【 engawa young academy 】 イノベーターインタビュー 前編
#インタビュー
前編は、島津製作所、積水ハウス、パナソニックの皆さんです。
− 島津製作所 清水さん −
島津製作所 経営戦略室 グローバル戦略ユニット 社外連携グループ主任 清水 耕助さん
―本日学生にご紹介頂いた島津製作所での新たな事業領域や取り組みを教えてください。
私自身がやっている事業は大きく二つあります。一つは、スタートアップの技術や考え方を積極的に社内に取り込んで事業を加速させたり、新規事業をやっていこうとしています。自前主義が強い会社ですが、今の世の中の状況ですべてを自社で賄うのは難しい。また、目の届いている範囲が限られるということに危機感を持っています。
もう一つは、自分たちでスタートアップ的に新規事業を起こすことです。言うだけではなかなか変化は起こせないので、まずは自分たちで成功例をつくろうとしています。具体的にいうと、研究現場で「分析装置が手元にない」「技術的なサポートを出来るスタッフがいない」「扱える学生が足りない」などの理由から、分析したくてもできないという声があります。“日本の研究力の課題の一部分として分析に関する問題があるならば、何かお手伝いできるような新しい事業ができないか”というテーマを設定しています。例えば新しい機器提供方法・トレーニング方法・動画自習ですね。あとは、徐々に機器の世界でもシェアリングの話が出ています。プロジェクトが終わったら使わないとか、空いている装置は結構あるんです。一方で、使いたいけど使えない先生もいます。そういうシェアリングの可能性も考えつつ、機器提供方法とノウハウの継承で新しいことをしようとしています。
―eyaの学生にそれらの取り組みについてお話して頂きましたが、会話の中で印象に残ったことを教えてください。
脳活動や五感の計測に興味がある学生さんが多かったですね。「実際に今映像を制作している中で実際に創りたいのは感動です。何か計測を使って感動をより創りやすくしたり、科学的に増やしたりできないか」など、自分事として五感の見える化や操作に興味を持っていらっしゃる方が多く、いい意味で意外でした。どちらかといえば、島津の計測は食べ物・水・空気などのモノに対してがメインです。ヒトに対しての計測は、今まさに取り組もうとしている分野なのですが、意外と皆さんはそっちに興味があるということが発見でした。
―では、学生に向けてのメッセージをお願いします。
一番は「面白い」「好きだ」と思うことをそのまま素直にやってください。最近すごく思うのは、正解はないはずなのに、最近の世の中は自然と“正解探し”っぽくなりつつあります。自分もそこにすぐはまることがあるので、その度に「正解はないぞ」って言い聞かせています。「正解はない」という気持ちで、楽しんでもらえたらいいと思います。僕は就活をしていないんです。就活サイトとかも使っていないし、エントリーシートも書いたことがない。ただデザインが好き・やりたいだけで直接会社に申し込んで、デザイナーの実技試験だけを受けました。企業のランキングみたいなものによって、例えば就活に「正解がある」とか、「いい会社」がある、そのために自分をどう見せるべきだとなってしまっているのであれば、それ以外の道があることを知るだけで気が楽になるのではないかと思います。
− 積水ハウス 南さん・岡本さん −
左)積水ハウス 技術業務部 課長/博士(工学) 南 裕介さん
右)積水ハウス 開発事業部 トリップベース事業推進室 課長代理 岡本 勇治さん
―本日学生にご紹介頂いた積水ハウスでの新たな事業領域や取り組みを教えてください。
南さん:私は、これまで手がけたプロジェクトの何点かを紹介させていただきました。例えば、10年前のまだ“スマート”という言葉が広がっていない時代に“スマートハウスとは?”を表現する企画をしたんです。ハウスメーカーが考えた“スマートに暮らす”を、企画から建設・実験・展示しました。当時造った施設には、今のスマートハウスに実装され始めているものと同じ機能を備えていました。例えば、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)や、蓄電池が入ったゼロエネルギーハウスですね。やっと一般化されてきています。
岡本さん:僕は“トリップベース 道の駅プロジェクト”というプロジェクトの紹介をさせていただきました。全国の道の駅の隣接地に積水ハウスの住宅部材を使用した外資系ホテルを造るというものです。外資系のホテルが地方の郊外に作られることがなかった中で、うちの会社とマリオット・インターナショナルというホテル会社のリレーションがあったからこそ実現したプロジェクトです。地方部を訪れたいインバウンドも確実に増えてきている一方、受け皿がなかった。その受け皿として、世界最大手の会社と手を組んだのは、他の会社には出来ない取り組みだったと思います。積水ハウスならではの地方創生への貢献案件ですね。
―eyaの学生にそれらの取り組みについてお話して頂きましたが、会話の中で印象に残ったことを教えてください。
南さん:積水ハウスが60周年であることを受けて「最初の30年は安心安全・次の30年は快適性や環境対応。では2020年からどんな住まいを作ると思いますか?」という質問をこちらからしたんです。学生から「感性に訴えるものですかね。」「人の心に響くものですかね。」という回答でした。今、積水ハウスとしては“我が家を世界一幸せな場所にする”というビジョンにしているので、そういった内容がもう学生にはピーンときているんだなと思いました。
岡本さん:「なんで積水ハウスがそんなプロジェクトするんですか。」という率直な意見ですね。やはり儲けだけを追求してはいけないということ。そして、環境に寄り添って地域の課題を解決できる会社であると説明をしました。そうすると、学生ながら環境系や地方創生のことをやっていらっしゃる方もいて、共感してくださり、対話になったんですね。これは、ここに参加している学生の意識が高いということだと思います。
―では、学生に向けてのメッセージをお願いします。
南さん:失敗をどんどんしようと伝えたいです。同じ失敗は繰り返しちゃダメですが、重ねることは非常にいいことなので、小さい失敗を重ねながら挑戦し続けていくことが重要ではないかと思います。
岡本さん:そこの会社に入ったからと言って、その会社の本業をしなければいけないわけではなく、その会社ならではの“新しいこと”をしようと思えばできます。人・事業・やっていることなど、何をきっかけに会社を選ぶのかは色々あると思います。ただ、働いていく中で考えることは変わっていくと思うので、その自分の中での「軸」を意識しながら社会人を迎えれば、自ずと成功すると思います。
− パナソニック 河野さん −
パナソニック リクルート&キャリアクリエイトセンター採用ブランディング・PaopleAnalytics課 河野 安里沙さん
―本日のプログラムに参加されての感想をお願いします。
今日、初めて多業種合同インターンプログラムeyaに参加させていただきました。今日1日だけでもアイディアの生み方・育て方や日本を代表する企業のイノベーターによるプレゼンなど社会人の私も学ぶことが多くあるコンテンツで正直、このeyaに参加している学生のみなさんがめちゃくちゃ羨ましかったです。
学生のみなさんからのプレゼンについてですが、理路整然と発表するチームやアイディアが斬新なチーム、発表の仕方を工夫しているチームなど6グループそれぞれの個性が感じられるプレゼンでした。通常の学生生活の合間を縫って様々なバックグラウンドのメンバーと協力しながら準備するのは大変だったと思います。でも、一つだけ学生のみなさんに問いかけられるとしたら、そのアイディアでよりよい社会になると「本気で思っているか」ということです。
現在、私は、HR領域の中でエンプロイヤーブランディングという新しい領域を担当させてもらっています。こういった新しい領域は新規事業と似ていると思っていて、どんな方法であれば効果が出るのか、そもそも効果をどうやって測るのかなどやるべきことから見つけていき、成功までは失敗の連続ですぐには成果が出ないことの方が多いです。そして、成果が見えにくいからだからこそ、「これを推進しなければならない」という誰よりも強い想いと使命感を持たないとイノベーションは起こせないとこの約3年間で痛感しました。だから、もし本気で向き合えることにこれから出会えたら、eyaに参加している学生のみなさんには誰よりも強く自分の可能性とより良い社会にするんだという想いを信じて、例え傷だらけになってもやり続ける覚悟を持ってほしいと伝えたいです。
また、何かを成すためには「強い想い」と「スキル」だけではなく「仲間」が必要なんだよということも伝えたいですね。プレゼン発表の感想の中で「戦略を考える人とか表現する人など含めチームの仲間がいたからここまでできました」とか「自分一人だけではこの提案はできなかった」というコメントがあったのでeyaに参加している学生のみなさんはすでに「仲間の重要性」を理解されているところも素敵だなと思いました。これからのキャリアや人生にプラスの偶然をもたらすeyaで出会えた仲間との出会いを大切にしていってほしいです。
―では、学生に向けてメッセージをお願いします。
「違和感を見過ごさず、実行者でありたい」というスタンスを私は常に意識して仕事に向き合っています。当社(パナソニック)には素敵だと思うところも沢山ありますが、もちろん課題も沢山あります。その“まだまだ足りない部分”を批判や批評ではなく、実行者として課題感を持って一緒に変えていける人に来て欲しいなと思っています。当社はそういう想いを持って、仲間と一緒に創っていける会社だと思っています。 “パナソニックならより良いくらしや社会を本当につくっていける”と本気で思っている人が多いし、何か一つカチッとはまれば、どんどんより良くなっていく“可能性のある会社”だと思っています。自分らしい想いを持って、より良いくらしや社会をつくりたいと思っている方は一緒に実行者として頑張りましょう。