プランナー

眞竹 広嗣

Hirotsugu Matake

マーケティング視点でのコンセプト開発・クリエーティブ開発から、統合的な戦略立案、プロジェクト立案が強み。【クリエーティブ】 ACCファイナリスト、OCC新人賞、朝日広告賞など【プロジェクト】 異業種合同インターン「engawa young academy」など。

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【engawa young academy】 メンターインタビュー  電通篇

2021年10月より、engawa KYOTO REMOTEにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy 2021(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eyaに参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第2回目は、DAIKINの西川さん、伊藤さんにお話を伺いました。 第1回 ヤマト運輸様 メンターインタビューは こちら 第2回 DAIKIN様 メンターインタビューは こちら 第3回 積水ハウス様 メンターインタビューは こちら   2021年10月より、engawa KYOTOにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy 2021(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eyaに参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第4回目は、電通の湊さん、工藤さんにお話を伺いました。   写真右)株式会社電通 京都ビジネスアクセラレーションセンター 湊 康明さん 写真左)株式会社電通 中部BC局 ビジネスデザイン部 工藤 永人さん 所属は、取材:2021年11月当時のものです。   ― 参加学生が、京都、大阪、広島、韓国に留学中の学生まで。 インタビュアー眞竹(以下、眞竹) :初日、2日目を終えての率直な感想を教えて頂けますか?湊さん、いかがでしょうか? 湊さん :私は、今年で電通のメンターとして、2年目を務めさせていただいておりますが、昨年と比較して変わった事は、コロナ禍による大きな社会変化が起こっている事が普通になってきているという事ですね。デジタルツールを使いこなすことは勿論、私のチームには、現在の居住地が、京都、大阪の人もいれば、広島の人も、韓国に留学中の人もいますよね。電通のメンターも、そもそも大阪と、名古屋ですし(笑)。それが普通で、その前提で特にこのアカデミーに参加している皆さ   んは、個人個人でいろんな活動をしている。ほんとに、誇らしいなと思いました。 眞竹 :このプログラムの1回目はengawaKYOTO(京都にある電通運営の事業共創スペース)でのリアル開催でしたので、京都を中心とした関西の学生が対象でしたが、昨年オンライン化してから、四国や九州、今年は海外まで広がりましたね。オンライン化ならではのメリットです。では、工藤さんいかがでしょうか? 工藤さん : 私はヤングアカデミーに参加するのが初めてですけど、初日からすぐに思ったのは全員、基礎能力が高く、地頭がいい。学生との懇親会などで話していて、コミュニケーション能力が高いっていうのはもちろんですけど、自分の考えを言語化、構造化して話すというのがとても上手だなと思いました。実際に課題などの評価をする中でも、課題を読み取ってそれを考える力っていうのが高いですね。 眞竹 :ありがとうございます。では、次の質問です。御社は今、学生の皆さんに、どういう企業イメージを持たれていると思いますか? 湊さん :そうですね。やっぱり、広告代理店、CMとか作っている会社、あと、オリンピックやっている会社、というイメージが強いと思います。それ自体は間違ってないですし、弊社のメインのビジネスである事は確かですが、最近はクライアント様の課題がいわゆる広告・プロモーションだけで解決できなくなっている事も増えてきている中で、弊社の社会的役割も変わってきています。 眞竹   :では、御社がどのように変わってきているのか、実際の姿を知らない学生へ、知られていないけれど伝えたいこと、紹介して頂けますか?   ― 社会的役割は変わっても、最高の解を提供することは変わらない。 工藤さん :社会的役割が変わってきているというお話ですが、社会ニーズが多様化したり、そもそも従来の尺度では測れなかったりと、ニーズを発見/創造することの重要度がさらに高まっています。そして、そのニーズに応える最高の解を電通は提供する立場にあることは変わらないので、常に最高の解を提供できるように私たちも解のフォーマットにとらわれないようになってきています。従来の広告やプロモーションというフォーマット以外の取り組みとしては、さまざまな事例あるのですが、例えば、 1:DENTSU DESIGN FIRM  https://dentsu-design-firm.com/   つたえることから逆算したプロダクト開発をご一緒したり、 2:THE KYOTO  https://the.kyoto/article 京都をヒントに文化・アートを学ぶプラットフォームを立ち上げたり、 3:ABC Glamp&Outdoors  https://abcgo.co.jp/ テレビ局と一緒に、グランピングで地方創生に取り組む会社をつくったりしています。 眞竹   :では、従来の広告、プロモーション領域に止まらない社会的役割の変化の中で、御社が今後目指していこうとしているところを、教えてください。 工藤さん :目指していこうとしているところは以前から変わっていない気がします。それは、社会やクライアントの課題を発見し、アイデアをもって解決することでちょっと先の未来を引き寄せること。です。ただ、世の中の変化に伴って、サービスをつくったり、事業共創を電通自体ができるように、実現力をさらに強化した電通を目指していく必要はあります。 電通のビジョン&バリュー:an invitation to the never before. https://www.dentsu.co.jp/vision/philosophy.html 眞竹   :では、お二人が現在携わっているもので、従来の広告、プロモーション領域に止まらない事例があれば、教えていただけますか? 湊さん :私と工藤が所属している電通若者研究部(ワカモン)の活動で、それぞれ学生に携わってインターンシップを運営していますので、そちらを紹介します。私の方からは47INTERNSHIP(ヨンナナインターンシップ)のお話をさせて頂きます。 ※「47 INTERNSHIP」 https://47internship.com/   ― 世界のクリエイティブアワードで受賞した47INTERNSHIP。 湊さん :2年目になる2021年も開催しました。昨年、コロナの影響もあり、インターンなどいわゆる就活系のイベントも大きな影響を受けて、就活生が困っているという状況がありました。そこで、逆にコロナだからこそ、新しい就活やその支援の形を作ることができないか、ということをNPO法人のエンカレッジと相談していたところ、これを機会に地方の就活格差に取り組めないか、というアイデアが生まれました。そこから47都道府県から集めた就活生の代表者が参加するインターンシップを開催しました。その取り組みが、様々なところから非常に評価いただきまして、例えば、世界最高峰のクリエイティブアワードのD&ADのブランディング部門にて、2021年最高賞のYellow Pencilを受賞する、ということにもつながりました。 眞竹   :その流れでの2年目。開催にあたって昨年との違いは何か意識されましたか? 湊さん :昨年の経験から、地方の就活格差にこのフレームが有効にワークすることがわかったので、より社会的影響度を高めていこうと考えて企画しました。例えば、これは結構驚かれるのですが、今年は学生から、2000以上のエントリーシートをいただきました。それを受けて、参加される47名以外の方にも希望者を募って、今回の47 INTERNSHIPのエントリーシートの評価基準であったり、これからの時代に求められている人材像はどのようなものか、などをDAY-0という形で協賛企業の皆様にもゲストで参加いただき、全国数百名の学生の皆さんに向けて開催しました。また、エントリーシートにおいて、47都道府県の学生の皆さんに「あなたが解決したい、あなたの身近な課題を教えてください」という質問をしたのですが、それ自体を「47都道府県課題MAP」でビジュアルにして、各地方の皆さんがどういう形で解決していきたいと思っているのかをセットでリリースしました。   「47都道府県課題MAP」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000085233.html 眞   竹 :ちなみに、どのようなことが地方で学生が感じている課題か、何か傾向は見えたりしたのですか。 湊さん :すごくクリティカルだと思ったのが、コロナになってどんどんネット社会が加速していく中で、地方高齢者のデジタルデバイドを挙げている学生が多かったことですね。そもそもネット化していくのはわかるけど、それについていけない人も結構いて、それが高齢者だったりします。特に高齢者の方がネットの恩恵を受けるべきなのに、それができていないことは、地方社会の大きな構造的な問題だなと改めて感じました。 眞竹   :ありがとうございます。では続いて、工藤さんの取り組みについてお伺いしたいと思います。   ― 「アイデア実現」のための全ての工程を、学生が実体験する。 工藤さん :今年で3年目になる「アイデア実現インターンシップ」についてご紹介します。それまでも電通若者研究部(ワカモン)で電通のインターンシップをプロデュースしていたのですが、私が初めて参加した3年前に新たなフォーマットとして始まったものです。学生とメンターの関係を、先生としてのメンターではなくて、伴走者としてのメンターという立ち位置にしました。学生が主体となって、それこそ、電通の社員が普段やっているような業務の工程を、自分の「ほうっておけないこと」の解決という学生自身のやりたいことを通して実体験をしてもらうことを目的に、アップデートしました。 眞竹   :3年目の今年は、どのような状況ですか? 工藤さん :今まさにクラウドファンディングのCAMPFIREで、11月末まで学生たちが支援を募っている段階です。今年は14人参加してくれたので、14プロジェクトが立ち上がっていますが、もうすでに期間を終えずに目標支援金額を達成しているプロジェクトもあります。  ※「電通ワカモン  アイデア実現インターンシップ」 https://camp-fire.jp/curations/dentsu-wakamon 眞竹   :ちなみに、学生の皆さんがどんなプロジェクトを考えたのか、いくつか紹介していただけますでしょうか? 工藤さん :私がメンターをやっていたプロジェクトだと、「Scaping OKAZAKI岡崎プロジェクト」です。キックボードをシェアするサービスで、キックボードで岡崎市の乙川エリアを移動して、「遊び場」化して、その良さに出会って教える、というプロジェクトです。もうCAMPFIREでの目標を達成しているプロジェクトですが、企画した学生が考えたのは、地元岡崎の乙川エリアが車で移動するには道が狭くて移動しにくいし、歩くにしてはちょっと遠い、ということでキックボードに目をつけて、移動そのものも観光にしていく、ということでした。この学生を始め、自分からいろんな人たちや行政などに働きかけを行ってもらうインターンになっています。他にも、「音のない料理教室」。これはイベント系ですけど、参加者同士が声を出さずに意思疎通を図りながら一つの料理を作り上げる、「耳の聴こえる方・聴こえない方が参加できる料理教室」です。すでにこの学生は、インターンに参加する前に一度イベントを開催していて、それをさらにアップデートしたいという思いを持って参加してくれました。 眞竹 :   3年目になり、すでに取り組んでいることがある学生も集まってきているんですね。 工藤さん :参加したメンターの中で、3年目でやっと完成形になってきたかな、という話をしています。学生を集める過程であったり、実際にプロジェクトを考え、立ち上げてもらう期間でであったり、改善できていていると感じています。 眞竹 :お二人はインターンを通じて、学生と企業の接点に携わっていらっしゃいますが、もっとこのようになればいいのに、と感じるところはありますか? 湊さん : 学生の皆さんにとって、企業で働くことにおいて何が大事にされているか、ということを肌で感じる機会があることが重要と思っています。なので、産官学が連携して、実際に働く場としての企業を考える、そういう教育機会を作れれば、就職活動の先行ステップとしてすごくいい機会になるのではないかと思っています。 工藤さん :学生に好きなことを見つけなさい、といってもなかなか難しく、一歩踏み出せない学生がまだまだ多いと思います。大学で学ぶ専門的分野以外でも、興味関心を持てる分野への学びや体験を企業側が提供できるような仕組みがあると面白いのでは、と考えています。 湊さん :就職活動の評価軸が企業側で緩やかに崩れてきている中で、学生側もそれに気づけていないと思っています。例えばeyaで美大の学生が、課題の落とし込みであったり、事業アイデアを作ったりするのがうまいと感じるシーンがあります。作品を作る過程で本質を見極める能力が鍛えられているからだと思うんです。そういう能力は今後企業側にも評価されていくと思うので、そういったことを知れば、きっと学生側の選択肢も広がります。   オンライン取材の様子 左)インタビュアー: 電通 京都BAC engawa young academy 事務局 眞竹広嗣 眞竹 :学生と企業の接点については、今後も改善していくべきポイントがありそうですね。では、そういった中で、電通がeyaに参加される意義やメリットを教えてください。 湊さん :企業紹介の際、広告代理店から、ビジネスをプロデュースする企業へ変化している、という事を、弊社はeyaで学生向けのメッセージとして発信しました。 それは、広告・プロモーションで培ってきた「アイデア」という弊社の強みを活かし、広告・プロモーション領域に留まらずに、クライアント様のビジネスのサポートを行っていきたいという事です。ですが、やはり、このような取り組みはそこまで認知度もなく、事業創造やリーダーシップなどに興味のある学生の皆さんに、弊社の未来の姿を是非知ってもらう機会として活かせればと考えています。 眞竹 :eyaは、異業種による人材育成への取り組みになりますが、そのような取り組みに対してどのようなことを期待されますか?  湊さん :これはメンターとして、学生の皆さんにお伝えしたい事ですが、こういった異業種合同の人材育成の取り組みって、ほんと、大人の社会見学だと思うんですよね。シンプルに、なかなか見えない企業の最先端の事例や、取り組むビジョンに触れる事は、知的好奇心が刺激されますし、楽しい事だと思います。そういった視点でみると、働く事自体がコンテンツになって、それを学生に見てもらうことで、学生の皆さんが働く事にポジティブになってもらう。これが、これからの日本を変えていく一つのカギになるんじゃないか、と思っています。     ― 「今を意味づける力」を身につけてほしい。 眞竹 :では最後に、 eyaの学生たちと接して、感じたこと、期待することは?工藤さんから、お願いします。 工藤さん :最初にお話ししたように、学生の皆さんの考える力がすごく高いなって思っていますが、あくまで提供された課題や自分が見つけた課題に対しての考える力が備わっている、ということだと思います。社会に出た時、その考える力の矛先をもっと広げないと、例えば、スケジューリングだったりとか、タスク管理だったり、人とのコミュニケーションそのものにも電通でいうところのアイデアが必要になります。課題を発見するとか、課題そのものを解決する為に考えるのはもちろんですけど、その矛先をもっといろんなところに向けられるようになって欲しいので、その手助けを、ちょっとの期間でもできればいいなと思っています。 湊さん : 期待することは、ぜひ、小さくまとまらないでほしいという事です。ビジネスをつくる力は勿論重要なのですが、自戒も込めて、それがスモールビジネスの方向にいっちゃう人も、たまにいるんですよね。もちろん、それ自体が悪いコトではないですし、生きていく上で大事な事でもあります。でもそれよりは、ぜひ、日本のこれからを自分が背負うんだ!!という気概を持って、世の中に対して課題感をもって、なるべく大きな理想的な世界観を描くクセをつけてほしい。また、ぜひそんな自分が掲げた世界観が実現できる場所を妥協せずに探して、キャリア設計していってほしいなと感じます。そのためにも、「今を意味付ける力」を身につけてほしいです。メンタープレゼンで1日目に話したことですが、忙しくて目の前の活動を何の為にやっているのか、を見失う時もあると思います。そんな時、立ち止まって、自分のキャリアを考えてみる。そのための材料を提供できる場になればうれしいです。  

【engawa young academy】 メンターインタビュー  DAIKIN篇

2021年10月より、engawa KYOTO REMOTEにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy 2021(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eyaに参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第2回目は、DAIKINの西川さん、伊藤さんにお話を伺いました。 第1回目 ヤマト運輸様 メンターインタビューは こちら   写真右)ダイキン工業株式会社 人事本部採用グループ 西川 徹さん 写真左)ダイキン工業株式会社 人事本部採用グループ 伊藤 淳さん 所属は、取材:2021年10月当時のものです。   ― メンタードラフトは、朝からドキドキでした。 インタビュアー眞竹(以下、眞竹) :初日を終えての率直な感想はいかがでしょうか? 西川さん :良い意味での疲れとワクワク感の二つがあります。昨年参加されたメンターの方からお話を聞いていた通り、率直に疲れました! 眞竹 :その疲れにつながると思うのですが、メンタードラフト※の感想を教えてください。 西川さん :本当に緊張しました!朝からずっとドキドキしていて、何なら気持ち悪いくらい、久しぶりにここまで緊張しました。仕事でのプレゼンと違って、自分自身を伝える内容なので、学生側に自分の想いや魅力が伝わるだろうか、選んでもらえるだろうか、という不安を持ちながらプレゼンしました。こういった気持ちが普段の採用面談で学生さんが思っている感情なので、この場で改めて学生側の想いを経験できたことはよかったです。 ※メンタードラフト:メンターが企業名を隠して、学生に対して自己紹介プレゼン。学生が希望するメンターを指名するプログラム 眞竹 :伊藤さんは、そのメンタードラフトをご覧になっていましたが、どう感じられましたか? 伊藤さん :普段一緒に仕事をしている先輩の、尊敬できる、仕事とは違う横顔を見せていただきました。私自身も成長していくために、その立場に置きかわった時の緊張感を味わう、貴重な経験になりました。 眞竹 :一方の、ワクワク感というのは、どういうところでしょうか? 西川さん :参加学生の皆さんが、多様な個性を持ち、様々な経験をしてきています。それぞれのキャラクターが、1日のプログラムではわからないところも、2ヶ月かけるとそれぞれの良さが出てくるんじゃないかと思い、彼らと同じ時間を過ごし、対話できることをすごく楽しみに感じています。   ― 空調の会社から、空気の会社へ。 眞竹 :では、次の質問にうつらせていただきます。 御社は今、学生からどういう企業イメージを持たれていると思いますか? 西川さん :空調を扱う企業、とりわけ身近な接点から家庭用空調機のイメージが強いのではないかと思います。そもそもエアコンを買う機会が学生さんはほとんどないと思うので、DAIKINを知らないという学生さんもいらっしゃると思います。 伊藤さん :日系の大手メーカーであって、年功序列であるとか、縦割りの企業風土なんじゃないか、と思われてしまっている面もあるかと思います。 眞竹 :ちなみにお二人は学生時代、DAIKINという会社を知ってらっしゃったんですか? 伊藤さん:大学時代一人暮らしをしたんですけど、マンションのエアコンがDAIKINだったんです。入居した、初日に管理会社の人から「DAIKINさんの製品なんですけど、DAIKINさんのアフターサービスがすごく良くて、サポートがもう迅速で素晴らしいです」みたいなことを、なんでこの人こんな学生に、熱を持って話してるのかなと思って。ユーザーから愛されている会社なのかなって、すごく印象に残りました。 眞竹 :伊藤さんがDAIKINを受けようと思ったきっかけはどんなものでしょうか? 伊藤さん :私自身は経済学部の出身で、途上国の経済、貧困と格差などの勉強をしていて、就活の軸にもなっていました。その一番の根本は、「生まれてくる土地は選べない」というところが大きいなと考えました。国として持っている資源、位置、気候、風土といった大きい違いの中で、熱い土地ほど貧困の国がかたまっているという現状から、一番はやっぱり温度だな、と思った部分があったんです。その人たちがエアコンを使っておらず、日本のような比較的緩やかな気候で過ごしている人が使っている、という現状の中で、自分が学んできたことや興味から活躍できるところがあるんじゃないか、と思い、DAIKINを選びました。 眞竹 :ありがとうございます。西川さんは、いかがでしょう? 西川さん : DAIKINについては、空調を作っている会社、ということは知っていましたが、特段イメージは持っていませんでした。私の就活としては、機械工学出身ですけど、機械系メーカーに行くのはすごく面白くないレールに乗っているなと思ったので、化学系や自動車、商社など、全体畑違いのところで就活をしていました。その中で、最初にインターンに行ったのがDAIKINでした。就活当初は、他社が本命だったんですけれど。 眞竹 :そうなんですね。 西川さん :働く人の環境、社風として、思うようにやれそうだって思ったのがDAIKINでした。また後押ししたのが、「空気で価値を出していく」というDAIKINの考えでした。今は「空気で答えを出す会社」とPRしていますが、無料でみんなが普段使っている空気に価値を与えられて、それでマネタイズができたらすごいな、出来るかわからないけれども、ここでやったらおもしろそうだと思ったのもきっかけの一つです。   ― 日本での共創、アフリカでの挑戦。 眞竹 :お二人とも動機に「空気」が関わっているんですね。御社ならではです。では、御社の実際の姿を知らない学生へ、実はこんな企業です、こんなことしています、という、知られてないけど伝えたいこと、紹介して頂けますか? 西川さん :世界160か国以上に事業展開し、売上の3/4以上を海外で稼ぐ会社です。業務用空調で強みを持ち、国内のみならず、世界で家庭用・業務用・産業用それぞれでシェア1位の国が多数あります。また、「空気で答えを出す会社」として、空気を通した価値創出に挑戦しています。ヘルスケアや睡眠、集中、リラックスなどの観点で、取組みを加速しています。例えば、point 0 marunouchiという共創型コワーキングスペースもその一つです。働く場の「効率」「創造」「健康」の3つの軸で各社のアセットを掛け合わせながら価値創造に挑戦しています。   眞竹 :そこではどのような取り組みをされているのでしょうか? 西川さん :働き方改革の中で、働く中での生産性向上や健康を抜本的に高めていく取り組みをするために、参画する各社がそれぞれの得意領域を出し合いながらシェアオフィスとして運営しています。例えば、オフィス家具分野でokamura、照明分野でpanasonicなど、トータルで約20社、関わっていただいています。その中で、DAIKINは空気、空間というテーマの分野で関わっています。各社が取れるデータの活用という点を意識していて、空調機から取れるデータというのもありますし、自社が取れるデータ以外のバイタルデータなどをデータプラットフォームとして集約し、参画企業が使いあって共通プラットフォームとして短期間に、ハイサイクルで価値を創出しく、PoC※広場というイメージです。 ※PoC (Proof of Concept:新たなコンセプトやアイデアの実現可能性の検証を行うこと)  眞竹 :例えば、どのような実験をされているのですか? 西川さん :一例にはなりますが、香りを使った集中力の検証や、仮眠の効果検証、コロナ禍での清潔を保つための検証であるとか、自   社であったり、他社と連携しながら行っています。   未来のオフィス空間『point 0 marunouchi』を2019年7月に開設 https://www.daikin.co.jp/press/2019/20190423/ 未来のオフィス空間『point 0 marunouchi』において実証実験を開始 https://www.daikin.co.jp/press/2019/20190708/ 眞竹 :空気は、空間に関わる、あらゆる領域とつながりがありますよね。働き方やオフィスの常識を変えるような結果が出ると面白いですね。では、御社が今後目指していこうとしているところを教えてください。 西川さん :「空調   がまだ普及していない地域に空調機を普及させていく(シェアを取っていく)」方向と「すでに空調機が普及している地域には既存空調の価値を超える「空気の価値」を創造・提供していく」方向、この2方向での展開を目指しています。戦略経営計画であるFusion25※でもカーボンニュートラルへの挑戦やソリューション事業の推進、空気価値の創造について言及しています。 ※Fusion25 https://www.daikin.co.jp/investor/data/fusion/fusion25.pdf  眞竹 :「空調がまだ普及していない地域」への取り組みで、「タンザニアにおけるWASSHA(ワッシャ)との新たなビジネスモデルの実証実験を開始」という取り組みの記事を見たのですが、こちらはどのような取り組みになるのでしょうか? 伊藤さん :東京大学との産学協創協定の中で、東大ベンチャーの一つ、WASSHAとの取り組みになります。アフリカ地域に対する手を打っていきたいという中で、WASSHAがアフリカでソーラーLEDランタンのレンタル事業をしていました。そこと連携することで、エアコンの初期費用を取り付け工事代と保証料のみで設置して、購入代金はそのあとの使用料としてサブスクリプション方式で回収していくビジネスモデルが成立するかどうか、PoCを行い事業化しました。WASSHAとのジョイントベンチャーとして、Baridi Baridi(バリディバリディ)という会社を設立し、我が社の31歳の社員が代表として引っ張っています。 空調未成熟市場でエアコンのサブスクを事業とする合弁会社を設立 https://www.daikin.co.jp/press/2020/20200616/ 眞竹 :そんなに若い方が、新規事業を海外でやられているんですね。そういった若い人材を育てる取り組みなどがあるのでしょうか? 西川さん :はい、例えば若手チャレンジプログラムがあります。将来を担ってもらいたい優秀人材に対して、従来にないスピードでの人材育成をしていこうということで、役員や部門長クラスが育成担当としてコミットして、その人にDAIKINの抱えるグローバル規模の大きな課題解決を担うパーソンとして動いてもらうというプログラムになっています。入社2年目〜5、6年目の方が対象です。 眞竹 :そんな若手の方が、グローバル課題を役員と一緒に考えていくんですね。 西川さん :役員がサポートする側ですね。若手に先頭に立ってもらって。 眞竹 :若手にそれを担わせるんですね。御社の若手人材への期待感が感じられます。育成でいくと、御社は、AI人材の育成のプログラムにも力を入れられていますね。 伊藤さん :「ダイキン情報技術大学」です。新入社員コースと既存社員コースがあり、新入社員向けのコースは技術系の新入社員約100人が、2年間そこに人事付けで配属されて専任のメンバーとして修士卒レベルを目指して学んでいきます。入社3年目の私も参加している既存社員コースは、文理関係なく部門からテーマを持っている社員がアサインされて、私の場合は今年の6月から来年の3月まで、そこのコースで学んでいます。産学連携している大阪大学の講義を受け、実際のデータを活用して自身の所属部門の課題を解決することに取り組む、という形です。 眞竹 :こちらも驚く内容ですね!御社のAIへの、人材育成への本気度の現れですね。では、ここからは御社の採用についてお伺いしたいと思います。御社が採用活動について重視している取り組みを教えてください。   ― 「面接」ではなく「面談」。 西川さん :採用活動全般として、学生と対等な目線で双方が互いに選び合うことを重要視しています。「面接」ではなく、「面談」。企業側の一方的な見極めでなく、学生側もDAIKINってどんな会社なのか、をしっかり見定めていただく場、時間を確保することを意識しています。学生にとって想像する面接とは全く違うと思います。 伊藤さん:「面談」の話だと、学生も社会課題や環境問題に関心を持たれている方が多くて、例えば役員との「最終面談」でもそういった問題についての議論になることもよくあります。空気というのは、社会課題、特に環境問題と密接に関係していますが、グローバルで使われているDAIKIN製品の消費電力を改善することは環境改善の大きなインパクトにつながりますし、例えば途上国の空気を変えて大気汚染の被害を防げば、命を守ることにもつながります。そういったことを真剣に考える会社だからこそ、「面談」の場もそういった関心を持つ学生との議論の場になるのだと思います。 眞竹 :用意した質問をあてる、という場ではなく、最終の、役員との場でも学生とそういう議論が起こるのは本当に、いわゆる面接とは違いますね。 オンライン取材の様子 右)インタビュアー: 電通 京都BAC engawa young academy 事務局 眞竹広嗣 西川さん :また、インターンシップでは、学生の今後の成長のために役に立つコンテンツを提供したいと考えています。具体的には、選抜型形式で「グローバルビジネスで必要な力が身につく」ことをベースに成長を実感できるプログラム設計を心掛けています。国や地域の独自の慣習なり文化なりがありますので、多様な観点で物事を捉えて、必要なビジネスは何か、といったことを考える場としています。 眞竹 :そのような活動を通じて、御社はどのような人材を求めているのでしょうか? 西川さん :「イノベーター人材」と「インターフェース人材」です。「イノベーター人材」は、変革へ挑戦する勇気と行動力を持ち、自ら変革を担っていく人材。大きなことから小さなことまで規模感に関わらず、日々のことに対して課題意識を持ってそれをつなげて、どんどん改善・改革していける人です。「インターフェース人材」は、自らの志を持って主体的に動き、人と人、技術と技術を繋げ、新たな価値を創出できる人材と捉えています。DAIKINというアセットの中で人や技術を、内部はもちろん、社会とつないでいく。そういったことを通じて新たな価値を創出し、牽引できる人です。 伊藤さん :それは社風にも現れていて、新しいことやりたいよとか、こういうことやってみたいんだって、声をかけたときに面倒くさがる人がいなくて、なんか面白いねとかぜひ協力させてって言ってくれる人が多いんですよ。 西川さん :いい意味で、大企業でいうセクショナリズム、垣根というのが結構低い会社ではないかと思います。 眞竹 :御社内の空気の流れがいいってことですね(笑)。では、ここからeyaのことについてお伺いします。御社としてeyaに参加されたその理由、意義、またメンターとして参加して感じていることなどを教えてください。   ― eyaで学生、他企業からの刺激を学びに 西川さん :当社の採用活動では出会えないタイプの人材に出会い、その人を知り、そういう層への出会い方を学ぼうと思いました。また、メンターとしては学生に気づきを与えられるように、自ら知識を入れて向上させていきたいと考えています。学生の中にも実際にビジネスしている方もいらっしゃいますし、今回のプログラムに取り組むモチベーションがすごく高いと思います。学生が自発的にたくさん行動を起こしている姿勢に、刺激を貰っています。 眞竹 :異業種での取り組みについてはどう思われますか? 伊藤さん   :DAIKINは自由な風土と言いつつ、他社のお話から個人としてはまだ思考が固かったかな、と思わされる部分もありました。異業種のみなさんが自由な発想をビジネスに落とし込まれているのを見て、我々自身も学ばせていただきアップデートできる機会につなげたいと思います。 眞竹 :eyaの学生たちと接して、感じたこと、期待することをお願いします。 西川さん :自発的に行動に移し、実績を残している人たちだと思うので、この強みや個性を伸ばし続けてもらい、社会で羽ばたいてほしいですね。この機会に、皆さんに負けないように、一生懸命取り組み、学び、自分自身も成長したいと思っています。 伊藤さん :学生との会話を通じて、大学時代のサークルで深夜まで自由に語り合ったときを思い出して、懐かしさを感じました。そういった機会は、人生でも大事な機会なので、学生の皆さんにも自分を見つめる、磨く感覚を是非経験してほしいし、自分自身も学びたいと思います。  

【engawa young academy】 メンターインタビュー ヤマト運輸篇

2021年10月より、engawa KYOTO REMOTEにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy 2021(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eyaに参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第1回目は、ヤマト運輸の上田さん、山﨑さんにお話を伺いました。     写真右)ヤマト運輸株式会社 コーポレート部門 人材育成部  上田晃之助さん 写真左)ヤマト運輸株式会社 EC事業本部 事業戦略部  山﨑遥さん 所属は、取材:2021年10月当時のものです。   ― 企業名を言えない中で、共感を呼ぶ。改めて勉強になりました。 インタビュアー眞竹(以下、眞竹) :上田さんは、2年目のご参加になりますが、初日を終えての率直な感想を教えて頂けますか?いかがでしょうか?    上田さん :やっぱり去年に引き続き疲れましたというのが、一番だったかなと思ってます(笑)。 去年とはまた少し違う学生の雰囲気も感じながら、非常に優秀かつ志が高い学生の皆さんと触れ合うことで、初日だけでも充実感を強く感じています。 眞竹 :山﨑さんは初めての参加になりますが、いかがでしたか? 山﨑さん :非常に多様で個性があり、かつ積極的な学生の皆さんが多く参加されていると感じました。皆さん主体的に課題意識を持って本プログラムに参加されていて、メンターとしての役割にとどまらず、1参加者として働く意味とは?幸せとは?と考えさせられる時間でした。これからたくさんコミュニケーションを取って、より深く価値観を共有しあえる関係性を築くのが楽しみです。 眞竹 :では、初日のメンタードラフト※の感想を教えてください。 上田さん :雰囲気や流れは昨年の参加で認識していたのですが、企業名を言えない中で、自分自身の生き様をいかにして伝えるか、共感を呼ぶかという観点では、また改めて勉強になり、非常に良い経験になりました。学生-企業の両者が互いに本気で向き合い、ぶつけ合う、その点は良い意味でしびれました!各社メンターが本当にいろんな事ご経験されて、優秀な方が多いなというのを改めて感じましたね。 山﨑さん :上田さんのプレゼンも含め、各社のメンバーのプレゼンは当日初めて聞いたのですが、メインメンターの皆さんの個性が爆発していて、とても聞きごたえがあり楽しめました。上田さんが選ばれるかどうかのドラフトタイムは緊張しました。 ※メンタードラフト:メンターが企業名を隠して、学生に対して自己紹介プレゼン。学生が希望するメンターを指名するプログラム 眞竹 :そうですよね。あの時間は、何度経験しても慣れないんだと思います・・。では、ここから御社についてお伺いしたいと思います。御社は今、学生からどういう企業イメージを持たれていると思いますか?   ―ヤマトに、やれない事業はない。 上田さん :「宅急便」、とにかく宅配事業会社、というイメージが大多数だと思っています。そして、お堅い、慎重、保守的といったイメージじゃないでしょうか。昔ながらのTHE日本企業で、チャレンジングなこと、先進的な取り組みというのはなかなかし   ない、するとしてもかなり足取りが重いといった印象は強いのではないかと思っています。 山﨑さん :客観的に考えると、やはりヤマト=ドライバーというイメージが最初に来るのではないかと思います。もちろん、当社を支える根幹となっているのは「現場」であり、日々集配を行っていただいている第一線の方々ですが、その「根幹」を支える仕事もあることを知ってもらいたいと思います。 眞竹 :では、御社の実際の姿を知らない学生へ、実はこんな企業です、こんなことしています、という、知られてないけど伝えたいこと、紹介して頂けますか? 上田さん :ヤマト運輸を中核としたヤマトグループは、「やれない事業はない」というぐらい事業フィールドが広いです。物流はもちろん、フォワーディング※などの貿易関連、地域共創、決済関連、システム開発、そういった多様な事業でのデジタル・データ活用事業、など本当に様々です。入社してからいろんなことを経験できる、知ることができるというのは、ヤマトの本当の魅力です。 ※フォワーディング:※国際輸送だけでなく、それに伴う通関業務や輸送関係書類の作成、保税地域内での貨物の保管・梱包・配送業務など、国際物流に関わる業務を幅広く行うこと 上田さん :そしてもうひとつ、伝えたいことなのですが、ヤマトの最も重要な資産は、人財です。労働時間管理も厳しく、かつ社員が働きやすい環境の構築にも注力しており、社員には最も働きやすい働き方で最大限パフォーマンス発揮して欲しい、というスタンスです。お客さまはもちろん、社員にも優しい会社です。学生の皆さんからはなかなかイメージしづらい部分での新しい側面かなというふうには思っています。 山﨑さん :労働時間をはじめとした環境整備がかなり進んでいて、社員にとって働きやすい環境が整いつつあると感じています。 眞竹 :地域、社会と物流は密接に関わりますから、それが広い事業フィールドにつながっているんでしょうね。また、働く環境面でのことも、学生の皆さんにも是非知ってほしいところです。では、御社が今後目指していこうとしているところを、教えてください。 上田さん :世の中にある社会課題を自分ごとと捉え、それらを解決し、世の中やお客さまへより豊かな生活をお届けする社会インフラ企業となることを目指しています。産業のEC化、生活のデジタル化が加速する現代において、これまでの「運送」を中心として行ってきた事業から、新たな運び方を創り出す「運創」というところから着手しています。まずは自分たち自身が変わるべく、YAMATO NEXT100を土台とした中期経営計画であるOneヤマト2023やサステナブル中期計画2023に則って、猛スピードで変革に取り組んでいます。 YAMATO NEXT100 https://www.yamato-hd.co.jp/news/2019/mds9bo00000040au-att/e.pdf Oneヤマト2023 https://www.yamato-hd.co.jp/investors/library/briefing/pdf/3q_oneyamato_2021_03.pdf サステナブル中期計画: https://www.yamato-hd.co.jp/assets/Sustainable_medium_term_plan_JP.pdf 眞竹 :そのような方針の中で、御社が新たに取り組まれている事業を教えてください。 上田さん :生活者、事業者両方の観点で事業を展開するEC(Electronic Commerce)事業本部では、荷物の受け取り場所や受け取り時間を個人の注文者のニーズに合わせて柔軟に選択・変更することができるEAZYといったサービスやDoddle社と連携したサービスをリリースしています。   EAZY: https://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/customer/service/eazy/ Doddle社と提携し、ニューノーマル時代の新たなEC商品の受け取りサービスを11月からスタート https://www.yamato-hd.co.jp/news/2020/20200817.html   ― 誰もが使うサービスを開発する、というやりがい。 眞竹 :EAZYは、山﨑さんがサービス開発に関わられたんですよね。 山﨑さん :はい。昨年、非対面での荷物の受け取りに対応した輸送商品「EAZY」を開発し、リリースしました。最近のEC増加で受け取る人のニーズやライフスタイルが多様化している中、届けるという行為に求めるものが昔の宅急便とは変わってきていることが根底にあります。また発送する事業者側のお客さまのニーズにもお応えしています。開発の検討にあたっては、とてもやりがいがありました。 自分も家では1利用者なので。より多くの人に使っていただける、そういう新商品、新サービスを開発できる、それで世の中を良くしていける、ということにやりがいを感じました。 眞竹 :開発にあたって、どのような点を大事にされていたのでしょうか? 山﨑さん :2つあるのですが、1点目は、ユーザーの声を聞くというところをかなり重点的に行っていました。幅広い方にインタビューをしたり、場合によってはお宅訪問して、どんな受け取りを普段されるかを見せてもらったり、普段はどんな買い物をするみたいなところから深くニーズを掘り下げていきました。なので   、サービスとしてかゆいところに手が届くものというところに芯を置いています。今後、ニーズもどんどん変わっていくので、次の便利に向けて進化を続けている、という状況です。2点目は、宅急便という商品は直接お客さまに届けるものだという会社の信念が色濃い中で、そこに対して新たな非対面のお届け方法である置き配を社内で浸透させていくことが必要でした。人から人に届けるのではなく、自分で購入したものが届くのがECの大きなポイントなので、その点でお客さまが求めているニーズが変わっている、そこにお応えするということですね。 眞竹 :SHOWROOM社との協業によるライブコマースもEC事業本部が行なっているんですね。 山﨑さん :全国の生産者と商品を紹介する生産者販売支援の取り組みです。ライブコマースもここ数年で広がってきたECの一つです。放送してモノを販売すればそこに物流が生まれるので、その仕組みをどうやったらよりスムーズにできるか、という課題に対するモデルづくりに取り組んでいます。 上田さん :同じくSHOWROOMの中で日本航空様のキャビンアテンダントの方が地域の特産品を紹介するなど、地方創生に取り組む企業とタッグを組みながら、地域、日本全体の活性化っていうところを目指すというのも、事業のポイントです。 仮想ライブ空間「SHOWROOM」にて、“ストーリーライブコマース”を活用した生産者向け販売支援を開始~STU48が企画に参加し、地元瀬戸内の生産者と商品を紹介~ https://www.yamato-hd.co.jp/news/2020/20201120.html 眞竹 :地域の活性化、地域創生は学生も興味があるところだと思うのですが、他にどのような取り組みをされているのでしょうか? 上田さん :地域共   創の観点でいくと、リテール領域(toC事業)の中で、「ハローライト」といったIoT電球を活用した生活見守りサービスを始めました。また、ネコサポステーションといった地域コミュニティ拠点を中心とした、地域におけるコミュニケーション創出事業の展開をしています。 眞竹 :生活見守りは、宅急便で家々にネットワークがあるヤマトならではですね。ネコサポステーションは昨年もお話を伺いましたが、地域に対してより関わっていこうとするヤマトさんの姿勢の表れを感じます。   IoT電球とヤマトの経営資源を活用した見守りサービスを展開 https://www.yamato-hd.co.jp/news/2020/news_210205.html ネコサポステーション:「暮らしのために、できること、いろいろ」をコンセプトに、荷物のことだけでなく暮らしのこと全般に対して、困った際に頼れる生活相談窓口となることを目指す新しい形の地域コミュニティ拠点。地域共創の取り組みの一つ。 https://www.kuronekoyamato.co.jp/nekosapo/ 上田さん :それから、法人のお客さま向けの事業として、サプライチェーン全体の最適化をソリューション提案によって実現し、お客   さまにとっての経営パートナーとなることを目指しています。これらを代表するデジタル領域が絡んだ事業を支えるのが、当社のDX(デジタルトランスフォーメーション)部門であり、当社内にデジタル機能本部というDX推進の専門部隊が組織されています。オープンイノベーションの観点では、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を積極的に推進し、先端技術を持つスタートアップ企業との事業共創を行っています。 運送から「運創」へ。KURONEKO Innovation Fund https://kif.yamato-dx.com/?_ga=2.186921390.727711442.1633513799-1610231653.1633513799 眞竹 :本当に幅広い取り組みをされていますね。まさに、やれない事業はない、と感じます。ではここから、御社の採用や育成についてお伺いしたいと思います。御社のインターンや採用に関する活動について、御社が重視している指針や取り組みを教えてください。   ― 「ヤマトは我なり」 自ら課題を発見・解決する人財。 上田さん :弊社の企業理念や社訓に共感頂きたいというのが前提にあります。その上で2つポイントがあります。1つは、こちらから学生の皆さんにヤマトの新しい側面をお伝えし、ヤマトに新しい価値を見いだして頂きたいということ。ヤマトがどんどん変革を起こしているので、その変革の中で何をしているのかとか、変革を起こした先に何を成し遂げたいのかを理解していただけるように丁寧に説明をして、ヤマトとともに将来の日本や社会を創っていきたいと学生の皆さんに感じて頂きたいです。 もう1つは、学生という「人」とヤマトの「人」との交流というところです。これは、現在、コロナ禍で就職活動のオンライン化が急速に進んでいる中でもあるので、より大切にしていきたいと思っています。オンラインというところは変えられないにしても、社員と直接話す、社員と何かを一緒に議論する、そのような機会を極力増やせれば、と考えています。 眞竹 :そのような方針の中で、どのような人材像を求めているのでしょうか? 上田さん :当社では、PBL型人財(Project Based Learning)、つまり課題解決型人財が今後のヤマトを担い、社会を創っていくために必要だと考えています。世の中の事象においてのさまざまな課題を自ら発見し、作戦を練り、周囲を巻きこみ実際に解決までもっていく。また解決する過程の中で、本人自身も成長する。そんな人財がこれからのヤマトを創っていき、さらには社会へのさらなる価値提供を成し遂げることに繋がると考えています。まさに「ヤマトは我なり」という、社訓そのものですね。   オンライン取材の様子 右)インタビュアー: 電通 京都BAC engawa young academy 事務局 眞竹広嗣 眞竹 :そのような人材を求める中で、御社がeyaに参加されたその理由、意義、メリットなどを教えてください。 上田さん :高い志を持った学生の方々、今後の社会を共に創っていくことができる人財に会いたいと考えていた点が理由として挙げられます。また、これからのヤマトを創っていくには、様々なレイヤーの学生の方々にもお会いしていきたい、ということが採用といった観点での参加意義です。説明会、選考という場になると、学生の方も「間違えてはいけない」「しっかりしなければならない」と考えてしまうと思うのですが、長期間だと自然体でお互いに触れ合うことができるので、非常にいい機会だなと思っています。 そして、現在変革期にある当社のメンバーが、社会や自身の未来を高い視座から考えている学生の方々と密に何か月にもわたって会話し、一緒に何か作り上げていくという経験はなかなかないので、とても有意義な機会だと感じています。 眞竹 :では、eyaにメンターとして参加するご自身にとっての意義や期待、メリットなどを教えてください。 山﨑さん :私自身、Z世代と呼ばれる方々と接する機会はなかなかなくて、新しい感性を知れるというのは次の世代のお客さまに直通するところでもあるので、貴重な機会をいただけてるなと思っています。私の学生時代思い返すと、自分の10歳ぐらい上の人たちと会話する機会はなかったので、疑問に思うところとか、働くってなんだろうみたいな、純粋な疑問は、経験から答えて明るい希望を持ってもらえる、そういった立ち位置でいれたらとを思っています。   ― eyaの学生と、将来一緒に価値提供を。 眞竹 :eyaは、異業種による人材育成への取り組みになりますが、そのような取り組みに対してどのようなことを期待されますか?  上田さん :自分自身の会社や業界では当たり前と思っていることが、他社と深く関わってみると実は異なっているだとか、気づかないうちに視野が狭まっていただとか、そういった新しいことに気付くことができる機会なので、非常に貴重な場だと思っています。一方で、「同じ悩みを抱えているんだな」といった共感もあります。それらが組み合わさることで、新しいシナジーを作るきっかけになるんじゃないかな、という期待をしています。 眞竹 :最後に、eyaの学生たちと接して、感じたこと、期待することをお願いします。 上田さん :現在の学生の皆さんは、非常に情報のアンテナを高く張り、様々な観点から物事を捉え、考えているように感じます。また、起業   される方が昔に比べると多くなってきていることを見ると、新しく踏み出すことに躊躇しない方が多いのかなという印象を受けています。一方で、様々な考えや知識、経験を持っていても、それをどうアウトプットすればよいのか、どう他者と共創していけばよいのかといった点についてはまだ不慣れな方がいらっしゃるのかなと感じる部分もあります。ただ、その点はこれから磨いていけばいいので、ぜひ自信を持ってください。学生間はもちろん、学生-メンター間でも本気で向き合いましょう!eyaはまたとない機会です。eya内でも様々なものに触れ、互いに刺激を受けて成長し、そして将来はぜひ一緒に世の中に価値を提供していきましょう!