【 engawa young academy 】 学生インタビュー 篇

#インタビュー


2020年10月〜2021年1月より、engawaKYOTOオンラインにて行われた多業種合同インターンプログラムengawa young academy 2020(以下、eya)。終了後の2月、参加学生を代表して、Day4:イノベーションアイデアプレゼンテーションで優勝したチームのメンバーにインタビューさせてもらいました。
 



写真上段左から)菊地さん、倉森さん、齋藤さん 中段左から)鎌田さん、井元さん、前川さん
真下段)電通 京都BAC engawa young academy 事務局 眞竹 広嗣
取材:2021年2月に実施



関西からの参加学生が多い中で、井元さんは福岡からの参加、また菊地さんは芸術系大学といった、強みや環境も多様なグループのメンバーと過ごした3ヶ月について、語ってくれました。

眞竹:みなさん、3ヶ月間、ありがとうございました!まずは率直に、eyaを終えての感想を聞かせてください。


コロナ禍の学生で、誰よりも刺激を受けた3ヶ月

鎌田さん:コロナ禍の学生で、誰よりも刺激を受けた3か月間だったと思います。プログラムは月に1度の開催でしたが、ほぼ毎日のようにオンライン上で集まり作業していた為、常に頭の片隅にエンガワがありました。チームとして最後のプレゼンで勝つ、という目標を立てたのですが、プレゼン日から逆算してスケジュール管理して、円滑に進められていたと思っています。プログラムの間の1ヶ月、プライベートで遊ぶ時も頭の片隅には「あと2週間で次のプログラムか」みたいな事とかを考えているのが、ある意味社会人になった感じで、印象深かったですね。でも、一緒に活動しているメンバーの質の高さもあって、他のレポートとかの課題とかに比べたら全然ストレスって感じないっていうのはありますね。自分1人じゃないので、チームとして活動しているっていうのは心強かったです。
 

ベクトルの違うチームメンバーとの長期間のワーク

齋藤さん:楽しかったです。3ヶ月という期間で、チームで何かに取り組むというのが初体験だったこと、今まで出会ったことない人と一緒にワークできる機会っていうのも新鮮だったこと、チームとめちゃくちゃ仲良くなれたことが、楽しさに直結していました。各プログラムにおいてCチームは努力もした上で結果にもつながって、チームで嬉しさを共有できた思いが強くて、それも仲良くなれたことの大きな要因だったかなと思います。実は僕自身、参加する時すごく不安があって。参加者はみんな何かの団体の代表だったり、活動してる人が多かったので、僕自身どういう風に立ち回ったらいいのかなって不安はあったんですけど、終わってみて思ったのは、結構ベクトルは違うけれどそれぞれいいところがあって、そのお互いが持っていないことを最終的に共有できたことも、今回楽しかった要因の1つになったかなと感じています。
 

周りに圧倒されたけど、めちゃくちゃ楽しかった!

菊地さん:率直に、めちゃくちゃ楽しかったです!正直、周りのみんなに圧倒されて打ちのめされることも多かったんですが、そのぶん毎回気づきと学びがあり、分厚いノート一冊が埋まるほど濃くタメになる内容ばかりでした。なかなか自分の軸や将来について熱く語れる友人がいなかった私にとって、今回のメンバーのような仲間と出会えたことは一生モノの財産だと思っています。


眞竹:みんな、大変だったと思いますが、「楽しかった」という声が聞けて事務局としても嬉しいです。では、Day1〜Day5の中で、一番印象に残っているプログラムと、その理由を教えてもらえますか?
 

共に過ごしたメンバーからのアドバイスで仲間を実感

倉森さん:Day5【アドバイススクランブル】です。チームのみんなから誉め言葉も、今後に役立つアドバイスももらって、本当に仲間だったなと実感する時間でした。互いに興味をもって接していないと、相手の直すべき点など、考えつかないと思います。例えば、私がもらったアドバイスで、もっと自分を出してほしかったっていう意見が出てきて。eyaと違ういつものコミュニティでは、自分の意見がそのまま通ってしまうところがあって、今回は自分が意見を出すとしても、もっとみんなで考えた後に答えを出したいっていう気持ちがすごくありました。なので、あまりチームの方向性を決めるような発言っていうのはしないまま終わりました。でも、それを抑えてるうちに私らしさみたいなものがみんなに伝わらないコミュニケーションになってしまっていたかなと思って。eyaでの自分らしさの発信の仕方と周りの受け取られ方が違うっていうところに気づきました。今後何かチームとか組織でするときは私らしさっていうものを捨てないままみんなの意見ももっと活発にできるような別のやり方っていうのを模索する必要があるなと学びました。
 

バックキャスト思考で、自分の研究も変わってきた

前川さん:Day3【未来創造スピーチ「10年後のあるべき姿」】が、特に印象が強いです。バックキャスト思考を体験できたこと、プレゼンの難しさとやりがいを学べたことが、大きな理由です。バックキャスト思考は初体験でしたが、突拍子もなさそうな未来を考える楽しさや、未来を考える上でのビジネス視点を知ることができ、以前とは違う考え方ができるようになった、有意義な経験でした。実はこの経験で、僕が進めている研究に対する切り口が、大きく変わりました。これまで目先の、今ある壁に向かって実験をどんどん重ねていくようなアプローチが多かったんですけども、大胆な発想を一回立ててみて、最終的にこの研究をこういうところに持っていきたいっていう、最終的な像を改めておいてみて、「そこに向かって必要な実験って何だろう」っていうところからと捉え直して、今までとはかなり分野の異なる実験手法にもチャレンジしたりしています。
 

実際の企業アセットを使ったプレゼンでの議論の深まり

井元さん:Day4【イノベーションアイデア・プレゼン】です。実際に「企業アセット」を使う必要があり、初めて行う思考や議論が多かったからです。分かっていたつもりだったけれど、短期のインターンでやる事業立案ワークとは違い、自分が企業に入ってからビジネスアイデアを詰め切って実行していくのは本当に大変なんだろうなと感じました。自分が今までインターンとかで経験した事業立案だと、どういうドメイン設定だと自分たちは入りやすいのか、伸びやすいのかとか、市場規模、競合出しなど、そういうところまでしかしてなかったんですけど、eyaだとそこの解像度がすごい上がって、「この企業ってどんなアセットがあるんだろう」というのを、企業ごとにしっかり出して、そこに対して自分たちの「理想の10年後」と照らし合わせた時に、このアセットをこういう風に使えるかもねっていうような、現実に近い議論ができたところが違ったなと思います。


 
Day4【イノベーションアイデア・プレゼン】のスライドから抜粋。理想の社会を描き、日本の状況、また事業アイデアに対する技術の現状把握を踏まえて、企業のアセットを活用してのビジネスモデルと、ストーリーの中に説得力のあるプレゼンテーションでした。


眞竹:今、井元さんが、eyaと他のインターンシッププログラムの違いについて感じたところを話してくれましたが、他の皆さん、いかがでしたか? 
 

アイデアを冒険できる時間があった。

齋藤さん:プログラムの期間が長く、アイデアの「実現性」に肉付けする時間が十分にあるので、アイデアの「新規性」においても冒険できるという楽しさがあると思いました。他に参加したインターンシップで3日間のプログラムがあったんですけど、新規性と実現性の二軸があるなかでも、実現性がないと企業から評価されない、ということがありました。eyaのプログラムの中で、アイデアをジャンプさせてから着地させるのが大事だ、という話がありましたが、3日間だとこの距離がたぶん短いんです。engawaはそれが2カ月間あったんで、ジャンプの距離がおのずと高くなって、ぶっ飛んだことを思いついてもそれを実現として落とし込めるっていう時間があるっていう意味で、冒険できたなっていうことがありましたね。
 

参加しているメンバーの多様性

前川さん:社会人、学生共に、関わる人の多様性が、他のインターンシップと大きく異なると感じました。通常の単独企業開催のインターンシップでは、学生の雰囲気や専攻分野はある程度似通ってくるのかなと思いますが、eyaに集まった学生は皆異なる背景を持っていて、性格や興味の向きどころが全然違う。例えば、倉森さんは様々な活動をされていて、その中で適切なところで適切なタイミングで適切な言葉を置いていくみたいな、動き方ができていて、普段の僕の周りだと何か一つのことに取り組んでる人がすごく多いので、そういう風にいろんなところに首を突っ込みながらもそれぞれの所で活躍できているっていうのはなかなか出会わないタイプでしたし、これまでなかった視点の考え方を知ることができ、視野が広がりました。

眞竹:eyaではDay1「メンタードラフト」で、自分たちのチームのメンターを選ぶ、というプログラムも一つの特徴と考えていますが、その仕組みについてはどう思いましたか?


チームで決めたメンターだから

倉森さん:自分たちが不安な時も、「チームみんなで決めた方だから」と素直に頼ることができました。選ぶ時に考えたのは、「この3カ月だけじゃない繋がりを持っていただける」って思ったことと、「今まで違うものを経験した俺が教えます」じゃなくて、「みんなが考えているものが最大限に魅力的に見えるように調整役として支えるよ」という姿勢に惹かれました。また、日が経つにつれて、メンターさんの色が、各チームの特色に反映されていて、他のチームへの興味が深まるとともに、自チームへの愛着がわきました。
 

学生と社会人が、公平な立場に

齋藤さん:最初にメンターを自分で選ぶっていう段階で、学生と社会人が公平な立場にある、という概念を下支えしていると感じていて、実際にがメンターと話していくうちに、今まであった社会人の中で一番親身に接してくれたというか、例えたらサークルの先輩くらいの距離間で結構助言をしてくださっていて。距離間も他のインターンシップよりも圧倒的に近かったので、このシステムはすごい僕はいいなと思いました。
 

初日から問われた、観察力

鎌田さん:正直、監督選びをしているような感覚で楽しかったです。これからの3か月間を左右するとも言える決断を初日の初っ端から迫られた為、全員が引き締まり慎重な面持ちになったのを覚えています。誰が一番自分達のチームの特色に適応できるかを様々な視点を持って話し合うのと同時に、短時間で見極めなければいけないので観察力が問われていたのも高揚感を得ました。(笑)

眞竹:「複数の企業と長期間かかわれる」、という座組みはどうでしたか?
 

3ヶ月だからこそ感じられた、会社ごとの雰囲気

菊地さん:正直会社説明会や短期インターンだと色々と繕う事ができると思いますが、学生側もメンター側も3ヶ月の長丁場で、素の部分などが垣間見えてきて、最終的にはメンターの個性も色濃く出て、会社ごとの雰囲気の違いを感じる事が出来てよかったです。例えば、プレゼン資料を作るときにフォントを全部揃えて、だとか、使う文型とか配色とかそういうところまで1枚1枚見てくださって、そういうところまでこだわってもいい会社なんだとか、他のチームだとプレゼンに劇が入っていて、飽きない演出を加える面白さなど、そのチームならではかな、とか思いましたね。またフィードバックに関しても、企業によって評価基準が様々で、この業界の方はこういうところに着目するんだ〜、と各社の考えや大切にしていることの違いを知る事ができて面白かったです。


イメージががらりと変わった企業があった

前川さん:視野が広がるという点で、良かったと感じています。Day3【リーダー/イノベーター見本市】など、通常の会社説明会だけでは知ることができない、企業の最新の取り組みを知ることができる企画があり、イメージが参加前とがらりと変わった企業もありました。例えば、一度、ベンチャー行かれてから戻ってこられたっていうお話もあり、入ってからいろんな道があって、どの企業でも未来に向けて様々な取り組みをされているし、その人材育成に向けた取り組みがされているんだなっていうところで、印象が変わりました。

眞竹:ありがとうございます。では、ご自身のことについて聞きたいのですが、プログラムの前と後、自分が変わったなと感じる点があれば、教えてください。
 

自分という人間を客観視できた

齋藤さん:Day5【アドバイススクランブル】での、お互いを知った上でもらうアドバイスの内容によって、自分という人間の客観視をすることができるようになりました。例えば、発想力あるよ、とか、意外と論理性もあるとか。ほんまに知らなかったわっていう話でしたね、僕自身が。それはプログラムを通してみんなに感じてもらったことだから、それは僕の強みやなということを認識した時に、僕も負けてないんだな、社会人になることに対して前向きにいけるんだなっていうのが、僕が感じたことですね。
 

目指したいリーダー像を、日々の取り組みへ

井元さん:自分が目指したいと思えるリーダーシップが見つかったので、今いる環境でそれを実践した先に、1年後どんな風に周囲や組織にインパクトを与えられているか考えると、楽しみな気持ちが大きいです。自分が目指したいのは「やり切る力を持ったリーダー」なのですが、例えば、今いるインターン先で考えたときに、eyaの後の1ヶ月で取り組んだのは、誰よりも論の部分を詰めて、誰から相談されても的確にこうなっているよね、こういうデータがあるからこうだよね、というのをしっかり答えられるようにアクションが変わったかなって思います。Day2【教養ディベート】で、他のメンバーに比べて情報収集・整理が甘く、悔しい思いをしたところもきっかけでした。また、Day3、4でのプレゼンへ向けてのチームでのワークを通じて、意見や視点の違いを許容し、自分の思考をいったん置いて相手の話を聞くことができるようになり、意見やイメージを深く理解するようになったことも感じています。
 

日々の思考で「ひねくれさ」が増した

鎌田さん:良質な「ひねくれさ」が増したと思います。日常生活の小さなものから世間でトレンドになっているようなものまで、自分の中での軸をしっかりと持った上でひたすらWHYを追求するようになりました。例えば何で信号って赤青黄色の3色なのだろかという素朴な疑問を抱き納得いくまで調べたり、Clubhouseもやらずに批判するより、とりあえずやってみて自分なりにメリット・デメリットを整理して流行した仕組みについて考えてみたりと、確実にプログラム前では意識していなかったことを自然と思考している自分がいます。自分にとって大きな成果で、1日1日の充実感も上がったと思います。

眞竹:新しい自分への発見があったり、日々の行動や視点が変わったり、事務局としてもとてもうれしいですね。他の皆さん、はどうですか?eyaを通じて、得られたこと、学んだことを教えてください。
 

チームで共創することの難しさとやりがい

前川さん:アイデアの生み出し方やそれを実現する為のビジネス的視点など、イノベーションを起こすために必要な多くの知識と経験を、課題に取り組むことやたくさんの社会人の方々と関わる中で得ることが出来ました。個人的には何よりチームで共創することの難しさや、やりがいについて学べたことが貴重な体験でした。僕は大学でオーケストラのコンサートマスターをしていたのですが、オーケストラのように一つの目標に向かって動いているメンバーと違って、eyaではメンバーそれぞれの事情やモチベーションが様々であったために、思ったように進捗できないところもありました。それでもチームの理想像を共有し、相手のことを思いやりながら柔軟に仕事を分担し合うことで、よりよいアウトプットにつなげられた時には、かけがえのない喜びを感じました。この体験と絆は、これから社会人になってからの財産になると思います。
 

状況に応じて、自分の強みを使い分ける

菊地さん:視野が広くなり、処理能力が格段にUPしました。ひとつひとつの事を丁寧にするのが自分の個性だと思っていましたが、ビジネスの場においては無駄な工程も多いことに気づかされました。もちろん、無駄が活きることもあるのですが、実際のこういった場面ではどう効率化して、タスクをこなしていくのかも重要な場合もあると学びました。状況に応じて自分の強みを使いこなせるようになればどんな環境でも適応していける、とポジティブに次へ繋げています。ちょうどeyaが終わった後に、別のインターンに参加したのですが、eyaに挑む前の自分と、終わってからの自分のスタートラインが違っていて。「じゃあ、議事録とっていくんで」って、場を回せている自分がいて驚きました。
 

自分の発言が、誰かの学びや気づきになれる

倉森さん:eyaに参加する前、組織とかチームに対して、自分の発言の影響力みたいなものに少し怖さみたいなのを感じてて、そういうことに否定的になってたんですけど、eyaでもっと知りたいって思ってくれる仲間がいて、正しいか正しくないかじゃなくて、あなたはどうなの?っていう聞き方をしてくれる同世代がいるっていうのは、すごく自分の安心感になりました。これからは、自分が思ったことをこれがいいと思うっていう言い方じゃなくて、私はこうしたいな、私だったらこういう選択肢を選ぶかなっていう伝え方をするだけで、お互いにこんなにも当たり前が違って、そんな考えあったの?という、誰かの学びとか気付きとかになれるんだなっていうところは、すごく自分の自信に繋がったというか、頭でじゃなくてきちんと心と肌で感じられたなって思います。

眞竹:では最後に、次回参加される学生の皆さんに一言、メッセージをお願いします!
 

等身大でぶつかっても受け止めてくれる仲間がいる

菊地さん:はじめましての人たちと関係を築きながら共に何かを創り上げるのは簡単なことではないと思います。普段自分が関わることのないような人たちと出会い、様々な経験やバックグラウンドのある人たちと自分を比べてしまって、「自分って何なんだろう?何ができるんだろう?もはや何者?」と自問自答することもありましたが、自分を見つめ直すには絶好の機会でした。等身大で言いたいことをぶつけて悩んでも、しっかり向き合って受け止めてくれる仲間がいる素敵なコミュニティです。とことん使い倒して活用して欲しいなって思います。
 

これからあの時間を過ごせるのが羨ましい!!

鎌田さん:各プログラムに対して約1か月間の準備期間を与えられますが、体感では本当にあっという間です。徹底的にスケジュール管理することを強く勧めます。(日程管理係を設けるなど)ちなみに私達のチームはDAY3からDAY4の最後の期間でやっと予定通り作業を遂行して余裕を持つことが出来ました。(笑)これからあの時間を過ごせるのが羨ましくてたまりません!応援しています!!!


 

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#インタビュー

【 engawa young academy 】 メンターインタビュー  NTT西日本篇

2020年10月より、engawa KYOTOにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy 2020(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eyaに参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第1回目は、NTT西日本の谷村さん、石田さんにお話を伺いました。 写真左)西日本電信電話株式会社 人事部 人事第一部門  谷村 祥太さん 写真右)同社 ビジネスデザイン部 スマートデザイン第3部門 石田 裕紀さん 所属は、取材:2020年11月当時のものです。   −eya、初日を終えての率直な感想はいかがでしょうか? 谷村さん :一言で楽しかったなと思っています。学生の皆さんが優秀で、皆さんへの興味・関心を刺激されたところがその源泉でした。石田とも喋ったんですけど、僕も学生時代に起業したり、石田も団体の主催をやったりしましたが、その昔のチャレンジ精神を学生から改めて教わったなと思いました。 石田さん :起業するとか団体立ち上げるとかって、僕の世代では比較的レアな経験だったように思います。けれどeyaに参加している学生は、起業や団体運営なんかは当然経験済みで、ICTやSNSを使いこなしながら個人としての影響力も高い。そういう経験を持った人の数が、僕らの時代とは比較にならないな、みたいな会話をしていました。    −学生時代の活動におけるラインが上がっているように感じます。僕も学生の自己紹介の時間、一定層の学生を集めているとはいえ、こんな時代なんだ、と思ったところでした。 石田さん :学生の自己紹介の時間は驚きの連続でした。僕らの世代のプレゼンって、オーディエンスは静かに聴くじゃないですか。でも今の世代はどんどんチャットで盛り上げるし、プレゼンターもそれを取り上げる。静かに聞くことがマナーって感じる世代と、チャットとか使って盛り上げてあげるのがマナーって感じる世代と、人をリスペクトしようっていう方向性は同じなのに、アプローチは全く逆だな、と。   谷村さん :たぶんインスタライブとか、webのライブ放送でも番組しながらコメントするのが当たり前じゃないですか。ビジネスの場にも、そういうのがこれからおそらく出てくるんだろうなって感じですね。   −では、そういった学生を前に、谷村さんにメンタードラフト※をしていただいたのですが、その感想を聞かせてください。 ※メンターが企業名を隠して、学生に対して自己紹介プレゼン。学生が希望するメンターを指名するプログラム 谷村さん :採用担当として、学生の立場に立ててよかったなって思います。あんな心持ち、緊張感、本気度を持って、学生の皆さんが面談に来ているんだろうなって思いました。採用の場面では学生側に求めていることなので、今後にもつながるいい機会だったなって思います。   −企業側のeyaへの本気度を伝える上で、あの緊張感が学生側にもよい刺激になっていると思います。ではここから、御社のことについてお伺いしていきます。御社は今、学生からどういう企業イメージを持たれていると思いますか? 谷村さん :固定電話や光インターネット回線といった通信ネットワークのみを扱う単一事業者のイメージが強いのではないかと思います。   −では、御社の実際の姿を知らない学生へ、実はこんな企業なんです、という、知られてないけど伝えたいこと、紹介して頂けますか? 谷村さん :ネットワーク事業が根幹で中心なんですけど、通信関連で言うとデータセンターとかセキュリティ、コンタクトセンター(顧客からのお問い合わせ・お申込み対応窓口機能)のソリューションもやっていたりします。通信以外の、あまりイメージがないのかなというところでは、不動産ビジネスとかドローンビジネス、あとはインターネットラジオとか電子コミックといったコンテンツ系のビジネスもやっています。例えば、ドラマ「私の家政婦ナギサさん」(2020年9月:TV放送)は、NTTソルマーレというグループ会社の電子コミックのコンテンツです。単一事業でネットワーク、インフラっていうと守るイメージが強いと思うんですけど、ネットワーク部分でのチャレンジはもちろん、多角化展開へのチャレンジもぜひ知ってもらえたいです。   −確かに、ネットワーク以外でそこまで多角化にチャレンジされていることは、なかなか伝わっていないかと思います。ネットワーク以外の多角化へのチャレンジですが、そこに踏み出すタイミング、きっかけがあったのでしょうか? 谷村さん :固定電話はもう使われなくなってきている、という現状と、光インターネットも普及率を人口ベースで100%に近づいていて、NTT西日本の光サービスのシェアはエリアにもよりますが、その内の6割、7割というレベルでの争いになっているんです。そういったことを考えると、他の競争分野に人もお金も使わないと、固定電話の減収をカバーできない状況で、そこに対してどうチャレンジしていくかっていうのが今のうちの会社の命題ですね。   −多角化展開を図るにあたって、何かしら基準はあるのでしょうか? 谷村さん :1つあるのは、地域の社会課題にコミットできるかみたいなところで、「ビタ活」と言っている取り組みがあります。「ソーシャルICTパイオニア」(ICT:Information and Communication Technology(情報通信技術))として、地域を元気にする“ビタミン”のような会社になろう、という意味です。 NTT西日本のソーシャルICTパイオニアの事例 https://www.ntt-west.co.jp/brand/regional/   石田さん :自社のアセット、ノウハウがしっかり活かしながら、今、谷村が申し上げた、特にその中でも社会課題とか地域創生、ワールドワイドというより地域密着型の課題解決ができる事業をつくっていこうっていう、軸がありますね。 谷村さん :日本の数ある企業の中でもめずらしい会社だと思います。市場として、世界や首都圏という選択肢を取りづらく、かつ47都道府県のうち30府県をエリアカバーする多くの地域をマーケットとして持っている会社。地域の発展が当社事業の発展であり、その地域が広いという非常に特異な会社なのではないかと思っています。   −なるほど、先進の技術とそのノウハウを、西日本という広いエリアにある様々な地域の特性、課題に合わせてどういかしていくか、というポジションは、確かに独自性がありますね。この取り組みが一つの形、ビジョンとなっているのが、スマート10x(エックス)、ということでしょうか。 谷村さん :そうですね。ICT(情報通信技術)をコアに、B to B to Xと表現している ますが、例えば顧客企業が持っている事業ノウハウと弊社が持っているICTを掛け合わせて、顧客企業の先にいるお客様に対して価値提供をする、その際のスマートの部分を僕たちが担う、ということです。例えばアグリだったり、エデュケーションでのギガスクール支援やローカル5Gを使ったスマートファクトリーとしての工場自動化、スマート防災としての水門陸閘の自動化など、スマート10xであげている領域を通じて地域を元気にするという価値観で展開していくイメージを持っていただけると近いと思います。   ※スマート10xについて https://www.ntt-west.co.jp/business/n-colle/smart10x/   石田さん :先ほどの、新規事業展開における基準の3つめを、今、スマート10xのことを話しながら思い出したんですけど、まだ取り組みの途中ですが、単なるICT、ITのシステムを作って終わりじゃなくて、それを使って既存の業界のビジネスプロジェクトを変えるとか、オペレーションを変革するとか、そこまで食い込まないと、本当の意味で顧客の課題解決になる時代じゃないよねっていう課題感がすごくあります。   −スマート10xの裏には、そういう課題感があるんですね。石田さんが所属しているビジネスデザイン部が、スマート10xの中心を担われていると聞いているのですが、具体的に石田さんはどのような事業をやられているのでしょうか?  石田さん :具体的には、インフラ事業者 向けにICTを使ってDX化を推進していく、それによって新しい事業のオペレーションのやり方を構築する、ということに取り組んでいます。例えば、スマートメーターという商材があります。ガスや電力、水道の事業には検針業務が必要で、これを無線回線で遠隔化・自動化しましょうというものです。 1つのメーターが持つデータ量は少ない一方で、対象となるメーターの数が何百万台と存在します。さらにメーターは、家の奥の電気がない場所についていたりすることが多く、取り換えも数年に一度だけなので、スマートメーターは電池稼働で数年間稼働する必要があります。つまり小容量でもいいから、出来るだけ省電力で通信できるIoTデバイスとネットワークが必要なんです。 弊社のグループ会社であるNTTネオメイトからは既に、LoRaWAN®(ローラワン)というLPWAネットワーク(省電力を特徴としたネットワークの総称)を提供しています。これを使って、スマートメーターを遠隔化するだけでなく、さらに付加価値を作れないか検討をしていて、例えば、リアルタイムでデータが取れるため、そこから水の量が見えてくると、断水・漏水の発生箇所を推定できないかとか、高齢者の方の見守り、あと水の需要予測をより精緻化することで水道事業そのものをより最適経営に変えていく、そういうことを目指せたら、という考えでやってます。このように、LoRaWAN®を軸として、IoTデバイスからネットワーク、データ収集サーバまでを含めたトータルソリューションの提供を目指し、今まさに商品開発からプライマリーユーザの開拓まで、新規事業のすべてのイベントに関わりながら、プロジェクトを進めています。 谷村さん :ちなみに、福岡市では、このLoRaWAN®を産業振興という目的に活用するという試みを行っています。 Fukuoka City LoRaWAN®の取り組みについて https://www.ntt-west.co.jp/ict/casestudy/lpwa_fukuoka.html   −単純に通信って、高速・大容量になればいいかっていうことでもないんですね。ついそっちの方に目が行きがちなので、とても面白い切り口です。もう少し聞きたいところなのですが、、、次の質問にうつらせて頂きます。御社の採用に関してですが、御社が重視している指針や取り組みを教えてください。 谷村さん :当社が最も大切にしていることは、「多様な採用」です。学歴や経験、スキルに囚われない、幅の広い採用活動をめざしています。インターンについては、学生に成長環境を提供すること、採用としては時間・場所・手法を幅広く構えて、多くの学生に会うことを一番に考えています。   −御社が行うインターンでは、学生にどのような成長環境を提供してらっしゃるのでしょうか。 谷村さん :インターンの主題は「10年後の未来の社会を考えましょう」というもので、eyaにも似ていて最大2ヶ月に4日間しか集まらないんですけど、定期的にピックアップした新聞記事やPEST分析、3C分析などといったビジネスフレームなどを弊社のビジネスチャットツールを使って送ったりして、学生の一般的な教養知識を深めてもらうことを考えています。   −お伺いするに、正直準備が大変なインターンだと思うんですけど、なぜそのような取り組みをされるのでしょうか? 谷村さん :根本的な思想として、限られたマーケットの中で各社が競い合って人を取り合うって不毛だなと思ってます。そうじゃなくて、マーケット自体の質を向上させれば、もちろんその数に限りはあるんですけど、勝った負けたじゃなくて全員ハッピーになれるんじゃないか、という思想の元で、今のインターンを提供しています。   −まさに、eyaも同じ思想です。そのようなインターンをされている中で、御社が求めている人材像はどのようなものでしょうか? 谷村さん :一言でいうと、「変われるand変えられる人材」です。「(変わることを受け入れる)素直さ」、「(変わろうとする)ちょっとした勇気」、「(変わるための努力を)やり切る力」、「(周りを変える)影響力」が必要だと考えています。まず変わることを受け入れる素直さって必要だなっていうこと。変わるときにかかる精神的コストを乗り越えられる人。変わろうとする勇気を持っているか。で、変わろうとすると小さなことから1つずつ達成しないといけないんですが、それらを最後までやり切れるかっていうところ。最後は、基本的にビジネスってチームで動いたり、お客様がいたり、複数の人と働くので、周りの人たちを感化していける影響力を持っている人です。   −そういった人材にアプローチする上で、課題と感じているところを教えてください。 谷村さん :心底、当社のインターンは学生の成長に寄与すると思っていますので、良くも悪くも「NTT西日本」という看板が大きいことで、選択肢に入らない学生がいるのではないかと思っています。自己成長の場としてもっと多くの学生に参加してほしいと思っています。採用としても「NTT西日本」から想起されるイメージが固定化されてしまっている部分があると思うので、それをどう多様なものに変えていくかが課題です。   −NTTが強いブランドだけに、ハードルが高い課題ですね。eyaの中で、学生に対してそのイメージを崩すサポートができればうれしいです。では、社内で多様な人材を育成するために、社員への成長機会の提供などに関する取り組みがあれば、教えてください。   オンライン取材の様子 左)インタビュアー: 電通 京都BAC engawa young academy 事務局 眞竹 広嗣   谷村さん :当社は人材開発ビジョンとして「個の自立」を掲げています。そのため、1,000を超える研修や通信教材を準備し、画一的な人材の育成ではなく、社員自らが選び取って成長していくことのできる環境を整えています。人事運用面でいうと、リーダーやマネージャーといったポジションに若いうちからつかせようとする傾向が強くなっているのがここ最近の当社の動きです。   −石田さんは、そういった社内制度を活用されてMBAを取得されたと思うのですが、現在のビジネスデザイン部に所属まで、どのようなキャリアなのでしょうか? 石田さん :元々僕は、島根県で営業をやった後に、経営企画部に配属になりました。その時に、東京と いう日本で一番おいしいマーケットがない西日本、競争も苛烈、だから付加価値の高いサービスや通信以外の新規事業っていうのも作っていかなくちゃいけない、っていう経営課題を持っている会社って特殊だな、と思ったんです。自分が経営企画という立場からどう取り組むかを考えたとき、この特殊な経営について議論をしたり、知恵を授けてくれる仲間を作るというのはいいかもと思って興味を持ったのがMBAだったんです。で、ありがたいことに社内の人事制度で送り出してくれて、帰ってきたら行くとき以上に新規事業を何とかして作ってくんだという課題が会社の中で大きくなっていて、その流れで今の部に着任しました。    −ご自身の変化と企業の変化がシンクロしての現在のポジションに着かれたんですね。では、ここからeyaのことについてお伺いしたいと思います。御社は企業の変化がさらに加速している環境下だと思うのですが、その中でeyaに参加されたその理由、意義、メリットなどを教えてください。 谷村さん :世の中的に「優秀」と言われる人材がどういった人材なのか、を知り、当社の母集団との差分を知ることができれば、と思いました。   −では、ご自身として、メンターとして参加する意義や期待、メリットなどはいかがでしょうか? 石田さん :一つはコーチングや育成という観点で自身の成長がある点。参加している社会人の方は、「今プロジェクトをガンガン引っ張っている人」が多いと思うけれど、eyaでは「学生が主体的にプロジェクトを動かしていくことを如何にフォローするか」だったりするので、ある意味では今のキャリアの先のことに取り組めているようにも思います。   −eyaは、異業種による人材育成への取り組みになりますが、そのような取り組みに対してどのような効果、刺激を期待されますか?  谷村さん :学生の個の能力を上げることもできれば、と思っていますが、多くの企業が集まるからこそ伝えることのできる、社会を構造的に理解できる力や一つの物事を多様な角度からとらえる力を一緒に蓄えていけたらな、と感じています。 石田さん :参加されるすべての人にとっての変化や成長といった飛躍のきっかけになれば良いと思っています。自分にとっては、今の①若い世代、②同世代の異業種から、視点や視座の違い、モチベーションの違いなどを学べることを期待しています。   −eyaの学生たちと接して、感じたこと、期待することはどのようなことでしょうか? 谷村さん :自分から動いているな、と思っていますし、人事としては、このような学生に対して強みを伸ばしてもらえるようなパーソナライズな育成環境をどう提供するか、をすごく考えさせられます。 石田さん :今の良さを持ったまま、自由に社会に羽ばたいてほしい。みな素晴らしい能力や経歴を持っているのに、人間的にも素晴らしいので、ぜひeyaや今後色んな場で出会う人たちを大切にして、それぞれの人生を楽しんでほしい。   −メンターとしてeyaの学生たちに伝えたいことや意気込みをお願いします。 谷村さん :皆さんとともに学び、成長できればと思っています!その中で自分の今までの経験から伝えられることは全力で皆さんにお伝えしますし、皆さんからもたくさんの刺激を受けられればうれしいです!最後は戦友になれるように全力で取り組みましょう! 石田さん :学生のみなさんに負けないよう、一生懸命取り組みたいと思います。いっしょにeyaを楽しみましょう!    

#インタビュー

【新連載!】スタートアップに聞いてみた(株)Stroly 高橋真知Co-CEO

今回から始まりました。新連載、スタートアップに聞いてみた。実は京都BACはスタートアップ企業との取り組みも多く、面白い視点でのサービス・プロダクト展開をされている企業の紹介やいまだから聞きたいことなど、いろいろお話してみる連載にしていきます。 第一回目は在京都の地図のイノベーションを起こす(株)StrolyからCo-CEOの高橋真知さんのインタビューです。 インタビュアーは京都BACの片山俊大さんでお送りします。   コロナ禍で、インタビューはオンラインにて行いました。笑顔が素敵な高橋Co-CEO。   京都BAC片山(以下、片山):Stroly(ストローリー)は、どのようなサービスを提供しているのでしょうか?    Stroly高橋さん(以下、高橋さん):世界中には、数えきれないほどの“地図”が存在しますよね。京都の地図、パリの地図、カフェマップ、手書きマップ、江戸の古地図、イベントマップ、遊園地マップなどなど、挙げ始めたらキリがない。しかし、それらの地図の多くは、いまだにデジタル化の恩恵を受けておらず、もっともっと地図が持つ魅力を活用・拡大することができると思います。 そこでStrolyでは、どんな地図でも誰でも簡単にオンライン上に登録することができ、デジタル化&GPS連動を通じてさまざまなインタラクティブな体験を提供するというプラットフォームを提供しています。これにより、いろんな個性・切り口をもつ地図たちに、デジタル化によるさまざまなメリットをもたらすことができるようになりました。   Strolyウェブサイトより   片山:Strolyは、どのような成り立ちですか?   高橋さん:Strolyとは、Stroll(散歩する)+Story(物語)を掛け合わせた造語です。元々はATRという研究所の社内ベンチャーとして立ち上げ、2016年6月に会社として独立、2度の資金調達を経て、現在創業4年目に入りました。2017年には、日本人唯一のSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト、以下SXSW)のファイナリストに選ばれ、SXSWの公式マップも手掛けております。社員も約半分は女性で1割以上が外国人、Google出身者など、初期の段階からグローバル&ダイバーシティを意識した体制となっております。   編集長註: SXSWとは? 毎年3月にアメリカのテキサス州オースティンで行なわれる、音楽祭・映画祭・インタラクティブフェスティバルなどを組み合わせた大規模イベントです。ここでファイナリストに選ばれることはとってもすごいことなんです!   片山:素敵な会社ですね。Strolyのサービス内容をもう少し詳しく教えてください。   高橋さん:Strolyのコンセプトは、“Share the way we see the world”(世界の見え方をシェアしよう)です。本来、同じ街や場所でも、100人いれば100通りの見え方がある。だからこそ、さまざまな視点で描かれた個性的な地図をもっと活用することで、社会をもっと楽しく豊かにすることができる。そのために、世界中に散らばっている地図をデジタル化してシェアする仕組みを提供しています。   Strolyのウェブサイトより。数多くの国から多数のクリエーターが地図を登録している。   地図をストローリーのプラットフォームに登録すると、簡単に位置情報を定義付けることができ、それにより、利用者はスマホ上でGPSと連動することで自分自身の位置情報がいて供されるのはもちろん、さまざまなお店や目的地の情報やクーポン等を提供することができます。つまり、登録したどんな地図であっても、デジタルならではの利便性を活用することができるようになるのです。ちなみに、イラストマップや古地図など、登録した地図の縮尺が大きく歪んでいたとしても、アルゴリズムで計算して位置情報を定義してくれます。   片山:多様性と利便性の両立ですね。   高橋さん:今では、世界50か国以上からさまざまな個性的な地図が投稿されています。たとえば、「ベトナムのサステナブルファッションに関する地図」とか「カリブ海の豊かさに関する地図」など、切り口がかなり独特・個性的な地図もあります。地図というものは、それぞれの国や人特有の文化を映し出す鏡と言えますし、それがシェアされることによるメリットや面白さは大いにあると思います。   片山:企業との連携などに関してはいかがでしょう?   高橋さん:既に多くの企業と連携をさせていていただいております。不動産デベロッパーと組んだエリアマップ、ゲーム会社とタイアップしたマップ、テレビ番組公式街歩きマップなど、さまざまな切り口の地図をプロデュースしてきました。ロックフェスティバルの公式マップでは、エリア内の屋台情報やトイレ情報などの必要情報をオンタイムで提供しました。 街を楽しみながらエンタテインメントや便利情報を提供することで、自然な流れで消費者の行動喚起、販売促進へとつなげることも可能です。   実際に登録されているタイアップ地図の一例。京都の世界観が表現されたオリジナル地図の上に、おすすめスポットがプロットされている。     電通との協業は? 片山:電通ともさまざまな連携を行っていますね?   高橋さん:ここ京都では、engawa Kyotoのイベントで登壇させていただいたり、Royal College of Art(以下、RCA)のアートシンキングのプログラムに参加させていただいたり、クロステックマネジメントとのコラボ企画を推進したりと、さまざまな連携をさせていただいています。また、電通本社を通じて、クライアント企業との連携等も進めております。   RCAを招いて行われたInnovation Masterclass in Kyotoの様子   編集長註: RCAを招いて実施したInnovation Masterclass in Kyotoの内容はこちらから! 世界が認めるフレームワークを使って未来の本質課題を開拓するワークショップレポート  前編   後編     気になる新型コロナの影響と新しい取り組みとは 片山:コロナ禍で世界は大きく変わりました。Strolyには影響ありますか?   高橋さん:もちろん影響はあります。そもそも人が家に閉じこもっていますからね(笑)。しかし、私たちは悲観していません。そもそもStrolyは、デジタルプラットフォームですから。これからは、Strolyにとって2つのチャンスがあると思います。1つ目が「ローカルの再発見」、2つ目が「バーチャル散歩・旅行」です。   片山:「ローカルの再発見」とは何でしょう?   高橋さん:今回のコロナ禍で、人々は、“自宅の半径〇〇m以内”といったような、ローカルの範囲内で生活することを強いられています。そして、地元のスーパーに行き、地元のレストランでテイクアウトし、地元の公園で息抜きをする。その際、地元に関するいろんな情報が必要になると思います。例えば、スーパーの混雑具合を知りたいだとか、テイクアウトを始めたレストランのメニューや時間を知りたいだとか、そういったさまざまな“ローカルの情報”に関するニーズなどです。そういったニーズに対応したマップを、これから多く手掛けていきたいと思います。これからますます“地元愛”が高まると思いますから。   片山:「バーチャル散歩・旅行」とは何でしょう?   高橋さん:これからは、“リアル”な散歩・旅行に加え、“バーチャル”な散歩・旅行も、普通に行われるようになると思います。バーチャル空間を訪れて散歩し、そこで買い物をし、人と出会う。さまざまなプラットフォームを通じて、そういった行動が急増しています。そういった、バーチャル散歩・旅行に対応した、オンライン上だけでも十分に楽しめ活用できる地図サービスを積極的に提供したいと思います。 残念ながら中止となってしまいましたが、先日、SXSW 2020のイベント周辺マップを企画プロデュースしました。元々は、Stroly上のマップがリアル空間と連動するよう設計されていましたが、そもそもリアルが中止になってしまったので、方針転換して、バーチャルのみで楽しめるマップを提供しました。今後は、オンライン上で音楽イベントを行ったり、物販を行ったりするなど、オンライン上ででも盛り上げていければと思います。また、そのマップ自体、アーティスト田中 紳次郎さんオリジナル制作の、アート作品なのです。“デジタル&インタラクティブな機能をもつ地図”のアート作品は、人類史上初だと思います。(笑)   アーティスト田中 紳次郎さんオリジナル制作によるバーチャルSXSW2020の地図。会場とイベントが地図上にプロットされている。   同じオースティンの地図でもNight Map(夜を楽しむ地図)、Music Map(音楽イベントの地図)などバリエーションから選べ、同じエリアでも違うクリエーター、違うスポットが紹介されている   片山:夢が広がりますね。最後に、Strolyの未来ビジョンについてお聞かせください。   高橋さん:私たちは、起業当初からずっとグローバルに照準を合わせてサービスを展開してきました。しかし、それでもなお、これまでは国内の比重が高かったと言わざるを得ません。今回のコロナ禍を受けて、リスク分散の観点も含め、完全なグローバルサービスへとシフトしていこうと考えております。 また、昨今ますます世界全体が分断され混沌としてきていますが、私たちは“Share the way we see the world”(世界の見え方をシェアしよう)というコンセプトを活かし、さまざまな文化シェアし、それを発見し楽しむことで、世界平和へ一歩でも繋がればと想っています。   片山:本日は素敵なお話しありがとうございました。   高橋さん:こちらこそありがとうございました!   編集長後記 地図という機能が求められる情報にアートを掛け合わせたデジタルイノベーションという素晴らしいアイデアを事業化されているStrolyさん。コロナ禍で人が外に出ないという“地図”には厳しい状況の中、それを逆手にとったあっぱれな新サービスに転換されました。そんなStrolyさんのさらなる快進撃に今後も大注目です!    

#インタビュー

【 engawa young academy 】学生インタビュー

2019年11月より、engawa KYOTOにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy(以下、eya)。第1期インタビュー、最後に登場するのは、参加学生の皆さん。代表して、最終プログラムの「イノベーション・ビジネスアイデア」プレゼンテーションの優勝チームメンバー(写真の左から)永井さん、寺田さん、藤原さん、射場さん、加藤さん、山下さんにご協力頂きました。   左)インタビュアー) 電通 京都BAC engawa young academy 事務局   湊 康明   ―みなさん、eyaへの参加、またインタビューへのご協力、ありがとうございます。では早速質問ですが、エンガワヤングアカデミーを終えての率直な感想は? 射場さん:開催は月一でしたが、4ヶ月間、日常の中で常に考えてないといけないので、ずっとどこかで負荷がかかっている状態だったと思います。一方で普段の1dayインターンは会うだけですが、eyaは日常の中で考える。それがむしろリアルで、いい勉強になったと思います。日々をどう過ごすかを考えなければならないインターンシップだったので、それはすごく勉強になったと思います。   加藤さん:一番印象に残っているのは、普段関わらない人と4ヶ月という期間、深く関われたことですね。考え方が更新されました。普通にインターンをしていて他学部・他分野の学生と会いますが、4ヶ月話したりというのは、ないですよね。大企業の方々ともプログラム終わって、お話できて。それを4ヶ月通して見ると、色んな影響を人から受けているなと感じました。僕の周りは理系が多いので、言葉遣いも違うし、指摘される言葉で自分の見え方みたいなものが全然違うと気づき、ハッとさせられることがありました。   ―参加メンバーのダイバーシティーがあって、勉強になったってことだよね。では、印象に残っているプログラムを教えてください。 チームクリエイト:  eya期間中のグループメンバーを、学生自身に決めてもらうプログラム メンタードラフト:  メンターが企業名を隠して、学生に対して自己紹介プレゼン。学生が希望するメンターを指名する。 ディベート(知的大運動会):  さまざまなテーマやお題に対してチーム対抗でディベート。投票で勝敗を決める。 イノベーション・アイデアプレゼン:  自グループのメンター企業のアセットを軸に、複数企業のアセットを組み合わせたアイデアをプレゼン。   寺田さん:チームクリエイトやメンタードラフトが印象に残っています。私はビジネスやインターンに遠いところで生きていたので、あまり誰かの言葉を評価したり、「この人とチームを作りたい」とか考える機会がなかったんです。(チームクリエイトの時)私は結構受け身で動いてしまったから、みんなが「この人とチームを組みたい」「こうすればチームを作れる」という発想になっているのをみて、「ここでこんな風に動けるんだ」と思っていました。   永井さん:メンタードラフトとイノベーション・アイデアプレゼンが印象に残っています。メンタードラフトは学生だけじゃなくて、社会人であるメンターの方も試されている感覚と、それに対する緊張感があったことが印象的でした。アイデアプレゼンに関しては、 “前提とか志向性の違う6人で1つのものを作ること”や“そもそもの枠組みを十年後から考える”とか“現代では出来ないぶっ飛んだアイデアがいい”とかが、普通のビジネスプランとは違うなと思いました。複数企業と関わって、いかにシナジー生み出せるのかを考えたのも、貴重な体験だったと思います。   ―ここengawa KYOTOのテーマが企業と企業を掛け合わせようというのがテーマだったから個人的に嬉しいです。他のメンバーの意見も聞きたいのですが、チームメンバーやメンターを自分で選ぶ、という仕組みはどうでしたか?   全体での自己紹介後、メンバーを選ぶチームクリエイトへ   山下さん:自分でチームを選ぶことで、得られる責任感があると思います。もし最初から決められたチームならば、ここまでやる気は出なかったと思うんです。今回のシステムだったら(相手に)指名されて(チームを)作るわけです。指名されると嬉しい訳で、自分を指名してくれた人々とチームを組むとなると、求められている自分を出さなきゃと思うと思うんです。皆、僕の思っていた人間像と全然違ったんですけど(笑)、結果何が大事かというと“自分が初めて組んだチームで距離感を図って、うまいぐらいに立ち回ってチームを運営する”ことだと思います。 メンターを自分で選ぶというのは、どこの企業か最初知らないと、本当に分からないものだというゲーム感覚のワクワク感がすごかったですね。誰を選んでも問題ない中であえてその人を指名するというのは、僕の中では小さい頃によくやっていたような大人に対するストレートな感じと似ていて、久々で楽しかったです。   藤原さん:他社のインターンシップに参加したことがいくつかあるんですが、やはり自分でチームやメンターを選ぶのはeyaでしか経験したことがないですし、仕組みとして面白いなと思いました。今後活動していくメンバーを自分で設計を立てられることにワクワクしました。   ―大人の真剣なところも見せる、というのも狙いの一つでした。では、複数の企業と関われる、という仕組みはどうでしたか? 射場さん:すごく面白かったと思います。複数の異業種企業の共通点と違う点を、同時に対比できたと思います。メーカーと広告会社が、意外と同じことをしていたり、同じ方向を見ていることが話の中で見えてきました。その次の瞬間には、メンター同士でピリッとした瞬間が見られました。   ―ピリっとした感覚とは? 射場さん:前に言ったことと違うことを次の人が言う時に、真っ向からぶつからないように言葉を選んでいる感じがすごくリアルでした。そういうのは基本的に隠すじゃないですか(笑)違う部分と似ている部分がそれぞれあって組織体ができているということを感じました。同じ場所に会社の中でも優秀な方が集まっているからこそ、社会人の方にもプレッシャーがあった気もしていて、それを感じられたのは貴重な経験だったと思います。   永井さん:6チームがあって、それぞれメンターによってチームの色があったのではないかと思います。その各企業の風土や特性がチームに反映されていたのは、複数企業だからこそだったのではないかと思います。   ―皆さんに、こちらの想定より深いところを見られていたんですね。。。では、エンガワヤングアカデミー、他のインターンシップと違うと感じられましたか? 藤原さん:違いました。学生の視点で言えば、インターンシップで短くて1day・長くて1〜2週間だと思うんですが、4ヶ月ずっと同じチームで走り続けるのは他ではない経験だったと思います。アイデアプレゼンだと、他のインターンシップだと会社のプロダクトにまつわる新規ビジネス立案が多いんです。それに対し、枠にとらわれず“10年後こういう社会がくる”というのを考えて、そこから課題を掘り下げる。既得権益なしで自由に思考していくのが、他のインターンシップではできない経験だと思います。ここでは、最後の発表でもそれぞれの班の個性がとても出ていたように、多様な方向に自由に考えてアイデアを練られた点が違うと感じました。   複数企業のアセットを組み合わせたイノベーション・アイデアをプレゼン     加藤さん:藤原くんに付随してですが、大企業のアセットを組み合わせるやり方が、デザインできる幅が広かったと思います。業界全体も動かしていけるんだと考えれば、あるべき未来を本当にデザインできるのかまで考えられました。未来に至るプロセスも、抽象論や机上の空論で終わるのではなく現実味があったのは、力のある企業だったからだと思います。   ―確かに。今回の参加企業の強みはそこもいかされてますね。鋭い指摘です。では、次の質問です。プログラムの前と後、自分が変わったなと感じる点はありますか? 山下さん:最初は意識せずに“与えられたプロダクトやテーマに向かってプレゼンするために何が必要か”という目線で生きていたんです。eyaは10年後の課題というお題が与えられていたので、日常の中で出来るだけその材料を集めたくて探していました。それが癖付いたと共に、その視点の大切さに気づきました。eya終了後も日常の中に潜んでいる課題に目を向ける癖がついたと思います。あとは“自分自身が課題になりうることをしていないか”という俯瞰的な視点・アンテナを持ち得たと思います。     ―他の皆さん、アカデミーを通じて得られたもの、学んだことは? 永井さん:eyaを通して、本質は何かを考えるようになりました。例えばディベートでも、ただ相手を言い負かす表面的なものではなく、情理と論理で相手を如何に納得させるのか、や「あぁ確かに」と思ってもらうことが本質だったのだと学びました。ビジネスアイデアに関して本当の意図は、今できそうな商品ではなく、10年後で時は令和で文化の時代に、“社会に対して企業間でどうシナジーを産み、何を成せるのか”を考えるべきだったと思うんです。表面的に現れるものを思考するより“それによって何が生まれるのか”や“その本質は何か”をあらゆる事象において考えるようになったので、それは学びだったと思います。   ディベートプログラムでの議論 加藤さん:結構僕的には、意識の高い学生が集まっていて、メンターの方も年齢層は様々でしたが、ある意味ロールモデルや未来像になるような人が一堂に会し、大きな未来をデザインしようとしている環境だったので、ここが“社会を変えていくホットスポット”だと思いました。 あとは、インターンシップとか学生で出られるビジコンで今まで培ってきたのは、フレームワークの多さ・エビデンスの量などのHOW論が多かったと感じます。eyaでは、それを相対化して壊し、絶対視しなくなったことが学びでした。僕たちはビジネスライクなチームで優勝は遠いと思われていたんです。それが4ヶ月かけて思考してやっていくと、優勝できました。一般的には手法論とかに終始しがちだけど、その上で「何が本質なのか」が議論されていたということですね。   ―次回、参加される学生に対してメッセージをお願いします。 射場さん:面白そうだと思ってくれている人に対しては、ブレることができるプログラムだと伝えたいです。型にはまっている人たちが、自分の型に気づき、違う型もあるということに劣等感を感じ、自分の今の型じゃない部分にも何かあるかもしれないと、ちらっと感じられるような経験になると思います。もちろん自分の型を強く持ち、ガンガン行く人もいるべきだとは思います。ただ逆に、なんとなく自分が出来てしまっているけど、「今のままでいいのか」「もっと輝ける何かがあるかもしれない」と自問自答している人にとっては、別の型に触れることで、自分に対してストレスを感じられる丁度いい環境が出来ていると思うんです。本当にあと一歩みたいな人が一番成長できるような場所になっていると思います。   藤原さん:一番刺激が得られるのは、多くの社会人・社員と話せることだと思います。どのインターンシップより、社会人の方々が多く参加されていることは間違いないと思います。学生より社会人の方が多いかも、と感じたほどです。僕なりの意見として、人間として成熟するために一番手っ取り早いのが、自分より年上の人と話す方法だと思っています。自分より何年も多く生きているだけ、経験や修羅場を乗り越えてきているので、そういう方から得られる刺激は自分を成長させてくれます。そういう経験をしたい人や新しい刺激を受けたい人にいいと思います。   寺田さん:集まった学生が今年みたいな人々であれば、何かしら特化した人たちが集まると思うんです。自分にないものを持っている学生や明らかに接したことがない人が沢山いる環境で、自分がしてきたことや出来ることをどう活かせるかを考えることがすごく多いんです。その中で、自分として周りの影響を受けつつ、自分の居場所を探していくことをしてほしいと思います。「あの人はこれがすごく出来る」となった時に、「自分のしてきたことは何だったのか」「私がこの場所で果たせる役割は何なのか」を自問自答したことがありました。でも、何かしらここにいる意味はあると考えた時に、「あの人と同じことをする必要はないから、自分だからこそ出来ることを4ヶ月あれば得られる」と思ったんです。なので、そこを改めて考える機会にしてほしいと思います。   プログラムを終えた皆さんと、チームメンターを務めた積水ハウスの皆さん