多業種合同インターンプログラム 「engawa young academy」とは?

#インタビュー

左)(株)リンクアンドモチベーション組織開発デザイン室 エグゼクティブ ディレクター 樫原 洋平
右)(株)電通 京都ビジネスアクセラレーションセンター プロジェクトリーダー 前⽥ 浩希EPD

engawa KYOTO 発の学⽣向けインターンプログラム「engawa young academy」が、2019年10⽉からスタートします。この取り組みにあたり、プロジェクトの共創パートナーである(株)リンクアンドモチベーションの樫原さんと、もう⼀⼈の⽣みの親、(株)電通京都ビジネスアクセラレーションセンター(以下、電通京都BAC)プロジェクトリーダー前⽥EPD からお話を伺いました。(インタビュアー:当プログラム事務局メンバー 電通京都BAC 湊 康明)


湊:まず、⼈材のプロである樫原さんにお伺いします。現在の企業の⼈材における課題は、どういったものでしょうか?

樫原さん: 企業も実にざまざまですが、私は16年間⼀貫して⼤⼿企業の⼈材採⽤を担当してきましたので、⼤⼿企業に限定してお話をします。ちなみに、⼤⼿企業は、“⼈を充⾜する“という意味では、あまり⼤きな課題はないです。もっといえば、会社のいわゆる屋台⾻を⽀えるようなオペレーションをしっかり回せるような⼈材は、きっちり採⽤活動すれば採れているのが現状です。ただ、2018年度の決算で、⽇本で最も利益を稼いでいるトヨタ社ですら「10年後⾃分たちが存在するか分からない」という強い危機感を持っています。それくらい、⽇本の⼤⼿企業はかつでないほどの厳しい競争にさらされています。その意味で、⽣き残りをかけた「イノベーション」が経営課題になりつつあります。では、誰がその「イノベーション」を起こすのか?少なくともオペレーションを正確にまわすことが得意な⼈達に「イノベーション」を起こすのは難しいのです。なぜなら、役割が違うので。だからこそ、企業の変⾰・新規事業の⽴ち上げ等を担える「タイプの違う⼈材」を採って、活かす。このことが、重要な⼈事課題になってきています。

湊:だとすると、今後企業に⼊っていく学⽣の皆さんに求められるものが変わっていくと思うのですが、現在の学⽣についてこうなって欲しいなどの想いはありますか?

樫原さん:「イノベーション」において、0から1を創り出すことも重要です。ただ、⼤⼿企業において⼤事なことは、多様なものを組み合わせ、多様な⼈達を巻き込み、新しい事を仕掛けていくことです。たとえば、「今後社会で活躍していくためには、全部の事が分からなきゃいけない」と⾔う学生もいるのですが、これは現実的には極めて難しい。実は⽇本には、優秀な、素晴らしいエンジニアがたくさんいます。ただ、不⾜しているのは、ビジョンを⽰し、エンジニアを巻き込んで、何かを成す「リーダー」です。⻄遊記で例えるなら、「天竺に⾏く」という⽬的を⽰す「三蔵法師的な⼈材」が不⾜しているわけです。だからこそ、“会社をどう変えていくか”“何をすべきか”といったWHY やWHAT を定義して、HOW のスキルを持つ多様な⼈たちを巻き込みながら、組織・チーム・プロジェクトを創っていける様な⼈材が求められています。ただ、残念なことに、これまでの⼈⽣の中で、リーダーシップを発揮してきた、まさに「リーダー資質」のある学⽣が、社会に出る段階で、なぜか、その強み・資質を発揮しようとしないのです。むしろ、⾃分の弱みを克服するという視点でファーストキャリアを選択しがちです。本当にもったいないことであり、社会的に⼤きな損失といえます。

湊:確かに!

樫原さん:その意味で、“組織を変⾰できる経験や関⼼を持つ学⽣が、社会でその⼒をそのまま発揮していく”というストーリーが⼤切だと考えています。つまり、リーダーの素質を持つ⼈間は、社会に出てもリーダーとして⽣き、その⼒をより開花させていくことが重要です。リーダーだけど、まずは⼒をつけて、またリーダーに戻るという思考スタイルをとっている⼈が多いので、そうではないキャリアの道筋をつくっていかないといけないですよね。これまでの⼤⼿企業の多くが、基本的には学⽣を⼀律同じように育てていましたが、同じ扱いではなくそれぞれ状況やポテンシャルに合わせたキャリアを創っていかないと、会社も⽣き残っていけません。⾔い換えれば、より⼤きな⼀歩を踏みたい、若いうちから挑戦をしたいと考えているセグメントに対して、どのような機会・環境を創っていけるかが、重要です。残念ながら、そういう想いを持った学⽣は、⽇本の⼤⼿企業を見ていないことが多いのが現状です。これは、⾮常に悲しいなって思います。

湊:その中で今回、engawa young academyが⽣まれることになるわけですが、これにかける想いをお聞かせいただけますか?

樫原さん:⼤⼿企業の採⽤の⽅に良く聞かれます。「40 代で役員になれるような、エンジンの⼤きい、リーダー⼈材はどこにいるのか?」。最近、想うのは、もはや、この「探すパラダイム」の限界です。もっといえば、そのような「⼈材」への需要と、供給がアンマッチしています。それにも関わらず、⼤⼿企業は、さまざまな⼈材サービスを活⽤して、「効率的」にその「⼈材」を採ろうとしている…。北は北海道から、南は福岡まで、全国の学⽣と年間数百⼈と数年間、⾯談をし続けていますが、そのような「⼈材」が、安定的に輩出されている「機関」が、私の知りうる限り、ないのです。もちろん、偶然、ある年に、いたりはしますが。その意味で、このengawa young academy で実現したいことは、「探すパラダイム」から「育むパラダイム」への変換です。「モノづくりは⼈づくり」「教育は国家百年の計」という⾔葉にも代表されるように資源の乏しい⽇本は、⼈を育て、磨くことで、成⻑・発展してきました。変⾰の時代だからこそ、その「原点」に戻るべきだと強く想っています。その意味で、engawa young academyでは、個社の利害を超えて、ALL Japan の精神で、次代を担う⼈材を、みんなで育み、磨き、活かすという挑戦をしたいと考えています。

湊:樫原さんのそういった想いもあって、engawa young academyが⽣まれた訳ですけれども、実際にこうして形になったきっかけ、コンセプトについて、前⽥EPDからうかがえますか。

前⽥:松下幸之助の経営哲学で、“ものをつくる前にひとをつくる”とある様に、⼈を創っていかないと教育改⾰も社会変⾰も出来ません。「じゃあ、将来の⽇本を背負って⽴つような⼈間を創ろうよ」という話を樫原さんとずっとしていて。そこで、この“engawa KYOTO”⾃体のコンセプトが、中と外を繋げる曖昧な空間で、まさしく僕らの話していたコンセプトと⼀緒で、この変化の激しい・不確実な時代だからこそ、外と共に創る=共創して、お互いその摩擦で磨き上げられていかないと、⼈間はもう育っていかないと思っているので、この場を使ってよりリアルな場所で、僕らが話していたようなことを⼀つのアクティビティとして実現させようとなりました。全てはこの場所“engawa KYOTO”があったからこそ、普通に話していたことをここでアウトプットして結実させることが出来たのだと思います。単純に、電通とリンクアンドモチベーションだけであれば、リンクアンドモチベーションのセミナールームとか電通の会議室とかでやっていたと思います。そうなると、ユニークネスが無いし、きっと学⽣も惹かれるものがない。逆に⾔えば、ここ、“engawa KYOTO”のコンセプトがあるからこそ、集まる学⽣と今回ご参加いただく企業も⾯⽩い、となったのだと思います。学⽣も⼀つのステークホルダーであるということを考えた時に、その“学⽣”と“⼤⼿企業”などの⾊々なステークホルダーの⼈間が集まるからこそ、お互い摩擦で磨きあうことで、学⽣にも企業にも、企業同⼠にも、異業種他社との新しい価値みたいなものを⽣み出していけるのではないかなと。それにより、将来的にもいろんな変⾰を⽣み出せるのではないかという想いで、こういくプログラムをつくりました。

湊:このプログラムへの参画企業を募るにあたって、どのようなニーズがあると感じていましたか?

前⽥:やっぱり企業って⼤⼿企業になるだけ、それだけ歴史がある訳です。そうすると、歴史として起業した時の理念は残ってはいるけれども、今となってはやはり⾃分達のドメインをどう粛々と回していくのかが問われます。その時、次の10年20年を任せられる⼈間を本当は育てていかなければいけないのです。が、企業に⼊ってしまうと企業に準じてしまいます。ただ、それに対して危機感を持ってくださっている⽅は沢⼭いると思います。企業の中で新しい企業を起こせる=新しいドメインを創るような学⽣さんを欲しがっているし、育てたがっています。それは僕らの今回のコンセプトの⼀つでもありますし、今回の6社※も⽇本の産業・企業・事業を⽀える⼈間を欲しているのだと思います。※参加企業:株式会社島津製作所、積⽔ハウス株式会社、⽇本たばこ産業株式会社、パナソニック株式会社、株式会社みずほフィナンシャルグループ、株式会社電通の6社

樫原さん:そうですね。なので、今回のプログラムはかなり理念型だと思います。コンセプトや⽬指すもの・その世界観への共感が今回の参加企業の共通条件です。“⾯⽩そう”とか“意味ありそう”とか、そういう事が先⾏していて。みんなで⾯⽩いもの・新しいものを京都で創っていくのっていいよねっていうワクワク感みたいなものが、プログラムの参加者の皆さんの前提にあると思います。いい⼤⼈がみんなでやろうぜ!みたいな。

前⽥:参加される企業の皆さんもすごく危機感を持っていらっしゃるのだと思います。ただ、中から変えることがなかなか難しいから、変えられそうなやつがどんどん会社に⼊ってきてくれたらいいしっていう事だよね。そうでないと…ノキア(NOKIA)があれだけ携帯電話で全盛を誇っていたのに、最後はマイクロソフトに売却してしまいましたよね。同社CEOの⾔葉で「We didn't do anything wrong, but somehow we lost(我々は何も間違ったことをしていない。しかしどういうわけか、だめになってしまった)」とありますが“普通にしていたら、失敗していなくても事業がなくなっちゃう・消え失せちゃう”そんな危機感を皆さん持っていると思います。そういった思いへの共感が、参加する企業を募るにあたってのポリシーだったのですが、樫原さんがおっしゃった様に、皆さんそのコンセプトに対して⼤きく賛同してくださって、今回の6社に繋がりました。

樫原さん:電通さんと弊社の組み合わせも結構⾯⽩いですよね。初めてですよね?ずっと商品市場に向き合って世の中を追ってモノをどう展開していくか、ブランディングに関わる電通と、⼈材育成でずっと労働市場に向き合っているリンクアンドモチベーションが、⼀緒に⼿を組んで新しいことをやるっていうこと⾃体が実は事務局サイドのイノベーション。つまり、事業に向き合う電通さんと組織に向き合う弊社が⼿を組んでそういうリーダーを創ろう・役割分担をしながらやっていこうっていうこと⾃体がものすごく新しいですよね。だから、うちの会社でもワクワクしている社員が多いんですよ。事務局サイドの“何か新しいことをやりながら”という気概に共感してくれている感じはありますね。

湊:ありがとうございます。では、engawa young academyがどういうプログラムになっていくのか、お話しできる範囲でお願いできますか?

図:engawa young academy の概要
(中央)ロゴ:松から⾶び⽴つ鷹をデザイン。若い才能が、⾼い視座を持って⽻ばたいていきます。

樫原さん:⼤きな⽬的は、企業のど真ん中で活躍出来るリーダー、イノベーターをつくることです。ざっくり⾔うと、前半は「誰に何を」というのを定義していく様なリベラル・アーツと、それをどの様にしていくかというビジネス・イノベーション。コンセプトはその⼆つに分かれています。基本的には、学⽣と企業が磨きあう・相互にぶつかり合っていくプログラムなので、⼤⼈が安⼼してとかではなくて、⼤⼈も磨くし学⽣も磨く。磨きあうことを⼤事にしているプログラムです。かつ、学⽣が基本的には⾃分で考えて、主体的に⾏動していくというのが肝となるコンセプトですね。具体的に⾔うと、チームも⾃分たちで作るし、メンターも⾃分たちで選ぶ。メンターを⾃分で選ぶことってなかなかないですよね。⾃分たちが共に学ぶ5ヶ⽉間の学習環境を、基本的には⾃分で選ぶっていうコンセプトを⼤事にしています。いきなり初⽇にして⼤⼈がプレゼンしていきなり選ばれる。

前⽥:ドラフト会議での逆指名みたいに。

樫原さん:学⽣同⼠も競わせます。基本的には、ずっと磨き合って5ヶ⽉間を過ごしていく。メンターが並⾛した上で、最後はチーム間で相互フィードバックしたり。最終⽇は、今後、⾃分がどうリードしてどう⽣きていくかってことまで内省までします。だから⼈材育成で⾔われる様なコンセプトは、要所要所⼊れながらも最先端のチャレンジを沢⼭していきます。今回の6社も皆さんもよくのってくれましたよね。

湊:参加する学⽣たちに、このプログラムを通じてどう変わって欲しいですか?

樫原さん:そうですね。⼀つは、リーダーとして何をなすのかという、⽬的を⽰せる⼈になってもらいたい。その「覚悟」を持ってもらいたい。もうひとつは、⽬的のために⼤きな組織を巻き込んでいく⼒を⾼めてもらいたい。この2つが学んでもらえたらと思います。engawa young academyは続けていくこと前提なので、参加した学⽣が⾊んな会社に散っても、定期的にこの場で集まりながら、ここの場⾃体がオープンイノベーションの基礎になればと。20年後、ここの1期⽣が⽇本を変える⼤きな原動⼒になったよねって、幕末松下村塾みたいな場所に、この場所がなれたらすごくいいなと思っています。

前⽥:“engawa KYOTO”のコンセプトは、「ここは未知との境界線」。やっぱり学⽣も、未知のものに対して怖がらない学⽣。どんどんチャレンジしよう、アウトプットを何か作ってやろうという⼈間をどんどん輩出したいなと思います。その為にどうすべきかのビジョンまできっちりと持て、その為に⼤⼿企業から⾊んな影響や知識や知⾒、そして知恵を得て、どんどん⾃分なりの明確なビジョンにしていける⼈間を育てたいなと思います。

樫原さん:だから、特に後半は各現場で、まさに最前線で未知と戦っているような⽅々にも沢⼭来て頂いて、そこでの交流とかリアルなフィードバックとかを準備しています。そこで⽇本企業のプロトタイプのイメージじゃなくて、最前線で戦っていらっしゃる⽅々の想いとか⽣き様とかをこのプログラムで⽰せると、学⽣にとっても⾮常に学びが⼤きいのではないかと。そんな仕⽴てが後半にはあったりしますね。

右:インタビュアー)(株)電通 京都BAC engawa young academy 事務局 湊 康明

湊:今後も続いていく構想のengawa young academy の未来像、展望は何ですか?

前⽥:展望はやはり、⾃らビジョンを描ける⼈間が1 ⼈でも輩出されて、新しい企業の中でドメインを創るようになることです。企業内起業であるとか、36 ⼈いるので同窓も出来るから、違う企業に散らばっていたけど、その⼈間同⼠がチームとしてミートアップされて連携して新しい枠組みを作るとか。⾊んな⼈を巻き込んで、新しい成果が⽣まれるのが、このプログラムの1 番の醍醐味じゃないかと思います。

樫原さん:そう。企業の中から鍵を開ける⼈が出てくれば、いつか我々にとって最⾼最強のエコシステムになるっていう。前⽥さん、ですよね?

前⽥:うん!(笑)

樫原さん:最終的にはそれによって、あの時お世話になった⽅々に発注しようって我々に来てくれたら、ありがとうございます!みたいな!(笑)

⼀同:(笑)

RELATED

#インタビュー

【 engawa young academy 】 メンターインタビュー 電通篇

2019年11月より、engawa KYOTOにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eyaに参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第6回目は、電通の小島雄一郎さんにお話を伺いました。(メンターインタビューは、こちらが最終回となります。) ※第一回インタビュー(みずほFG)は こちら  第二回インタビュー(日本たばこ産業)は こちら  第三回インタビュー(積水ハウス)は こちら  第四回インタビュー(島津製作所)は こちら  第五回インタビュー(パナソニック)は こちら     右) 株式会社 電通 ビジネスデザインスクエア 事業創造2グループ 小島雄一郎さん 左)インタビュアー) 電通 京都BAC engawa young academy 事務局   湊 康明   ―eya初日を終えての感想は? 電通のインターンに来る子たちとは違うなという印象ですね。アイデアにワクワクするとかっていう子が多いんですけど、どちらかというとビジネス・仕組みとか少しコンサルよりの思考が多い印象ですね。   ―初日のプログラムについてですが、チームクリエイト※の時の学生の様子見ていてどのように感じましたか? ※eya期間中のグループメンバーを、学生自身に決めてもらうプログラム チームとして何が必要なのかを考えた時に、同じような人じゃなくて違う人を組み合わせなくてはいけないことも分かった上で、戦略的にやっているなという印象でしたね。実際の仕事もそうやって進むと思うんですよね。自分が選ぶ側であれ、選ばれる側であれ、経験を一回やってみておくことは大事だなと思いました。   ―メンタードラフト※の感想はいかがですか? ※メンターが企業名を隠して、学生に対して自己紹介プレゼン。学生が希望するメンターを指名するプログラム まぁドキドキしますよね。(笑)とにかく印象に残らないと終わりなので、どうやって印象を残すかを考えてやっていたので、実際に票が入ったんでよかったですね。     eya初日、メンタードラフトでプレゼンする小島さん   ―学生からの質問で印象的だったものはありましたか? 「小島さんは僕をどう成長させてくれますか?」という質問ですね。僕はそれに対して「自分で考えてください」って答えました。僕も対等な立場でいたかったので、教えるみたいなのは嫌だなと思ったんです。どちらかというと「電通ってこういう考え方の人がいるんだ」とか「こういう人をチームに置いたらどうなるか」を考えて欲しかったので。   ―ありがとうございます。 では、ここから企業について伺っていきたいと思います。電通ってこんな会社だと、学生さんの知らない部分を含めて教えてください。 基本的には広告を作っている会社だという印象を持たれていると思います。多くの人は広告制作やプロモーションの仕事をしているので基本的にはその通りです。広告の源泉はアイデアなんです。最近はそのアイデアを違うことに使うこともある。例えば新商品開発や新規事業開発・採用コンサルティングに使うこともあるという考え方の会社ですね。アイデアと実現力の会社だと思ってもらえれば良いかなと思います。   ―では、今後電通が目指しているところは? 広告会社(Advertising Company)からビジネスを生み出せる会社(Business Producing Company)へと言っています。何のために広告をやっているのかと言うと、クライアントのビジネスをどうプロデュースし、エンパワーメントしていくかという話なんですね。そうすると、For client(受注型)からWith client(パートナー型)というキーワードが出てくるんです。「広告やります」って決まってから電通に話がくるのではなくて、そもそもこの商品は広告をするべきなのかという所から一緒に考えるパートナー型の付き合いに変わって来ていますね。   ―そういった変化の中で、新たな取り組みとしての事例はありますか? 今うちの会社は投資だとかクライアントと一緒に会社を作るみたいなことが多いんですよね。この間もキリンさんと「INHOP(インホップ)」という会社を作ったんですね。それは、ホップというものをビール以外のものに使おうという会社です。新しい商品開発とかっていう部分です。あと複数の企業の協力を得ながら、一緒に車を持っている人が貸し合う“カローゼット”という会社を作って、そのビジネスモデルを作ったり、とか多くなってきましたね。 キリンホールディングスと電通が合弁会社「INHOP(インホップ)株式会社」を設立 https://www.kirin.co.jp/company/news/2019/1031_01.html 電通、初のCtoCサービス 愛車の一時交換アプリ「CAROSET」を本日よりサービス開始 https://www.dentsu.co.jp/news/release/2019/1210-009977.html   ― そういった広告以外の領域で“電通が入る意義”や“活かせる強み”は何だと思いますか? 何かを開発する時に、大体はこれだけ市場があって今シェアはこうなっていて・・・みたいなことだと思うんですよね。でも電通の人って、分かりやすく言うと「CMどんな感じになるかな」とかあくまでも生活者側からどんどん発想していくので、これは面白くなりそうだなという勘も鋭いし、何かをアウトプットするときのスピードが早いんですね。そこは一番バリューだと思います。     ―では今、電通が求めている人材像とはどんなものでしょうか? アイデアと実現力の会社なので、その両方がないとダメだと思います。やはり源泉としては好奇心とかがアイデアを出すときに大事だと思います。あとはチーム作業をするので、リスペクトをお互いにできることって大事かなと思いますね。リーダーという役割をやっているとか、偉いといった上下関係を作らないのは大事だと思います。ただそれを上下関係だと捉えてしまう人がいると、良いチームにはならないかなと思います。   ―実際の採用活動やインターンという取り組みの中で、重視している方針はありますか? さっきのメンターの話もそうですけど、教える側・教わる側という関係を学生ともあまり作りたくないんです。例えば僕がこれまでやったインターンで言えば、学生がやりたいことを持ってきて、それはどう世に出せば伝わりやすいのかという制作のお手伝いをしますよということです。最終的にはクラウドファンディングにあげる所までを我々がトータルでサポートします、というインターンをやったのは、まさにその形かなと思っています。クライアントの役回りを学生にやってもらって、そこには確実に意志があって、それをどう言語化・画像化しコンセプトを立てていけばいいのかを支援する。大きなビッグアイデアを如何にゼロイチで出すかよりも、やりたいことがある時にどういう風に削ぎ落としていき、シャープにしていくかという実現力を体感してもらうインターンですね。だから、お題をこちらから出していないし、これは良いとかゴールドだとかいったことはやっていない。というのは、他の会社さんのインターンとは違う形かなと思いますね。   ―そういった活動を通じて、感じられる課題はどんなものでしょう? 電通は広告やアイデアのイメージが強いのですが、アイデアを“狭い意味”でのアイデアだと捉えられてしまうことも多かったと思います。理系の子とか、戦略コンサルを希望している人は違いますとかって感じられたりだとか、そういうミスマッチを如何に解消していくかですね。「その領域にアイデアを使ったら面白いのではないか」と語りかけるようにしていますし、学生にも「電通って自分に関係ある会社なんだ」と思ってもらうようにすることが課題であり、今の戦略かなと思いますね。   ―“狭義じゃない”アイデアとして挙げられる事例はありますか? 少し昔の話にはなってしまうんですけど、“アヤナミブルー”という絵の具を作った時の話は、ぱっと見ると新商品開発だけれどもやっていることは、事業のシフトをしているんです。絵の具屋さんのクライアントだったんですけど、 “アヤナミブルー”という色を出すことで、絵の具の市場からキャラクターグッズ市場に出るわけですよね。そうするとターゲティングが変わるのでマーケットが変わって、事業体が絵の具メーカーではなく色メーカー=色のプロデュースカンパニーなのであるという事業の捉え方も変えられますよね。 アヤナミブルー: https://www.turner.co.jp/ayanamiblue/   最近、スノーピークさんは「キャンプ用品会社ではなく“人間らしさを取り戻させる会社”である」とおっしゃっています。キャンプ用品メーカーからの飛び方で分かりやすいものは、オフィスの中のプロデュースですね。人間らしさを取り戻さないといけないのは意外とビジネスパーソンじゃないかとなってくる。そういった時に、キャンプにいる時にリラックスしているようなミーティングルームがあったら、みたいなこともそうですし。“その事業自体をどうシフトさせていくのか”からお付き合いしていくのが基本のスタンスとしてあります。そのアウトプットが商品開発の時もあれば社内制度の時もあるということですね。   ―現在の業務にいたるまで、小島さんはどのようなキャリアを積まれてきたのでしょうか? 入社時はクライアント担当の営業配属になり、4年間営業をやっていました。営業の中でもプロモーションという領域の営業ですね。その間に、実はテレビとかマスメディアの力が下がってきて、プロモーションを会社としても力を入れないといけないとなって、プロモーションの部署ができたんです。その中でプロモーションの領域が拡張していくんですよ。イベントや店頭だったのが、CM以外全部みたいな領域に変わってきていて。10年目くらいからは、その領域がどんどん上になっていってコンサルティングを専門にやる部署に異動したのが10年目ですね。だから大きく分けて、営業時代・プロモーション時代・ビジネスデザイン=コンサルティング時代という風になっていますね。今は、コンサルティングの中でも結構大きいインナーのコンサルティングです。その中でも採用ですね。「どういう学生に入って来てもらおうか」「そのためにはどういう風にメッセージングすればいいのか」「どういう説明会のスライドを作ったら良いのか」をコンサルティングもしながら制作するという仕事が多いですね。     ―事業の変化に合わせて業務内容も変化してこられたんですね。 そういった変化の中で、今回eyaに参加されたのはどのような意義があると思いますか? 電通の業態が変わっているので、それに合わせた採用をしないといけないんですね。今回リンクアンドモチベーションさんもいらっしゃいますし、電通とは全然違う他社さんがいらっしゃるので、通常の採用活動では出会えない学生と如何に出会っていくかが一つですよね。あとは関西は学生マーケットも非常に元気なエリアだったりするので、そういう学生とちゃんと接触するというのも一つですかね。   ―他の企業とも出会える場として、小島さんにとって期待感はありましたか? 同じ日本企業として「こういう風に変わっていかないといけないよね」という同じ危機感を抱えているある種一体感があるのが刺激だと思います。日本的な進化だとかイノベーションも起こしていかないといけない。やっぱり「面接やります。待ってます。」ではダメだなと改めて認識しましたね。   ―こういった異業種との取り組みはどう思われますか? 学生は面白いんじゃないですか?今回業界が括られていないので「あ、みずほ銀行の人はこういう考え方をするんだ」「電通の人はこういう考え方をするんだ」というのがいっぺんに分かりますし。あとはメンター当てクイズが個人的にはすごく面白くかったです。結構当たってなかったじゃないですか。(笑)だから如何に自分が持っているものがバイアスかを考えられると思います。だから学生にとっても刺激だし、僕らにとっても「今の日本の学生はどういう考え方をするんだな」という意味でも刺激を得られます。   ―eyaの学生さんに期待されることや感じたことはありますか? 電通も含めて、日本企業の可能性を感じて欲しいですよね。自分が入ったらもっとドライブさせられそうとかを感じてもらえるといいのかなと思います。“捨てたもんじゃないぞ”ではないですが、まだ使ってない資産いっぱいあるし、そういうものに気づいてもらえたらいいなと思います。   ―では最後に、メンターとしてeyaの学生に一言お願いします。 「お互いに有意義な時間にできるように頑張りましょう」という感じですね。お互い刺激になってまた来たいと思ってもらえるチームなり場所なりにしてもらいたいな、しないとなと思っています。    

#インタビュー

【 engawa young academy 】 メンターインタビュー パナソニック篇

2019年11月より、engawa KYOTOにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eyaに参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第5回目は、パナソニックの黒田さん、若竹さんにお話を伺いました。 ※第一回インタビュー(みずほFG)は こちら  第二回インタビュー(日本たばこ産業)は こちら  第三回インタビュー(積水ハウス)は こちら  第四回インタビュー(島津製作所)は こちら   右奥) パナソニック リクルート&キャリアクリエイトセンター戦略企画課  黒田 健太朗さん 右手前) パナソニック 同センター タレントエクスペリエンス課  若竹 淳平さん 左)インタビュアー) 電通 京都BAC engawa young academy 事務局   湊 康明    ―まず、御社についてお伺いします。学生の皆さんに、パナソニックの意外と知られていないけど知ってもらいたいことはありますか? 若竹さん :やはり、事業領域の広さです。半年前、僕はパナソニックにキャリア入社しました。正直、入社前は家電だけの会社だと思っていました。しかし、家電だけにとどまらない住空間、街づくり、モビリティなど多様な事業領域がある事が入社の決め手の1つでした。まずは、その多様な事業領域が秘める可能性の大きさを学生さんに知ってもらいたいですね。また、多様化するこれからの“くらし”を創る新しい共創型プラットフォーム事業についても知ってもらいたいです。これまで培ってきた“くらし”のタッチポイントであるハードウェアを繋ぎ、そこにソフトウェアの力を掛け合わせることで一人ひとりにとってのよりよい''くらし''を実現していく。主な開発事例として、より自分らしい生活、より人間らしい社会を実現するくらしの統合プラットフォーム「HomeX」があります。この事業には、Googleの研究開発部門の立ち上げなどをしてきた松岡陽子さんが2019年10月から参画してくださっています。これまで積み重ねてきた技術力や人的リソースなどを最大限に活かしながら、変えるべきところは変え、パナソニックという枠を越えて「“くらし”をよりよくしたい」という同じ想いを持っている方々と共にこれからの“くらし”を創ろうとしています。   黒田さん :パナソニックはモノづくりを通じて、「今日のあたりまえ」を創ってきた会社だと思っています。パナソニックにはそれを表すようなエピソードが沢山あります。特に、家電が女性の社会進出を後押ししてきた話がすごく好きです。今から50年前って女性が社会で働くなんてありえないっていう時代で、家電が普及してしまったら女性は家事という労働から解放されて怠け者になるとか言われていたんです。今から考えると信じられないですよね。創業者 松下幸之助は製品を販売するための広告や宣伝は意義深いものであると考えてもいました。だから、新聞広告でも家電自体の機能を伝えるのではなく、家電によって女性が家事から解放されるという、その当時での「これからのいい未来」を訴えた企業広告を出しました。 ちょっと大げさかもしれないですが、そんな「いい今日」を創りたいという想いの積み重ねが、今日の女性が働くことを当たり前に選択できる世の中の後押しになったのかなと思っています。そんな「いい今日」を創りたいという想いを100年積み重ねていくなかで、パナソニックは家電だけでなく、家・学校・飛行機・工場含めくらし全般へお役立ちの領域を広げてきました。これが多角化企業である当社の歴史です。創業者の想いは、ブランドスローガン「A Better Life, A Better World」という言葉になって今日まで引き継がれています。そして、さらに次の100年で当社がどんな「あたりまえ」を作るのか、一緒にカタチ創っていきたいと思ってくれる方に関心を持ってもらえたらな、と思います。   若竹さん :そうですね、黒田君が言うように「A Better Life, A Better World」は「いい商品作って売ります」ではなく、今でいうデザイン思考のように「目の前の一人ひとりに寄り添って価値提供をしていく」ということを表していると思います。その価値提供手段がパナソニックには多くあり、それだけ挑戦のチャンスと可能性が多くある。そんな部分が伝わるといいなと思いますね。   ―御社は、「採用から変革を起こす」とおっしゃっていますが、どのような想いからでしょうか? 若竹さん :採用部門の所長 萬田も様々な場面で発信していますが、働き方がこれだけ多様化している一方で、就職のやり方がこの60年間ほぼ変化していない。日本の大学生が置かれている「キャリア選択をする上でのアンフェアな環境」に対する危機感からです。企業と学生さんがもっとオープンで対等な関係の上で、本質的にキャリアや仕事の理解を深める機会を増やしていきたいと考えています。パナソニックがその着火剤や起点になれればいいなと思います。ただ、パナソニックだけで実現することは難しいです。だからこそ、他社、大学、学生さんと共に「新しい文化」を採用の観点でも共創していきたいと思っています。   黒田さん :また創業者の話になりますが、創業者 松下幸之助は、社員から「松下(現:パナソニック)は何を作る会社ですか」と聞かれた際に、「松下電器は人をつくるところでございます。併せて電機製品をつくっております。」と答えたという有名な話があります。これは、パナソニックに深く根付いた考え方だと思います。採用に話を戻すと、優秀な人を見つけて採用するって、ゼロサムゲームの奪い合いじゃないですか。人づくりを100年やってきた当社のノウハウがあれば、この違和感のあるゲームをよりよく変えられるのではないかと思っています。 学年や学校という枠組みを超え、キャリアや仕事について社会人と一緒に学べる機会によって、めちゃくちゃ学生さんが成長する様子も何度もみてきました。だから、社会全体でこういった成長できる機会を提供することができれば、日本全体で競争力の源泉である「様々な場面で活躍できる人」がどんどん増えていくのではないでしょうか。そういう社会の「今日のあたりまえ」をつくる起点になりたいというのがパナソニックの想いです。   パナソニックが提唱するミッションドリブン 〜人生100年時代の新・キャリア戦略〜 https://www.fastgrow.jp/articles/panasonic-manda-kouno     ―それが異業種合同のインターンであるeyaに参加された企業としての意義なんですね。 では、ここからeyaについてお伺いしたいと思います。初日・2日目を終えてのご感想をお願いします。 黒田さん :まず、学生の皆さんそれぞれが何かしらの領域で飛びぬけていて、自分の二十代って何していたんだろうと思うばかりです(笑)。10年前だったら、今回集まってくれている36名の学生さんみたいに、学生のうちに起業したり、学生団体を作ったり、リーダーとして参画していたり…と色々な事をやっている人たちを同じ地域で集めることすら出来なったんじゃないかなと。ここに集まっている36人は社会や仕事、キャリアについて知るだけでなく、その先のことを考え、さらにその先にある自分が実現したい社会に向けてすでに行動を起こせている学生さんばかりが集まっています。そういった経験から出てくるアイデアや議論の質はハイレベルで聴いているだけでこちらが学ぶことばかりです。   若竹さん :異質性が高くていいですよね。かなり特殊な経験をしていたり、デザインが得意だったり、全員が別々の領域で飛びぬけているところに魅力を感じます。そして、それらが上手くチームとしてまとまった時に、さらに素敵な化学反応が起るのではないかと思うとワクワクします。   ―初日、2日目と少しずつ個性がみえてきて面白いですよね。 では、初日の午前中、チームクリエイト※する学生達の様子を見てどう感じましたか? ※eya期間中のグループメンバーを、学生自身に決めてもらうプログラム 若竹さん :No.1よりOnly1という考え方が当たり前の時代を生きてきた彼らにとって、リアルなコミュニケーションの中ではっきりと否定される経験はそこまで無かったんじゃないかなと思います。プログラムの中で「チームになろう」と声を掛けても、断られるシーンもありましたよね。恐る恐る出した手を弾かれたそのあとに、どのようなコミュニケーションを取るかというところに個性がかなりでていました。正直、社会人になるとお客さんにはっきりと否定されたりすることも実際はありますよね。そういった経験に近いことを学生の時に経験できたことはきっと彼らのこれからの糧になると思います。   黒田さん :このコンテンツで大切なポイントは「自分で選んだメンバー」で作ったチームということ。少なくとも“5ヶ月間走りきる上で自分が納得して組んだチームにする為の禊”という文脈ではとても良かったなと思います。結局、自分が選んで作ったチームだからこそ、それが上手くいかないのも自分の責任という自覚をもって行動してほしいです。またその上で、それぞれのメンバーがリーダーシップを発揮してくれると、さらに成長したみなさんに会える気がしてワクワクしています。 学生にとって、eyaでの学びはワークショップに4、5回参加することだけではないです。「5 days」ではなく「5 months」の活動としてどう過ごすかが重要だと考えています。だから、engawaに来る日以外の時に、学生だけでどのようにチームをエンゲージしあい、メンバーの意見をすり合わせていけばチームがうまく機能するのかを意識してトライしてほしいなと思っています。5 monthsの学びを最大化するためにも、自分たちが自分たちの意志で作ったチームである事を意識しつつ、それぞれのメンバーがリーダーシップを発揮するようにサポートしていきたいと思います。   eya初日、学生と語る黒田さん   ―学生がメンターを選ぶメンタードラフト※について、どう感じましたか? ※メンターが企業名を隠して、学生に対して自己紹介プレゼン。学生が希望するメンターを指名するプログラム 黒田さん :「百聞百見は一験に如かず」ですね。これも、創業者 松下幸之助の言葉なんですが、どれだけ聞いてみても、どれだけ見てみても、一回の経験にはかなわないということです。このプログラムでは、メンターである社会人が社名を隠して自分のアピールプレゼンをします。その後、各テーブルを渡り歩いて学生からヒアリングを受ける。これって、普段学生の皆さんが体験される面接と全く同じことですよね。正直、誰からも選ばれなかったらどうしようとか思って、めちゃくちゃ不安でした…。でも、学生の皆さんが目を見て暖かく話を聞いてくれて、それだけで救われた気分でした。次、学生さんと面談する機会があれば、この気持ちを絶対に忘れずに対応したいと思いました。相手の立場を理解するって実際に経験してみないと本当に理解しているとは言えないなって痛感しました。   若竹さん :企業名がバレないようにプレゼンをしなきゃいけないので、「当社は〇〇です」ではなく「私はこう思う」といった表現が求められていたのも印象的でした。そんな風に話す機会はなかなかないので、すごくいいなと思いました。あとは、黒田くんのプレゼンで「僕のやりたい事を言うと会社が分かってしまうので言えません!」が印象的でした。自分のwillと会社のwillが重なっているのが素晴らしいと思ったので、そこを伝えられる機会があるのはいいと思いました。   ―学生から受けた印象的な質問はありますか? 黒田さん :「あなたはメンターとして、どうチームへ貢献してくれるか?」という質問をほとんどのチームからもらいました。これに違和感があって、与えられたものをどのように吸収するか、という教育に慣れすぎているのかなと思いました。だから、「僕のメンタリングチームには“オトナを使い倒す”ことを課します」と回答しておきました。 僕の周囲で活躍している同世代の共通点は、上司や周囲のメンバーを巻き込むスキルがずば抜けて高いということです。これはただ巻き込むというより、自分が実現したい未来のための仲間を増やす力がずば抜けていると表現したほうがいいかもしえません。だから、学生のみなさんには今のうちから「周囲を巻き込む=大人を使い倒す」を体得するために、僕たちメンターを使い倒す視点でコミュニケ―ションをしてほしいと伝えました。   ―2日目のディベートプログラムについてはいかがでしたか?   2日目 ディベートプログラムの様子   黒田さん :ディベートのやり方とか、論理構築のための調査結果はもちろん、モノゴトの捉え方という観点でも面白い学びがあったんではないかなと思います。 例えば、ディベート大会では勝負が始まる直前で、A/Bどちらの立場で主張するかを決めます。その後、それぞれ選ばれた立場が正しいと主張し、相手を打ち負かそうと議論します。A/B逆の立場で戦ったとしても同じくらい白熱した戦いになるはずです。つまりこれって、「モノゴトはたった一つの真理があるわけでなく、二面性でどちらも正しいというロジックを並べられる」ということだということだと思います。 ディベート大会を通じて、そんなところまで気づけると今後の会議などでの意見の捉え方も変わってくるのではないでしょうか。そういった気づきに繋がるサポートをしたいなと思います。   若竹さん :興味深かったのは決勝戦ですね。突発的な問いに対して、ロジック対エモーションで互いにひるむことのない3分間の引き込まれるディベートでした。     ―では、eyaを通じたご自身の成長としてどのようなことを期待されていますか? 黒田さん : 先ほどeyaに参加する学生さんが多種多様な経験を積み、それぞれの経験に基づいた強みをもっていると言いましたが、おそらく社会全体でみてもそういった学生さんが増えていると思います。そして、そんな学生さんが社会人となり、ゆくゆくはチームのメンバーとして僕と一緒に仕事をすることもあると思います。だから、そんな遠くない未来の予行練習として、eyaでは様々なチームエンゲージメントの試行錯誤をさせていただいています。どうしたら、そういった経験をしてきた学生さんの成長機会を最大化させ、チームや仕事にエンゲージしてもらえるか」を意識しながらコミュニケーションをとっています。将来、いいチームを作っていきたいですからね。一人の大人同士として、素直に僕のコミュニケーションの取り方についてフィードバックをもらえる所が、とても貴重な経験になっています。eyaは社会的意義もあるし、社会人として私が一番成長させてもらえるという点でも貴重な機会だと思っています。   ―異業種が集まる取り組みの中で、刺激として期待されることはありますか? 黒田さん :業種が異なれば考え方とか大事にする価値観が変わると思うんです。そういう意味で様々な業界から参画するということは、多面的に色んな価値観に触れる機会提供に持ってこいだと思います。''いい''は絶対軸で定義できないですよね。採用のミッションって、いい人を採用するとかエンゲージするとかもそうですが、他に重要なのは「なぜこの業界・会社・職を選んだのか」について学生自身が納得して説明できる状態を作ることだと思います。その機会作りの手助けのためにも、異業種と一緒に取り組み相対的に見える状態の中から、選択した理由を学生が見つけてくれれば、それは採用の仕事の本質には近いんじゃないかなと思います。   ―プログラムを通じて学生さんたちと接して、彼らに期待していることはなんですか? 黒田さん :先ほどもお伝えしましたが、大人を使い倒すことですね。そのスキルを身につけて、社会に出た時に活躍しまくれる人になってくれたらいいなと思います。地頭力だけではなく、どうやって大きなリソース(人・物・金・情報)を動かすのかという意味でも、どんどん大人を使い倒せるような人に育って欲しいです。 「早く行きたいなら一人で行け、遠くへ行きたいならみんなで行け」という言葉のイメージに近いのかもしれません。   若竹さん :「これに本当にワクワクしているのか」が大切だと思っています。ワークがタスクになってしまうより、せっかくやるなら楽しくやる方がいいと思うんです。「あと1ヶ月もある」ではなく、「あと1ヶ月しかない」みたいな方が楽しいと思いますよね。   ―最後にeyaの学生に向けてメッセージをお願いします。 黒田さん :メンターとしての担当は1つの班になりますが、それ以前に僕は、eyaのメンターとして参加しています。「大人を使い倒す」と言った以上、「他班の人も私を使い倒す」ということを考えていただければと思います。      

#インタビュー

【 engawa young academy 】 メンターインタビュー 島津製作所篇

2019年11月より、engawa KYOTOにて始まった多業種合同インターンプログラムengawa young academy(以下、eya)。参加企業のメンターの皆様から、eya参加されての感想や参加された理由、また学生に知ってほしい企業の新たな一面などを伝えるために、各社インタビューを行います。第4回目は、島津製作所の今井大輔さんにお話を伺いました。 ※第一回インタビュー(みずほFG)は こちら  第二回インタビュー(日本たばこ産業)は こちら  第三回インタビュー(積水ハウス)は こちら   左) 島津製作所 人事部 人材開発室 採用グループ グループ長 今井 大輔さん 右)インタビュアー) 電通 京都BAC engawa young academy 事務局   湊 康明   ―eya初日を終えての率直な感想は? 正直言うと、普段使ってない頭を使ったなぁと思います。学生自体の意識が高く、自分の時代を含め、これまでに出会った学生とは種類が違うように感じました。今回“自分で行動を起こして何かを変えてやろう”という意識を持っている学生がすごく多い印象でした。   ―チームクリエイト※での様子を見て、どのようなことを感じましたか? ※eya期間中のグループメンバーを、学生自身に決めてもらうプログラム やり方は面白いと感じました。 “ありたい姿”をきちんと描いているのが学生たちに見られたので、「同じチームに」と言われたからOKするのではなく、拒否するシーンもありましたね。   ―午後のメンタードラフト※の感想を教えてください。 ※メンターが企業名を隠して、学生に対して自己紹介プレゼン。学生が希望するメンターを指名するプログラム あれは心臓に悪いですよね。(笑)学生が何をみているのかは、すごく気になるところはあります。誰がつくことによって自分がどう成長するかを、学生は気にしているのは分かりました。   ―学生からの印象的だった質問は何でしたか? 「私がメンターにつくことによって、どう伸ばしてくれますか?どうマネジメントしてくれますか」ですね。私は少年野球の監督の経験があったので、その経験をもとに適材適所で伸ばすところは伸ばし、足りないところも含めてチームの総合力を上げていけるような取り組みをしたいとお返事しました。   eya初日、学生と語る安信さん   ―こういった試みに関しては率直にどう思いますか? すごくワクワクしています。まだ結果も出ていないですが、一日参加した上では、この取り組みに参加して良かったなと思っています。自分としても頭の整理というか、学生が何を考えているのかを感じることが出来ましたので。   ―では、ここからは御社の今についてお伺いしたいと思います。 島津製作所について、学生が持つ既存のイメージとは違う、知られていない強みなどを教えてください。 学生のイメージとして、島津製作所というと堅くて歴史のある企業・動きも鈍いイメージを持たれているかもしれません。実際はというと、積極的に新規事業に取り組んでいる会社です。創業以来140年以上、伝統をずっと守り続けているのかというと、守り続けているのは“科学技術で社会に貢献したい”というその気持ちです。製品や事業内容は、時代に合わせて結構変わっているんです。おそらく5年後10年後は今ない製品が主力になっているのではないかなと思います。つまり、失敗を恐れず新しいことに挑戦し、失敗も繰り返しながらビジネスをやっているのが島津製作所の特徴かなと思います。   ―具体的に、島津製作所を象徴する事例や製品はどういったものでしょうか? 当社は元々、分析装置の開発と医療機器の開発は、それぞれ独立した事業部で行っています。が、そこを上手く融合して医療分野で分析装置を使う動きを強めています。例えば分析装置で血液を分析することで、色々な病気が分かります。例えば、アルツハイマーも血液を分析することで分かるようになってきたんです。大腸癌であれば、GCMSという分析装置で分析すると分かるんです。知っていただきたいのは、分析装置を作っているメーカー・医療機器を作っているメーカーはそれぞれありますが、両方を作っている会社は島津製作所だけです。その強みは活かしていきたいと思い、注力しています。 島津製作所が描くアドバンスト・ヘルスケア: https://www.shimadzu.co.jp/advanced-healthcare/common/base/pdf/advanced_healthcare.pdf   ―新しくはじめた取り組みなどありますでしょうか? 特に、オープンイノベーションは是非知っていただきたいと思っています。HPにもありますが、社内のリソースをうまく使いながら、ベンチャーを立ち上げようという取り組みです。社内には、いろいろな技術が眠っているので、それを上手く呼び起こして目覚めさせ、スタートアップをいくつか作っていってビジネスにつなげていこうということです。小さい組織だからこそ出来る取り組みがあるはずだということで立ち上げたものです。 挑戦し続けるDNAを引き継ぐ島津流のオープンイノベーション: https://www.shimadzu.co.jp/boomerang/41/08.html   ―そういった事業や新たな取り組みの中で、採用の指針や人材像どのようなものでしょうか? “ものづくりへの興味”は、文系理系関係なく必要だと思います。どんなものづくりでもいいので、何か手を動かしてものづくりをした経験は重要かなと思っています。私がエンジニアをやった後、3年前に今のポジションに着任して、“ゼロからのものづくり”の発想力を鍛えるイノベーター人材を採用する手法を考えたいと言って新たに作ったインターンシップが、「発明体験インターンシップ」です。当社の知財部にも協力していただいて、イノベーション人材の定義から、その人たちがどういった思考を持っているのかを分析し、設計しました。具体的には“世の中の身近なものを再開発しましょう”というのが肝になっています。題材は、傘・鍋・ティッシュなどをこちらが提供して、それを他のものに変えましょう。その発想力から新しいものを生み出していくのをプレゼンしていく流れです。いい例でいくと、ティッシュであれば、最新のニュースをそこに印字し、最新の情報を新聞のように出していきましょうだとか。     ―面白いアイデアですね!イノベーション人材の定義は、どのような要件なのですか? 発想力があり、たくさんアイデアを出せる人ですね。質より数です。そもそものアイデアの数を出してくるのは、鍛えてもなかなか出来ないところなのかなと思っております。求める人材像も“変化を楽しみ、これまでにない価値創造の主役となれる人”と定義しています。今の世の中は変化の連続ですので、新しい発想力を持って、今までにないような価値を創造する主役になれる人が、当社が求める人材、かつ、当社で活躍できている社員像です。   ―島津製作所の特徴である「多品種少量生産」について、教えてください。 企業や大学の研究者が使っていくような製品が多く、それぞれやりたいことが違うので、その人のニーズに上手く応えていこうとすると、それを使いたい人は実は日本に10人みたいなレベルなので、いわゆるニッチな市場と言われるところなので、そういったものが多いです。それをビジネスとして成り立たせる生産技術も捨てたものではないです。   ―顧客ニーズをヒアリングする力も必要なのですね。 そこが本当に重要ですよね。ストラテジーを立てて物事を進めていく計画・市場の動向を見極めていくのは、文系の方が優れているケースもあるので、文理が上手く融合しながら開発を進めていく形です。当社は開発のためにいくつかフェーズがあり、営業とエンジニアで製品開発をしていくんです。ですから営業から見たときに、自分が出したアイデアが製品に盛り込まれているところが、やりがいにはなっていると思います。   ―文系人材にも、大きな活躍の機会があるのですね。学生のイメージにはあまりなさそうです。 今はビジネス戦略担当で、元採用担当たった文系の部下がいるのですが、彼は様々な会社説明を聞いていて、一番わけが分からなかったのが島津だったから島津にしたと言っていたんです。製品の想像しやすいものは、参入障壁が低いので色々な人が真似してビジネスとしてやり始める可能性があるが、訳が分からない=製品の競争力が強いということで島津を選んで、結果、島津を選んで正解だったと言っていました。技術者同士の話では思い浮かばなかった、文系の“素朴な疑問”が全てを解決してしまうケースもあるわけです。あとは、その道の最先端のビジネスに触れ、最先端の研究者と対等に話ができます。食品・化学・材料・自動車・半導体等ほぼ全ての業界がお客様なので、各業界の最先端動向・5年後・10年後が見られるのが当社のやりがいです。     ―今井さんは、エンジニアの時はどんなお仕事をされていたのですか? 成功事例と言っていいのかわかりませんが、私は液晶ディスプレイの検査装置を担当していました。入社してすぐで、まだ液晶テレビが世の中にない2000年ごろに携わりました。これからの世の中液晶テレビの時代が来るだろうという市場ニーズを掴んでいて、そこから液晶ディスプレイの画素が正しく駆動できているかどうかを検査する装置を開発しました。その装置は、元々島津が開発していた電子顕微鏡の技術を応用したものです。   ーじゃあ今、皆が普通にテレビを観ているのは島津さんのおかげってことですか? あ、それ自信を持って言えますね(笑)ある一定割合で製造の欠陥が出るので、昔は全て捨てていたのを全部直して出荷できるようになったんです。普通に液晶テレビが買える値段になったのは、我々の作った検査装置のおかげだと自負しています。当時の中国や台湾のお客様にプレゼンをしたら、皆ハイテクの極みだ!と言っていましたね。   ―技術者の方は世界に散らばっていらっしゃるんですか? うちの産業機器の事業部は、そうですね。営業もバンバン海外に行きます。市場のあるところなら世界のどこでもという感じですね。   ―入社されてから今までで、社風の変化はありますか? 昔からチャレンジを尊重するのは変わっていなくて、若手のアイデアは尊重されます。1年目2年目であっても、そこで出てきたアイデアが採用されるケースは非常に多いですし、誰もやったことがないこと、教科書にないことをやる上では、必ずしもマネージャーが答えを知っているわけではないんです。   ―そういった企業風土の御社にとって、eyaに参加される意義や理由はどのようなものでしょう? やはり外の風を入れないと、新しい発想は出てこないのではないと思っています。採用も口を開けて待っているだけでは、元々当社を希望して知っている人だけしか入ってこないです。だけど革新・イノベーションは島津を知らなかった、という人から起こる可能性もあると考えています。eyaは島津製作所とは違う思考を持っている人に触れる機会があるので、是非当社に興味を持っていただきたいと思っています。   ―異業種による、人材育成の取り組みについてについてはどうでしょう? やはりある周回軌道をずっと回っているところにその業界での限界があると考えていて、異業種に1つの発想転換の起爆剤があるのではないかと、昔から思っています。今回のeyaも、業種が違うことが非常に大きな魅力になっていて、全然違う考え方で仕事をしていると思うので、私も刺激を受けたいなと思っています。   ―eyaの学生に感じたことや期待することはどのようなことでしょう? 総じてみなさん動ける・動いた経験があることは自信にもなっているのかなと思います。経験談で語れるところも多少あるとは思いますが、色々な人と物事をやって行く楽しさと難しさを感じてほしいですね。あとは、自分の思っている範囲を超えた発想力を周りから受けてほしいと思います。「この人は自分とは違うな」と思ったら、その人を上手く取り込むという感じで。   ―最後に、メンターとしてチームやeyaの学生に伝えたいことはありますか? メンターとしての責任はありますので、成長を感じ取ってもらいたいと思っております。私と私の会社のメンバーが他にも来ますので、具体的には、チームを動かした経験・そこからアウトプットを出した自信をつけてもらいたいなと思います。