プロトタイピング前提のハードウェアワークショップ、 ウルトラワークショップに参加してきましたレポ

#プログラム/セミナー

8月19日、日本有数のプロトタイピングファクトリー「ウルトラファクトリー」を擁する京都造形芸術大学にて、(株)電通と(株)クロステックマネジメント(URL:http://xtech-m.co.jp/)共催でワークショップが行われました。JAMJAM!ライターの奥田もスタッフの一員として参加してきました。今回はその模様をお届けします!


実績多数!ウルトラファクトリーのすごさ

わたし個人の経験として、“ワークショップ(以下、WS)”と呼ばれるものを幾度となく実施してきましたが、このWSの特徴のひとつは出口設計を“ハードウェアのプロトタイピング“に定めたという点でした。それを可能にするのが前述の「ウルトラファクトリー」です。現代美術作家であり京都造形芸術大学の教授でもあるヤノベケンジさんがディレクターを務め、劇団四季やビートたけしさんとのコラボレーションなど実績多数。金属、木材、樹脂加工等の設備に加え、デジタル造形機材など、これからのものづくりに不可欠な機材が充実したファクトリーです。DMM.makeの仕掛人でもあるABBALabの小笠原治氏も監修し、日本でトップクラスに充実したファクトリーになっています。
(詳しくはhttps://www.kyoto-art.ac.jp/art/special/ultra/

今回のWSでも、参加者全員でウルトラファクトリーを見学し、多種多様な機材とそれぞれで何ができるかなどの説明があったり、ヤノベケンジさんから直々にファクトリーの説明を受けたり、アイデアの刺激を大いに受けてスタートしました。

ウルトラワークショップはなにが“ウルトラ”なのか

今回のWSのもう一つの特徴として、参加メンバーの多様性がありました。課題を振り出す大企業の担当者と芸術大学の学生や教員、ウルトラファクトリーに精通したテックスタッフ、トレンド視点から刺激を与える雑誌社やテレビ局、新聞社からメンバーが参加し、広告代理店の電通からもメンバーが入った混成チームで、まる一日頭を突き合わせてアイデアを出していくという方法で進めたWS。大企業側が持つそれぞれの課題の振り出しに始まり、アイデアを出すところから絵に落とすところまで、学生の自由なアイデア発想、芸術大学だからできるビジュアライズ、広告代理店のファシリテーション、具現化に向けた芸大教員のプロの手腕など、参加したそれぞれが役割を果たし、たった1日でここまで?というレベルのアウトプットに落とせたことが、参加側としても大満足のWSでした。

WSの最後は各チームの企業担当者からアウトプットのプレゼンテーションセッション。スペシャルアドバイザーとしてヤノベケンジさんと投資家で京都造形芸術大学クロステックデザインコース教授の小笠原治さんという超豪華な布陣で切れ味の鋭い評価をいただき、最後はそのコメントをもってブラッシュアップというプロセスをもって一日は終了。最後の最後まで各チーム、熱のこもったディスカッションでさらにビジネスアイデアが磨かれました。

ウルトラワークショップの本領はここからです。通常、WSはその場でアイデアを出して終わってしまうことが多いですが、今回のWSは出たアイデアをウルトラファクトリーでプロトタイピングし、実際の製品に近いものを触れるモックアップとして制作し、今後のビジネス化に向けた推進力として使っていきます。今回参加された大企業それぞれの課題レベルにより進め方も変わるのですが、みなさんの手に届くものになるよう勧めていきますので、乞うご期待です。

参加者のミニインタビュー

大学事務局長の吉田さん、スペシャルコメンテーターの小笠原治さん、参加企業のみなさんにミニインタビューをさせていただきました!

京都造形芸術大学 事務局長 吉田大作さん

今回の取り組みを実施してみて、企業が複数社集まって、同じ環境の下で自分たちの課題を解決したり、自分たちの新しい価値を生み出そうとしたりする環境自体に意味があると思いました。企業があまり直接関わることのない芸術大学という場所で、チームの中に学生たちも入って議論を展開していくというところに産学連携の可能性を感じました。

吉田さんは芸術大学の学生のアイデアを社会実装するというところに可能性や必要性を感じておられるとおっしゃっていました。今回の取り組みはかなりその理想に近い取り組みだったと感じますが、そのあたりはどうでしょう。

非常にそう思いました。重要なのは、多視点の意見を企業側が受け止められるかどうかというところ。学生のアイデアは、行き詰ったときの打開策のヒントになる可能性としても考えられます。そういうアイデアを受け止めるということは開発プロセスとして大事だと思う。

本日、夏休みにもかかわらず学生さんたちが多く参加してくれましたが、彼らのモチベーションはどのようなものなのでしょうか。

企業と一緒にアイデアを考えるというのは、大学としても機会を多く持たせているつもりではありますが、長期にわたることが多いのが実情です。今回は短期間でそれが体感できるプログラムとして学生にも魅力に映ったのではないかと思います。

京都造形芸術大学 教授、(株)ABBALab 代表取締役社長 小笠原治さん

今回の取り組みは、初めての開催ということもあり、今後はより良くできるポイントがいくつか見えたと思いました。ただ、芸術大学の学生、広告代理店である電通メンバー、そして実際にビジネスにしていく企業の担当者という組み合わせはいままでなかったと思います。今後もぜひ続けていきたい取り組みです。

今後のプロセスの改善点は、どのようなところだと思われましたか?

発想の幅を広げるうえで、自分の所属企業を意識しない環境づくりが大切だと思います。主となる企業に対して広告代理店と学生が入るということも珍しいが、欲を言えば、主となる企業もミックスするという過程を踏んでみるともっと面白い意見が出そうです。

実験的に、主となる企業がまったくおらず、第三者メンバーだけで好き勝手アイデアを出す、みたいなプロセスをWS設計に組み込むのもおもしろいかもしれませんね。ところで、最終プレゼンのクオリティはいかがでしたか。

自分が別で進めているプロジェクトに似ているアイデアもあったので、1日にしてはクオリティが高かったと思います。ただ、発表内容に迷いを感じた部分もありました。可能であれば次回は2日間のWSにして、WSの終わりの段階で担当者が「会社に持って帰ってやろうぜ」という意気込みと自信を持てるようにしたい。1日目でアイデアを出し尽くして、2日目に実際に持ち帰ってビジネスにするにはどうすればいいかという議論までいけると、さらに意味のあるWSになると思います。企業内の上申プロセスも含めて議論して、例えば、他社からの提案という形にしたり、大学との共同研究という進め方にしたりなど、出たアイデアやその企業の課題感によって一番進めやすい形を模索していくところまでやっていけるとよいと感じました。

(株)ダスキン 丸山貴秀さん

社内で新商品開発の議論をしても、先に技術的にできるかどうかで判断してしまったり、会社がどう評価するかが気になったりして、アイデアの伸びがないことが多いです。今日1日WSに参加してみて、社外の方や学生と話していると、こうあるべき、こうあってほしいという生活者視点のアイデアがたくさん出すことができました。モノづくりの原点に立ち返らせてもらえて、いい刺激になりました。特に学生は世代が違うので、キャラクターものがあったらついつい買っちゃうよね、というぼくらにはない感覚のコメントが聞けて良かったです。結局うちの会社は40代以上の顧客が割合的に大きく、今後長い目で見て市場を形成していく若年層や単身世代という世代にはリーチしきれていないので、彼らがどういうものを求めているのかを開発に反映していくという重要性を再確認できました。

実際にビジネスとして社内に通していく立場として、今後の進め方としてどういう体制が動きやすいと思いますか?

自社で完結せず、他企業と組むことでこういうものが作れるんだよ、という前例を作りたいと思っています。他企業とタッグを組んで一緒に開発するという体制は社内で通しやすいと思います。

(株)スマレジ 川上知己さん

スマレジという会社はソフトウェア会社ですので、ハードが作りたいと思ったときに、どこに相談したらいいかわかりませんでした。今回のWSテーマはハードのプロダクト開発でまさに渡りに船。特に今回のWSチームにファクトリーのスタッフさんやプロダクトデザインを専門に学んでいる学生さんなどが参加してくれたので、慣れないハードウェア作りの迷いに対してプロのアドバイスがもらえて、とても有意義でした。たった1日で、ビジュアルアウトプットまでたどり着けたというのはすごく良かった。

プロダクトデザイン学科の学生が作ったビジュアルアウトプットがすごく良かったように、私も思いました。

京都造形芸術大学の学生のクオリティの高さに驚きました。デザインというのは、経験だけでは測れない、若い方のちょっとしたセンスが大切なところに、学生のアウトプット力が組み合わさってよかった。ぜひ実商品にしていきたいと思います。

吉忠マネキン(株) 青山実さん

今回参加して良かったと思うポイントははっきりしていて、自社内だけでやってるとわからないことに対し、社外のアイデアが入ることで良い刺激がもらえたということです。多様なメンバーと交流すること自体が身になったと実感しています。他社の方は違う考え方、違う軸をお持ちなので、我々になかった方向性が生まれました。とても勉強になりました。最終プレゼンテーションを終えて、アドバイザーからのフィードバック後の最終ブラッシュアップの時間でのチーム内の議論でまた大きくアイデアが変容するという経験もできました。ウルトラファクトリーで一度、小さくプロトタイプを作ってみたいと思っています。せっかくなので木工と鉄鋼のハイブリッドでかっこよくしたいですね。ハイソなイメージで作りたいと思います。京都なので、場所は鴨川沿いで実証実験もやりたいね、とチームで話していました。

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【11月19-20日】Island Innovation Demo Day 2021 開催決定!

島という環境が抱える共通課題を見つめ相互発展目指すIsland Innovation Project。本プログラムの一環としてオンラインイベント「Island Innovation Demo Day 2021」を11月19日~20日の2Dayにて開催します!  Day1 概要  2021年11月19日 9:30 開始 ~ 12:00 終了(予定) ご視聴登録はこちら 同時通訳が入ります。 ご登録いただけたら、後日録画リンクを送ります。 リアルタイムでなくてもぜひご登録ください!!! DAY1では、日本とハワイの起業家、投資家、企業パートナーが一堂に会し、さらに、素晴らしい審査員をお迎えし、一般公募で募集し選抜されたサステイナブル社会の実現を目指すハワイのスタートアップ6社が、日本の聴衆に向け、各社が捉えた課題、そのソリューションについてプレゼンテーションを行います。 ■タイムスケジュール  09:30     オープニング  09:35     オープニング・セッション  09:50   スタートアップ企業によるプレゼンテーション  11:10     スピーカー・セッション  11:40   審査結果発表  12:00   終了 ■登壇スタートアップ  Hohonu                     https://www.hohonu.io/ 3Rwater                    https://www.3r-water.com/ PlantBaby                  https://www.plantbaby.co/   Greenshoot                https://www.greenshoot.org   KAS                           https://www.kuehnleagro.com/   Blue Planet Energy      https://www.blueplanetenergy.com/  ■審査員 Dai Yoshida    Managing Partner / Blackbelt Legal, Inc. Makiko Suzuki    Principal / Acario Innovation LLC /Tokyo Gas Co., Ltd. Nick Sugimoto    CEO / Honda Innovations, Inc. Risa Ishii    Director of Japanese Partnerships / Plug and Play Tech Center Nobu Morita    Director of Innovations / NEC X Keisuke Kamiich    Designer / Dentsu Inc.    Day2 概要  2021年11月20日 7:00 開始 ~ 10:00 終了(予定) ご視聴登録はこちら 同時通訳が入ります。 ご登録いただけたら、後日録画リンクを送ります。 リアルタイムでなくてもぜひご登録ください!!! DAY2は、ハワイと日本のイノベーター、投資家、創業者、ベンチャーキャピタリストをオンラインでつなぎ、日本とハワイ、双方の資産を活用し、いかにアイランド・イノベーションを実現するかを話し合うディスカッション、カンファレンスイベントとなります。 日本の技術をハワイのコミュニティ、特にESGのテーマで革新的に活用するには?日本のスタートアップや企業が、ハワイの文化や地理的優位性を活用し、どのようにイノベーションを加速させ、グローバルにビジネスを展開していくのか?日本の企業やスタートアップ、技術などの資産を活用した場合、ハワイが経済を多様化するメリットは何か?ディスカッションテーマ (30-45分)x 4テーマ程度を想定しています。 ■タイムスケジュール  07:00 オープニング  07:10 島嶼地域におけるEVの将来性  07:55 女性のエンパワーメントと気候変動  08:45 ハワイではどのようにしてテック・スタートアップをBIGにすることができるのか?  09:15 ハワイの観光業の革新と多様化   10:00 終了   ■テーマ×登壇者  Theme 1  島嶼地域におけるEVの将来性(原題:The future of EV in Island Communities) アイランド・イノベーションでは、電気自動車の分野で活躍する3人のリーダーを招き、ハワイでの開発機会をどのように見ているか、また、ハワイでの電気自動車の普及を支援するための政策提言活動を行ってきた過去の経験をお話いただきます。 〇登壇者  Scott Glenn (Chief Energy Officer for the State of Hawaii)  Nick Sugimoto (CEO of Honda Innovations)  モデレーター: Chenoa Farnsworth (Managing Partner of Blue Startups)​  Theme 2  女性   のエンパワーメントと気候変動(原題:Women Empowerment and Climate Change​) 国連によると、特に発展途上国   では、男性よりも女性の方が気候変動による悪影響を受けているケースが多いと言われています。このセッションでは、ハワイと日本の両方から4人の女性にお越しいただき、ビジネスのためのエネルギーやネット・ゼロ・ポーリング・ポリシーの作成に関する幅広い知識を共有し、女性が企業の方向性にプラスの影響を与える方法について議論します。 〇​登壇者  Makiko Suzuki (Principal at Acario Innovations )  Chenoa Farnsworth (Managing Partner of Blue Startups)  Tiffany Huynh (Director of External Affairs at Elemental Excelerator)  Yuko Masuda (Business Development Manager at Marubeni Power International )  モデレーター: Takaho Iwasaki (MajiConnection)  Theme 3  ハワイではどのようにしてテック・スタートアップをBIGにすることができるのか? (原題:How a tech startup can be BIG in Hawaii? ​) 一般的に考えられていることとは異な   り、ハワイを拠点としたビジネスは、国内および国際的に成功する可能性があります。今回は、ハイテク企業を立ち上げたプレゼンターに、ハワイでビジネスを立ち上げ、成長させた経験を語っていただきます。   〇​登壇者  TBA  Theme 4  ハワイの観光業の革新と多様化 (原題:Innovation & Diversification in Hawaii‘s tourism) COVID-19がハワイのビジネスに影響を与え、多くの人がハワイの経済の多様化を唱えています。しかし、観光自体はどうでしょうか?このセッションでは、ハワイと日本の観光関連分野の専門家3名に、日本人観光客のハワイ旅行に対する考え方がどのように変化したのか、また、ハワイの観光産業はどのように振る舞うべきなのかを議論していただきたいと思います。 〇​登壇者  TBA 不明な点等ございましたら、Island Innovation Project事務局までお問い合わせください。 *イベントの内容に関し、登壇社、審査員等変更になる可能性がある旨ご了承ください。 お問い合わせ先:Island Innovation Project事務局  iip@engawakyoto.com  

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6月29日16:00~ 開催決定!REMOTE engawa「選択的卵子凍結で考える女性の未来」

フェムテック(Femtech)とは、女性特有の課題を解決するテクノロジーの略語で、国内でも急速に市場が形成されようとしている注目領域です。日本は世界経済フォーラム「世界ジェンダー・ギャップ報告書2020」によると総合スコアが対象153カ国中123位と非常に低い評価であり、女性の社会進出に大きな課題を残しています。また、体外受精実施件数が年間約45万件であり、世界最大の不妊治療大国となっているのが現状です。本イベントでは、女性の未来を考えるうえでの選択肢の一つとして、「選択的卵子凍結」を取り上げます。電通のFemtech特化チームであるFemtech and Beyond、選択的卵子凍結の保管サービスを提供するGraceGroup、世界最大級のアクセラレーターであるPlug and Play Japanがご案内します。 ■PROGRAM 6/29(火)16:00~17:30@Zoom 参加無料! 16:00 – 16:10 Opening ~Femtech and Beyond~ ㈱電通 & Plug and Play Japan㈱ 16:10 – 16:30 米国の卵子凍結状況および今後の日本展開の予想:                          Scrum Ventures LLC Biz Dev Manager 大嶋 紗季氏 16:30 – 16:50 不妊治療の現状と選択的卵子凍結について:㈱グレイスグループ 代表取締役CEO 花田 秀則氏 16:50 – 17:05 多様な組織づくりを目指す社内福利厚生制度についての説明:                        ㈱メルカリ People Experience Team Manager 幸野 俊平氏        ㈱メルカリ様の社内福利厚生制度については  https://mercan.mercari.com/articles/28534/ 17:05 – 17:20 パネルディスカッション 17:20 – 17:30 Q&A 17:30 Closing ■参加登録はこちらから https://bit.ly/2U57o2X ■ウェビナーをさらに有効にご活用いただくために… 参加をご希望の方は事前に動画を視聴いただくことを推奨いたします。 【~宇賀なつみと学ぶ~「10分で分かる卵子凍結」】 皆さんのご登録お待ちしています!!