多業種合同インターンプログラム 「engawa young academy」とは?

#インタビュー

左)(株)リンクアンドモチベーション組織開発デザイン室 エグゼクティブ ディレクター 樫原 洋平
右)(株)電通 京都ビジネスアクセラレーションセンター プロジェクトリーダー 前⽥ 浩希EPD

engawa KYOTO 発の学⽣向けインターンプログラム「engawa young academy」が、2019年10⽉からスタートします。この取り組みにあたり、プロジェクトの共創パートナーである(株)リンクアンドモチベーションの樫原さんと、もう⼀⼈の⽣みの親、(株)電通京都ビジネスアクセラレーションセンター(以下、電通京都BAC)プロジェクトリーダー前⽥EPD からお話を伺いました。(インタビュアー:当プログラム事務局メンバー 電通京都BAC 湊 康明)


湊:まず、⼈材のプロである樫原さんにお伺いします。現在の企業の⼈材における課題は、どういったものでしょうか?

樫原さん: 企業も実にざまざまですが、私は16年間⼀貫して⼤⼿企業の⼈材採⽤を担当してきましたので、⼤⼿企業に限定してお話をします。ちなみに、⼤⼿企業は、“⼈を充⾜する“という意味では、あまり⼤きな課題はないです。もっといえば、会社のいわゆる屋台⾻を⽀えるようなオペレーションをしっかり回せるような⼈材は、きっちり採⽤活動すれば採れているのが現状です。ただ、2018年度の決算で、⽇本で最も利益を稼いでいるトヨタ社ですら「10年後⾃分たちが存在するか分からない」という強い危機感を持っています。それくらい、⽇本の⼤⼿企業はかつでないほどの厳しい競争にさらされています。その意味で、⽣き残りをかけた「イノベーション」が経営課題になりつつあります。では、誰がその「イノベーション」を起こすのか?少なくともオペレーションを正確にまわすことが得意な⼈達に「イノベーション」を起こすのは難しいのです。なぜなら、役割が違うので。だからこそ、企業の変⾰・新規事業の⽴ち上げ等を担える「タイプの違う⼈材」を採って、活かす。このことが、重要な⼈事課題になってきています。

湊:だとすると、今後企業に⼊っていく学⽣の皆さんに求められるものが変わっていくと思うのですが、現在の学⽣についてこうなって欲しいなどの想いはありますか?

樫原さん:「イノベーション」において、0から1を創り出すことも重要です。ただ、⼤⼿企業において⼤事なことは、多様なものを組み合わせ、多様な⼈達を巻き込み、新しい事を仕掛けていくことです。たとえば、「今後社会で活躍していくためには、全部の事が分からなきゃいけない」と⾔う学生もいるのですが、これは現実的には極めて難しい。実は⽇本には、優秀な、素晴らしいエンジニアがたくさんいます。ただ、不⾜しているのは、ビジョンを⽰し、エンジニアを巻き込んで、何かを成す「リーダー」です。⻄遊記で例えるなら、「天竺に⾏く」という⽬的を⽰す「三蔵法師的な⼈材」が不⾜しているわけです。だからこそ、“会社をどう変えていくか”“何をすべきか”といったWHY やWHAT を定義して、HOW のスキルを持つ多様な⼈たちを巻き込みながら、組織・チーム・プロジェクトを創っていける様な⼈材が求められています。ただ、残念なことに、これまでの⼈⽣の中で、リーダーシップを発揮してきた、まさに「リーダー資質」のある学⽣が、社会に出る段階で、なぜか、その強み・資質を発揮しようとしないのです。むしろ、⾃分の弱みを克服するという視点でファーストキャリアを選択しがちです。本当にもったいないことであり、社会的に⼤きな損失といえます。

湊:確かに!

樫原さん:その意味で、“組織を変⾰できる経験や関⼼を持つ学⽣が、社会でその⼒をそのまま発揮していく”というストーリーが⼤切だと考えています。つまり、リーダーの素質を持つ⼈間は、社会に出てもリーダーとして⽣き、その⼒をより開花させていくことが重要です。リーダーだけど、まずは⼒をつけて、またリーダーに戻るという思考スタイルをとっている⼈が多いので、そうではないキャリアの道筋をつくっていかないといけないですよね。これまでの⼤⼿企業の多くが、基本的には学⽣を⼀律同じように育てていましたが、同じ扱いではなくそれぞれ状況やポテンシャルに合わせたキャリアを創っていかないと、会社も⽣き残っていけません。⾔い換えれば、より⼤きな⼀歩を踏みたい、若いうちから挑戦をしたいと考えているセグメントに対して、どのような機会・環境を創っていけるかが、重要です。残念ながら、そういう想いを持った学⽣は、⽇本の⼤⼿企業を見ていないことが多いのが現状です。これは、⾮常に悲しいなって思います。

湊:その中で今回、engawa young academyが⽣まれることになるわけですが、これにかける想いをお聞かせいただけますか?

樫原さん:⼤⼿企業の採⽤の⽅に良く聞かれます。「40 代で役員になれるような、エンジンの⼤きい、リーダー⼈材はどこにいるのか?」。最近、想うのは、もはや、この「探すパラダイム」の限界です。もっといえば、そのような「⼈材」への需要と、供給がアンマッチしています。それにも関わらず、⼤⼿企業は、さまざまな⼈材サービスを活⽤して、「効率的」にその「⼈材」を採ろうとしている…。北は北海道から、南は福岡まで、全国の学⽣と年間数百⼈と数年間、⾯談をし続けていますが、そのような「⼈材」が、安定的に輩出されている「機関」が、私の知りうる限り、ないのです。もちろん、偶然、ある年に、いたりはしますが。その意味で、このengawa young academy で実現したいことは、「探すパラダイム」から「育むパラダイム」への変換です。「モノづくりは⼈づくり」「教育は国家百年の計」という⾔葉にも代表されるように資源の乏しい⽇本は、⼈を育て、磨くことで、成⻑・発展してきました。変⾰の時代だからこそ、その「原点」に戻るべきだと強く想っています。その意味で、engawa young academyでは、個社の利害を超えて、ALL Japan の精神で、次代を担う⼈材を、みんなで育み、磨き、活かすという挑戦をしたいと考えています。

湊:樫原さんのそういった想いもあって、engawa young academyが⽣まれた訳ですけれども、実際にこうして形になったきっかけ、コンセプトについて、前⽥EPDからうかがえますか。

前⽥:松下幸之助の経営哲学で、“ものをつくる前にひとをつくる”とある様に、⼈を創っていかないと教育改⾰も社会変⾰も出来ません。「じゃあ、将来の⽇本を背負って⽴つような⼈間を創ろうよ」という話を樫原さんとずっとしていて。そこで、この“engawa KYOTO”⾃体のコンセプトが、中と外を繋げる曖昧な空間で、まさしく僕らの話していたコンセプトと⼀緒で、この変化の激しい・不確実な時代だからこそ、外と共に創る=共創して、お互いその摩擦で磨き上げられていかないと、⼈間はもう育っていかないと思っているので、この場を使ってよりリアルな場所で、僕らが話していたようなことを⼀つのアクティビティとして実現させようとなりました。全てはこの場所“engawa KYOTO”があったからこそ、普通に話していたことをここでアウトプットして結実させることが出来たのだと思います。単純に、電通とリンクアンドモチベーションだけであれば、リンクアンドモチベーションのセミナールームとか電通の会議室とかでやっていたと思います。そうなると、ユニークネスが無いし、きっと学⽣も惹かれるものがない。逆に⾔えば、ここ、“engawa KYOTO”のコンセプトがあるからこそ、集まる学⽣と今回ご参加いただく企業も⾯⽩い、となったのだと思います。学⽣も⼀つのステークホルダーであるということを考えた時に、その“学⽣”と“⼤⼿企業”などの⾊々なステークホルダーの⼈間が集まるからこそ、お互い摩擦で磨きあうことで、学⽣にも企業にも、企業同⼠にも、異業種他社との新しい価値みたいなものを⽣み出していけるのではないかなと。それにより、将来的にもいろんな変⾰を⽣み出せるのではないかという想いで、こういくプログラムをつくりました。

湊:このプログラムへの参画企業を募るにあたって、どのようなニーズがあると感じていましたか?

前⽥:やっぱり企業って⼤⼿企業になるだけ、それだけ歴史がある訳です。そうすると、歴史として起業した時の理念は残ってはいるけれども、今となってはやはり⾃分達のドメインをどう粛々と回していくのかが問われます。その時、次の10年20年を任せられる⼈間を本当は育てていかなければいけないのです。が、企業に⼊ってしまうと企業に準じてしまいます。ただ、それに対して危機感を持ってくださっている⽅は沢⼭いると思います。企業の中で新しい企業を起こせる=新しいドメインを創るような学⽣さんを欲しがっているし、育てたがっています。それは僕らの今回のコンセプトの⼀つでもありますし、今回の6社※も⽇本の産業・企業・事業を⽀える⼈間を欲しているのだと思います。※参加企業:株式会社島津製作所、積⽔ハウス株式会社、⽇本たばこ産業株式会社、パナソニック株式会社、株式会社みずほフィナンシャルグループ、株式会社電通の6社

樫原さん:そうですね。なので、今回のプログラムはかなり理念型だと思います。コンセプトや⽬指すもの・その世界観への共感が今回の参加企業の共通条件です。“⾯⽩そう”とか“意味ありそう”とか、そういう事が先⾏していて。みんなで⾯⽩いもの・新しいものを京都で創っていくのっていいよねっていうワクワク感みたいなものが、プログラムの参加者の皆さんの前提にあると思います。いい⼤⼈がみんなでやろうぜ!みたいな。

前⽥:参加される企業の皆さんもすごく危機感を持っていらっしゃるのだと思います。ただ、中から変えることがなかなか難しいから、変えられそうなやつがどんどん会社に⼊ってきてくれたらいいしっていう事だよね。そうでないと…ノキア(NOKIA)があれだけ携帯電話で全盛を誇っていたのに、最後はマイクロソフトに売却してしまいましたよね。同社CEOの⾔葉で「We didn't do anything wrong, but somehow we lost(我々は何も間違ったことをしていない。しかしどういうわけか、だめになってしまった)」とありますが“普通にしていたら、失敗していなくても事業がなくなっちゃう・消え失せちゃう”そんな危機感を皆さん持っていると思います。そういった思いへの共感が、参加する企業を募るにあたってのポリシーだったのですが、樫原さんがおっしゃった様に、皆さんそのコンセプトに対して⼤きく賛同してくださって、今回の6社に繋がりました。

樫原さん:電通さんと弊社の組み合わせも結構⾯⽩いですよね。初めてですよね?ずっと商品市場に向き合って世の中を追ってモノをどう展開していくか、ブランディングに関わる電通と、⼈材育成でずっと労働市場に向き合っているリンクアンドモチベーションが、⼀緒に⼿を組んで新しいことをやるっていうこと⾃体が実は事務局サイドのイノベーション。つまり、事業に向き合う電通さんと組織に向き合う弊社が⼿を組んでそういうリーダーを創ろう・役割分担をしながらやっていこうっていうこと⾃体がものすごく新しいですよね。だから、うちの会社でもワクワクしている社員が多いんですよ。事務局サイドの“何か新しいことをやりながら”という気概に共感してくれている感じはありますね。

湊:ありがとうございます。では、engawa young academyがどういうプログラムになっていくのか、お話しできる範囲でお願いできますか?

図:engawa young academy の概要
(中央)ロゴ:松から⾶び⽴つ鷹をデザイン。若い才能が、⾼い視座を持って⽻ばたいていきます。

樫原さん:⼤きな⽬的は、企業のど真ん中で活躍出来るリーダー、イノベーターをつくることです。ざっくり⾔うと、前半は「誰に何を」というのを定義していく様なリベラル・アーツと、それをどの様にしていくかというビジネス・イノベーション。コンセプトはその⼆つに分かれています。基本的には、学⽣と企業が磨きあう・相互にぶつかり合っていくプログラムなので、⼤⼈が安⼼してとかではなくて、⼤⼈も磨くし学⽣も磨く。磨きあうことを⼤事にしているプログラムです。かつ、学⽣が基本的には⾃分で考えて、主体的に⾏動していくというのが肝となるコンセプトですね。具体的に⾔うと、チームも⾃分たちで作るし、メンターも⾃分たちで選ぶ。メンターを⾃分で選ぶことってなかなかないですよね。⾃分たちが共に学ぶ5ヶ⽉間の学習環境を、基本的には⾃分で選ぶっていうコンセプトを⼤事にしています。いきなり初⽇にして⼤⼈がプレゼンしていきなり選ばれる。

前⽥:ドラフト会議での逆指名みたいに。

樫原さん:学⽣同⼠も競わせます。基本的には、ずっと磨き合って5ヶ⽉間を過ごしていく。メンターが並⾛した上で、最後はチーム間で相互フィードバックしたり。最終⽇は、今後、⾃分がどうリードしてどう⽣きていくかってことまで内省までします。だから⼈材育成で⾔われる様なコンセプトは、要所要所⼊れながらも最先端のチャレンジを沢⼭していきます。今回の6社も皆さんもよくのってくれましたよね。

湊:参加する学⽣たちに、このプログラムを通じてどう変わって欲しいですか?

樫原さん:そうですね。⼀つは、リーダーとして何をなすのかという、⽬的を⽰せる⼈になってもらいたい。その「覚悟」を持ってもらいたい。もうひとつは、⽬的のために⼤きな組織を巻き込んでいく⼒を⾼めてもらいたい。この2つが学んでもらえたらと思います。engawa young academyは続けていくこと前提なので、参加した学⽣が⾊んな会社に散っても、定期的にこの場で集まりながら、ここの場⾃体がオープンイノベーションの基礎になればと。20年後、ここの1期⽣が⽇本を変える⼤きな原動⼒になったよねって、幕末松下村塾みたいな場所に、この場所がなれたらすごくいいなと思っています。

前⽥:“engawa KYOTO”のコンセプトは、「ここは未知との境界線」。やっぱり学⽣も、未知のものに対して怖がらない学⽣。どんどんチャレンジしよう、アウトプットを何か作ってやろうという⼈間をどんどん輩出したいなと思います。その為にどうすべきかのビジョンまできっちりと持て、その為に⼤⼿企業から⾊んな影響や知識や知⾒、そして知恵を得て、どんどん⾃分なりの明確なビジョンにしていける⼈間を育てたいなと思います。

樫原さん:だから、特に後半は各現場で、まさに最前線で未知と戦っているような⽅々にも沢⼭来て頂いて、そこでの交流とかリアルなフィードバックとかを準備しています。そこで⽇本企業のプロトタイプのイメージじゃなくて、最前線で戦っていらっしゃる⽅々の想いとか⽣き様とかをこのプログラムで⽰せると、学⽣にとっても⾮常に学びが⼤きいのではないかと。そんな仕⽴てが後半にはあったりしますね。

右:インタビュアー)(株)電通 京都BAC engawa young academy 事務局 湊 康明

湊:今後も続いていく構想のengawa young academy の未来像、展望は何ですか?

前⽥:展望はやはり、⾃らビジョンを描ける⼈間が1 ⼈でも輩出されて、新しい企業の中でドメインを創るようになることです。企業内起業であるとか、36 ⼈いるので同窓も出来るから、違う企業に散らばっていたけど、その⼈間同⼠がチームとしてミートアップされて連携して新しい枠組みを作るとか。⾊んな⼈を巻き込んで、新しい成果が⽣まれるのが、このプログラムの1 番の醍醐味じゃないかと思います。

樫原さん:そう。企業の中から鍵を開ける⼈が出てくれば、いつか我々にとって最⾼最強のエコシステムになるっていう。前⽥さん、ですよね?

前⽥:うん!(笑)

樫原さん:最終的にはそれによって、あの時お世話になった⽅々に発注しようって我々に来てくれたら、ありがとうございます!みたいな!(笑)

⼀同:(笑)

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#インタビュー

【 engawa young academy 】 メンターインタビュー みずほFG篇

2019年11月より、engawa KYOTOにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eya参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第1回目は、みずほフィナンシャルグループの角田健さんにお話を伺いました。     左)みずほフィナンシャルグループ グローバルキャリア戦略部 大阪人事室 調査役 角田 健さん 右)インタビュアー)電通 京都BAC engawa young academy 事務局 湊 康明   ―eya初日を終えての率直な感想は? 初日は、自己紹介プレゼンがあったので大きなイベントでした。自己紹介プレゼンは社名を隠して自分自身の志や生き様、あるいは学生に対して提供できる価値をプレゼンするものだったので、私自身の真価を問われる良いきっかけになったとも感じています。   ―メンタードラフト※で選ばれて、グループが決まっていかがでしたか? ※メンターが企業名を隠して、学生に対して自己紹介プレゼン。学生が希望するメンターを指名するプログラム。 「選んでくれてほんまにありがとう」というところでした(笑)。とはいえ、ここで終わりではなく、これからがスタートです。私がこれまで約8年間〈みずほ〉の法人RM※という業務を通じて培ってきたもの、例えば経営者目線の着眼点であったり、より実現性の高いアセットの組み合わせ方なんかをこれからのプログラムに活かして、実際のビジネスに近い経験をして頂きたいと思っています。 ※法人リレーションシップマネジメントの略。法人営業担当。   ―チームを決めていく学生たちの様子を見て、どのようなことを感じましたか? このプログラムを通じて、真剣に自己成長やコミュニティの構築などに繋げようとする意思を強く感じました。   ―学生の前で、社会人も戦う機会に対してはどう思いますか? メンタードラフトは良い機会だと思います。立ち返ってみると、本来そうあってもいいのではないかなとも思いましたね。メンターだって、選ばれる立場であってもいいかなと。一方的ではないところが形としていいと思う。   eya初日、メンタードラフトで自己紹介プレゼンをする角田さん   ―それが事務局側としてはやりたかったことだし、こういう機会をよかったと言っていただいて嬉しいです。 では、ここからは御社の今についてお伺いしたいと思います。学生が持つ「金融」の既成のイメージとは違い、みずほグループは実はこういうことやっている、ここを知ってほしい、というところを教えてください。 〈みずほ〉=銀行、銀行=融資業務をイメージされることがあります。銀行の中でも、融資業務は主たる業務である事は事実です。ただ、みずほフィナンシャルグループには、銀行だけではなく、証券や信託銀行もあって、企業の資金調達ニーズに対しては融資以外の様々なソリューションの提案が可能です。 過去約8年、法人RMとして現場にいた私が言えることは、お客さまと共に“あるべき姿”を考え、共有した上で、金融のプロとしての専門性を駆使しながら、その“あるべき姿”を実現してゆくということです。その積み重ねが経済・社会の発展に繋がると考えています。あくまで融資は1つの手段でしかない、ということですが、世間からはこの融資のイメージが大きく捉えられているんですよね。   ―実際にはお客様へのコンサルティングやビジネスを成長させる機能も担われているんですね。 お客さまやその先にある経済・社会のあるべき姿を考えて、今何をやるべきか、お客さまのニーズを汲み取って、ビジネスをマッチングさせるような取り組みもしています。銀行には情報が沢山あり、ネットワークも広いです。グループ内のリサーチ・コンサルティング機能を活用して、例えば〈みずほ〉に蓄積されている産業毎のノウハウを活用したビジネスの創出など、お客さまのニーズをマッチングさせるだけでなく、こういうことができるのではないかという仮説を立てて、将来の姿を一緒に考えています。 お客さまからは融資だけではなく、情報やネットワークも頼りにされていると感じており、例えば、お客さま同士を繋げるマッチングフォーラムは毎回多くのビジネス機会を創出しています。   ―時代の激しい変化の中で、みずほが目指しているところや取り組みはどんなものでしょう? 〈みずほ〉が今まで以上に必要とされ、頼りにされるために強力・強靭な金融グループを目指しています。そのためには、金融そのものの価値を超えた、非金融領域を含めた新たな価値を創造していこうとしています。例えばキャッシュレスへの取り組みとして〈みずほ〉はJ-Coin payというサービスを提供しています。キャッシュレス決済の浸透によって現金の取り扱いは無くなり、銀行はいらなくなるのではないかと言われることもありますが、実は金融機関が自ら取り組んでいる分野です。あるいはLINEとの提携で新しい金融サービスへ挑戦するなど、非金融含め外部との提携などを積極的に進めていきます。 J-Coin payの提供開始について: https://www.mizuhobank.co.jp/release/pdf/20190220release_jp.pdf LINEBank設立準備会社を設立: https://www.mizuhofg.co.jp/release/20190527_2release_jp.html     ―なるほど。今をチャンスとして、金融機関自らがオープンになっているんですね。ご自身の入社後から、そういった環境の変化は大きかったと思いますが、社風や事業の変化をどう感じていますか? 非金融との取り組みは正直、入社前は想像もしていなかったですね。お客さまのニーズ自体が高度化・多様化してきていることがあるので、その時々で先を見据えて自分たちも変わっていかなければならないと思っています。一方で変わらない思いもあります。〈みずほ〉の社員一人ひとりの価値観・行動軸となっているの“Client-Oriented-お客さま第一の徹底-”です。お客さまの夢や希望、あるいは課題や悩みにしっかりと寄り添い、それらを解決へと導く優れたパートナーであるということ、また金融の高度なリスクテイク能力と金融仲介機能によって経済・社会の未来を創造すること、は、金融機関の普遍的存在価値と考えています。   ―変わっていくことと変わらないこと、その役割を今後も担っていくために、どのような人材を求めていらっしゃいますか?重視されている方針、取り組みを教えてください。 変化に対応できる人・自ら新しい価値を創造できる人・リーダーシップを持って周りを巻き込める人を求めています。インターンでは、金融ビジネスへのイメージを持ってもらえるよう、様々なコンテンツを用意しています。参加頂いた学生さんからは、インターンへ参加したことで『金融へのイメージが大きく変わった』という声や、『とても興味が湧いた』『金融で働きたいと思った』というポジティブな声を頂くケースがほとんどです。 インターンの内容では、答えの無い問題に対し、お客さま、そして経済・社会の発展のため“あるべき姿”を考え、実現してゆく金融のプロフェッショナルとしての業務を体感してもらうものになっています。   ―活動の中で、課題に感じていることはありますか? キャッシュレス化や異業種から金融への参入・マイナス金利とかそういうワードだけとって「金融は大丈夫なのか」というイメージを持たれているケースがとても多いです。最初に金融というだけで遮断される学生さんも多いので、情報を正確に伝えることが難しいと感じています。ただ、イメージだけで就職活動はして欲しくないので、金融に対して正しい情報をお伝えした上で、学生に判断してほしいなと思っています。 実際働いていて分かるのは、金融ってものすごく重要な役割だということ、その社会的な役割や仕事の醍醐味をちゃんと分かってもらいたいと思って、日々学生の皆さんと接しています。   ―今後、御社に入る学生に、どのようなことを望まれますか? 〈みずほ〉は新人事戦略で、社員自らがキャリアデザインを描き挑戦意欲を高め、社内外で通用する人材バリューを高めることを掲げていますので、これらを是非実践していってほしいと思っています。     ―非金融との協業だったり、副業制度など挑戦する環境は整ってきているんですね。 社員の副業を含めた兼業を解禁しています。社内における競争原理で考えるのではなく、自己実現していくためのスキルを身につけてほしいと思っていますし、社会で金融に対する価値観が変わってきているので、非金融の新しい領域にも挑戦する機会があります。   ―ありがとうございます。では、そういった環境の中で、eyaに参加した理由はなんでしょうか? このプログラムに企業として参加した理由は、若い才能がより高い視座を持って社会に出て行っていただきたいという願いを後押ししたい思いがあるので、参加を決めました。個人としては、一人ひとりの可能性を呼び起こすきっかけになりたいという思いで参加しました。そして、eyaを通じて私自身の成長にも繋げていきたいと思っています。   ―異業種の方々と会って刺激はありましたか? eyaに参加されている会社は全然違う業界業種の方々ですが、この国の未来を共に育てていこうという思いで集まっていると思うので、私はこの4ヶ月間有意義なものにしたいなと思っています。eyaというプログラムだけでなく、就活の当たり前を違う観点で変えていけるプログラムのスタートダッシュになれればいいなと思っています。   ―eyaの学生に感じたことや期待することはどのようなことでしょう? 新しい考えを取り入れようなど学ぶ姿勢が強いように感じて、これからまだまだ成長されていくのだろうなと思いました。期待することとしては、プログラムを通じて、一人ひとりの考え方をかけ合わせてチームの力を発揮できるような成果を期待したいです。   ―最後に、メンターとしてチームやeyaの学生に伝えたいことはありますか? 個の能力も重要ですが、チーム力がものすごく重要です。私自身も一人でやってきた仕事ってほとんどなく、今回の多様性のあるチームの中で、チーム力を発揮することを求めたいです。何かを成し遂げるためには高い視座を持って“あるべき姿”を考え、周りを巻き込んでヒト、組織を動かす必要がありますので、メンターとして僕なりの視点・視座などのアドバイス、サポートをしたいと考えています。また、参加されている学生にとって、ファイナンスなど金融面での知識は今後どの企業に就職するにしても、あるいは起業するにしても役に立つと思っていますので、金融がどれほど重要な役割で、社会的に意義のある存在なのかを知った上で、社会に出て欲しいと思います。