【engawa young academy】 メンターインタビュー  電通篇

#インタビュー


2021年10月より、engawa KYOTO REMOTEにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy 2021(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eyaに参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第2回目は、DAIKINの西川さん、伊藤さんにお話を伺いました。

第1回 ヤマト運輸様 メンターインタビューはこちら
第2回 DAIKIN様 メンターインタビューはこちら
第3回 積水ハウス様 メンターインタビューはこちら
 


2021年10月より、engawa KYOTOにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy 2021(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eyaに参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第4回目は、電通の湊さん、工藤さんにお話を伺いました。
 
写真右)株式会社電通 京都ビジネスアクセラレーションセンター 湊 康明さん
写真左)株式会社電通 中部BC局 ビジネスデザイン部 工藤 永人さん
所属は、取材:2021年11月当時のものです。

 

― 参加学生が、京都、大阪、広島、韓国に留学中の学生まで。

インタビュアー眞竹(以下、眞竹):初日、2日目を終えての率直な感想を教えて頂けますか?湊さん、いかがでしょうか?

湊さん:私は、今年で電通のメンターとして、2年目を務めさせていただいておりますが、昨年と比較して変わった事は、コロナ禍による大きな社会変化が起こっている事が普通になってきているという事ですね。デジタルツールを使いこなすことは勿論、私のチームには、現在の居住地が、京都、大阪の人もいれば、広島の人も、韓国に留学中の人もいますよね。電通のメンターも、そもそも大阪と、名古屋ですし(笑)。それが普通で、その前提で特にこのアカデミーに参加している皆さ んは、個人個人でいろんな活動をしている。ほんとに、誇らしいなと思いました。

眞竹:このプログラムの1回目はengawaKYOTO(京都にある電通運営の事業共創スペース)でのリアル開催でしたので、京都を中心とした関西の学生が対象でしたが、昨年オンライン化してから、四国や九州、今年は海外まで広がりましたね。オンライン化ならではのメリットです。では、工藤さんいかがでしょうか?

工藤さん: 私はヤングアカデミーに参加するのが初めてですけど、初日からすぐに思ったのは全員、基礎能力が高く、地頭がいい。学生との懇親会などで話していて、コミュニケーション能力が高いっていうのはもちろんですけど、自分の考えを言語化、構造化して話すというのがとても上手だなと思いました。実際に課題などの評価をする中でも、課題を読み取ってそれを考える力っていうのが高いですね。

眞竹:ありがとうございます。では、次の質問です。御社は今、学生の皆さんに、どういう企業イメージを持たれていると思いますか?

湊さん:そうですね。やっぱり、広告代理店、CMとか作っている会社、あと、オリンピックやっている会社、というイメージが強いと思います。それ自体は間違ってないですし、弊社のメインのビジネスである事は確かですが、最近はクライアント様の課題がいわゆる広告・プロモーションだけで解決できなくなっている事も増えてきている中で、弊社の社会的役割も変わってきています。

眞竹 :では、御社がどのように変わってきているのか、実際の姿を知らない学生へ、知られていないけれど伝えたいこと、紹介して頂けますか?

 

― 社会的役割は変わっても、最高の解を提供することは変わらない。

工藤さん:社会的役割が変わってきているというお話ですが、社会ニーズが多様化したり、そもそも従来の尺度では測れなかったりと、ニーズを発見/創造することの重要度がさらに高まっています。そして、そのニーズに応える最高の解を電通は提供する立場にあることは変わらないので、常に最高の解を提供できるように私たちも解のフォーマットにとらわれないようになってきています。従来の広告やプロモーションというフォーマット以外の取り組みとしては、さまざまな事例あるのですが、例えば、
1:DENTSU DESIGN FIRM https://dentsu-design-firm.com/ 
つたえることから逆算したプロダクト開発をご一緒したり、
2:THE KYOTO https://the.kyoto/article
京都をヒントに文化・アートを学ぶプラットフォームを立ち上げたり、
3:ABC Glamp&Outdoors https://abcgo.co.jp/
テレビ局と一緒に、グランピングで地方創生に取り組む会社をつくったりしています。

眞竹 :では、従来の広告、プロモーション領域に止まらない社会的役割の変化の中で、御社が今後目指していこうとしているところを、教えてください。

工藤さん:目指していこうとしているところは以前から変わっていない気がします。それは、社会やクライアントの課題を発見し、アイデアをもって解決することでちょっと先の未来を引き寄せること。です。ただ、世の中の変化に伴って、サービスをつくったり、事業共創を電通自体ができるように、実現力をさらに強化した電通を目指していく必要はあります。
電通のビジョン&バリュー:an invitation to the never before.
https://www.dentsu.co.jp/vision/philosophy.html

眞竹 :では、お二人が現在携わっているもので、従来の広告、プロモーション領域に止まらない事例があれば、教えていただけますか?

湊さん:私と工藤が所属している電通若者研究部(ワカモン)の活動で、それぞれ学生に携わってインターンシップを運営していますので、そちらを紹介します。私の方からは47INTERNSHIP(ヨンナナインターンシップ)のお話をさせて頂きます。
※「47 INTERNSHIP」 https://47internship.com/

 

― 世界のクリエイティブアワードで受賞した47INTERNSHIP。

湊さん:2年目になる2021年も開催しました。昨年、コロナの影響もあり、インターンなどいわゆる就活系のイベントも大きな影響を受けて、就活生が困っているという状況がありました。そこで、逆にコロナだからこそ、新しい就活やその支援の形を作ることができないか、ということをNPO法人のエンカレッジと相談していたところ、これを機会に地方の就活格差に取り組めないか、というアイデアが生まれました。そこから47都道府県から集めた就活生の代表者が参加するインターンシップを開催しました。その取り組みが、様々なところから非常に評価いただきまして、例えば、世界最高峰のクリエイティブアワードのD&ADのブランディング部門にて、2021年最高賞のYellow Pencilを受賞する、ということにもつながりました。

眞竹 :その流れでの2年目。開催にあたって昨年との違いは何か意識されましたか?

湊さん:昨年の経験から、地方の就活格差にこのフレームが有効にワークすることがわかったので、より社会的影響度を高めていこうと考えて企画しました。例えば、これは結構驚かれるのですが、今年は学生から、2000以上のエントリーシートをいただきました。それを受けて、参加される47名以外の方にも希望者を募って、今回の47 INTERNSHIPのエントリーシートの評価基準であったり、これからの時代に求められている人材像はどのようなものか、などをDAY-0という形で協賛企業の皆様にもゲストで参加いただき、全国数百名の学生の皆さんに向けて開催しました。また、エントリーシートにおいて、47都道府県の学生の皆さんに「あなたが解決したい、あなたの身近な課題を教えてください」という質問をしたのですが、それ自体を「47都道府県課題MAP」でビジュアルにして、各地方の皆さんがどういう形で解決していきたいと思っているのかをセットでリリースしました。
 


「47都道府県課題MAP」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000085233.html

 :ちなみに、どのようなことが地方で学生が感じている課題か、何か傾向は見えたりしたのですか。

湊さん:すごくクリティカルだと思ったのが、コロナになってどんどんネット社会が加速していく中で、地方高齢者のデジタルデバイドを挙げている学生が多かったことですね。そもそもネット化していくのはわかるけど、それについていけない人も結構いて、それが高齢者だったりします。特に高齢者の方がネットの恩恵を受けるべきなのに、それができていないことは、地方社会の大きな構造的な問題だなと改めて感じました。

眞竹 :ありがとうございます。では続いて、工藤さんの取り組みについてお伺いしたいと思います。

 

― 「アイデア実現」のための全ての工程を、学生が実体験する。

工藤さん:今年で3年目になる「アイデア実現インターンシップ」についてご紹介します。それまでも電通若者研究部(ワカモン)で電通のインターンシップをプロデュースしていたのですが、私が初めて参加した3年前に新たなフォーマットとして始まったものです。学生とメンターの関係を、先生としてのメンターではなくて、伴走者としてのメンターという立ち位置にしました。学生が主体となって、それこそ、電通の社員が普段やっているような業務の工程を、自分の「ほうっておけないこと」の解決という学生自身のやりたいことを通して実体験をしてもらうことを目的に、アップデートしました。

眞竹 :3年目の今年は、どのような状況ですか?

工藤さん:今まさにクラウドファンディングのCAMPFIREで、11月末まで学生たちが支援を募っている段階です。今年は14人参加してくれたので、14プロジェクトが立ち上がっていますが、もうすでに期間を終えずに目標支援金額を達成しているプロジェクトもあります。 



※「電通ワカモン  アイデア実現インターンシップ」
https://camp-fire.jp/curations/dentsu-wakamon

眞竹 :ちなみに、学生の皆さんがどんなプロジェクトを考えたのか、いくつか紹介していただけますでしょうか?

工藤さん:私がメンターをやっていたプロジェクトだと、「Scaping OKAZAKI岡崎プロジェクト」です。キックボードをシェアするサービスで、キックボードで岡崎市の乙川エリアを移動して、「遊び場」化して、その良さに出会って教える、というプロジェクトです。もうCAMPFIREでの目標を達成しているプロジェクトですが、企画した学生が考えたのは、地元岡崎の乙川エリアが車で移動するには道が狭くて移動しにくいし、歩くにしてはちょっと遠い、ということでキックボードに目をつけて、移動そのものも観光にしていく、ということでした。この学生を始め、自分からいろんな人たちや行政などに働きかけを行ってもらうインターンになっています。他にも、「音のない料理教室」。これはイベント系ですけど、参加者同士が声を出さずに意思疎通を図りながら一つの料理を作り上げる、「耳の聴こえる方・聴こえない方が参加できる料理教室」です。すでにこの学生は、インターンに参加する前に一度イベントを開催していて、それをさらにアップデートしたいという思いを持って参加してくれました。

眞竹  3年目になり、すでに取り組んでいることがある学生も集まってきているんですね。

工藤さん:参加したメンターの中で、3年目でやっと完成形になってきたかな、という話をしています。学生を集める過程であったり、実際にプロジェクトを考え、立ち上げてもらう期間でであったり、改善できていていると感じています。

眞竹:お二人はインターンを通じて、学生と企業の接点に携わっていらっしゃいますが、もっとこのようになればいいのに、と感じるところはありますか?

湊さん: 学生の皆さんにとって、企業で働くことにおいて何が大事にされているか、ということを肌で感じる機会があることが重要と思っています。なので、産官学が連携して、実際に働く場としての企業を考える、そういう教育機会を作れれば、就職活動の先行ステップとしてすごくいい機会になるのではないかと思っています。

工藤さん:学生に好きなことを見つけなさい、といってもなかなか難しく、一歩踏み出せない学生がまだまだ多いと思います。大学で学ぶ専門的分野以外でも、興味関心を持てる分野への学びや体験を企業側が提供できるような仕組みがあると面白いのでは、と考えています。

湊さん:就職活動の評価軸が企業側で緩やかに崩れてきている中で、学生側もそれに気づけていないと思っています。例えばeyaで美大の学生が、課題の落とし込みであったり、事業アイデアを作ったりするのがうまいと感じるシーンがあります。作品を作る過程で本質を見極める能力が鍛えられているからだと思うんです。そういう能力は今後企業側にも評価されていくと思うので、そういったことを知れば、きっと学生側の選択肢も広がります。

 

オンライン取材の様子 左)インタビュアー: 電通 京都BAC engawa young academy 事務局 眞竹広嗣

眞竹:学生と企業の接点については、今後も改善していくべきポイントがありそうですね。では、そういった中で、電通がeyaに参加される意義やメリットを教えてください。

湊さん:企業紹介の際、広告代理店から、ビジネスをプロデュースする企業へ変化している、という事を、弊社はeyaで学生向けのメッセージとして発信しました。
それは、広告・プロモーションで培ってきた「アイデア」という弊社の強みを活かし、広告・プロモーション領域に留まらずに、クライアント様のビジネスのサポートを行っていきたいという事です。ですが、やはり、このような取り組みはそこまで認知度もなく、事業創造やリーダーシップなどに興味のある学生の皆さんに、弊社の未来の姿を是非知ってもらう機会として活かせればと考えています。

眞竹:eyaは、異業種による人材育成への取り組みになりますが、そのような取り組みに対してどのようなことを期待されますか? 

湊さん:これはメンターとして、学生の皆さんにお伝えしたい事ですが、こういった異業種合同の人材育成の取り組みって、ほんと、大人の社会見学だと思うんですよね。シンプルに、なかなか見えない企業の最先端の事例や、取り組むビジョンに触れる事は、知的好奇心が刺激されますし、楽しい事だと思います。そういった視点でみると、働く事自体がコンテンツになって、それを学生に見てもらうことで、学生の皆さんが働く事にポジティブになってもらう。これが、これからの日本を変えていく一つのカギになるんじゃないか、と思っています。
 
 

― 「今を意味づける力」を身につけてほしい。

眞竹:では最後に、 eyaの学生たちと接して、感じたこと、期待することは?工藤さんから、お願いします。

工藤さん:最初にお話ししたように、学生の皆さんの考える力がすごく高いなって思っていますが、あくまで提供された課題や自分が見つけた課題に対しての考える力が備わっている、ということだと思います。社会に出た時、その考える力の矛先をもっと広げないと、例えば、スケジューリングだったりとか、タスク管理だったり、人とのコミュニケーションそのものにも電通でいうところのアイデアが必要になります。課題を発見するとか、課題そのものを解決する為に考えるのはもちろんですけど、その矛先をもっといろんなところに向けられるようになって欲しいので、その手助けを、ちょっとの期間でもできればいいなと思っています。

湊さん: 期待することは、ぜひ、小さくまとまらないでほしいという事です。ビジネスをつくる力は勿論重要なのですが、自戒も込めて、それがスモールビジネスの方向にいっちゃう人も、たまにいるんですよね。もちろん、それ自体が悪いコトではないですし、生きていく上で大事な事でもあります。でもそれよりは、ぜひ、日本のこれからを自分が背負うんだ!!という気概を持って、世の中に対して課題感をもって、なるべく大きな理想的な世界観を描くクセをつけてほしい。また、ぜひそんな自分が掲げた世界観が実現できる場所を妥協せずに探して、キャリア設計していってほしいなと感じます。そのためにも、「今を意味付ける力」を身につけてほしいです。メンタープレゼンで1日目に話したことですが、忙しくて目の前の活動を何の為にやっているのか、を見失う時もあると思います。そんな時、立ち止まって、自分のキャリアを考えてみる。そのための材料を提供できる場になればうれしいです。

 

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#インタビュー

【engawa young academy】 メンターインタビュー  積水ハウス篇

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大野さん :実は戸建住宅は、売り上げのうち13.2%しかないのです。現在では、請負型・ストック型・開発型の3つのビジネスモデルを国内だけでなく、海外でも幅広く展開をしており、年々、住宅以外のセグメント比率が大きくなっています。  積水ハウスグループにおける2020年度の売上構成比 眞竹 :2019年度が16.2%でしたので、2020年度は13.2%と下がっていますね。   大野さん :そうですね。このような国内・海外を含めたビジネスモデルの変化の中で、当社は「『わが家』を世界一幸せな場所にする」をグローバルビジョン※に掲げ、国内にとどまらず、ハード・ソフト・サービスを融合し、幸せをお客様に提案するグローバル企業を目指しています。 ※積水ハウスのグローバルビジョン及び成長戦略について https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/individual/growth/   眞   竹 :グローバルなビジョンを掲げられる中で、御社が新たに取り組んでいる、また取り組もうとしている新しい事業を教えてください。   ―住む人の「幸せ」のために、住まいの事業モデルを変えていく。 大野さん :いくつかあるのですが、例えば住まいの事業モデルを大きく変える「プラットフォームハウス構想」※というものがあります。最も人生に寄り添う存在である「家」を人生の変化に呼応させるもので、「健康・つながり・学び」のサービスから住まい手の「幸せ」をアシストする未来型の理想の家を創造するというものです。プラットフォームハウス構想の第一弾として、外出先から住宅設備の遠隔操作を可能にする「PLATFORM HOUSE touch (プラットフォームハウスタッチ)」の発売を既に開始しています。 ※「プラットフォームハウス」について https://www.sekisuihouse.co.jp/pfh/about/index.html 眞竹 :昨年お話を伺った時は構想段階でしたが、実際のサービスも始まったんですね。 大野さん :はい、「PLATFORM HOUSE touch (プラットフォームハウスタッチ)」は業界初の間取り図と連動した視覚的に直感操作できるスマートフォンアプリで、温湿度センサーや窓センサーなどのIoTデータをパブリッククラウド上で蓄積し、外出先からエアコンなどの機器を確認・操作することができます。また、ドアなどの不正解放や家族の玄関ドア開閉操作を外出先からでも確認することができます。プラットフォームハウス構想のソフト・サービスを先行して一部商品化したものと言えます。 ※「プラットフォームハウスタッチ」について https://www.sekisuihouse.co.jp/pfh/ 眞竹 :まだサービスの一部、ですからね。この先どこまでスマートフォンと住まいがつながっていくのか、楽しみです。昨年お伺いした、「在宅時急性疾患早期対応ネットワーク HED-Net」※の取り組み状況はいかがでしょうか? 大野さん :こちらは、生活者参加型の実証実験が2020年12月より始まっています。「プラットフォームハウス構想」の「健康・つながり・学び」の中で、「健康」に取り組むものです。家の中で、実は約7万人の方が亡くなっているというデータがあります。脳卒中、心疾患、お風呂などでの事故、家の中での転倒や転落などによるものです。それらの社会コストは8兆円を超えると算出されているんです。そのうち最大1兆9000万円削減できると試算しています。「HED-Net」は、住宅内でバイタルデータを非接触で検知・解析し、急性疾患発症による異常を検知した場合に、遠隔で安否確認を行い、救急への出動要請、そして救急隊の到着を確認し、玄関ドアの遠隔解錠・施錠までを一貫して行う、世界初の仕組みになります。 ※在宅時急性疾患早期対応ネットワーク HED-Netの実証実験について https://www.sekisuihouse.co.jp/library/company/topics/2020/20201210.pdf 眞竹 :IoTによる住まいの進化がどんどん具体化して、住まいというハードに加え、ソフトをつくっていく企業へ変わっているんですね。住まいの概念がどこまで広がるのか、想像の範囲を超えていきそうです。   ―「地域×積水ハウス」の可能性。 眞竹 :では、今度は、住まい以外の取り組みについても聞いていきたいと思います。「Trip Base道の駅プロジェクト」※があるのですが、こちらには岡本さんが関わられているとお伺いしております。これはどのようなきっかけで生まれたプロジェクトなのでしょうか? 岡本さん :もともとは、とある企業と意見交換をしているときに出てきた、「道の駅の隣に道の駅で働く人の社宅があったら便利だよね」という着想がスタートです。そこで道の駅のことをいろいろ調べていくと、知っているようで知らなかったこといっぱいありました。例えば、道の駅が地域の情報発信拠点になっていたり、道の駅を中心に町おこししていこうとか、単なる休憩地点ではない役割を道の駅が持ち始めていた、ということを知ったんですね。加えて、道の駅で新鮮な肉とか魚、お酒とかを買ってその場で食べて、飲んで、寝られたらとても楽しいじゃないか、というところから、ホテルというアイデアを検討していきました。その中で、2018年当時、今後はインバウンドの増加も予想されるので、外資系ブランドのホテルとの協業を検討しようということで、それまで日本で一緒にホテル事業をしているマリオット・インターナショナル(以下、マリオット)に一緒にやらないか、と相談しました。マリオットとは以前から都市型ホテルはずっとやってきたんですけれど、地方部で外資系ホテルを展開する、という新たな側面からこのプロジェクトにもご賛同いただいて、やることになったんです。 ※「Trip Base道の駅プロジェクト」HP https://tripbasestyle.com/project/ 眞竹 :2020年10月より順次、ホテルをオープンされています。お客様や地域、またパートナー企業からの反応はいかがでしょうか? 岡本さん :地域の方々や道の駅の皆様からは、ホテルが開業したことで今まで以上にメディア等で地元の情報が発信されていることに大変喜んで頂いています。また、パートナー企業様については、個別に各地域で具体的な連携策をつくり始めており、実際にそれらを実行することで地域活性化に寄与出来ていると実感しています。 眞竹 :コロナ禍の中でのオープンでしたが、影響はいかがでしたか? 岡本さん :コロナ禍により、期待していたインバウンドがなくなったため、ホテル事業としては相当ダメージがありますが、当面のターゲットを国内旅行者に切り替えて「マイクロツーリズム」を推奨することで、そのダメージを緩和しようと頑張っています。また、近い将来必ずインバウンドは戻ってきますので、それまでは各地域でおもてなしの準備や魅力発掘の活動を精力的に行っています。例えば、本年10月に㈱クラダシ様と連携して、京都府京丹波町にて特産品である黒枝豆の収穫支援を行いました。これは人手不足で未収獲残となっていた黒枝豆を、学生を派遣して収穫支援することでフードロス削減を目指すという取り組みです。さらに、それだけでなく、社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」でその黒枝豆を販売することで京丹波町の特産品のPRや販路拡大、地域活性化を推進しました。   「Trip Base道の駅プロジェクト」パートナー企業(2021年11月現在) 眞竹 :パートナー企業様との連携した地域のおもてなし、魅力発掘によって、今後、マイクロツーリズムとインバウンド、どちらも取り込める可能性が広がりそうですね。他にも、地域活性につながる取り組みなどありますでしょうか? 大野さん :建築デザインや地方創生事業のノウハウを生かし、国が進めるPark-PFI事業による国営公園として初となる「パーク・ツーリズム」をテーマにした滞在型レクリエーション拠点を福岡県東区にて開発し、来年オープンすることになりました。地方の国営施設を当社がブランディングすることで、訪れる人を増やし、人と人が交流することで公園全体及び周辺地域の活性化を図ります。 「パーク・ツーリズム」をテーマにした滞在型レクリエーション拠点が2022年3月に誕生。 https://www.sekisuihouse.co.jp/company/topics/library/2021/20210517.pdf 眞竹 :積水ハウスの高いデザイン力で磨かれた公園、是非訪れてみたいです。こういったプロジェクトが動いていく中で、積水ハウスが、地域創生に取り組む意義、というのはどのように感じていますでしょうか? 岡本さん :当社が掲げている“ESG経営のリーディングカンパニー”を目指すうえでも地域活性化の取り組みは有意義だと考えていますし、やりがいを感じています。また、当社の規模や知名度を活かし、さらにパートナー企業様と連携して、各社のリソースを組み合わせて行う地域創生活動は当然ながら地元の方々にお喜び頂いていますし、新しいビジネスチャンスも生まれてくるのではと期待しています。 大野さん :地方創生が叫ばれて久しい中、徐々に法整備が進んできているとは言え、未だ多くの人やモノ、サービスが都市部に集中している現状があります。地方では少子高齢化だけでなく、労働人口の流出が止まらず、慢性的な過疎化がいまも進行中です。創業以来、「住まい」や「まちづくり」にこだわってビジネスを展開してきたものとして、地方創生への思いは以前からありましたが、なかなかきっかけを掴むことが出来ずにいました。そんな中、当社が創業60年を過ぎたタイミングでコロナ禍となり、日本中が停滞している現状を少しでも打破したい、まずは地方から日本を元気にしよう、という思いから地域創生のプロジェクを始動させました。得意な「住まいづくり」や「まちづくり」のノウハウを生かし、社会課題の解決ができれば、我々にとってこれほど幸せなことはないと思っています。 眞   竹 :地域創生、社会課題解決に強い興味を持つ学生も多いですよね。では、ここから御社の求めている人材についてお話を伺えればと思います。 大野さん :海外事業の拡大やプラットフォームハウス構想の実現、その他の新規事業の立ち上げに伴い、様々な経験をしている人材を求めはじめています。デジタルヘルスケア分野を意識して医学部の学生にアプローチしたり、企業家精神があり積極的に行動できる学生、人とは違う斬新な価値観をもった学生も求めています。実際に今年は、国立大医学部卒の学生が新卒採用で内定しています。 眞竹 :積水ハウスが医学部、というのも意外なアプローチですね。そういった多様な人材を求める中でもここは外せない、という軸はありますでしょうか? 大野さん   :当社の企業理念の根本哲学「人間愛」の中に「相手の幸せを願いその喜びを我が喜びとする」という一文がありま   す。我々の仕事は、例えば住まい提案を通じて、お客様に「幸せ」を提供する仕事です。「幸せづくりのパートナー」として、企業理念に基づきお客様に対して、社会に対して新たな価値を創造するため、失敗を恐れず自ら考え行動することのできる人と一緒に働きたいと考えています。   オンライン取材の様子 左)インタビュアー: 電通 京都BAC engawa young academy 事務局 眞竹 広嗣 眞竹 :では、御社のインターンや採用に関する活動について、課題と感じているところを教えてください。 大野さん   :従来の採用活動に加え、複数のインターンシップを実施するなど色々試みていますが、まだまだ出会えていない学生の方が多くいると感じています。これからは様々な企業と協業していくことになりますので、新しいビジネスの種を作っていく人、いろいろなリソースを使いながらその芽を大きく育てていく人が必要になってきます。また、今すぐにはビジネスにならないけれども、新たな分野、新たな専門領域でじっくりと基礎研究をしてくれる人も必要です。これまで以上に、多様な人材を採用していくことが課題ですね。 眞竹 :そのような課題の中で、eyaに参加されている理由、意義など教えてください。 大野さん   :当社の業領域の拡大や環境変化を考えて、これまでの採用活動ではなかなか接点を持てなかった「新たなビジネスの芽を生み出すアントレプレナー志向をもった人」と出会えるのではないかと考えたからです。実際に、期待以上に良い学生が多数おられ、そういった学生と接点を持てることは大きなメリットと考えております。また、他社の人事部の方や先進的な取り組みをされている社員の方のお話を聞けることができ、とても良い刺激になっています。 眞竹 :メンターとして参加するご自身にとっての意義や期待、メリットなどはいかがでしょうか? 岡本さん :年齢を重ねると段々と感度が鈍くなってきたり、思考に偏りが出てきたりと悪い習慣が身に付いてきますので、感度の高い学生から良い刺激を得ることで普段の仕事に良い影響を与えたいと思いますので、積極的にコミュニケーションをとっていきたいと思っています。また、他社のエネルギッシュなメンターの方の良いところを、最低1つは盗めればと考えています。 大野さん :確固たる自信をもち、自ら新しい時代を切り拓くんだという気概があるような学生が、何を思考し、どの様な活動を行い、社会に出て何をしたいと考えているのかを純粋に知りたいと思っています。 眞竹 : では最後に、eyaの学生たちと接して感じたこと、そして期待することをお願いします。 大野さん :強く目的意識を持っている方が多いなと感じています。あとは、摩擦を恐れず自分の意見や価値観を互いに共有し、理解し合い多くの気づきを得てほしいと思います。 岡本さん :皆さんはポテンシャルが相当高いので、それを今回のeyaでどう発揮して、また他の人から何を学んで帰るのかを毎回意識して取り組んで頂き、最後には10月より成長したと自覚出来るようになって欲しいですね。  

#インタビュー

ウェディング業界のポストコロナの新戦略「ウェディング2.0」

写真右から 司会)村田 大氏 (株式会社カラーズ2代表取締役) 鰺岡 恭徳氏 (株式会社アルプラス取締役) 片山 俊大 (株式会社電通)   編集長コメント: 今回は京都BACでM&Aコンサルとしても活躍している片山さんに、ウエディング業界の現状とM&Aの関係性について対談にてお話しいただきます。      ウェディング業界の現状  村田さん (以下敬称略) それでは、まず共通認識として、ウェディング業界の現状について鰺岡さんにお話ししていただきたいと思います。コロナ禍で日本全体が閉塞感に陥る中、ウェディング業界はもっとも厳しいのではないでしょうか。 鰺岡さん (以下敬称略) コロナによる未曽有の事態がウェディング「業界を襲っています。緊急事態宣言以降、営業自   粛はもちろん、結婚式の延期やキャンセルが本当に相次いでおり、結婚式場の資金力が非常に厳しい状態になっています。その結果   、倒産・廃業に追い込まれているところが増え、まさに非常事態が起きています。さらに、後継者問題も顕在化してきています。ハウスウェディングの登場が2000年頃で、そこから、20年経っており、創業者が引退時期に入っています。このような状況のもと、売上げアップや、M&Aの相談が、非常に多くなっています。 村田  ウェディング業界が大きく変わっていかないと生き残りが非常に難しいというような話を、私もしばしばお聞きするのですが、今後の生き残りというのはどのようにお考えでしょうか。 鯵   岡       これは非常に難しいで   す。弊社で、ウェディング業界の生き残りに向けて提案している主な施策は、2つあります。 まず、フューチャーライフサポート(※後述)という弊社独自の施策、2つ目に、事業転換を目的とした事業再構築補助金を活用した施策です。新しいものを創出するために、DX(デジタルトランスフォーメーション)も鑑みながら、様々な切り口からご提案をさせていただいています。 村田  それでは片山さん、今の鰺岡さんのお話を聞いて、世の中全体の企業と比較して何かお話があればと思いますが、いかがでしょう。 片山  まさにコロナで社会は一変したと思います。そして景気が良いところと悪いところの差が激しくなっており、2極分化している傾向があると思っています。特に、スピード感を持って、デジタル化に対応したり業態を大きく変化させた企業というのは強いと思います。先のリーマンショックの時も、柔軟に変革を行い投資を実行した会社は、その後ものすごく伸びています。現在コロナ禍で、音楽とかエンタメ業界は厳しい業界の一つとなっておりますが、このタイミングでオンライン配信   やテジタル化を推進した企業は、むしろステイホームで強くなっていく。ウェディング業界もそうですね、そういった今までの常識にとらわれずに柔軟に変化してい   くということが、ますます重要になってきているのではないかと思います。    ウェディング2.0を考えるヒント    村   田  変化に対してスピード感を持って対応していくことが、生き残りのための重要な要素だという事ですね。ただ、スピード感を持って対応したくても、人材がいないとか、資金が足りないとか、いろんな問題があり、やりたくてもできないとの話も聞きます。実際のところ、自社だけで解決されて困難を乗り切れる企業は少ないのではないでしょうか。 鯵岡  やは   り自社だけで対応し、困難な状況を打破するためには、難しいことが多々あります。今は協業して一緒に新しい方向に進む時代に突入しているのではないでしょうか。弊社が提案しております、フューチャーライフサポートは、その地域のメーカーと協業して、一緒に盛り上げていく施策です。生き残りにかけてはそのようなことが必要だと思います。 例えば、意中の大手ハウスメーカー、ディーラー、家電量販店、保険会社、宝石店など約50社くらいと協業している事例があります。結婚式場は、結婚式をあげられたお客様の、様々な生活シーンでのトータルサポートとして活躍できる機会があると考えております。そのため、お客様が、車や家のご購入を検討されている場合に、結婚式場から、営業的なアプローチができます。地域の様々な企業と一緒になって売り上げをアップするということが、今、まさに可能になっています。先月   、ある結婚式場では、30組のお客様が来られて、15組が家をご購入希望されました。大手ハウスメーカーさんにとっても、非常に有益であり、協業してやっていく必然性を感じておられます。お客様の未来の生活も一緒になってご提案することが、これからの結婚式場に求められているのではないかと思っております。 昔から、このような結婚式場と地域の企業との協力体制はポツポツとあったのですが、今は、コロナ禍で、企業も積極的に新しいビジネスチャンスを模索されているので、加速度的に増加しています。 村田 なるほど。結婚式場が企業に、結婚式場という場を使って企業に商談のチャンスを提供していくという動きですね。片山さんは、どういう印象を持ちでしょうか。 片山  非常に面白いですし、そういう事はどんどん進めていくべきなのかなと思います。異業種コラボレーションには、いくつかの方向性があると思っています。今のフューチャーライフサポートのように、結婚後のライフステージに応じた様々な業界と連携するということには大きな可能性があると思います。また、結婚のあり方自体が変わってゆく可能性があるかと思います。結婚式は、もともと多様化が進んできていますが、このコロナ禍でますます変革していくと思います。全部とは言いませんが、部分的には劇的的に変化していくと思います。結婚式は概ね土日及び休日に行われるため、平日の式場は遊休資産になっています。そういった平日遊休資産を、シェアオフィスやカフェなどさまざまなコラボの可能性があると思います。 村田  それでは、事業再構築補助金の活用というお話があったのですがこれはどういうことでしょうか。 鰺岡  事業再構   築補助金は、ポストコロナ、ウィズコロナ時代の経済変化に対応するために、思い切った事業再構築を支援することで、業界の構造転換を促すことを目的としています。この事業再構築補助金を活用して、古い施設や設備から脱却して、ネット環境などを整えて、オンラインウェディングを実施できる施設を構築したり、ECサイトをM&Aして、ブライダルとは全く違う商品を販売している会社もあります。立ち上げて、約1年で約5億の売上を達成し、業界チェンジに成功されたところもあります。 既存の仕事との両立ですが、おかげさまでスタッフ全員のベースアップになり更にモチベーションもアップされましたとのことです。    村田   「ブライダルとは全く違う商品」とはどのようなものでしょうか。   鯵岡  キャンプ用品、マウスピース、家電製品などです。   その他、あるYoutubeチャンネルを買収して、月収約300万円を達成されているところや、事業再構築として、エステサロンなど新規事業分野に参入する例もあります。業界の構造転換を目的として様々な事業展開が行われています。      「ウェ   ディング×〇〇」のケーススタディ    村田  それでは次に、異業種コラボレーションのお話をお伺いできればと思います。具体的なものというのはどんなものがあるのか、鰺岡さんがご存知なケースでご紹介していただければと思います。 鯵岡  「ウェディング×〇〇」という様々な発展的な形があります。「ウェディング×コロナワクチン接種会場」として、数カ月間、結婚式場からワクチン接種会場に業態転換したり、「ウェディング×ワーケーション」として、結婚式場を施設に持つホテルがワーケーション専用のホテルを建設していることもあります。 さらに、「ウェディング×アミューズメント」として、日本初宿泊型お化け屋敷「禁じられた結婚式」をコンセプトに、今までと全く違う形のウェディングの展開もあります。このように、 結婚式場が変化をしなければいけない状況化で、様々な異業種コラボレーションが実施され、新しい収益を得ています。 村田  「ウェディング×コロナワクチン接種会場」については、結婚式場から発案で、行政に自ら打診をしたのでしょうか。 鯵岡  その通りです。コロナワクチンの大規模接種会場が全国で不足しているという現状に着目し、弊社がいち早く結婚式場のオーナーさんに呼びかけて、行政に打診をしました。会場の利用期間は約3か月間必要ということでした。結婚式場では、コロナワクチン接種会場に必要とされる、スタッフも既にいますし、十分な広さの会場や、空調施設も全て整っております。さらに、病院関係、医療従事者の食事の面でも、すべて提供することが可能でした。今では、市町村から結婚式場にコロナワクチンの大規模接種会場に利用させて欲しいという依頼が非常に増えてきております。売上としても、通常の結婚式や宴会と同等レベルで実施されております。その他にもメリットがあります。コロナワクチンの大規模接種を3ヶ月間も実施しますと、会場には何万人もの方が足を運ぶことになります。今までにない人流が起きます。足を運ばれた方に、結婚式場を活用した忘年会や新年会などの提案ができます。これこそ、まさに新たな結婚式場の活用方法です。短期的な売上確保と中長期的な営業を実施できるので、全国で「ウェディング×コロナワクチン接種会場」の動きが、まさに加速しています。 片山  今お話しされた3つの事例、「ウェディング×コロナワクチン接種会場」、「ウェディング×ワーケーション」、「ウェディ   ング×アミューズメント」は、結婚式場の強みを上手に活用されているなと思いました。 まず、ワクチンの接種会場は広くて空調が効いている必要があるため、ウェディング施設は最適ですね。最近は特に、平日のみならず土日まで遊休資産になっているため、その状況を逆手に取ってうまく業態転換したのだと思います。きっと同じことを検討した会社さんもいたと思いますが、意思決定のスピードが早かったところに決まったのだと思います。ですから、経営の変革スピードや決断力の重要さを物語っているなと感じました。 次に、ワーケーション。これも同じく遊休資産の活用ですね。今はどこでもリモートでどこでも働ける時代で、オフィスに通わなくてもいい、となったら素敵な場所で働こうと考える人もいる。ウェディングはそもそも素敵な場所ですから、そういった場所を、オフィスとして使うというのは時代的に面白いと思います。 最後に、お化け屋敷やアートイベントとか、一見、ぶっ飛んでるように見えます。しかし、ウェディングは人生最大の驚きを皆さまに提供する場所で、つまりは、祝祭性の演出のプロ。そういった、ウェディングの強みを、全く違うアミューズメントとして活用するというのは、非常に有効だと思いました。 村田  経営的な意思決定のスピード感に加えて、施設の本質を見抜き、しっかりとした戦略をもって行動することで、うまくいっているということですね。今後も、様々な「ウェディング×〇〇」が生まれてくると思うのですが、いかがでしょうか。          片山  そうですね、ある意味私はウェディング業界の外の人間として、よそ者の視点でちょっと自由気ままにアイデアを出してみたいと思います。今のいくつかの事例をお聞きして、非常にいろんな活用法がまだまだあるんじゃないかなというふうに思いました。「ウェディング×ワーケーション」の事例がありましたが、基本的にはウェディングの平日の遊休資産がめちゃくちゃもったいないと思うんです。ウェディングの会場って基本的に素敵な場所じゃないですか、すべて。そこを平日寝かしている、コロナで場合によって土日も寝かしていたら、これほどもったいない事はないですね。 私は、「ウェディング×シェアオフィス」っていうのがあるんじゃないかなと思います。最近は、銭湯や駅のホーム、チケット売り場、カラオケボックス、本屋の一部などを、シェアオフィスに業態転換する例がどんどん増えてきています。そいった中、結婚式場は、映えスポット、つまりフォトジェニックなシェアオフィスとして活用できると思います。最近は、リモート会議や、映像SNS活用など、ビジネスにもフォトジェニック性が求められてきていますので。もしかしたら写真や映像のサービスと連携できるかもしれません。 また、ファッション業界とのコラボの可能性もあるかもしれません。最近、服のオンライン購入が増えるほどに、リアル店舗の価値が問い直されています。そのような中、ファッション業界は、空間全体も含めた体験価値を提供する場を求めています。ファッション業界と、ウェディングの空間やサービスを融合させると、新しい価値が生み出されるような気がします。 また、最近、カフェでお仕事や勉強する人が増えており、ウェディング会場は平日カフェスペース兼シェアオフィスとして活用できるかもしれません。最近のカフェは、SNSとの親和性が高いので、映像フォトスタジオやアパレルなどとコラボすることで、フォトジェニックな遊び場・仕事場を求める女性を集めることができるかもしれません。 鯵岡  目から鱗が落ちるようなアイデアで非常に面白いですね。結婚式場には、どうしてもガチっとした、やらなきゃいけないみたいな、先入観がありますが、やはり「カジュアル」という概念も、これからは取り入れていくべきかと思います。。また、結婚式場は、地方で1店舗2店舗などチェーン展開しているところが基本的には多いです。そうなると、情報もないですし、そこから様々な異業種コラボレーションを考えるのが難しい状況ではあります。片山さんのご提案は非常に貴重な提案だと思います。 片山  ぜひこういったお話をお聞きいただいた事業者の皆様で、こういうことをやってみたいっていうみたいなことを考えた方がいたら、ぜひご相談いただけると面白いかもしれませんね。 村田  片山さんから、少しファッションの話がありましたが、将来は、ラグジュアリーブランドとコラボした結婚式場ができるのではないかと想像しますが、いかがでしょうか。ワクワクしますね。 片山  私は現在、ファッション業界関係者と、この状況下でどう変革していくべきかの戦略に携わっていますが、実際、カフェとのコラボなど、多面的な事業展開を求めているブランドがありますので、「ウェディング×ファッション」を具体的に進めていくことは可能だと思います。 村田  では次ですが、DX(デジタルトランスフォーメーション)についてお伺いしたいと思います。一例えば、結婚式場にオンラインウェディングのご提案をしますと、オーナーさんからは、「あまり儲からない」というお話をよく聞きます。理由は結婚式場のビジネス形態にあります。結婚式場の売り上げは、料理代金やや、引き出物代金場合によっては衣装代など結婚式場にお客様が足を運ぶことによって収益化される部分が多い仕組みとなっております。その意味で、結婚式場に足を運ばない=オンライン化になることは、ネックになるということです。何かDXをうまく活用する方法はないでしょうか。 片山  オンラインなのか、リアル会場なのかというのは、様々なイベントで同じような問題がたくさんあると思います。しかし例えば、国際会議はオンライン化が進んでおり、それによって参加する人が増えています。ただ、もともとそういうイベントは食事がないので、さすがに結婚式場とは一緒にはできないと思ういます。最近は再び、対面の良さ、直接集まって同じ空間を共有することが見直されてきており、その最たるものが、やはりウェディングだと思います。祝祭性には、必ず同じ空間を共有する必要があると思うんです。 なので、今後はリアルとオンラインのハイブリッドが拡がるのではないでしょうか。リアル空間を共有しながら、オンラインでも参加していただく。一つのところに集まるリアルの価値が上がった分だけ、そこをブランドと価格帯も上げていく。そういうグラデーションをつけていくっていうのはあるのかなと思います。また、音楽とか余興をライブがオンライン配信するなども考えられると思います。このように、リアルとオンラインを掛け合わせた、ハイブリットなウェディングが今後求められると思います。 鰺岡  最近、フォトウェディングが人気でして、そういったものが、DXと親和性があるように思うのですが、いかがでしょうか。 片山  まさにウェディングとフォトや映像っていうのは、言うまでもなく重要ですよね。そこにライティングとか撮り方だとかノウハウがいっぱいあると思います。ただ、やはり時代の変化にもっと合わせていく必要があるかなと思いますね。世の中ではInstagram、YouTube、Tiktokなどに写真や動画をシェアして活用していくことが爆発的に拡大していますよね。従来の結婚式もそういった流れに柔軟に対応すべきだと思いますが、おそらく自社だけで対応することは難しく、コラボなどによって解決することが有効かもしれません。 また、DXに限りませんが、例えば、「ウェディング×グランピング」みたいな発想もあるんじゃないかなと思いますね。コロナ禍で密を避けたレジャーを楽しむために、キャンプがまた流行ってますね。ストレスフルの社会の中に疲れ、自然に癒しを求めるところがあるんだと思います。さらに、   気軽に快適におしゃれに自然を感じるニーズに応え、グランピングが流行っていますね。そしてこれからは、自然の中でウェディングというニーズが世の中にあるような気がしていますが、いかがでしょうか 。 鯵岡  まさに片山さんの言われたことが現実に起こっています。全国のホテルの稼働率が軒並み下がったところで、そのグランピング事業に着手して、既存の古いホテルの稼働率が7割以上、365日稼働率が9割以上にアップするというところがあります。結婚式場をお持ちの、古いホテルや旅館には、空地や駐車場があります。そこにトレーラーハウスやテントなどを設置して、多くのお客様がグランピングを楽しんで頂けるような、ホテルのアクティビティー化が非常に増えてきております。1泊の料金体系は、1万5000円~40,000円に設定されていて、本当に人気です。 私は、鹿児島の吹上浜で実施されているホテルとは面識があるのですが、実はこの「ウェディング×グランピング」っていうのは、地方の広い場所でしか行われていないわけではありません。逆に、街中でグランピングができるっていう形を模索しているホテル、結婚式場が、今非常に多くなってきています。 村田  「ウェディング×グランピング」で成功しているケースがあるという事ですが、ただ実際にホテルや結婚式場にグランピングのノウハウがあるかというとなかなかないのではないかなと思います。実際にそのための資金を調達してという話は別にしても、なかなかそこまで思い切ってやれるかっていうと難しいですよね。そういった中で何か上手に組み立てる方法論というのは片山さん、何かアイデアではないでしょうか。 片山  そうですね、おそらくトラディショナルなウェディングをやってこられた方が、急にグランピングのウェディング事業をやろうと思っても、簡単ではないような気がします。グランピングのハード面をそろえたとしても、おそらくそのノウハウが無い。なので、グランピングの会社とウェディングの会社がコラボして、「ウェディング×グランピング」のサービスを提供すると良いと思います。結婚式場の庭でグランピングやってみるとか、隣の駐車場でさえも砂浜を作ってグランピング会場にしてみるとか、施設に合わせてカスタマイズして作っていく。駐車場や公園などの遊休資産みたいなところにそういう事業を作ってしまって、後からコラボや事業売却を行う、というようなやり方もあるかもしれません。 鯵岡  非常に面白いアイデアですね。ある新規事業を、その地域で、誰が先行して進めるか、ブランド化できるかが重要ですね先程の「ウェディング×コロナワクチン接種会場」も同じですが、誰かが先行して実施しないとダメで、先行したものが勝ちだと思います。 それだけでなく、逆に、今は異業種が、結婚式場ビジネスに参入してくるケースもあります。実は、「グランピングウェディング」というものがあります。もともと結婚式場があったのでグランピングでやろう、という発想ではなくグランピングがあったからその中に結婚式を入れようという発想です。グランピング会場で結婚式をあげたいというお客様のニーズがあったので、戦略的にパッケージ化してやるっているようです。素晴らしいアイデアだと思います。      「ウェディング×○○」の作り方  村田  では次にですね、実際に自分の会社で「ウェディング×〇〇」に取り組んでいくことをお考えのオーナーさんにとって、直面する様々な問題について考えてみたいと思います。資金、人材確保の問題もありますし、それ以外にも様々な問題があると思います。 その解決方法の1つとして、M&Aがありますが、ある意味、M&Aは、異業種コラボレーションの究極の形ではないかと思います。 ウェディング業界のM&Aの現状について、鰺岡さんからお話しいただけますか。 鯵岡  はい。事例として、写真館と高級旅館のM&Aがあります。今はフォトウェディングが非常に需要があり、売り上げが伸びています。です。そうすると旅館も、結婚式場の売上げがダウンしている中で、異業種コラボレーションの手法として、フォトウェディングで重要なポイントである、「写真」の知識を多く持ち、かつ人気も、資金力もある写真館に白羽の矢を立てます。その場合、旅館そのものや、結婚式場の事業だけを譲渡することで、M&Aを成立させるいうケースが増えています。 その他にも、IT企業、病院、その他銀座にあるレストランまで、資金のある企業に大きな素晴らしい結婚式場を譲渡し、M&Aを成立させるというケースが、各地で多く起こっています。M&Aによって、異業種コラボレーションを成立させることは、今時代の流れに乗っています。 村田  なるほど。異業種コラボレ   ーションとして、M&Aを実施するというのは、ちょっと大型といいますか取り組みのツッコミ度が深いというか、そういうことについて片山さんはどう思われますか。 片山  これまでウェディング業界はもっとスピードを持って変革・コラボレーションを推進すべきだというお話をしましたが、これは、ウェディング業界に限った話ではないと思います。世の中の変化のスピードはものすごいスピードで変化をしており、コロナによってさらに加速しました。この変化を自社の自助努力で変革する事は、もはや不可能に近くなってきていると言えます。多少の変革は出来ると思いますが、大きな変革は自社だけでは極めて難しい。では、大きな変革を実現している会社をみてみると、実はその多くがM&Aや資本業務提携による変革なんですね。実際M&Aの件数は、年々増えおり、コロナ禍によってさらに増えています。皆さん、新聞に載るような大型のM&Aを想像されるかもしれませんが、小さい老舗企業、未上場の会社のM&Aが非常に増えています。 一般にM&Aは、敵対的買収いわゆるハゲタカみたいなイメージが強いと思います。しかし、実際は、敵対的買収というのは全体の1%にも満たない。そもそも上場企業じゃないと敵対的買収はありえないですし。つまり何が言いたいかというと、世の中の99%以上は友好的で、お互いがハッピーになるM&Aなのです。 ビジネストランスフォーメーション、デジタルトランスフォーメーションなど、大きな事業変革を行う場合は、M&Aはもはや必須になりつつあると思います。そこで、電通グループは、M&A仲介を活用したソリューション提供をしており、既に実績もあります。2019年、電通は、日本M&Aセンターという業界最大規模の会社と業務協定を締結し、一緒にM&A仲介を進めているのです。こういったこともあり、M&Aを活用した「ウェディング2.0」を目指すことで、よりスピード感を持った業態転換のお手伝いができると考えております。 今では、企業のみならず個人レベルのM&Aすら増えており、看護師が脱サラして、ブライダルの貸衣装屋さんを買収するケースもあるくらいです。なので、先ほどからアイデアに出ているように、ウェディングと、シェアオフィス・映像制作・カフェ・グランピングなどとの連携を実現するためにM&Aを活用するというのは、全くもって現実的なオプションと言えるかと思います。 村田  ただ、M&Aを考えると資金的なこと、というのが心配されるオーナーさんとかも多いと思うんですね。譲渡する側であれば資金は必要ないということだと思いますが、その理解で良いでしょうか。 片山  はい。譲渡する側であれば資金は必要ありません。買収されるというと抵抗があるかもしれませんが、要は資金を投入してもらうということになります。M&Aは、買収されるより買収する側にまわりたいと考える経営者は多いと思いますが、実は、会社を売るというのは非常に高度な経営戦略とされています。特に欧米では、IPOと並ぶ経営戦略として。 一般的には、資金はあるけどノウハウや人材やサプライチェーンがない、それをゼロからやるのも大変だ、そういう企業は、その資金を用いていわゆる買収、譲り受けをします。その一方でノウハウ、人材、店舗はあるが資金は無いというところは、出資してもらいたいですね。社債を発行する、銀行から借りる、上場して株式市場から資本を調達する、そういったオプションの1つとして、大企業から資金を調達する、つまり事業売却・事業譲渡というものがあります。そういった視点で見ると、実は売却も買収も大きな差は無いのかもしれません。 村田  自分たちが新しく何かをやりたいなと思った時に、では資金が足りないと。そうしたら自分の事業の中の、例えばレストラン部門を譲渡して、その資金で代わりにグランピング部門を新しく作ろうとか、そういったことが考えられますね。 片山  まさにおっしゃる通りで、大きく2つあると思います。会社のすべての株式を譲渡して、大手の傘下に入るというのが1つ。もう一方はいくつか事業の一部を切り離して事業売却し、その売却益で新しい事業に投資していくというもの。 村田  なるほど。M&Aをうまく使えという事ですね。 片山  そうですね。どうしてもやはり買収される、事業譲渡する、M&Aされるというとなんか怖いとか、敵対的買収のイメージが強いので抵抗感を持つ方が多いんですが、嫌なら断ればいいだけの話です。上場したらおめでとう、買収されるとかわいそうにみたいな感覚は、完全に間違っていると思います。例えば、欧米の古い例で言いますと、InstagramがFacebookに買収され、YouTubeがGoogleに買収されました。これは、上場よりもM&Aで譲渡することを求める会社は多いためです。もちろんこれらは、全く後ろめたいことでは無いですし、買収に伴い、大企業のサプライチェーン、営業力、人材教育、そしてリクルート、人材確保能力等々を活用できます。それにより、ビジネスを大きく変革していくことができるのです。 事業を成長するためにそのエリアでさまざまな事業買収し、さらに成長するために、事業譲渡して大企業の傘下に入るケースも結構あります。M&A後のリストラを恐れる人もいますが、どちらかというと、買う側としては従業員は1人も辞めないでほしいと考えており、そういった条件をつけることがあるくらいです。経営者のオーナーシップはなくなりますが、経営者としては残るケースもあ   りますし、個人保証が外れて売却益が入ります。退社して悠々自適っていうのもありますし、その資金を元手に新しい事業をやるっていうこともありますし、会社に残って徐々に引き継ぐなど、さまざまなパターンがあるといえます。 鯵岡  実は、ウェディング業界の大きな課題として、経営の後継者問題があります。M&Aによって、その課題を解決することもできます。当然、社員、幹部の雇用を保証することもきます。M&Aで解決できることは、どんどん解決したほうがいいと思います。 村田  ありがとうございます。片山さんいかがですか。 片山  ウェディング業界の皆様だけではなく、現在、すべての業界が、急速で大きな変革に迫られています。この困難を乗り越えていくために、自社だけのリソースに固執せず、異業種・異分野の人たちとコラボレーションによって大きな変革が成し遂げられると思います。また、M&Aを活用することで、その変革のスピードを更に加速し、資金面の解決も図ることができるのです。この荒波に速やかに柔軟に対応していく、それがさらなる発展のできる会社さんと、そうでない会社さんの分かれ道がまさにここにあると思います。我々このチームは、こういった「ウェディング2.0」というプロジェクトで、この業界の変革に少しでも役立てられればなと考えております。ぜひ我々までご相談いただければなと思います。ありがとうございます。 村田   本日はいろいろなお話ありがとうございました。ぜひ皆さんからの相談が来るといいですね。 お問い合わせは、株式会社アルプラスまで URL  https://allplus.tokyo/contact/ 電話 03-4360-8657  

#インタビュー

【engawa young academy】 メンターインタビュー  DAIKIN篇

2021年10月より、engawa KYOTO REMOTEにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy 2021(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eyaに参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第2回目は、DAIKINの西川さん、伊藤さんにお話を伺いました。 第1回目 ヤマト運輸様 メンターインタビューは こちら   写真右)ダイキン工業株式会社 人事本部採用グループ 西川 徹さん 写真左)ダイキン工業株式会社 人事本部採用グループ 伊藤 淳さん 所属は、取材:2021年10月当時のものです。   ― メンタードラフトは、朝からドキドキでした。 インタビュアー眞竹(以下、眞竹) :初日を終えての率直な感想はいかがでしょうか? 西川さん :良い意味での疲れとワクワク感の二つがあります。昨年参加されたメンターの方からお話を聞いていた通り、率直に疲れました! 眞竹 :その疲れにつながると思うのですが、メンタードラフト※の感想を教えてください。 西川さん :本当に緊張しました!朝からずっとドキドキしていて、何なら気持ち悪いくらい、久しぶりにここまで緊張しました。仕事でのプレゼンと違って、自分自身を伝える内容なので、学生側に自分の想いや魅力が伝わるだろうか、選んでもらえるだろうか、という不安を持ちながらプレゼンしました。こういった気持ちが普段の採用面談で学生さんが思っている感情なので、この場で改めて学生側の想いを経験できたことはよかったです。 ※メンタードラフト:メンターが企業名を隠して、学生に対して自己紹介プレゼン。学生が希望するメンターを指名するプログラム 眞竹 :伊藤さんは、そのメンタードラフトをご覧になっていましたが、どう感じられましたか? 伊藤さん :普段一緒に仕事をしている先輩の、尊敬できる、仕事とは違う横顔を見せていただきました。私自身も成長していくために、その立場に置きかわった時の緊張感を味わう、貴重な経験になりました。 眞竹 :一方の、ワクワク感というのは、どういうところでしょうか? 西川さん :参加学生の皆さんが、多様な個性を持ち、様々な経験をしてきています。それぞれのキャラクターが、1日のプログラムではわからないところも、2ヶ月かけるとそれぞれの良さが出てくるんじゃないかと思い、彼らと同じ時間を過ごし、対話できることをすごく楽しみに感じています。   ― 空調の会社から、空気の会社へ。 眞竹 :では、次の質問にうつらせていただきます。 御社は今、学生からどういう企業イメージを持たれていると思いますか? 西川さん :空調を扱う企業、とりわけ身近な接点から家庭用空調機のイメージが強いのではないかと思います。そもそもエアコンを買う機会が学生さんはほとんどないと思うので、DAIKINを知らないという学生さんもいらっしゃると思います。 伊藤さん :日系の大手メーカーであって、年功序列であるとか、縦割りの企業風土なんじゃないか、と思われてしまっている面もあるかと思います。 眞竹 :ちなみにお二人は学生時代、DAIKINという会社を知ってらっしゃったんですか? 伊藤さん:大学時代一人暮らしをしたんですけど、マンションのエアコンがDAIKINだったんです。入居した、初日に管理会社の人から「DAIKINさんの製品なんですけど、DAIKINさんのアフターサービスがすごく良くて、サポートがもう迅速で素晴らしいです」みたいなことを、なんでこの人こんな学生に、熱を持って話してるのかなと思って。ユーザーから愛されている会社なのかなって、すごく印象に残りました。 眞竹 :伊藤さんがDAIKINを受けようと思ったきっかけはどんなものでしょうか? 伊藤さん :私自身は経済学部の出身で、途上国の経済、貧困と格差などの勉強をしていて、就活の軸にもなっていました。その一番の根本は、「生まれてくる土地は選べない」というところが大きいなと考えました。国として持っている資源、位置、気候、風土といった大きい違いの中で、熱い土地ほど貧困の国がかたまっているという現状から、一番はやっぱり温度だな、と思った部分があったんです。その人たちがエアコンを使っておらず、日本のような比較的緩やかな気候で過ごしている人が使っている、という現状の中で、自分が学んできたことや興味から活躍できるところがあるんじゃないか、と思い、DAIKINを選びました。 眞竹 :ありがとうございます。西川さんは、いかがでしょう? 西川さん : DAIKINについては、空調を作っている会社、ということは知っていましたが、特段イメージは持っていませんでした。私の就活としては、機械工学出身ですけど、機械系メーカーに行くのはすごく面白くないレールに乗っているなと思ったので、化学系や自動車、商社など、全体畑違いのところで就活をしていました。その中で、最初にインターンに行ったのがDAIKINでした。就活当初は、他社が本命だったんですけれど。 眞竹 :そうなんですね。 西川さん :働く人の環境、社風として、思うようにやれそうだって思ったのがDAIKINでした。また後押ししたのが、「空気で価値を出していく」というDAIKINの考えでした。今は「空気で答えを出す会社」とPRしていますが、無料でみんなが普段使っている空気に価値を与えられて、それでマネタイズができたらすごいな、出来るかわからないけれども、ここでやったらおもしろそうだと思ったのもきっかけの一つです。   ― 日本での共創、アフリカでの挑戦。 眞竹 :お二人とも動機に「空気」が関わっているんですね。御社ならではです。では、御社の実際の姿を知らない学生へ、実はこんな企業です、こんなことしています、という、知られてないけど伝えたいこと、紹介して頂けますか? 西川さん :世界160か国以上に事業展開し、売上の3/4以上を海外で稼ぐ会社です。業務用空調で強みを持ち、国内のみならず、世界で家庭用・業務用・産業用それぞれでシェア1位の国が多数あります。また、「空気で答えを出す会社」として、空気を通した価値創出に挑戦しています。ヘルスケアや睡眠、集中、リラックスなどの観点で、取組みを加速しています。例えば、point 0 marunouchiという共創型コワーキングスペースもその一つです。働く場の「効率」「創造」「健康」の3つの軸で各社のアセットを掛け合わせながら価値創造に挑戦しています。   眞竹 :そこではどのような取り組みをされているのでしょうか? 西川さん :働き方改革の中で、働く中での生産性向上や健康を抜本的に高めていく取り組みをするために、参画する各社がそれぞれの得意領域を出し合いながらシェアオフィスとして運営しています。例えば、オフィス家具分野でokamura、照明分野でpanasonicなど、トータルで約20社、関わっていただいています。その中で、DAIKINは空気、空間というテーマの分野で関わっています。各社が取れるデータの活用という点を意識していて、空調機から取れるデータというのもありますし、自社が取れるデータ以外のバイタルデータなどをデータプラットフォームとして集約し、参画企業が使いあって共通プラットフォームとして短期間に、ハイサイクルで価値を創出しく、PoC※広場というイメージです。 ※PoC (Proof of Concept:新たなコンセプトやアイデアの実現可能性の検証を行うこと)  眞竹 :例えば、どのような実験をされているのですか? 西川さん :一例にはなりますが、香りを使った集中力の検証や、仮眠の効果検証、コロナ禍での清潔を保つための検証であるとか、自   社であったり、他社と連携しながら行っています。   未来のオフィス空間『point 0 marunouchi』を2019年7月に開設 https://www.daikin.co.jp/press/2019/20190423/ 未来のオフィス空間『point 0 marunouchi』において実証実験を開始 https://www.daikin.co.jp/press/2019/20190708/ 眞竹 :空気は、空間に関わる、あらゆる領域とつながりがありますよね。働き方やオフィスの常識を変えるような結果が出ると面白いですね。では、御社が今後目指していこうとしているところを教えてください。 西川さん :「空調   がまだ普及していない地域に空調機を普及させていく(シェアを取っていく)」方向と「すでに空調機が普及している地域には既存空調の価値を超える「空気の価値」を創造・提供していく」方向、この2方向での展開を目指しています。戦略経営計画であるFusion25※でもカーボンニュートラルへの挑戦やソリューション事業の推進、空気価値の創造について言及しています。 ※Fusion25 https://www.daikin.co.jp/investor/data/fusion/fusion25.pdf  眞竹 :「空調がまだ普及していない地域」への取り組みで、「タンザニアにおけるWASSHA(ワッシャ)との新たなビジネスモデルの実証実験を開始」という取り組みの記事を見たのですが、こちらはどのような取り組みになるのでしょうか? 伊藤さん :東京大学との産学協創協定の中で、東大ベンチャーの一つ、WASSHAとの取り組みになります。アフリカ地域に対する手を打っていきたいという中で、WASSHAがアフリカでソーラーLEDランタンのレンタル事業をしていました。そこと連携することで、エアコンの初期費用を取り付け工事代と保証料のみで設置して、購入代金はそのあとの使用料としてサブスクリプション方式で回収していくビジネスモデルが成立するかどうか、PoCを行い事業化しました。WASSHAとのジョイントベンチャーとして、Baridi Baridi(バリディバリディ)という会社を設立し、我が社の31歳の社員が代表として引っ張っています。 空調未成熟市場でエアコンのサブスクを事業とする合弁会社を設立 https://www.daikin.co.jp/press/2020/20200616/ 眞竹 :そんなに若い方が、新規事業を海外でやられているんですね。そういった若い人材を育てる取り組みなどがあるのでしょうか? 西川さん :はい、例えば若手チャレンジプログラムがあります。将来を担ってもらいたい優秀人材に対して、従来にないスピードでの人材育成をしていこうということで、役員や部門長クラスが育成担当としてコミットして、その人にDAIKINの抱えるグローバル規模の大きな課題解決を担うパーソンとして動いてもらうというプログラムになっています。入社2年目〜5、6年目の方が対象です。 眞竹 :そんな若手の方が、グローバル課題を役員と一緒に考えていくんですね。 西川さん :役員がサポートする側ですね。若手に先頭に立ってもらって。 眞竹 :若手にそれを担わせるんですね。御社の若手人材への期待感が感じられます。育成でいくと、御社は、AI人材の育成のプログラムにも力を入れられていますね。 伊藤さん :「ダイキン情報技術大学」です。新入社員コースと既存社員コースがあり、新入社員向けのコースは技術系の新入社員約100人が、2年間そこに人事付けで配属されて専任のメンバーとして修士卒レベルを目指して学んでいきます。入社3年目の私も参加している既存社員コースは、文理関係なく部門からテーマを持っている社員がアサインされて、私の場合は今年の6月から来年の3月まで、そこのコースで学んでいます。産学連携している大阪大学の講義を受け、実際のデータを活用して自身の所属部門の課題を解決することに取り組む、という形です。 眞竹 :こちらも驚く内容ですね!御社のAIへの、人材育成への本気度の現れですね。では、ここからは御社の採用についてお伺いしたいと思います。御社が採用活動について重視している取り組みを教えてください。   ― 「面接」ではなく「面談」。 西川さん :採用活動全般として、学生と対等な目線で双方が互いに選び合うことを重要視しています。「面接」ではなく、「面談」。企業側の一方的な見極めでなく、学生側もDAIKINってどんな会社なのか、をしっかり見定めていただく場、時間を確保することを意識しています。学生にとって想像する面接とは全く違うと思います。 伊藤さん:「面談」の話だと、学生も社会課題や環境問題に関心を持たれている方が多くて、例えば役員との「最終面談」でもそういった問題についての議論になることもよくあります。空気というのは、社会課題、特に環境問題と密接に関係していますが、グローバルで使われているDAIKIN製品の消費電力を改善することは環境改善の大きなインパクトにつながりますし、例えば途上国の空気を変えて大気汚染の被害を防げば、命を守ることにもつながります。そういったことを真剣に考える会社だからこそ、「面談」の場もそういった関心を持つ学生との議論の場になるのだと思います。 眞竹 :用意した質問をあてる、という場ではなく、最終の、役員との場でも学生とそういう議論が起こるのは本当に、いわゆる面接とは違いますね。 オンライン取材の様子 右)インタビュアー: 電通 京都BAC engawa young academy 事務局 眞竹広嗣 西川さん :また、インターンシップでは、学生の今後の成長のために役に立つコンテンツを提供したいと考えています。具体的には、選抜型形式で「グローバルビジネスで必要な力が身につく」ことをベースに成長を実感できるプログラム設計を心掛けています。国や地域の独自の慣習なり文化なりがありますので、多様な観点で物事を捉えて、必要なビジネスは何か、といったことを考える場としています。 眞竹 :そのような活動を通じて、御社はどのような人材を求めているのでしょうか? 西川さん :「イノベーター人材」と「インターフェース人材」です。「イノベーター人材」は、変革へ挑戦する勇気と行動力を持ち、自ら変革を担っていく人材。大きなことから小さなことまで規模感に関わらず、日々のことに対して課題意識を持ってそれをつなげて、どんどん改善・改革していける人です。「インターフェース人材」は、自らの志を持って主体的に動き、人と人、技術と技術を繋げ、新たな価値を創出できる人材と捉えています。DAIKINというアセットの中で人や技術を、内部はもちろん、社会とつないでいく。そういったことを通じて新たな価値を創出し、牽引できる人です。 伊藤さん :それは社風にも現れていて、新しいことやりたいよとか、こういうことやってみたいんだって、声をかけたときに面倒くさがる人がいなくて、なんか面白いねとかぜひ協力させてって言ってくれる人が多いんですよ。 西川さん :いい意味で、大企業でいうセクショナリズム、垣根というのが結構低い会社ではないかと思います。 眞竹 :御社内の空気の流れがいいってことですね(笑)。では、ここからeyaのことについてお伺いします。御社としてeyaに参加されたその理由、意義、またメンターとして参加して感じていることなどを教えてください。   ― eyaで学生、他企業からの刺激を学びに 西川さん :当社の採用活動では出会えないタイプの人材に出会い、その人を知り、そういう層への出会い方を学ぼうと思いました。また、メンターとしては学生に気づきを与えられるように、自ら知識を入れて向上させていきたいと考えています。学生の中にも実際にビジネスしている方もいらっしゃいますし、今回のプログラムに取り組むモチベーションがすごく高いと思います。学生が自発的にたくさん行動を起こしている姿勢に、刺激を貰っています。 眞竹 :異業種での取り組みについてはどう思われますか? 伊藤さん   :DAIKINは自由な風土と言いつつ、他社のお話から個人としてはまだ思考が固かったかな、と思わされる部分もありました。異業種のみなさんが自由な発想をビジネスに落とし込まれているのを見て、我々自身も学ばせていただきアップデートできる機会につなげたいと思います。 眞竹 :eyaの学生たちと接して、感じたこと、期待することをお願いします。 西川さん :自発的に行動に移し、実績を残している人たちだと思うので、この強みや個性を伸ばし続けてもらい、社会で羽ばたいてほしいですね。この機会に、皆さんに負けないように、一生懸命取り組み、学び、自分自身も成長したいと思っています。 伊藤さん :学生との会話を通じて、大学時代のサークルで深夜まで自由に語り合ったときを思い出して、懐かしさを感じました。そういった機会は、人生でも大事な機会なので、学生の皆さんにも自分を見つめる、磨く感覚を是非経験してほしいし、自分自身も学びたいと思います。