材像とはどんなものでしょうか? アイデアと実現力の会社なので、その両方がないとダメだと思います。やはり源泉としては好奇心とかがアイデアを出すときに大事だと思います。あとはチーム作業をするので、リスペクトをお互いにできることって大事かなと思いますね。リーダーという役割をやっているとか、偉いといった上下関係を作らないのは大事だと思います。ただそれを上下関係だと捉えてしまう人がいると、良いチームにはならないかなと思います。   ―実際の採用活動やインターンという取り組みの中で、重視している方針はありますか? さっきのメンターの話もそうですけど、教える側・教わる側という関係を学生ともあまり作りたくないんです。例えば僕がこれまでやったインターンで言えば、学生がやりたいことを持ってきて、それはどう世に出せば伝わりやすいのかという制作のお手伝いをしますよということです。最終的にはクラウドファンディングにあげる所までを我々がトータルでサポートします、というインターンをやったのは、まさにその形かなと思っています。クライアントの役回りを学生にやってもらって、そこには確実に意志があって、それをどう言語化・画像化しコンセプトを立てていけばいいのかを支援する。大きなビッグアイデアを如何にゼロイチで出すかよりも、やりたいことがある時にどういう風に削ぎ落としていき、シャープにしていくかという実現力を体感してもらうインターンですね。だから、お題をこちらから出していないし、これは良いとかゴールドだとかいったことはやっていない。というのは、他の会社さんのインターンとは違う形かなと思いますね。   ―そういった活動を通じて、感じられる課題はどんなものでしょう? 電通は広告やアイデアのイメージが強いのですが、アイデアを“狭い意味”でのアイデアだと捉えられてしまうことも多かったと思います。理系の子とか、戦略コンサルを希望している人は違いますとかって感じられたりだとか、そういうミスマッチを如何に解消していくかですね。「その領域にアイデアを使ったら面白いのではないか」と語りかけるようにしていますし、学生にも「電通って自分に関係ある会社なんだ」と思ってもらうようにすることが課題であり、今の戦略かなと思いますね。   ―“狭義じゃない”アイデアとして挙げられる事例はありますか? 少し昔の話にはなってしまうんですけど、“アヤナミブルー”という絵の具を作った時の話は、ぱっと見ると新商品開発だけれどもやっていることは、事業のシフトをしているんです。絵の具屋さんのクライアントだったんですけど、 “アヤナミブルー”という色を出すことで、絵の具の市場からキャラクターグッズ市場に出るわけですよね。そうするとターゲティングが変わるのでマーケットが変わって、事業体が絵の具メーカーではなく色メーカー=色のプロデュースカンパニーなのであるという事業の捉え方も変えられますよね。 アヤナミブルー: https://www.turner.co.jp/ayanamiblue/   最近、スノーピークさんは「キャンプ用品会社ではなく“人間らしさを取り戻させる会社”である」とおっしゃっています。キャンプ用品メーカーからの飛び方で分かりやすいものは、オフィスの中のプロデュースですね。人間らしさを取り戻さないといけないのは意外とビジネスパーソンじゃないかとなってくる。そういった時に、キャンプにいる時にリラックスしているようなミーティングルームがあったら、みたいなこともそうですし。“その事業自体をどうシフトさせていくのか”からお付き合いしていくのが基本のスタンスとしてあります。そのアウトプットが商品開発の時もあれば社内制度の時もあるということですね。   ―現在の業務にいたるまで、小島さんはどのようなキャリアを積まれてきたのでしょうか? 入社時はクライアント担当の営業配属になり、4年間営業をやっていました。営業の中でもプロモーションという領域の営業ですね。その間に、実はテレビとかマスメディアの力が下がってきて、プロモーションを会社としても力を入れないといけないとなって、プロモーションの部署ができたんです。その中でプロモーションの領域が拡張していくんですよ。イベントや店頭だったのが、CM以外全部みたいな領域に変わってきていて。10年目くらいからは、その領域がどんどん上になっていってコンサルティングを専門にやる部署に異動したのが10年目ですね。だから大きく分けて、営業時代・プロモーション時代・ビジネスデザイン=コンサルティング時代という風になっていますね。今は、コンサルティングの中でも結構大きいインナーのコンサルティングです。その中でも採用ですね。「どういう学生に入って来てもらおうか」「そのためにはどういう風にメッセージングすればいいのか」「どういう説明会のスライドを作ったら良いのか」をコンサルティングもしながら制作するという仕事が多いですね。     ―事業の変化に合わせて業務内容も変化してこられたんですね。 そういった変化の中で、今回eyaに参加されたのはどのような意義があると思いますか? 電通の業態が変わっているので、それに合わせた採用をしないといけないんですね。今回リンクアンドモチベーションさんもいらっしゃいますし、電通とは全然違う他社さんがいらっしゃるので、通常の採用活動では出会えない学生と如何に出会っていくかが一つですよね。あとは関西は学生マーケットも非常に元気なエリアだったりするので、そういう学生とちゃんと接触するというのも一つですかね。   ―他の企業とも出会える場として、小島さんにとって期待感はありましたか? 同じ日本企業として「こういう風に変わっていかないといけないよね」という同じ危機感を抱えているある種一体感があるのが刺激だと思います。日本的な進化だとかイノベーションも起こしていかないといけない。やっぱり「面接やります。待ってます。」ではダメだなと改めて認識しましたね。   ―こういった異業種との取り組みはどう思われますか? 学生は面白いんじゃないですか?今回業界が括られていないので「あ、みずほ銀行の人はこういう考え方をするんだ」「電通の人はこういう考え方をするんだ」というのがいっぺんに分かりますし。あとはメンター当てクイズが個人的にはすごく面白くかったです。結構当たってなかったじゃないですか。(笑)だから如何に自分が持っているものがバイアスかを考えられると思います。だから学生にとっても刺激だし、僕らにとっても「今の日本の学生はどういう考え方をするんだな」という意味でも刺激を得られます。   ―eyaの学生さんに期待されることや感じたことはありますか? 電通も含めて、日本企業の可能性を感じて欲しいですよね。自分が入ったらもっとドライブさせられそうとかを感じてもらえるといいのかなと思います。“捨てたもんじゃないぞ”ではないですが、まだ使ってない資産いっぱいあるし、そういうものに気づいてもらえたらいいなと思います。   ―では最後に、メンターとしてeyaの学生に一言お願いします。 「お互いに有意義な時間にできるように頑張りましょう」という感じですね。お互い刺激になってまた来たいと思ってもらえるチームなり場所なりにしてもらいたいな、しないとなと思っています。    

#インタビュー

【 engawa young academy 】 メンターインタビュー パナソニック篇

2019年11月より、engawa KYOTOにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eyaに参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第5回目は、パナソニックの黒田さん、若竹さんにお話を伺いました。 ※第一回インタビュー(みずほFG)は こちら  第二回インタビュー(日本たばこ産業)は こちら  第三回インタビュー(積水ハウス)は こちら  第四回インタビュー(島津製作所)は こちら   右奥) パナソニック リクルート&キャリアクリエイトセンター戦略企画課  黒田 健太朗さん 右手前) パナソニック 同センター タレントエクスペリエンス課  若竹 淳平さん 左)インタビュアー) 電通 京都BAC engawa young academy 事務局   湊 康明    ―まず、御社についてお伺いします。学生の皆さんに、パナソニックの意外と知られていないけど知ってもらいたいことはありますか? 若竹さん :やはり、事業領域の広さです。半年前、僕はパナソニックにキャリア入社しました。正直、入社前は家電だけの会社だと思っていました。しかし、家電だけにとどまらない住空間、街づくり、モビリティなど多様な事業領域がある事が入社の決め手の1つでした。まずは、その多様な事業領域が秘める可能性の大きさを学生さんに知ってもらいたいですね。また、多様化するこれからの“くらし”を創る新しい共創型プラットフォーム事業についても知ってもらいたいです。これまで培ってきた“くらし”のタッチポイントであるハードウェアを繋ぎ、そこにソフトウェアの力を掛け合わせることで一人ひとりにとってのよりよい''くらし''を実現していく。主な開発事例として、より自分らしい生活、より人間らしい社会を実現するくらしの統合プラットフォーム「HomeX」があります。この事業には、Googleの研究開発部門の立ち上げなどをしてきた松岡陽子さんが2019年10月から参画してくださっています。これまで積み重ねてきた技術力や人的リソースなどを最大限に活かしながら、変えるべきところは変え、パナソニックという枠を越えて「“くらし”をよりよくしたい」という同じ想いを持っている方々と共にこれからの“くらし”を創ろうとしています。   黒田さん :パナソニックはモノづくりを通じて、「今日のあたりまえ」を創ってきた会社だと思っています。パナソニックにはそれを表すようなエピソードが沢山あります。特に、家電が女性の社会進出を後押ししてきた話がすごく好きです。今から50年前って女性が社会で働くなんてありえないっていう時代で、家電が普及してしまったら女性は家事という労働から解放されて怠け者になるとか言われていたんです。今から考えると信じられないですよね。創業者 松下幸之助は製品を販売するための広告や宣伝は意義深いものであると考えてもいました。だから、新聞広告でも家電自体の機能を伝えるのではなく、家電によって女性が家事から解放されるという、その当時での「これからのいい未来」を訴えた企業広告を出しました。 ちょっと大げさかもしれないですが、そんな「いい今日」を創りたいという想いの積み重ねが、今日の女性が働くことを当たり前に選択できる世の中の後押しになったのかなと思っています。そんな「いい今日」を創りたいという想いを100年積み重ねていくなかで、パナソニックは家電だけでなく、家・学校・飛行機・工場含めくらし全般へお役立ちの領域を広げてきました。これが多角化企業である当社の歴史です。創業者の想いは、ブランドスローガン「A Better Life, A Better World」という言葉になって今日まで引き継がれています。そして、さらに次の100年で当社がどんな「あたりまえ」を作るのか、一緒にカタチ創っていきたいと思ってくれる方に関心を持ってもらえたらな、と思います。   若竹さん :そうですね、黒田君が言うように「A Better Life, A Better World」は「いい商品作って売ります」ではなく、今でいうデザイン思考のように「目の前の一人ひとりに寄り添って価値提供をしていく」ということを表していると思います。その価値提供手段がパナソニックには多くあり、それだけ挑戦のチャンスと可能性が多くある。そんな部分が伝わるといいなと思いますね。   ―御社は、「採用から変革を起こす」とおっしゃっていますが、どのような想いからでしょうか? 若竹さん :採用部門の所長 萬田も様々な場面で発信していますが、働き方がこれだけ多様化している一方で、就職のやり方がこの60年間ほぼ変化していない。日本の大学生が置かれている「キャリア選択をする上でのアンフェアな環境」に対する危機感からです。企業と学生さんがもっとオープンで対等な関係の上で、本質的にキャリアや仕事の理解を深める機会を増やしていきたいと考えています。パナソニックがその着火剤や起点になれればいいなと思います。ただ、パナソニックだけで実現することは難しいです。だからこそ、他社、大学、学生さんと共に「新しい文化」を採用の観点でも共創していきたいと思っています。   黒田さん :また創業者の話になりますが、創業者 松下幸之助は、社員から「松下(現:パナソニック)は何を作る会社ですか」と聞かれた際に、「松下電器は人をつくるところでございます。併せて電機製品をつくっております。」と答えたという有名な話があります。これは、パナソニックに深く根付いた考え方だと思います。採用に話を戻すと、優秀な人を見つけて採用するって、ゼロサムゲームの奪い合いじゃないですか。人づくりを100年やってきた当社のノウハウがあれば、この違和感のあるゲームをよりよく変えられるのではないかと思っています。 学年や学校という枠組みを超え、キャリアや仕事について社会人と一緒に学べる機会によって、めちゃくちゃ学生さんが成長する様子も何度もみてきました。だから、社会全体でこういった成長できる機会を提供することができれば、日本全体で競争力の源泉である「様々な場面で活躍できる人」がどんどん増えていくのではないでしょうか。そういう社会の「今日のあたりまえ」をつくる起点になりたいというのがパナソニックの想いです。   パナソニックが提唱するミッションドリブン 〜人生100年時代の新・キャリア戦略〜 https://www.fastgrow.jp/articles/panasonic-manda-kouno     ―それが異業種合同のインターンであるeyaに参加された企業としての意義なんですね。 では、ここからeyaについてお伺いしたいと思います。初日・2日目を終えてのご感想をお願いします。 黒田さん :まず、学生の皆さんそれぞれが何かしらの領域で飛びぬけていて、自分の二十代って何していたんだろうと思うばかりです(笑)。10年前だったら、今回集まってくれている36名の学生さんみたいに、学生のうちに起業したり、学生団体を作ったり、リーダーとして参画していたり…と色々な事をやっている人たちを同じ地域で集めることすら出来なったんじゃないかなと。ここに集まっている36人は社会や仕事、キャリアについて知るだけでなく、その先のことを考え、さらにその先にある自分が実現したい社会に向けてすでに行動を起こせている学生さんばかりが集まっています。そういった経験から出てくるアイデアや議論の質はハイレベルで聴いているだけでこちらが学ぶことばかりです。   若竹さん :異質性が高くていいですよね。かなり特殊な経験をしていたり、デザインが得意だったり、全員が別々の領域で飛びぬけているところに魅力を感じます。そして、それらが上手くチームとしてまとまった時に、さらに素敵な化学反応が起るのではないかと思うとワクワクします。   ―初日、2日目と少しずつ個性がみえてきて面白いですよね。 では、初日の午前中、チームクリエイト※する学生達の様子を見てどう感じましたか? ※eya期間中のグループメンバーを、学生自身に決めてもらうプログラム 若竹さん :No.1よりOnly1という考え方が当たり前の時代を生きてきた彼らにとって、リアルなコミュニケーションの中ではっきりと否定される経験はそこまで無かったんじゃないかなと思います。プログラムの中で「チームになろう」と声を掛けても、断られるシーンもありましたよね。恐る恐る出した手を弾かれたそのあとに、どのようなコミュニケーションを取るかというところに個性がかなりでていました。正直、社会人になるとお客さんにはっきりと否定されたりすることも実際はありますよね。そういった経験に近いことを学生の時に経験できたことはきっと彼らのこれからの糧になると思います。   黒田さん :このコンテンツで大切なポイントは「自分で選んだメンバー」で作ったチームということ。少なくとも“5ヶ月間走りきる上で自分が納得して組んだチームにする為の禊”という文脈ではとても良かったなと思います。結局、自分が選んで作ったチームだからこそ、それが上手くいかないのも自分の責任という自覚をもって行動してほしいです。またその上で、それぞれのメンバーがリーダーシップを発揮してくれると、さらに成長したみなさんに会える気がしてワクワクしています。 学生にとって、eyaでの学びはワークショップに4、5回参加することだけではないです。「5 days」ではなく「5 months」の活動としてどう過ごすかが重要だと考えています。だから、engawaに来る日以外の時に、学生だけでどのようにチームをエンゲージしあい、メンバーの意見をすり合わせていけばチームがうまく機能するのかを意識してトライしてほしいなと思っています。5 monthsの学びを最大化するためにも、自分たちが自分たちの意志で作ったチームである事を意識しつつ、それぞれのメンバーがリーダーシップを発揮するようにサポートしていきたいと思います。   eya初日、学生と語る黒田さん   ―学生がメンターを選ぶメンタードラフト※について、どう感じましたか? ※メンターが企業名を隠して、学生に対して自己紹介プレゼン。学生が希望するメンターを指名するプログラム 黒田さん :「百聞百見は一験に如かず」ですね。これも、創業者 松下幸之助の言葉なんですが、どれだけ聞いてみても、どれだけ見てみても、一回の経験にはかなわないということです。このプログラムでは、メンターである社会人が社名を隠して自分のアピールプレゼンをします。その後、各テーブルを渡り歩いて学生からヒアリングを受ける。これって、普段学生の皆さんが体験される面接と全く同じことですよね。正直、誰からも選ばれなかったらどうしようとか思って、めちゃくちゃ不安でした…。でも、学生の皆さんが目を見て暖かく話を聞いてくれて、それだけで救われた気分でした。次、学生さんと面談する機会があれば、この気持ちを絶対に忘れずに対応したいと思いました。相手の立場を理解するって実際に経験してみないと本当に理解しているとは言えないなって痛感しました。   若竹さん :企業名がバレないようにプレゼンをしなきゃいけないので、「当社は〇〇です」ではなく「私はこう思う」といった表現が求められていたのも印象的でした。そんな風に話す機会はなかなかないので、すごくいいなと思いました。あとは、黒田くんのプレゼンで「僕のやりたい事を言うと会社が分かってしまうので言えません!」が印象的でした。自分のwillと会社のwillが重なっているのが素晴らしいと思ったので、そこを伝えられる機会があるのはいいと思いました。   ―学生から受けた印象的な質問はありますか? 黒田さん :「あなたはメンターとして、どうチームへ貢献してくれるか?」という質問をほとんどのチームからもらいました。これに違和感があって、与えられたものをどのように吸収するか、という教育に慣れすぎているのかなと思いました。だから、「僕のメンタリングチームには“オトナを使い倒す”ことを課します」と回答しておきました。 僕の周囲で活躍している同世代の共通点は、上司や周囲のメンバーを巻き込むスキルがずば抜けて高いということです。これはただ巻き込むというより、自分が実現したい未来のための仲間を増やす力がずば抜けていると表現したほうがいいかもしえません。だから、学生のみなさんには今のうちから「周囲を巻き込む=大人を使い倒す」を体得するために、僕たちメンターを使い倒す視点でコミュニケ―ションをしてほしいと伝えました。   ―2日目のディベートプログラムについてはいかがでしたか?   2日目 ディベートプログラムの様子   黒田さん :ディベートのやり方とか、論理構築のための調査結果はもちろん、モノゴトの捉え方という観点でも面白い学びがあったんではないかなと思います。 例えば、ディベート大会では勝負が始まる直前で、A/Bどちらの立場で主張するかを決めます。その後、それぞれ選ばれた立場が正しいと主張し、相手を打ち負かそうと議論します。A/B逆の立場で戦ったとしても同じくらい白熱した戦いになるはずです。つまりこれって、「モノゴトはたった一つの真理があるわけでなく、二面性でどちらも正しいというロジックを並べられる」ということだということだと思います。 ディベート大会を通じて、そんなところまで気づけると今後の会議などでの意見の捉え方も変わってくるのではないでしょうか。そういった気づきに繋がるサポートをしたいなと思います。   若竹さん :興味深かったのは決勝戦ですね。突発的な問いに対して、ロジック対エモーションで互いにひるむことのない3分間の引き込まれるディベートでした。     ―では、eyaを通じたご自身の成長としてどのようなことを期待されていますか? 黒田さん : 先ほどeyaに参加する学生さんが多種多様な経験を積み、それぞれの経験に基づいた強みをもっていると言いましたが、おそらく社会全体でみてもそういった学生さんが増えていると思います。そして、そんな学生さんが社会人となり、ゆくゆくはチームのメンバーとして僕と一緒に仕事をすることもあると思います。だから、そんな遠くない未来の予行練習として、eyaでは様々なチームエンゲージメントの試行錯誤をさせていただいています。どうしたら、そういった経験をしてきた学生さんの成長機会を最大化させ、チームや仕事にエンゲージしてもらえるか」を意識しながらコミュニケーションをとっています。将来、いいチームを作っていきたいですからね。一人の大人同士として、素直に僕のコミュニケーションの取り方についてフィードバックをもらえる所が、とても貴重な経験になっています。eyaは社会的意義もあるし、社会人として私が一番成長させてもらえるという点でも貴重な機会だと思っています。   ―異業種が集まる取り組みの中で、刺激として期待されることはありますか? 黒田さん :業種が異なれば考え方とか大事にする価値観が変わると思うんです。そういう意味で様々な業界から参画するということは、多面的に色んな価値観に触れる機会提供に持ってこいだと思います。''いい''は絶対軸で定義できないですよね。採用のミッションって、いい人を採用するとかエンゲージするとかもそうですが、他に重要なのは「なぜこの業界・会社・職を選んだのか」について学生自身が納得して説明できる状態を作ることだと思います。その機会作りの手助けのためにも、異業種と一緒に取り組み相対的に見える状態の中から、選択した理由を学生が見つけてくれれば、それは採用の仕事の本質には近いんじゃないかなと思います。   ―プログラムを通じて学生さんたちと接して、彼らに期待していることはなんですか? 黒田さん :先ほどもお伝えしましたが、大人を使い倒すことですね。そのスキルを身につけて、社会に出た時に活躍しまくれる人になってくれたらいいなと思います。地頭力だけではなく、どうやって大きなリソース(人・物・金・情報)を動かすのかという意味でも、どんどん大人を使い倒せるような人に育って欲しいです。 「早く行きたいなら一人で行け、遠くへ行きたいならみんなで行け」という言葉のイメージに近いのかもしれません。   若竹さん :「これに本当にワクワクしているのか」が大切だと思っています。ワークがタスクになってしまうより、せっかくやるなら楽しくやる方がいいと思うんです。「あと1ヶ月もある」ではなく、「あと1ヶ月しかない」みたいな方が楽しいと思いますよね。   ―最後にeyaの学生に向けてメッセージをお願いします。 黒田さん :メンターとしての担当は1つの班になりますが、それ以前に僕は、eyaのメンターとして参加しています。「大人を使い倒す」と言った以上、「他班の人も私を使い倒す」ということを考えていただければと思います。      

#インタビュー

【 engawa young academy 】 メンターインタビュー 積水ハウス篇

2019年11月より、engawa KYOTOにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eya参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第3回目は、積水ハウスの安信秀昭さん、沖村将史さんにお話を伺いました。 ※第一回インタビュー(みずほFG)は こちら  第二回インタビュー(日本たばこ産業)は こちら   右手前)積水ハウス 人事部 人材開発室 室長  安信 秀昭さん 右奥) 積水ハウス 人事部 採用・育成グループ 課長  沖村 将史さん 左)インタビュアー) 電通 京都BAC engawa young academy 事務局   湊 康明   ―eya初日を終えての率直な感想は? 安信さん :慣れない立ち位置で学生さんに接したので、正直疲れました(笑)。学生の皆さんの自己紹介を聞いて、色々な活動をしていらっしゃって、バラエティーに富んだ面白いメンバーが集まっているなと思いました。 沖村さん :目的意識を持って活動をされている方が多いというのが率直な印象です。   ―メンタードラフト※でのプレゼンの感想を教えてください。 ※メンターが企業名を隠して、学生に対して自己紹介プレゼン。学生が希望するメンターを指名するプログラム 安信さん :会社名を伏せての自己プレゼンだったので、慣れないことをしたなぁと思います(笑)。他社様のプレゼンを見させてもらいましたが、ご自身の志やご経験を上手にアピールされていて、私自身とても勉強になりました。   ―チームクリエイト※での学生たちの様子を見て、どのようなことを感じましたか? ※eya期間中のグループメンバーを、学生自身に決めてもらうプログラム 安信さん :あの短い時間の中でよく特長を抑えながら、自分たちに足りないものやどういう力が加わればチームが強くなるのかを考えて動けていたと思います。面白い手法なので、当社のインターンシップでもやったらいいのにと思いましたね。   eya初日、学生と語る安信さん   ―ありがとうございます。では、ここからは御社の今についてお伺いしたいと思います。積水ハウスの中身を知らない学生へ、積水ハウスって実はこんな企業ですなど、知られていないけど伝えたい事を紹介していただけますか? 沖村さん :当社は2020年に創立60周年を迎え、累積建築戸数244万戸超の実績を誇る世界で一番住まいを提供してきた会社です。おそらく学生の皆さんも積水ハウスといえば戸建住宅のイメージが強いと思いますが、現在では請負型・ストック型・開発型・国際事業の4つのビジネスモデルで幅広く事業を展開しています。     例えば、戸建住宅や賃貸住宅事業の請負型ビジネスもホテルや病院、医療介護施設などの非住宅分野でのご用命も多く頂いています。その他にも、ライフスタイルの変化に伴うリフォーム・リノベーション事業や高品質な賃貸住宅の提供によって高入居率・高管理室数を誇る不動産フィー事業などストック型ビジネス。大都市圏を中心に展開しているマンション事業や「ザ・リッツ・カールトン京都」や「グランフロント大阪」といった大規模な都市再開発などの開発型ビジネス。そして国内で培った高品質な住まいづくりの技術・ノウハウを生かして海外へ事業を展開しています。 改めてこの60年を振り返ると、第一フェーズとなる創業からの30年間は、住まう人の生命と財産を守る強固なシェルターとして「安全・安心」な高品質住宅の供給に努めてきました。第二フェーズとなるその後の30年は、加えて「快適性」を追求。また、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)など「環境」に配慮した住宅の開発・供給にも努めてきました。 そして2020年からの第三フェーズでは、「我が家を世界一幸せな場所にする」というビジョンのもと、人生100年時代の「幸せ」を提案・提供する「幸せづくりのパートナー」を目指します。   ―国際ビジネスは、どのようなビジネスをされているのでしょうか? 安信さん :日本と同じように戸建住宅を建築する事業と、ディベロッパーとしてマンションや商業施設、ホテル等の複合開発事業の両方をやっています。例えば、オーストラリアでは当社の木造住宅(シャーウッド)をベースに戸建住宅事業を展開しています。オーストラリアはもともと木造住宅が一般的なのですが、地震が少ないので、日本に比べて耐震性や安全性などがあまり重視されません。2010年に現地の大手住宅開発会社の請負建築部門を事業買収し、シャーウッドの販路拡大を試みたのですが、日本の住宅のままではオーバースペックなので、オーストラリア用に改良を重ねて、今では年間300棟超を販売できるまで成長しました。   ―海外で事業買収までされているんですね。学生にはイメージされていないと思います。では第3フェーズでハードからソフトになってくるという事で、どのような取り組みがありますか? 安信さん :新しい考え方として、「プラットフォームハウス構想」※を打ち出しています。プラットフォームハウスとは「人生100年時代の幸せをアシストする家」のことで、幸せを3つに定義しています。「健康・繋がり・学び」です。この3つの“無形資産”をプラットフォームハウスの中で育むことが、幸せにつながっていくと考えています。 第一弾として、“家が健康をつくりだす”に取り組んでいます。健康を急性疾患対応・経時変化・予防の3つに区分して、まずは急性疾患対応から取り組み始めています。実は、交通事故死よりも家の中で死亡する人数の方が圧倒的に多いんですよ。交通事故でお亡くなりになられる方は年間3,000人程度ですが、急性疾患の発見遅れのほか、溺死、転倒などを含めると70,000人もの方が家の中で亡くなっています。住宅の安全・安心を追求している私たちには、この社会課題に取り組む使命があると考えています。一命を取り留めても、後遺症が残って要介護状態になれば大きな経済負担になります。これを“社会コスト”と考えると膨大な費用がかかっています。この社会コストを低減することは、住宅業界だからこそなせる課題解決だと思っています。 ただし、センサー端末などを常時装着した生活は、幸せとは程遠いのです。なので、家の中にセンサーを埋め込むことで、発作を起こした時の動きの変化や脈拍がわかるように、マサチューセッツ工科大学と高度なセンシング技術の共同研究を進めています。他にもオープンイノベーションであったり、スタートアップ企業と組んだり、他社との協業が益々増えてきていますね。 ※家を幸せのプラットフォームにする「プラットフォームハウス構想」をCES2019で発表 https://www.sekisuihouse.co.jp/company/topics/datail/__icsFiles/afieldfile/2019/01/08/20190109.pdf   ―積水ハウスの特徴である「工業化住宅」についてお伺いします。そもそも学生は知らないと思うのですが、工業化住宅のメリットはなんですか? 沖村さん :工業化住宅よりもプレハブ住宅といった方が分かりやすいかもしれませんね。従来の在来工法でつくられる住宅は職人の手によって各部材を加工・建築される住宅であるのに対し、プレハブ住宅は柱や梁、外壁などの建築物の主要部材をあらかじめ工場で生産・加工を行い、建築現場で組み立て・据え付けるプロセスによって建築される住宅のことです。 安信さん :だから、職人の技能によって品質のばらつきが生じないのが、工業化住宅の大きなメリットです。特に日本では大工不足が著しいので、今後ますます現場での加工・建築が難しくなってくるわけですが、工業化住宅であれば、精度の高いものを安定して供給できます。中長期的には、他の先進国でも職人不足が予想されますので、世界的に見ても工業化住宅に大きなチャンスがあるのではないかと思います。   ―なるほど。学生の皆さんに、今後ソフト領域に行こうとしていている点と、海外展開しているところで工業化住宅としてもすごくチャンスがあるということが伝わればいいですね。では、インターンなどの採用活動をする上で、学生に求めている人材像どのようなものでしょう? 沖村さん :まずは企業理念や思想に共感いただけるかどうかと思います。当社の企業理念の根本哲学「人間愛」の中に「相手の幸せを願いその喜びを我が喜びとする」という一文があります。 我々の仕事は、住まい提案を通じて、お客様に「幸せ」を提供する仕事です。「幸せづくりのパートナー」として、企業理念に基づきお客様に対して、社会に対して新たな価値を創造するため、失敗を恐れず自ら考え行動することのできる人と一緒に働きたいと思います。     ―インターンで具体的に工夫されているところは? 沖村さん :特別工夫しているというわけではありませんが、プログラムにはグループディスカッションを多く取り入れています。一例ですが、グループで疑似家族になって理想の住まいを考えたりとか。家族構成や個々の人物像などの詳細も各自で決めてから家族会議を行い、それぞれ譲れない主張とか価値観をぶつけ合いながら、最終的に家族としての理想の住まいを考えていくフローを経験してもらいます。同じような家族構成でも出てくる内容は千差万別。多種多様な価値観に触れ、想像し、形にしていく機会を多く設けることを意識しています。   ―採用活動で課題だと思っているところは? 沖村さん :従来の採用活動に加え、複数のインターンシップを実施するなど色々試みていますが、まだまだ出会えていない学生の方が多くいると感じています。住宅の仕事は単なるものの製造・販売の仕事ではなく、住まいを通じて豊かな暮らしや人生、幸せの実現のためにコンサルティングしていく仕事です。まずはもっと多くの学生の皆さん住まいづくりというコンサルティングの仕事を知ってもらうこと。また、これからもっとビジネスの幅を広げていくためにも、幅広い専門分野の学生の方々との接点を増やさないといけないと思っています。 安信さん :これからは様々な企業と協業していくことになりますので、新しいビジネスの種を作っていく人、いろいろなリソースを使いながらその芽を大きく育てていく人が必要になってきます。また、今すぐにはビジネスにならないけれども、新たな分野、新たな専門領域でじっくりと基礎研究をしてくれる人も必要です。これまで以上に、多様な人材を採用していくことが課題ですね。   ―eyaに参加していただいた意図や理由はどのようなものでしょう? 安信さん :事業領域の拡大や環境変化を考えて、人材を3層で考えています。一つは、次期マネジメントクラス。彼らには変化創造力、変化対応力の涵養を目的に「積水ハウス 経営塾」を受講してもらっています。行動経済学やDX(デジタルトランスフォーメーション)・イノベーション・医学・哲学など、多様な分野の知識を得ながら新たな価値創造に取り組んでいます。二つ目は30代前半の中堅層。イノベーターやイントレプレナー(社内起業家)になり得る人材を発掘し、次世代リーダーに成長するための教育を受けてもらっています。最後に三つ目は、これまでの採用活動ではなかなか接点を持てなかった「新たなビジネスの芽を生み出すアントレプレナー志向をもった人」の採用です。eyaはちょうど三つ目のところに合致していると思いました。     ―会社としてではなく、ご自身にとっての意義も考えられましたか? 安信さん :アントレプレナー志向を持った学生さんが、何を思考し、どの様な活動を行い、社会に出て何をしたいと考えているのかを純粋に知りたいと思っていました。もう一つは、異業種の方々と同じ場に立つことは、私自身の新たな学びを得られると期待していました。   ―最後に、社会人の先輩として・メンターとしての意気込みを教えていただけますか。 沖村さん :私自身含め参加しているグループだけでなく36人全ての学生に、何かしらきっかけや学びがあったなと思っていただける様な関わり方をしていきたいと思います。 安信さん :せっかくの貴重な機会なので、彼ら自身が自律的に他のメンバーと学びを共有してもらいたいと思いますし、その中で私が提供できる知識や価値があれば、それらを積極的に活用してもらえるような付き合い方をしていきたいですね。あとは、うちの会社のことをもっと知ってほしいというのはありますね。彼らの一つの選択肢として面白そうな企業が一つ増えたなと思ってもらえたらうれしいですね。