【engawa young academy】 メンターインタビュー ヤマト運輸篇

#インタビュー


2021年10月より、engawa KYOTO REMOTEにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy 2021(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eyaに参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第1回目は、ヤマト運輸の上田さん、山﨑さんにお話を伺いました。
 

 
写真右)ヤマト運輸株式会社 コーポレート部門 人材育成部  上田晃之助さん
写真左)ヤマト運輸株式会社 EC事業本部 事業戦略部  山﨑遥さん
所属は、取材:2021年10月当時のものです。

 

― 企業名を言えない中で、共感を呼ぶ。改めて勉強になりました。


インタビュアー眞竹(以下、眞竹):上田さんは、2年目のご参加になりますが、初日を終えての率直な感想を教えて頂けますか?いかがでしょうか? 
 
上田さん:やっぱり去年に引き続き疲れましたというのが、一番だったかなと思ってます(笑)。 去年とはまた少し違う学生の雰囲気も感じながら、非常に優秀かつ志が高い学生の皆さんと触れ合うことで、初日だけでも充実感を強く感じています。

眞竹:山﨑さんは初めての参加になりますが、いかがでしたか?

山﨑さん:非常に多様で個性があり、かつ積極的な学生の皆さんが多く参加されていると感じました。皆さん主体的に課題意識を持って本プログラムに参加されていて、メンターとしての役割にとどまらず、1参加者として働く意味とは?幸せとは?と考えさせられる時間でした。これからたくさんコミュニケーションを取って、より深く価値観を共有しあえる関係性を築くのが楽しみです。

眞竹:では、初日のメンタードラフト※の感想を教えてください。

上田さん:雰囲気や流れは昨年の参加で認識していたのですが、企業名を言えない中で、自分自身の生き様をいかにして伝えるか、共感を呼ぶかという観点では、また改めて勉強になり、非常に良い経験になりました。学生-企業の両者が互いに本気で向き合い、ぶつけ合う、その点は良い意味でしびれました!各社メンターが本当にいろんな事ご経験されて、優秀な方が多いなというのを改めて感じましたね。

山﨑さん:上田さんのプレゼンも含め、各社のメンバーのプレゼンは当日初めて聞いたのですが、メインメンターの皆さんの個性が爆発していて、とても聞きごたえがあり楽しめました。上田さんが選ばれるかどうかのドラフトタイムは緊張しました。
※メンタードラフト:メンターが企業名を隠して、学生に対して自己紹介プレゼン。学生が希望するメンターを指名するプログラム

眞竹:そうですよね。あの時間は、何度経験しても慣れないんだと思います・・。では、ここから御社についてお伺いしたいと思います。御社は今、学生からどういう企業イメージを持たれていると思いますか?

 

―ヤマトに、やれない事業はない。


上田さん:「宅急便」、とにかく宅配事業会社、というイメージが大多数だと思っています。そして、お堅い、慎重、保守的といったイメージじゃないでしょうか。昔ながらのTHE日本企業で、チャレンジングなこと、先進的な取り組みというのはなかなかし ない、するとしてもかなり足取りが重いといった印象は強いのではないかと思っています。

山﨑さん:客観的に考えると、やはりヤマト=ドライバーというイメージが最初に来るのではないかと思います。もちろん、当社を支える根幹となっているのは「現場」であり、日々集配を行っていただいている第一線の方々ですが、その「根幹」を支える仕事もあることを知ってもらいたいと思います。

眞竹:では、御社の実際の姿を知らない学生へ、実はこんな企業です、こんなことしています、という、知られてないけど伝えたいこと、紹介して頂けますか?

上田さん:ヤマト運輸を中核としたヤマトグループは、「やれない事業はない」というぐらい事業フィールドが広いです。物流はもちろん、フォワーディング※などの貿易関連、地域共創、決済関連、システム開発、そういった多様な事業でのデジタル・データ活用事業、など本当に様々です。入社してからいろんなことを経験できる、知ることができるというのは、ヤマトの本当の魅力です。
※フォワーディング:※国際輸送だけでなく、それに伴う通関業務や輸送関係書類の作成、保税地域内での貨物の保管・梱包・配送業務など、国際物流に関わる業務を幅広く行うこと

上田さん:そしてもうひとつ、伝えたいことなのですが、ヤマトの最も重要な資産は、人財です。労働時間管理も厳しく、かつ社員が働きやすい環境の構築にも注力しており、社員には最も働きやすい働き方で最大限パフォーマンス発揮して欲しい、というスタンスです。お客さまはもちろん、社員にも優しい会社です。学生の皆さんからはなかなかイメージしづらい部分での新しい側面かなというふうには思っています。

山﨑さん:労働時間をはじめとした環境整備がかなり進んでいて、社員にとって働きやすい環境が整いつつあると感じています。

眞竹:地域、社会と物流は密接に関わりますから、それが広い事業フィールドにつながっているんでしょうね。また、働く環境面でのことも、学生の皆さんにも是非知ってほしいところです。では、御社が今後目指していこうとしているところを、教えてください。

上田さん:世の中にある社会課題を自分ごとと捉え、それらを解決し、世の中やお客さまへより豊かな生活をお届けする社会インフラ企業となることを目指しています。産業のEC化、生活のデジタル化が加速する現代において、これまでの「運送」を中心として行ってきた事業から、新たな運び方を創り出す「運創」というところから着手しています。まずは自分たち自身が変わるべく、YAMATO NEXT100を土台とした中期経営計画であるOneヤマト2023やサステナブル中期計画2023に則って、猛スピードで変革に取り組んでいます。
YAMATO NEXT100
https://www.yamato-hd.co.jp/news/2019/mds9bo00000040au-att/e.pdf
Oneヤマト2023
https://www.yamato-hd.co.jp/investors/library/briefing/pdf/3q_oneyamato_2021_03.pdf
サステナブル中期計画:
https://www.yamato-hd.co.jp/assets/Sustainable_medium_term_plan_JP.pdf


眞竹:そのような方針の中で、御社が新たに取り組まれている事業を教えてください。

上田さん:生活者、事業者両方の観点で事業を展開するEC(Electronic Commerce)事業本部では、荷物の受け取り場所や受け取り時間を個人の注文者のニーズに合わせて柔軟に選択・変更することができるEAZYといったサービスやDoddle社と連携したサービスをリリースしています。


 
EAZY:
https://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/customer/service/eazy/
Doddle社と提携し、ニューノーマル時代の新たなEC商品の受け取りサービスを11月からスタート
https://www.yamato-hd.co.jp/news/2020/20200817.html


 

― 誰もが使うサービスを開発する、というやりがい。


眞竹:EAZYは、山﨑さんがサービス開発に関わられたんですよね。

山﨑さん:はい。昨年、非対面での荷物の受け取りに対応した輸送商品「EAZY」を開発し、リリースしました。最近のEC増加で受け取る人のニーズやライフスタイルが多様化している中、届けるという行為に求めるものが昔の宅急便とは変わってきていることが根底にあります。また発送する事業者側のお客さまのニーズにもお応えしています。開発の検討にあたっては、とてもやりがいがありました。 自分も家では1利用者なので。より多くの人に使っていただける、そういう新商品、新サービスを開発できる、それで世の中を良くしていける、ということにやりがいを感じました。

眞竹:開発にあたって、どのような点を大事にされていたのでしょうか?

山﨑さん:2つあるのですが、1点目は、ユーザーの声を聞くというところをかなり重点的に行っていました。幅広い方にインタビューをしたり、場合によってはお宅訪問して、どんな受け取りを普段されるかを見せてもらったり、普段はどんな買い物をするみたいなところから深くニーズを掘り下げていきました。なので 、サービスとしてかゆいところに手が届くものというところに芯を置いています。今後、ニーズもどんどん変わっていくので、次の便利に向けて進化を続けている、という状況です。2点目は、宅急便という商品は直接お客さまに届けるものだという会社の信念が色濃い中で、そこに対して新たな非対面のお届け方法である置き配を社内で浸透させていくことが必要でした。人から人に届けるのではなく、自分で購入したものが届くのがECの大きなポイントなので、その点でお客さまが求めているニーズが変わっている、そこにお応えするということですね。

眞竹:SHOWROOM社との協業によるライブコマースもEC事業本部が行なっているんですね。

山﨑さん:全国の生産者と商品を紹介する生産者販売支援の取り組みです。ライブコマースもここ数年で広がってきたECの一つです。放送してモノを販売すればそこに物流が生まれるので、その仕組みをどうやったらよりスムーズにできるか、という課題に対するモデルづくりに取り組んでいます。

上田さん:同じくSHOWROOMの中で日本航空様のキャビンアテンダントの方が地域の特産品を紹介するなど、地方創生に取り組む企業とタッグを組みながら、地域、日本全体の活性化っていうところを目指すというのも、事業のポイントです。

仮想ライブ空間「SHOWROOM」にて、“ストーリーライブコマース”を活用した生産者向け販売支援を開始~STU48が企画に参加し、地元瀬戸内の生産者と商品を紹介~
https://www.yamato-hd.co.jp/news/2020/20201120.html


眞竹:地域の活性化、地域創生は学生も興味があるところだと思うのですが、他にどのような取り組みをされているのでしょうか?

上田さん:地域共 創の観点でいくと、リテール領域(toC事業)の中で、「ハローライト」といったIoT電球を活用した生活見守りサービスを始めました。また、ネコサポステーションといった地域コミュニティ拠点を中心とした、地域におけるコミュニケーション創出事業の展開をしています。

眞竹:生活見守りは、宅急便で家々にネットワークがあるヤマトならではですね。ネコサポステーションは昨年もお話を伺いましたが、地域に対してより関わっていこうとするヤマトさんの姿勢の表れを感じます。


 
IoT電球とヤマトの経営資源を活用した見守りサービスを展開
https://www.yamato-hd.co.jp/news/2020/news_210205.html





ネコサポステーション:「暮らしのために、できること、いろいろ」をコンセプトに、荷物のことだけでなく暮らしのこと全般に対して、困った際に頼れる生活相談窓口となることを目指す新しい形の地域コミュニティ拠点。地域共創の取り組みの一つ。
https://www.kuronekoyamato.co.jp/nekosapo/



上田さん:それから、法人のお客さま向けの事業として、サプライチェーン全体の最適化をソリューション提案によって実現し、お客 さまにとっての経営パートナーとなることを目指しています。これらを代表するデジタル領域が絡んだ事業を支えるのが、当社のDX(デジタルトランスフォーメーション)部門であり、当社内にデジタル機能本部というDX推進の専門部隊が組織されています。オープンイノベーションの観点では、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を積極的に推進し、先端技術を持つスタートアップ企業との事業共創を行っています。
運送から「運創」へ。KURONEKO Innovation Fund
https://kif.yamato-dx.com/?_ga=2.186921390.727711442.1633513799-1610231653.1633513799


眞竹:本当に幅広い取り組みをされていますね。まさに、やれない事業はない、と感じます。ではここから、御社の採用や育成についてお伺いしたいと思います。御社のインターンや採用に関する活動について、御社が重視している指針や取り組みを教えてください。

 

― 「ヤマトは我なり」 自ら課題を発見・解決する人財。


上田さん:弊社の企業理念や社訓に共感頂きたいというのが前提にあります。その上で2つポイントがあります。1つは、こちらから学生の皆さんにヤマトの新しい側面をお伝えし、ヤマトに新しい価値を見いだして頂きたいということ。ヤマトがどんどん変革を起こしているので、その変革の中で何をしているのかとか、変革を起こした先に何を成し遂げたいのかを理解していただけるように丁寧に説明をして、ヤマトとともに将来の日本や社会を創っていきたいと学生の皆さんに感じて頂きたいです。
もう1つは、学生という「人」とヤマトの「人」との交流というところです。これは、現在、コロナ禍で就職活動のオンライン化が急速に進んでいる中でもあるので、より大切にしていきたいと思っています。オンラインというところは変えられないにしても、社員と直接話す、社員と何かを一緒に議論する、そのような機会を極力増やせれば、と考えています。

眞竹:そのような方針の中で、どのような人材像を求めているのでしょうか?

上田さん:当社では、PBL型人財(Project Based Learning)、つまり課題解決型人財が今後のヤマトを担い、社会を創っていくために必要だと考えています。世の中の事象においてのさまざまな課題を自ら発見し、作戦を練り、周囲を巻きこみ実際に解決までもっていく。また解決する過程の中で、本人自身も成長する。そんな人財がこれからのヤマトを創っていき、さらには社会へのさらなる価値提供を成し遂げることに繋がると考えています。まさに「ヤマトは我なり」という、社訓そのものですね。
 


オンライン取材の様子 右)インタビュアー: 電通 京都BAC engawa young academy 事務局 眞竹広嗣

眞竹:そのような人材を求める中で、御社がeyaに参加されたその理由、意義、メリットなどを教えてください。

上田さん:高い志を持った学生の方々、今後の社会を共に創っていくことができる人財に会いたいと考えていた点が理由として挙げられます。また、これからのヤマトを創っていくには、様々なレイヤーの学生の方々にもお会いしていきたい、ということが採用といった観点での参加意義です。説明会、選考という場になると、学生の方も「間違えてはいけない」「しっかりしなければならない」と考えてしまうと思うのですが、長期間だと自然体でお互いに触れ合うことができるので、非常にいい機会だなと思っています。
そして、現在変革期にある当社のメンバーが、社会や自身の未来を高い視座から考えている学生の方々と密に何か月にもわたって会話し、一緒に何か作り上げていくという経験はなかなかないので、とても有意義な機会だと感じています。

眞竹:では、eyaにメンターとして参加するご自身にとっての意義や期待、メリットなどを教えてください。

山﨑さん:私自身、Z世代と呼ばれる方々と接する機会はなかなかなくて、新しい感性を知れるというのは次の世代のお客さまに直通するところでもあるので、貴重な機会をいただけてるなと思っています。私の学生時代思い返すと、自分の10歳ぐらい上の人たちと会話する機会はなかったので、疑問に思うところとか、働くってなんだろうみたいな、純粋な疑問は、経験から答えて明るい希望を持ってもらえる、そういった立ち位置でいれたらとを思っています。
 

― eyaの学生と、将来一緒に価値提供を。


眞竹:eyaは、異業種による人材育成への取り組みになりますが、そのような取り組みに対してどのようなことを期待されますか? 

上田さん:自分自身の会社や業界では当たり前と思っていることが、他社と深く関わってみると実は異なっているだとか、気づかないうちに視野が狭まっていただとか、そういった新しいことに気付くことができる機会なので、非常に貴重な場だと思っています。一方で、「同じ悩みを抱えているんだな」といった共感もあります。それらが組み合わさることで、新しいシナジーを作るきっかけになるんじゃないかな、という期待をしています。

眞竹:最後に、eyaの学生たちと接して、感じたこと、期待することをお願いします。

上田さん:現在の学生の皆さんは、非常に情報のアンテナを高く張り、様々な観点から物事を捉え、考えているように感じます。また、起業 される方が昔に比べると多くなってきていることを見ると、新しく踏み出すことに躊躇しない方が多いのかなという印象を受けています。一方で、様々な考えや知識、経験を持っていても、それをどうアウトプットすればよいのか、どう他者と共創していけばよいのかといった点についてはまだ不慣れな方がいらっしゃるのかなと感じる部分もあります。ただ、その点はこれから磨いていけばいいので、ぜひ自信を持ってください。学生間はもちろん、学生-メンター間でも本気で向き合いましょう!eyaはまたとない機会です。eya内でも様々なものに触れ、互いに刺激を受けて成長し、そして将来はぜひ一緒に世の中に価値を提供していきましょう!


 

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工藤さん : 私はヤングアカデミーに参加するのが初めてですけど、初日からすぐに思ったのは全員、基礎能力が高く、地頭がいい。学生との懇親会などで話していて、コミュニケーション能力が高いっていうのはもちろんですけど、自分の考えを言語化、構造化して話すというのがとても上手だなと思いました。実際に課題などの評価をする中でも、課題を読み取ってそれを考える力っていうのが高いですね。 眞竹 :ありがとうございます。では、次の質問です。御社は今、学生の皆さんに、どういう企業イメージを持たれていると思いますか? 湊さん :そうですね。やっぱり、広告代理店、CMとか作っている会社、あと、オリンピックやっている会社、というイメージが強いと思います。それ自体は間違ってないですし、弊社のメインのビジネスである事は確かですが、最近はクライアント様の課題がいわゆる広告・プロモーションだけで解決できなくなっている事も増えてきている中で、弊社の社会的役割も変わってきています。 眞竹   :では、御社がどのように変わってきているのか、実際の姿を知らない学生へ、知られていないけれど伝えたいこと、紹介して頂けますか?   ― 社会的役割は変わっても、最高の解を提供することは変わらない。 工藤さん :社会的役割が変わってきているというお話ですが、社会ニーズが多様化したり、そもそも従来の尺度では測れなかったりと、ニーズを発見/創造することの重要度がさらに高まっています。そして、そのニーズに応える最高の解を電通は提供する立場にあることは変わらないので、常に最高の解を提供できるように私たちも解のフォーマットにとらわれないようになってきています。従来の広告やプロモーションというフォーマット以外の取り組みとしては、さまざまな事例あるのですが、例えば、 1:DENTSU DESIGN FIRM  https://dentsu-design-firm.com/   つたえることから逆算したプロダクト開発をご一緒したり、 2:THE KYOTO  https://the.kyoto/article 京都をヒントに文化・アートを学ぶプラットフォームを立ち上げたり、 3:ABC Glamp&Outdoors  https://abcgo.co.jp/ テレビ局と一緒に、グランピングで地方創生に取り組む会社をつくったりしています。 眞竹   :では、従来の広告、プロモーション領域に止まらない社会的役割の変化の中で、御社が今後目指していこうとしているところを、教えてください。 工藤さん :目指していこうとしているところは以前から変わっていない気がします。それは、社会やクライアントの課題を発見し、アイデアをもって解決することでちょっと先の未来を引き寄せること。です。ただ、世の中の変化に伴って、サービスをつくったり、事業共創を電通自体ができるように、実現力をさらに強化した電通を目指していく必要はあります。 電通のビジョン&バリュー:an invitation to the never before. https://www.dentsu.co.jp/vision/philosophy.html 眞竹   :では、お二人が現在携わっているもので、従来の広告、プロモーション領域に止まらない事例があれば、教えていただけますか? 湊さん :私と工藤が所属している電通若者研究部(ワカモン)の活動で、それぞれ学生に携わってインターンシップを運営していますので、そちらを紹介します。私の方からは47INTERNSHIP(ヨンナナインターンシップ)のお話をさせて頂きます。 ※「47 INTERNSHIP」 https://47internship.com/   ― 世界のクリエイティブアワードで受賞した47INTERNSHIP。 湊さん :2年目になる2021年も開催しました。昨年、コロナの影響もあり、インターンなどいわゆる就活系のイベントも大きな影響を受けて、就活生が困っているという状況がありました。そこで、逆にコロナだからこそ、新しい就活やその支援の形を作ることができないか、ということをNPO法人のエンカレッジと相談していたところ、これを機会に地方の就活格差に取り組めないか、というアイデアが生まれました。そこから47都道府県から集めた就活生の代表者が参加するインターンシップを開催しました。その取り組みが、様々なところから非常に評価いただきまして、例えば、世界最高峰のクリエイティブアワードのD&ADのブランディング部門にて、2021年最高賞のYellow Pencilを受賞する、ということにもつながりました。 眞竹   :その流れでの2年目。開催にあたって昨年との違いは何か意識されましたか? 湊さん :昨年の経験から、地方の就活格差にこのフレームが有効にワークすることがわかったので、より社会的影響度を高めていこうと考えて企画しました。例えば、これは結構驚かれるのですが、今年は学生から、2000以上のエントリーシートをいただきました。それを受けて、参加される47名以外の方にも希望者を募って、今回の47 INTERNSHIPのエントリーシートの評価基準であったり、これからの時代に求められている人材像はどのようなものか、などをDAY-0という形で協賛企業の皆様にもゲストで参加いただき、全国数百名の学生の皆さんに向けて開催しました。また、エントリーシートにおいて、47都道府県の学生の皆さんに「あなたが解決したい、あなたの身近な課題を教えてください」という質問をしたのですが、それ自体を「47都道府県課題MAP」でビジュアルにして、各地方の皆さんがどういう形で解決していきたいと思っているのかをセットでリリースしました。   「47都道府県課題MAP」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000085233.html 眞   竹 :ちなみに、どのようなことが地方で学生が感じている課題か、何か傾向は見えたりしたのですか。 湊さん :すごくクリティカルだと思ったのが、コロナになってどんどんネット社会が加速していく中で、地方高齢者のデジタルデバイドを挙げている学生が多かったことですね。そもそもネット化していくのはわかるけど、それについていけない人も結構いて、それが高齢者だったりします。特に高齢者の方がネットの恩恵を受けるべきなのに、それができていないことは、地方社会の大きな構造的な問題だなと改めて感じました。 眞竹   :ありがとうございます。では続いて、工藤さんの取り組みについてお伺いしたいと思います。   ― 「アイデア実現」のための全ての工程を、学生が実体験する。 工藤さん :今年で3年目になる「アイデア実現インターンシップ」についてご紹介します。それまでも電通若者研究部(ワカモン)で電通のインターンシップをプロデュースしていたのですが、私が初めて参加した3年前に新たなフォーマットとして始まったものです。学生とメンターの関係を、先生としてのメンターではなくて、伴走者としてのメンターという立ち位置にしました。学生が主体となって、それこそ、電通の社員が普段やっているような業務の工程を、自分の「ほうっておけないこと」の解決という学生自身のやりたいことを通して実体験をしてもらうことを目的に、アップデートしました。 眞竹   :3年目の今年は、どのような状況ですか? 工藤さん :今まさにクラウドファンディングのCAMPFIREで、11月末まで学生たちが支援を募っている段階です。今年は14人参加してくれたので、14プロジェクトが立ち上がっていますが、もうすでに期間を終えずに目標支援金額を達成しているプロジェクトもあります。  ※「電通ワカモン  アイデア実現インターンシップ」 https://camp-fire.jp/curations/dentsu-wakamon 眞竹   :ちなみに、学生の皆さんがどんなプロジェクトを考えたのか、いくつか紹介していただけますでしょうか? 工藤さん :私がメンターをやっていたプロジェクトだと、「Scaping OKAZAKI岡崎プロジェクト」です。キックボードをシェアするサービスで、キックボードで岡崎市の乙川エリアを移動して、「遊び場」化して、その良さに出会って教える、というプロジェクトです。もうCAMPFIREでの目標を達成しているプロジェクトですが、企画した学生が考えたのは、地元岡崎の乙川エリアが車で移動するには道が狭くて移動しにくいし、歩くにしてはちょっと遠い、ということでキックボードに目をつけて、移動そのものも観光にしていく、ということでした。この学生を始め、自分からいろんな人たちや行政などに働きかけを行ってもらうインターンになっています。他にも、「音のない料理教室」。これはイベント系ですけど、参加者同士が声を出さずに意思疎通を図りながら一つの料理を作り上げる、「耳の聴こえる方・聴こえない方が参加できる料理教室」です。すでにこの学生は、インターンに参加する前に一度イベントを開催していて、それをさらにアップデートしたいという思いを持って参加してくれました。 眞竹 :   3年目になり、すでに取り組んでいることがある学生も集まってきているんですね。 工藤さん :参加したメンターの中で、3年目でやっと完成形になってきたかな、という話をしています。学生を集める過程であったり、実際にプロジェクトを考え、立ち上げてもらう期間でであったり、改善できていていると感じています。 眞竹 :お二人はインターンを通じて、学生と企業の接点に携わっていらっしゃいますが、もっとこのようになればいいのに、と感じるところはありますか? 湊さん : 学生の皆さんにとって、企業で働くことにおいて何が大事にされているか、ということを肌で感じる機会があることが重要と思っています。なので、産官学が連携して、実際に働く場としての企業を考える、そういう教育機会を作れれば、就職活動の先行ステップとしてすごくいい機会になるのではないかと思っています。 工藤さん :学生に好きなことを見つけなさい、といってもなかなか難しく、一歩踏み出せない学生がまだまだ多いと思います。大学で学ぶ専門的分野以外でも、興味関心を持てる分野への学びや体験を企業側が提供できるような仕組みがあると面白いのでは、と考えています。 湊さん :就職活動の評価軸が企業側で緩やかに崩れてきている中で、学生側もそれに気づけていないと思っています。例えばeyaで美大の学生が、課題の落とし込みであったり、事業アイデアを作ったりするのがうまいと感じるシーンがあります。作品を作る過程で本質を見極める能力が鍛えられているからだと思うんです。そういう能力は今後企業側にも評価されていくと思うので、そういったことを知れば、きっと学生側の選択肢も広がります。   オンライン取材の様子 左)インタビュアー: 電通 京都BAC engawa young academy 事務局 眞竹広嗣 眞竹 :学生と企業の接点については、今後も改善していくべきポイントがありそうですね。では、そういった中で、電通がeyaに参加される意義やメリットを教えてください。 湊さん :企業紹介の際、広告代理店から、ビジネスをプロデュースする企業へ変化している、という事を、弊社はeyaで学生向けのメッセージとして発信しました。 それは、広告・プロモーションで培ってきた「アイデア」という弊社の強みを活かし、広告・プロモーション領域に留まらずに、クライアント様のビジネスのサポートを行っていきたいという事です。ですが、やはり、このような取り組みはそこまで認知度もなく、事業創造やリーダーシップなどに興味のある学生の皆さんに、弊社の未来の姿を是非知ってもらう機会として活かせればと考えています。 眞竹 :eyaは、異業種による人材育成への取り組みになりますが、そのような取り組みに対してどのようなことを期待されますか?  湊さん :これはメンターとして、学生の皆さんにお伝えしたい事ですが、こういった異業種合同の人材育成の取り組みって、ほんと、大人の社会見学だと思うんですよね。シンプルに、なかなか見えない企業の最先端の事例や、取り組むビジョンに触れる事は、知的好奇心が刺激されますし、楽しい事だと思います。そういった視点でみると、働く事自体がコンテンツになって、それを学生に見てもらうことで、学生の皆さんが働く事にポジティブになってもらう。これが、これからの日本を変えていく一つのカギになるんじゃないか、と思っています。     ― 「今を意味づける力」を身につけてほしい。 眞竹 :では最後に、 eyaの学生たちと接して、感じたこと、期待することは?工藤さんから、お願いします。 工藤さん :最初にお話ししたように、学生の皆さんの考える力がすごく高いなって思っていますが、あくまで提供された課題や自分が見つけた課題に対しての考える力が備わっている、ということだと思います。社会に出た時、その考える力の矛先をもっと広げないと、例えば、スケジューリングだったりとか、タスク管理だったり、人とのコミュニケーションそのものにも電通でいうところのアイデアが必要になります。課題を発見するとか、課題そのものを解決する為に考えるのはもちろんですけど、その矛先をもっといろんなところに向けられるようになって欲しいので、その手助けを、ちょっとの期間でもできればいいなと思っています。 湊さん : 期待することは、ぜひ、小さくまとまらないでほしいという事です。ビジネスをつくる力は勿論重要なのですが、自戒も込めて、それがスモールビジネスの方向にいっちゃう人も、たまにいるんですよね。もちろん、それ自体が悪いコトではないですし、生きていく上で大事な事でもあります。でもそれよりは、ぜひ、日本のこれからを自分が背負うんだ!!という気概を持って、世の中に対して課題感をもって、なるべく大きな理想的な世界観を描くクセをつけてほしい。また、ぜひそんな自分が掲げた世界観が実現できる場所を妥協せずに探して、キャリア設計していってほしいなと感じます。そのためにも、「今を意味付ける力」を身につけてほしいです。メンタープレゼンで1日目に話したことですが、忙しくて目の前の活動を何の為にやっているのか、を見失う時もあると思います。そんな時、立ち止まって、自分のキャリアを考えてみる。そのための材料を提供できる場になればうれしいです。  

#インタビュー

【engawa young academy】 メンターインタビュー  積水ハウス篇

2021年10月より、engawa KYOTO REMOTEにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy 2021(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eyaに参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第2回目は、DAIKINの西川さん、伊藤さんにお話を伺いました。 第1回 ヤマト運輸様 メンターインタビューは こちら 第2回 DAIKIN様 メンターインタビューは こちら   2021年10月より、engawa KYOTOにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy 2021(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eyaに参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第3回目は、積水ハウスの岡本さん、大野さんにお話を伺いました。   写真右)積水ハウス株式会社 開発事業部 岡本 勇治さん 写真左)積水ハウス株式会社 人事部 大野 隆正さん 所属は、取材:2021年11月当時のものです。 インタビュアー眞竹(以下、眞竹) :初日、2日目を終えての率直な感想を教えて頂けますか?岡本さん、いかがでしょう?  岡本さ   ん :今年の私のチームメンバーは、個性の強いメンバーが多かった昨年のチ―ムと異なり、メンターとして少しホッとしているところもあります。また違った個性のある各メンバーが主体的に動きつつ、まとまり感・一体感を持って、チームワークを意識して進めていると思います。 大野さん : 今年で3回目の参加ということもあり、穏やかに初日、2日目が過ぎたなぁという印象です。今年は特に良いメンバーが揃っていて、主体的に動いてくれるので、とても頼もしいですね。 眞竹 :今年の参加学生の皆さんも、起業や団体でのリーダーをやられている人が多いので、主体性は、きっとその現れですね。ではここから、御社のことについてお伺いしていきます。御社は今、学生からどういう企業イメージを持たれていると思いますか? 大野さん :おそらく、戸建住宅を国内で建築している会社というイメージを持っているのではないかと思います。 岡本さん :「あー、あのCMの会社ね」くらいの印象で、堅い、古い企業だと思われているのでは。実際、私が転職してくるまではそういうイメージで私自身も思っていましたので。戸建て事業以外の事業は恐らく知られていないと思います。   ―国内の戸建住宅だけじゃない、積水ハウス。 眞竹 :では、   御社の実際の姿を知らない学生へ、実はこんな企業です、こんなことしているんです、という、知られていないけれど伝えたいこと、紹介して頂けますか? 大野さん :実は戸建住宅は、売り上げのうち13.2%しかないのです。現在では、請負型・ストック型・開発型の3つのビジネスモデルを国内だけでなく、海外でも幅広く展開をしており、年々、住宅以外のセグメント比率が大きくなっています。  積水ハウスグループにおける2020年度の売上構成比 眞竹 :2019年度が16.2%でしたので、2020年度は13.2%と下がっていますね。   大野さん :そうですね。このような国内・海外を含めたビジネスモデルの変化の中で、当社は「『わが家』を世界一幸せな場所にする」をグローバルビジョン※に掲げ、国内にとどまらず、ハード・ソフト・サービスを融合し、幸せをお客様に提案するグローバル企業を目指しています。 ※積水ハウスのグローバルビジョン及び成長戦略について https://www.sekisuihouse.co.jp/company/financial/individual/growth/   眞   竹 :グローバルなビジョンを掲げられる中で、御社が新たに取り組んでいる、また取り組もうとしている新しい事業を教えてください。   ―住む人の「幸せ」のために、住まいの事業モデルを変えていく。 大野さん :いくつかあるのですが、例えば住まいの事業モデルを大きく変える「プラットフォームハウス構想」※というものがあります。最も人生に寄り添う存在である「家」を人生の変化に呼応させるもので、「健康・つながり・学び」のサービスから住まい手の「幸せ」をアシストする未来型の理想の家を創造するというものです。プラットフォームハウス構想の第一弾として、外出先から住宅設備の遠隔操作を可能にする「PLATFORM HOUSE touch (プラットフォームハウスタッチ)」の発売を既に開始しています。 ※「プラットフォームハウス」について https://www.sekisuihouse.co.jp/pfh/about/index.html 眞竹 :昨年お話を伺った時は構想段階でしたが、実際のサービスも始まったんですね。 大野さん :はい、「PLATFORM HOUSE touch (プラットフォームハウスタッチ)」は業界初の間取り図と連動した視覚的に直感操作できるスマートフォンアプリで、温湿度センサーや窓センサーなどのIoTデータをパブリッククラウド上で蓄積し、外出先からエアコンなどの機器を確認・操作することができます。また、ドアなどの不正解放や家族の玄関ドア開閉操作を外出先からでも確認することができます。プラットフォームハウス構想のソフト・サービスを先行して一部商品化したものと言えます。 ※「プラットフォームハウスタッチ」について https://www.sekisuihouse.co.jp/pfh/ 眞竹 :まだサービスの一部、ですからね。この先どこまでスマートフォンと住まいがつながっていくのか、楽しみです。昨年お伺いした、「在宅時急性疾患早期対応ネットワーク HED-Net」※の取り組み状況はいかがでしょうか? 大野さん :こちらは、生活者参加型の実証実験が2020年12月より始まっています。「プラットフォームハウス構想」の「健康・つながり・学び」の中で、「健康」に取り組むものです。家の中で、実は約7万人の方が亡くなっているというデータがあります。脳卒中、心疾患、お風呂などでの事故、家の中での転倒や転落などによるものです。それらの社会コストは8兆円を超えると算出されているんです。そのうち最大1兆9000万円削減できると試算しています。「HED-Net」は、住宅内でバイタルデータを非接触で検知・解析し、急性疾患発症による異常を検知した場合に、遠隔で安否確認を行い、救急への出動要請、そして救急隊の到着を確認し、玄関ドアの遠隔解錠・施錠までを一貫して行う、世界初の仕組みになります。 ※在宅時急性疾患早期対応ネットワーク HED-Netの実証実験について https://www.sekisuihouse.co.jp/library/company/topics/2020/20201210.pdf 眞竹 :IoTによる住まいの進化がどんどん具体化して、住まいというハードに加え、ソフトをつくっていく企業へ変わっているんですね。住まいの概念がどこまで広がるのか、想像の範囲を超えていきそうです。   ―「地域×積水ハウス」の可能性。 眞竹 :では、今度は、住まい以外の取り組みについても聞いていきたいと思います。「Trip Base道の駅プロジェクト」※があるのですが、こちらには岡本さんが関わられているとお伺いしております。これはどのようなきっかけで生まれたプロジェクトなのでしょうか? 岡本さん :もともとは、とある企業と意見交換をしているときに出てきた、「道の駅の隣に道の駅で働く人の社宅があったら便利だよね」という着想がスタートです。そこで道の駅のことをいろいろ調べていくと、知っているようで知らなかったこといっぱいありました。例えば、道の駅が地域の情報発信拠点になっていたり、道の駅を中心に町おこししていこうとか、単なる休憩地点ではない役割を道の駅が持ち始めていた、ということを知ったんですね。加えて、道の駅で新鮮な肉とか魚、お酒とかを買ってその場で食べて、飲んで、寝られたらとても楽しいじゃないか、というところから、ホテルというアイデアを検討していきました。その中で、2018年当時、今後はインバウンドの増加も予想されるので、外資系ブランドのホテルとの協業を検討しようということで、それまで日本で一緒にホテル事業をしているマリオット・インターナショナル(以下、マリオット)に一緒にやらないか、と相談しました。マリオットとは以前から都市型ホテルはずっとやってきたんですけれど、地方部で外資系ホテルを展開する、という新たな側面からこのプロジェクトにもご賛同いただいて、やることになったんです。 ※「Trip Base道の駅プロジェクト」HP https://tripbasestyle.com/project/ 眞竹 :2020年10月より順次、ホテルをオープンされています。お客様や地域、またパートナー企業からの反応はいかがでしょうか? 岡本さん :地域の方々や道の駅の皆様からは、ホテルが開業したことで今まで以上にメディア等で地元の情報が発信されていることに大変喜んで頂いています。また、パートナー企業様については、個別に各地域で具体的な連携策をつくり始めており、実際にそれらを実行することで地域活性化に寄与出来ていると実感しています。 眞竹 :コロナ禍の中でのオープンでしたが、影響はいかがでしたか? 岡本さん :コロナ禍により、期待していたインバウンドがなくなったため、ホテル事業としては相当ダメージがありますが、当面のターゲットを国内旅行者に切り替えて「マイクロツーリズム」を推奨することで、そのダメージを緩和しようと頑張っています。また、近い将来必ずインバウンドは戻ってきますので、それまでは各地域でおもてなしの準備や魅力発掘の活動を精力的に行っています。例えば、本年10月に㈱クラダシ様と連携して、京都府京丹波町にて特産品である黒枝豆の収穫支援を行いました。これは人手不足で未収獲残となっていた黒枝豆を、学生を派遣して収穫支援することでフードロス削減を目指すという取り組みです。さらに、それだけでなく、社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」でその黒枝豆を販売することで京丹波町の特産品のPRや販路拡大、地域活性化を推進しました。   「Trip Base道の駅プロジェクト」パートナー企業(2021年11月現在) 眞竹 :パートナー企業様との連携した地域のおもてなし、魅力発掘によって、今後、マイクロツーリズムとインバウンド、どちらも取り込める可能性が広がりそうですね。他にも、地域活性につながる取り組みなどありますでしょうか? 大野さん :建築デザインや地方創生事業のノウハウを生かし、国が進めるPark-PFI事業による国営公園として初となる「パーク・ツーリズム」をテーマにした滞在型レクリエーション拠点を福岡県東区にて開発し、来年オープンすることになりました。地方の国営施設を当社がブランディングすることで、訪れる人を増やし、人と人が交流することで公園全体及び周辺地域の活性化を図ります。 「パーク・ツーリズム」をテーマにした滞在型レクリエーション拠点が2022年3月に誕生。 https://www.sekisuihouse.co.jp/company/topics/library/2021/20210517.pdf 眞竹 :積水ハウスの高いデザイン力で磨かれた公園、是非訪れてみたいです。こういったプロジェクトが動いていく中で、積水ハウスが、地域創生に取り組む意義、というのはどのように感じていますでしょうか? 岡本さん :当社が掲げている“ESG経営のリーディングカンパニー”を目指すうえでも地域活性化の取り組みは有意義だと考えていますし、やりがいを感じています。また、当社の規模や知名度を活かし、さらにパートナー企業様と連携して、各社のリソースを組み合わせて行う地域創生活動は当然ながら地元の方々にお喜び頂いていますし、新しいビジネスチャンスも生まれてくるのではと期待しています。 大野さん :地方創生が叫ばれて久しい中、徐々に法整備が進んできているとは言え、未だ多くの人やモノ、サービスが都市部に集中している現状があります。地方では少子高齢化だけでなく、労働人口の流出が止まらず、慢性的な過疎化がいまも進行中です。創業以来、「住まい」や「まちづくり」にこだわってビジネスを展開してきたものとして、地方創生への思いは以前からありましたが、なかなかきっかけを掴むことが出来ずにいました。そんな中、当社が創業60年を過ぎたタイミングでコロナ禍となり、日本中が停滞している現状を少しでも打破したい、まずは地方から日本を元気にしよう、という思いから地域創生のプロジェクを始動させました。得意な「住まいづくり」や「まちづくり」のノウハウを生かし、社会課題の解決ができれば、我々にとってこれほど幸せなことはないと思っています。 眞   竹 :地域創生、社会課題解決に強い興味を持つ学生も多いですよね。では、ここから御社の求めている人材についてお話を伺えればと思います。 大野さん :海外事業の拡大やプラットフォームハウス構想の実現、その他の新規事業の立ち上げに伴い、様々な経験をしている人材を求めはじめています。デジタルヘルスケア分野を意識して医学部の学生にアプローチしたり、企業家精神があり積極的に行動できる学生、人とは違う斬新な価値観をもった学生も求めています。実際に今年は、国立大医学部卒の学生が新卒採用で内定しています。 眞竹 :積水ハウスが医学部、というのも意外なアプローチですね。そういった多様な人材を求める中でもここは外せない、という軸はありますでしょうか? 大野さん   :当社の企業理念の根本哲学「人間愛」の中に「相手の幸せを願いその喜びを我が喜びとする」という一文がありま   す。我々の仕事は、例えば住まい提案を通じて、お客様に「幸せ」を提供する仕事です。「幸せづくりのパートナー」として、企業理念に基づきお客様に対して、社会に対して新たな価値を創造するため、失敗を恐れず自ら考え行動することのできる人と一緒に働きたいと考えています。   オンライン取材の様子 左)インタビュアー: 電通 京都BAC engawa young academy 事務局 眞竹 広嗣 眞竹 :では、御社のインターンや採用に関する活動について、課題と感じているところを教えてください。 大野さん   :従来の採用活動に加え、複数のインターンシップを実施するなど色々試みていますが、まだまだ出会えていない学生の方が多くいると感じています。これからは様々な企業と協業していくことになりますので、新しいビジネスの種を作っていく人、いろいろなリソースを使いながらその芽を大きく育てていく人が必要になってきます。また、今すぐにはビジネスにならないけれども、新たな分野、新たな専門領域でじっくりと基礎研究をしてくれる人も必要です。これまで以上に、多様な人材を採用していくことが課題ですね。 眞竹 :そのような課題の中で、eyaに参加されている理由、意義など教えてください。 大野さん   :当社の業領域の拡大や環境変化を考えて、これまでの採用活動ではなかなか接点を持てなかった「新たなビジネスの芽を生み出すアントレプレナー志向をもった人」と出会えるのではないかと考えたからです。実際に、期待以上に良い学生が多数おられ、そういった学生と接点を持てることは大きなメリットと考えております。また、他社の人事部の方や先進的な取り組みをされている社員の方のお話を聞けることができ、とても良い刺激になっています。 眞竹 :メンターとして参加するご自身にとっての意義や期待、メリットなどはいかがでしょうか? 岡本さん :年齢を重ねると段々と感度が鈍くなってきたり、思考に偏りが出てきたりと悪い習慣が身に付いてきますので、感度の高い学生から良い刺激を得ることで普段の仕事に良い影響を与えたいと思いますので、積極的にコミュニケーションをとっていきたいと思っています。また、他社のエネルギッシュなメンターの方の良いところを、最低1つは盗めればと考えています。 大野さん :確固たる自信をもち、自ら新しい時代を切り拓くんだという気概があるような学生が、何を思考し、どの様な活動を行い、社会に出て何をしたいと考えているのかを純粋に知りたいと思っています。 眞竹 : では最後に、eyaの学生たちと接して感じたこと、そして期待することをお願いします。 大野さん :強く目的意識を持っている方が多いなと感じています。あとは、摩擦を恐れず自分の意見や価値観を互いに共有し、理解し合い多くの気づきを得てほしいと思います。 岡本さん :皆さんはポテンシャルが相当高いので、それを今回のeyaでどう発揮して、また他の人から何を学んで帰るのかを毎回意識して取り組んで頂き、最後には10月より成長したと自覚出来るようになって欲しいですね。