【engawa young academy】 メンターインタビュー ヤマト運輸篇
#インタビュー
2021年10月より、engawa KYOTO REMOTEにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy 2021(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eyaに参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第1回目は、ヤマト運輸の上田さん、山﨑さんにお話を伺いました。
写真右)ヤマト運輸株式会社 コーポレート部門 人材育成部 上田晃之助さん
写真左)ヤマト運輸株式会社 EC事業本部 事業戦略部 山﨑遥さん
所属は、取材:2021年10月当時のものです。
― 企業名を言えない中で、共感を呼ぶ。改めて勉強になりました。
インタビュアー眞竹(以下、眞竹):上田さんは、2年目のご参加になりますが、初日を終えての率直な感想を教えて頂けますか?いかがでしょうか?
上田さん:やっぱり去年に引き続き疲れましたというのが、一番だったかなと思ってます(笑)。 去年とはまた少し違う学生の雰囲気も感じながら、非常に優秀かつ志が高い学生の皆さんと触れ合うことで、初日だけでも充実感を強く感じています。
眞竹:山﨑さんは初めての参加になりますが、いかがでしたか?
山﨑さん:非常に多様で個性があり、かつ積極的な学生の皆さんが多く参加されていると感じました。皆さん主体的に課題意識を持って本プログラムに参加されていて、メンターとしての役割にとどまらず、1参加者として働く意味とは?幸せとは?と考えさせられる時間でした。これからたくさんコミュニケーションを取って、より深く価値観を共有しあえる関係性を築くのが楽しみです。
眞竹:では、初日のメンタードラフト※の感想を教えてください。
上田さん:雰囲気や流れは昨年の参加で認識していたのですが、企業名を言えない中で、自分自身の生き様をいかにして伝えるか、共感を呼ぶかという観点では、また改めて勉強になり、非常に良い経験になりました。学生-企業の両者が互いに本気で向き合い、ぶつけ合う、その点は良い意味でしびれました!各社メンターが本当にいろんな事ご経験されて、優秀な方が多いなというのを改めて感じましたね。
山﨑さん:上田さんのプレゼンも含め、各社のメンバーのプレゼンは当日初めて聞いたのですが、メインメンターの皆さんの個性が爆発していて、とても聞きごたえがあり楽しめました。上田さんが選ばれるかどうかのドラフトタイムは緊張しました。
※メンタードラフト:メンターが企業名を隠して、学生に対して自己紹介プレゼン。学生が希望するメンターを指名するプログラム
眞竹:そうですよね。あの時間は、何度経験しても慣れないんだと思います・・。では、ここから御社についてお伺いしたいと思います。御社は今、学生からどういう企業イメージを持たれていると思いますか?
―ヤマトに、やれない事業はない。
上田さん:「宅急便」、とにかく宅配事業会社、というイメージが大多数だと思っています。そして、お堅い、慎重、保守的といったイメージじゃないでしょうか。昔ながらのTHE日本企業で、チャレンジングなこと、先進的な取り組みというのはなかなかし ない、するとしてもかなり足取りが重いといった印象は強いのではないかと思っています。
山﨑さん:客観的に考えると、やはりヤマト=ドライバーというイメージが最初に来るのではないかと思います。もちろん、当社を支える根幹となっているのは「現場」であり、日々集配を行っていただいている第一線の方々ですが、その「根幹」を支える仕事もあることを知ってもらいたいと思います。
眞竹:では、御社の実際の姿を知らない学生へ、実はこんな企業です、こんなことしています、という、知られてないけど伝えたいこと、紹介して頂けますか?
上田さん:ヤマト運輸を中核としたヤマトグループは、「やれない事業はない」というぐらい事業フィールドが広いです。物流はもちろん、フォワーディング※などの貿易関連、地域共創、決済関連、システム開発、そういった多様な事業でのデジタル・データ活用事業、など本当に様々です。入社してからいろんなことを経験できる、知ることができるというのは、ヤマトの本当の魅力です。
※フォワーディング:※国際輸送だけでなく、それに伴う通関業務や輸送関係書類の作成、保税地域内での貨物の保管・梱包・配送業務など、国際物流に関わる業務を幅広く行うこと
上田さん:そしてもうひとつ、伝えたいことなのですが、ヤマトの最も重要な資産は、人財です。労働時間管理も厳しく、かつ社員が働きやすい環境の構築にも注力しており、社員には最も働きやすい働き方で最大限パフォーマンス発揮して欲しい、というスタンスです。お客さまはもちろん、社員にも優しい会社です。学生の皆さんからはなかなかイメージしづらい部分での新しい側面かなというふうには思っています。
山﨑さん:労働時間をはじめとした環境整備がかなり進んでいて、社員にとって働きやすい環境が整いつつあると感じています。
眞竹:地域、社会と物流は密接に関わりますから、それが広い事業フィールドにつながっているんでしょうね。また、働く環境面でのことも、学生の皆さんにも是非知ってほしいところです。では、御社が今後目指していこうとしているところを、教えてください。
上田さん:世の中にある社会課題を自分ごとと捉え、それらを解決し、世の中やお客さまへより豊かな生活をお届けする社会インフラ企業となることを目指しています。産業のEC化、生活のデジタル化が加速する現代において、これまでの「運送」を中心として行ってきた事業から、新たな運び方を創り出す「運創」というところから着手しています。まずは自分たち自身が変わるべく、YAMATO NEXT100を土台とした中期経営計画であるOneヤマト2023やサステナブル中期計画2023に則って、猛スピードで変革に取り組んでいます。
YAMATO NEXT100
https://www.yamato-hd.co.jp/news/2019/mds9bo00000040au-att/e.pdf
Oneヤマト2023
https://www.yamato-hd.co.jp/investors/library/briefing/pdf/3q_oneyamato_2021_03.pdf
サステナブル中期計画:
https://www.yamato-hd.co.jp/assets/Sustainable_medium_term_plan_JP.pdf
眞竹:そのような方針の中で、御社が新たに取り組まれている事業を教えてください。
上田さん:生活者、事業者両方の観点で事業を展開するEC(Electronic Commerce)事業本部では、荷物の受け取り場所や受け取り時間を個人の注文者のニーズに合わせて柔軟に選択・変更することができるEAZYといったサービスやDoddle社と連携したサービスをリリースしています。
EAZY:
https://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/customer/service/eazy/
Doddle社と提携し、ニューノーマル時代の新たなEC商品の受け取りサービスを11月からスタート
https://www.yamato-hd.co.jp/news/2020/20200817.html
― 誰もが使うサービスを開発する、というやりがい。
眞竹:EAZYは、山﨑さんがサービス開発に関わられたんですよね。
山﨑さん:はい。昨年、非対面での荷物の受け取りに対応した輸送商品「EAZY」を開発し、リリースしました。最近のEC増加で受け取る人のニーズやライフスタイルが多様化している中、届けるという行為に求めるものが昔の宅急便とは変わってきていることが根底にあります。また発送する事業者側のお客さまのニーズにもお応えしています。開発の検討にあたっては、とてもやりがいがありました。 自分も家では1利用者なので。より多くの人に使っていただける、そういう新商品、新サービスを開発できる、それで世の中を良くしていける、ということにやりがいを感じました。
眞竹:開発にあたって、どのような点を大事にされていたのでしょうか?
山﨑さん:2つあるのですが、1点目は、ユーザーの声を聞くというところをかなり重点的に行っていました。幅広い方にインタビューをしたり、場合によってはお宅訪問して、どんな受け取りを普段されるかを見せてもらったり、普段はどんな買い物をするみたいなところから深くニーズを掘り下げていきました。なので 、サービスとしてかゆいところに手が届くものというところに芯を置いています。今後、ニーズもどんどん変わっていくので、次の便利に向けて進化を続けている、という状況です。2点目は、宅急便という商品は直接お客さまに届けるものだという会社の信念が色濃い中で、そこに対して新たな非対面のお届け方法である置き配を社内で浸透させていくことが必要でした。人から人に届けるのではなく、自分で購入したものが届くのがECの大きなポイントなので、その点でお客さまが求めているニーズが変わっている、そこにお応えするということですね。
眞竹:SHOWROOM社との協業によるライブコマースもEC事業本部が行なっているんですね。
山﨑さん:全国の生産者と商品を紹介する生産者販売支援の取り組みです。ライブコマースもここ数年で広がってきたECの一つです。放送してモノを販売すればそこに物流が生まれるので、その仕組みをどうやったらよりスムーズにできるか、という課題に対するモデルづくりに取り組んでいます。
上田さん:同じくSHOWROOMの中で日本航空様のキャビンアテンダントの方が地域の特産品を紹介するなど、地方創生に取り組む企業とタッグを組みながら、地域、日本全体の活性化っていうところを目指すというのも、事業のポイントです。
仮想ライブ空間「SHOWROOM」にて、“ストーリーライブコマース”を活用した生産者向け販売支援を開始~STU48が企画に参加し、地元瀬戸内の生産者と商品を紹介~
https://www.yamato-hd.co.jp/news/2020/20201120.html
眞竹:地域の活性化、地域創生は学生も興味があるところだと思うのですが、他にどのような取り組みをされているのでしょうか?
上田さん:地域共 創の観点でいくと、リテール領域(toC事業)の中で、「ハローライト」といったIoT電球を活用した生活見守りサービスを始めました。また、ネコサポステーションといった地域コミュニティ拠点を中心とした、地域におけるコミュニケーション創出事業の展開をしています。
眞竹:生活見守りは、宅急便で家々にネットワークがあるヤマトならではですね。ネコサポステーションは昨年もお話を伺いましたが、地域に対してより関わっていこうとするヤマトさんの姿勢の表れを感じます。
IoT電球とヤマトの経営資源を活用した見守りサービスを展開
https://www.yamato-hd.co.jp/news/2020/news_210205.html
ネコサポステーション:「暮らしのために、できること、いろいろ」をコンセプトに、荷物のことだけでなく暮らしのこと全般に対して、困った際に頼れる生活相談窓口となることを目指す新しい形の地域コミュニティ拠点。地域共創の取り組みの一つ。
https://www.kuronekoyamato.co.jp/nekosapo/
上田さん:それから、法人のお客さま向けの事業として、サプライチェーン全体の最適化をソリューション提案によって実現し、お客 さまにとっての経営パートナーとなることを目指しています。これらを代表するデジタル領域が絡んだ事業を支えるのが、当社のDX(デジタルトランスフォーメーション)部門であり、当社内にデジタル機能本部というDX推進の専門部隊が組織されています。オープンイノベーションの観点では、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を積極的に推進し、先端技術を持つスタートアップ企業との事業共創を行っています。
運送から「運創」へ。KURONEKO Innovation Fund
https://kif.yamato-dx.com/?_ga=2.186921390.727711442.1633513799-1610231653.1633513799
眞竹:本当に幅広い取り組みをされていますね。まさに、やれない事業はない、と感じます。ではここから、御社の採用や育成についてお伺いしたいと思います。御社のインターンや採用に関する活動について、御社が重視している指針や取り組みを教えてください。
― 「ヤマトは我なり」 自ら課題を発見・解決する人財。
上田さん:弊社の企業理念や社訓に共感頂きたいというのが前提にあります。その上で2つポイントがあります。1つは、こちらから学生の皆さんにヤマトの新しい側面をお伝えし、ヤマトに新しい価値を見いだして頂きたいということ。ヤマトがどんどん変革を起こしているので、その変革の中で何をしているのかとか、変革を起こした先に何を成し遂げたいのかを理解していただけるように丁寧に説明をして、ヤマトとともに将来の日本や社会を創っていきたいと学生の皆さんに感じて頂きたいです。
もう1つは、学生という「人」とヤマトの「人」との交流というところです。これは、現在、コロナ禍で就職活動のオンライン化が急速に進んでいる中でもあるので、より大切にしていきたいと思っています。オンラインというところは変えられないにしても、社員と直接話す、社員と何かを一緒に議論する、そのような機会を極力増やせれば、と考えています。
眞竹:そのような方針の中で、どのような人材像を求めているのでしょうか?
上田さん:当社では、PBL型人財(Project Based Learning)、つまり課題解決型人財が今後のヤマトを担い、社会を創っていくために必要だと考えています。世の中の事象においてのさまざまな課題を自ら発見し、作戦を練り、周囲を巻きこみ実際に解決までもっていく。また解決する過程の中で、本人自身も成長する。そんな人財がこれからのヤマトを創っていき、さらには社会へのさらなる価値提供を成し遂げることに繋がると考えています。まさに「ヤマトは我なり」という、社訓そのものですね。
オンライン取材の様子 右)インタビュアー: 電通 京都BAC engawa young academy 事務局 眞竹広嗣
眞竹:そのような人材を求める中で、御社がeyaに参加されたその理由、意義、メリットなどを教えてください。
上田さん:高い志を持った学生の方々、今後の社会を共に創っていくことができる人財に会いたいと考えていた点が理由として挙げられます。また、これからのヤマトを創っていくには、様々なレイヤーの学生の方々にもお会いしていきたい、ということが採用といった観点での参加意義です。説明会、選考という場になると、学生の方も「間違えてはいけない」「しっかりしなければならない」と考えてしまうと思うのですが、長期間だと自然体でお互いに触れ合うことができるので、非常にいい機会だなと思っています。
そして、現在変革期にある当社のメンバーが、社会や自身の未来を高い視座から考えている学生の方々と密に何か月にもわたって会話し、一緒に何か作り上げていくという経験はなかなかないので、とても有意義な機会だと感じています。
眞竹:では、eyaにメンターとして参加するご自身にとっての意義や期待、メリットなどを教えてください。
山﨑さん:私自身、Z世代と呼ばれる方々と接する機会はなかなかなくて、新しい感性を知れるというのは次の世代のお客さまに直通するところでもあるので、貴重な機会をいただけてるなと思っています。私の学生時代思い返すと、自分の10歳ぐらい上の人たちと会話する機会はなかったので、疑問に思うところとか、働くってなんだろうみたいな、純粋な疑問は、経験から答えて明るい希望を持ってもらえる、そういった立ち位置でいれたらとを思っています。
― eyaの学生と、将来一緒に価値提供を。
眞竹:eyaは、異業種による人材育成への取り組みになりますが、そのような取り組みに対してどのようなことを期待されますか?
上田さん:自分自身の会社や業界では当たり前と思っていることが、他社と深く関わってみると実は異なっているだとか、気づかないうちに視野が狭まっていただとか、そういった新しいことに気付くことができる機会なので、非常に貴重な場だと思っています。一方で、「同じ悩みを抱えているんだな」といった共感もあります。それらが組み合わさることで、新しいシナジーを作るきっかけになるんじゃないかな、という期待をしています。
眞竹:最後に、eyaの学生たちと接して、感じたこと、期待することをお願いします。
上田さん:現在の学生の皆さんは、非常に情報のアンテナを高く張り、様々な観点から物事を捉え、考えているように感じます。また、起業 される方が昔に比べると多くなってきていることを見ると、新しく踏み出すことに躊躇しない方が多いのかなという印象を受けています。一方で、様々な考えや知識、経験を持っていても、それをどうアウトプットすればよいのか、どう他者と共創していけばよいのかといった点についてはまだ不慣れな方がいらっしゃるのかなと感じる部分もあります。ただ、その点はこれから磨いていけばいいので、ぜひ自信を持ってください。学生間はもちろん、学生-メンター間でも本気で向き合いましょう!eyaはまたとない機会です。eya内でも様々なものに触れ、互いに刺激を受けて成長し、そして将来はぜひ一緒に世の中に価値を提供していきましょう!