【 engawa young academy 】 学生インタビュー 篇
#インタビュー
2020年10月〜2021年1月より、engawaKYOTOオンラインにて行われた多業種合同インターンプログラムengawa young academy 2020(以下、eya)。終了後の2月、参加学生を代表して、Day4:イノベーションアイデアプレゼンテーションで優勝したチームのメンバーにインタビューさせてもらいました。
写真上段左から)菊地さん、倉森さん、齋藤さん 中段左から)鎌田さん、井元さん、前川さん
真下段)電通 京都BAC engawa young academy 事務局 眞竹 広嗣
取材:2021年2月に実施
関西からの参加学生が多い中で、井元さんは福岡からの参加、また菊地さんは芸術系大学といった、強みや環境も多様なグループのメンバーと過ごした3ヶ月について、語ってくれました。
眞竹:みなさん、3ヶ月間、ありがとうございました!まずは率直に、eyaを終えての感想を聞かせてください。
コロナ禍の学生で、誰よりも刺激を受けた3ヶ月
鎌田さん:コロナ禍の学生で、誰よりも刺激を受けた3か月間だったと思います。プログラムは月に1度の開催でしたが、ほぼ毎日のようにオンライン上で集まり作業していた為、常に頭の片隅にエンガワがありました。チームとして最後のプレゼンで勝つ、という目標を立てたのですが、プレゼン日から逆算してスケジュール管理して、円滑に進められていたと思っています。プログラムの間の1ヶ月、プライベートで遊ぶ時も頭の片隅には「あと2週間で次のプログラムか」みたいな事とかを考えているのが、ある意味社会人になった感じで、印象深かったですね。でも、一緒に活動しているメンバーの質の高さもあって、他のレポートとかの課題とかに比べたら全然ストレスって感じないっていうのはありますね。自分1人じゃないので、チームとして活動しているっていうのは心強かったです。ベクトルの違うチームメンバーとの長期間のワーク
齋藤さん:楽しかったです。3ヶ月という期間で、チームで何かに取り組むというのが初体験だったこと、今まで出会ったことない人と一緒にワークできる機会っていうのも新鮮だったこと、チームとめちゃくちゃ仲良くなれたことが、楽しさに直結していました。各プログラムにおいてCチームは努力もした上で結果にもつながって、チームで嬉しさを共有できた思いが強くて、それも仲良くなれたことの大きな要因だったかなと思います。実は僕自身、参加する時すごく不安があって。参加者はみんな何かの団体の代表だったり、活動してる人が多かったので、僕自身どういう風に立ち回ったらいいのかなって不安はあったんですけど、終わってみて思ったのは、結構ベクトルは違うけれどそれぞれいいところがあって、そのお互いが持っていないことを最終的に共有できたことも、今回楽しかった要因の1つになったかなと感じています。周りに圧倒されたけど、めちゃくちゃ楽しかった!
菊地さん:率直に、めちゃくちゃ楽しかったです!正直、周りのみんなに圧倒されて打ちのめされることも多かったんですが、そのぶん毎回気づきと学びがあり、分厚いノート一冊が埋まるほど濃くタメになる内容ばかりでした。なかなか自分の軸や将来について熱く語れる友人がいなかった私にとって、今回のメンバーのような仲間と出会えたことは一生モノの財産だと思っています。眞竹:みんな、大変だったと思いますが、「楽しかった」という声が聞けて事務局としても嬉しいです。では、Day1〜Day5の中で、一番印象に残っているプログラムと、その理由を教えてもらえますか?
共に過ごしたメンバーからのアドバイスで仲間を実感
倉森さん:Day5【アドバイススクランブル】です。チームのみんなから誉め言葉も、今後に役立つアドバイスももらって、本当に仲間だったなと実感する時間でした。互いに興味をもって接していないと、相手の直すべき点など、考えつかないと思います。例えば、私がもらったアドバイスで、もっと自分を出してほしかったっていう意見が出てきて。eyaと違ういつものコミュニティでは、自分の意見がそのまま通ってしまうところがあって、今回は自分が意見を出すとしても、もっとみんなで考えた後に答えを出したいっていう気持ちがすごくありました。なので、あまりチームの方向性を決めるような発言っていうのはしないまま終わりました。でも、それを抑えてるうちに私らしさみたいなものがみんなに伝わらないコミュニケーションになってしまっていたかなと思って。eyaでの自分らしさの発信の仕方と周りの受け取られ方が違うっていうところに気づきました。今後何かチームとか組織でするときは私らしさっていうものを捨てないままみんなの意見ももっと活発にできるような別のやり方っていうのを模索する必要があるなと学びました。バックキャスト思考で、自分の研究も変わってきた
前川さん:Day3【未来創造スピーチ「10年後のあるべき姿」】が、特に印象が強いです。バックキャスト思考を体験できたこと、プレゼンの難しさとやりがいを学べたことが、大きな理由です。バックキャスト思考は初体験でしたが、突拍子もなさそうな未来を考える楽しさや、未来を考える上でのビジネス視点を知ることができ、以前とは違う考え方ができるようになった、有意義な経験でした。実はこの経験で、僕が進めている研究に対する切り口が、大きく変わりました。これまで目先の、今ある壁に向かって実験をどんどん重ねていくようなアプローチが多かったんですけども、大胆な発想を一回立ててみて、最終的にこの研究をこういうところに持っていきたいっていう、最終的な像を改めておいてみて、「そこに向かって必要な実験って何だろう」っていうところからと捉え直して、今までとはかなり分野の異なる実験手法にもチャレンジしたりしています。実際の企業アセットを使ったプレゼンでの議論の深まり
井元さん:Day4【イノベーションアイデア・プレゼン】です。実際に「企業アセット」を使う必要があり、初めて行う思考や議論が多かったからです。分かっていたつもりだったけれど、短期のインターンでやる事業立案ワークとは違い、自分が企業に入ってからビジネスアイデアを詰め切って実行していくのは本当に大変なんだろうなと感じました。自分が今までインターンとかで経験した事業立案だと、どういうドメイン設定だと自分たちは入りやすいのか、伸びやすいのかとか、市場規模、競合出しなど、そういうところまでしかしてなかったんですけど、eyaだとそこの解像度がすごい上がって、「この企業ってどんなアセットがあるんだろう」というのを、企業ごとにしっかり出して、そこに対して自分たちの「理想の10年後」と照らし合わせた時に、このアセットをこういう風に使えるかもねっていうような、現実に近い議論ができたところが違ったなと思います。Day4【イノベーションアイデア・プレゼン】のスライドから抜粋。理想の社会を描き、日本の状況、また事業アイデアに対する技術の現状把握を踏まえて、企業のアセットを活用してのビジネスモデルと、ストーリーの中に説得力のあるプレゼンテーションでした。
眞竹:今、井元さんが、eyaと他のインターンシッププログラムの違いについて感じたところを話してくれましたが、他の皆さん、いかがでしたか?
アイデアを冒険できる時間があった。
齋藤さん:プログラムの期間が長く、アイデアの「実現性」に肉付けする時間が十分にあるので、アイデアの「新規性」においても冒険できるという楽しさがあると思いました。他に参加したインターンシップで3日間のプログラムがあったんですけど、新規性と実現性の二軸があるなかでも、実現性がないと企業から評価されない、ということがありました。eyaのプログラムの中で、アイデアをジャンプさせてから着地させるのが大事だ、という話がありましたが、3日間だとこの距離がたぶん短いんです。engawaはそれが2カ月間あったんで、ジャンプの距離がおのずと高くなって、ぶっ飛んだことを思いついてもそれを実現として落とし込めるっていう時間があるっていう意味で、冒険できたなっていうことがありましたね。参加しているメンバーの多様性
前川さん:社会人、学生共に、関わる人の多様性が、他のインターンシップと大きく異なると感じました。通常の単独企業開催のインターンシップでは、学生の雰囲気や専攻分野はある程度似通ってくるのかなと思いますが、eyaに集まった学生は皆異なる背景を持っていて、性格や興味の向きどころが全然違う。例えば、倉森さんは様々な活動をされていて、その中で適切なところで適切なタイミングで適切な言葉を置いていくみたいな、動き方ができていて、普段の僕の周りだと何か一つのことに取り組んでる人がすごく多いので、そういう風にいろんなところに首を突っ込みながらもそれぞれの所で活躍できているっていうのはなかなか出会わないタイプでしたし、これまでなかった視点の考え方を知ることができ、視野が広がりました。眞竹:eyaではDay1「メンタードラフト」で、自分たちのチームのメンターを選ぶ、というプログラムも一つの特徴と考えていますが、その仕組みについてはどう思いましたか?
チームで決めたメンターだから
倉森さん:自分たちが不安な時も、「チームみんなで決めた方だから」と素直に頼ることができました。選ぶ時に考えたのは、「この3カ月だけじゃない繋がりを持っていただける」って思ったことと、「今まで違うものを経験した俺が教えます」じゃなくて、「みんなが考えているものが最大限に魅力的に見えるように調整役として支えるよ」という姿勢に惹かれました。また、日が経つにつれて、メンターさんの色が、各チームの特色に反映されていて、他のチームへの興味が深まるとともに、自チームへの愛着がわきました。学生と社会人が、公平な立場に
齋藤さん:最初にメンターを自分で選ぶっていう段階で、学生と社会人が公平な立場にある、という概念を下支えしていると感じていて、実際にがメンターと話していくうちに、今まであった社会人の中で一番親身に接してくれたというか、例えたらサークルの先輩くらいの距離間で結構助言をしてくださっていて。距離間も他のインターンシップよりも圧倒的に近かったので、このシステムはすごい僕はいいなと思いました。初日から問われた、観察力
鎌田さん:正直、監督選びをしているような感覚で楽しかったです。これからの3か月間を左右するとも言える決断を初日の初っ端から迫られた為、全員が引き締まり慎重な面持ちになったのを覚えています。誰が一番自分達のチームの特色に適応できるかを様々な視点を持って話し合うのと同時に、短時間で見極めなければいけないので観察力が問われていたのも高揚感を得ました。(笑)眞竹:「複数の企業と長期間かかわれる」、という座組みはどうでしたか?
3ヶ月だからこそ感じられた、会社ごとの雰囲気
菊地さん:正直会社説明会や短期インターンだと色々と繕う事ができると思いますが、学生側もメンター側も3ヶ月の長丁場で、素の部分などが垣間見えてきて、最終的にはメンターの個性も色濃く出て、会社ごとの雰囲気の違いを感じる事が出来てよかったです。例えば、プレゼン資料を作るときにフォントを全部揃えて、だとか、使う文型とか配色とかそういうところまで1枚1枚見てくださって、そういうところまでこだわってもいい会社なんだとか、他のチームだとプレゼンに劇が入っていて、飽きない演出を加える面白さなど、そのチームならではかな、とか思いましたね。またフィードバックに関しても、企業によって評価基準が様々で、この業界の方はこういうところに着目するんだ〜、と各社の考えや大切にしていることの違いを知る事ができて面白かったです。
イメージががらりと変わった企業があった
前川さん:視野が広がるという点で、良かったと感じています。Day3【リーダー/イノベーター見本市】など、通常の会社説明会だけでは知ることができない、企業の最新の取り組みを知ることができる企画があり、イメージが参加前とがらりと変わった企業もありました。例えば、一度、ベンチャー行かれてから戻ってこられたっていうお話もあり、入ってからいろんな道があって、どの企業でも未来に向けて様々な取り組みをされているし、その人材育成に向けた取り組みがされているんだなっていうところで、印象が変わりました。眞竹:ありがとうございます。では、ご自身のことについて聞きたいのですが、プログラムの前と後、自分が変わったなと感じる点があれば、教えてください。
自分という人間を客観視できた
齋藤さん:Day5【アドバイススクランブル】での、お互いを知った上でもらうアドバイスの内容によって、自分という人間の客観視をすることができるようになりました。例えば、発想力あるよ、とか、意外と論理性もあるとか。ほんまに知らなかったわっていう話でしたね、僕自身が。それはプログラムを通してみんなに感じてもらったことだから、それは僕の強みやなということを認識した時に、僕も負けてないんだな、社会人になることに対して前向きにいけるんだなっていうのが、僕が感じたことですね。目指したいリーダー像を、日々の取り組みへ
井元さん:自分が目指したいと思えるリーダーシップが見つかったので、今いる環境でそれを実践した先に、1年後どんな風に周囲や組織にインパクトを与えられているか考えると、楽しみな気持ちが大きいです。自分が目指したいのは「やり切る力を持ったリーダー」なのですが、例えば、今いるインターン先で考えたときに、eyaの後の1ヶ月で取り組んだのは、誰よりも論の部分を詰めて、誰から相談されても的確にこうなっているよね、こういうデータがあるからこうだよね、というのをしっかり答えられるようにアクションが変わったかなって思います。Day2【教養ディベート】で、他のメンバーに比べて情報収集・整理が甘く、悔しい思いをしたところもきっかけでした。また、Day3、4でのプレゼンへ向けてのチームでのワークを通じて、意見や視点の違いを許容し、自分の思考をいったん置いて相手の話を聞くことができるようになり、意見やイメージを深く理解するようになったことも感じています。日々の思考で「ひねくれさ」が増した
鎌田さん:良質な「ひねくれさ」が増したと思います。日常生活の小さなものから世間でトレンドになっているようなものまで、自分の中での軸をしっかりと持った上でひたすらWHYを追求するようになりました。例えば何で信号って赤青黄色の3色なのだろかという素朴な疑問を抱き納得いくまで調べたり、Clubhouseもやらずに批判するより、とりあえずやってみて自分なりにメリット・デメリットを整理して流行した仕組みについて考えてみたりと、確実にプログラム前では意識していなかったことを自然と思考している自分がいます。自分にとって大きな成果で、1日1日の充実感も上がったと思います。眞竹:新しい自分への発見があったり、日々の行動や視点が変わったり、事務局としてもとてもうれしいですね。他の皆さん、はどうですか?eyaを通じて、得られたこと、学んだことを教えてください。
チームで共創することの難しさとやりがい
前川さん:アイデアの生み出し方やそれを実現する為のビジネス的視点など、イノベーションを起こすために必要な多くの知識と経験を、課題に取り組むことやたくさんの社会人の方々と関わる中で得ることが出来ました。個人的には何よりチームで共創することの難しさや、やりがいについて学べたことが貴重な体験でした。僕は大学でオーケストラのコンサートマスターをしていたのですが、オーケストラのように一つの目標に向かって動いているメンバーと違って、eyaではメンバーそれぞれの事情やモチベーションが様々であったために、思ったように進捗できないところもありました。それでもチームの理想像を共有し、相手のことを思いやりながら柔軟に仕事を分担し合うことで、よりよいアウトプットにつなげられた時には、かけがえのない喜びを感じました。この体験と絆は、これから社会人になってからの財産になると思います。状況に応じて、自分の強みを使い分ける
菊地さん:視野が広くなり、処理能力が格段にUPしました。ひとつひとつの事を丁寧にするのが自分の個性だと思っていましたが、ビジネスの場においては無駄な工程も多いことに気づかされました。もちろん、無駄が活きることもあるのですが、実際のこういった場面ではどう効率化して、タスクをこなしていくのかも重要な場合もあると学びました。状況に応じて自分の強みを使いこなせるようになればどんな環境でも適応していける、とポジティブに次へ繋げています。ちょうどeyaが終わった後に、別のインターンに参加したのですが、eyaに挑む前の自分と、終わってからの自分のスタートラインが違っていて。「じゃあ、議事録とっていくんで」って、場を回せている自分がいて驚きました。自分の発言が、誰かの学びや気づきになれる
倉森さん:eyaに参加する前、組織とかチームに対して、自分の発言の影響力みたいなものに少し怖さみたいなのを感じてて、そういうことに否定的になってたんですけど、eyaでもっと知りたいって思ってくれる仲間がいて、正しいか正しくないかじゃなくて、あなたはどうなの?っていう聞き方をしてくれる同世代がいるっていうのは、すごく自分の安心感になりました。これからは、自分が思ったことをこれがいいと思うっていう言い方じゃなくて、私はこうしたいな、私だったらこういう選択肢を選ぶかなっていう伝え方をするだけで、お互いにこんなにも当たり前が違って、そんな考えあったの?という、誰かの学びとか気付きとかになれるんだなっていうところは、すごく自分の自信に繋がったというか、頭でじゃなくてきちんと心と肌で感じられたなって思います。眞竹:では最後に、次回参加される学生の皆さんに一言、メッセージをお願いします!