ハワイのスタートアップを日本に紹介!アイランド・イノベーション・デモ・デイ・オンライン レポート!
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ハワイと日本の相互発展を目指すIsland Innovation Project
ハワイのスタートアップを日本に紹介するIsland Innovation Demo Day Onlineレポート
ハワイ、日本と共に、島という環境で独自の文化を育んできた国、地域同士が、それぞれが抱える課題を共有し、またその課題を乗り越えるためのイノベーションを共有しあうなかで、相互の発展を目指すIsland Innovation Project。そんなプロジェクトが2020年12月に実施したIsland Innovation Demo Day Online をレポートします。
日本の朝10時は、ハワイの午後3時
今回のイベントは、日本とハワイをオンラインでつないで開催。日本時間、朝10時スタート、一方、同時刻ハワイは、前日の午後3時。これが、アメリカのベイエリアとつないだオンライン・イベントとなると、昼夜が逆転してしまうのですが、日本とハワイなら日本の午前と、前日の午後のハワイで、どちらも日中の労働時間内。日本とハワイのオンラインイベントは、昼夜逆転といったことを気にしなくていいのは、良いですね。
ハワイ州政府DBEDT デニス・リン行政官の挨拶でスタート
イベントでは、オープニングの挨拶として、ハワイのDBEDT (日本語で発音表記すると「ディーベット」、Department of Business, Economic Development & Tourism)、日本で言うところの経済産業省と観光庁が一緒になった政府機関のデニス・リン行政官から「このような形で、ハワイのスタートアップを日本の皆様にご紹介でき光栄に思っております。また、日本の投資家や企業の皆様が、ハワイで必要なサポートがあれば、是非させて頂きます。そして、これからも日本とハワイの間で生き生きとしたつながりを維持していきたいと思います。」とのコメントで、イベントがスタート。
その後、在ハワイの5社のスタートアップ(シード・プレシード)によるピッチが始まりました。
ハワイのスタートアップは、5社、そして審査員は、日本から4名
ハワイのスタートアップ
・EcoponicX https://ecoponicx.com/
・BoxJelly https://www.theboxjelly.com/
・Mermaid Mushrooms https://www.mermaidmushrooms.com/
・Shaka Guide https://www.shakaguide.com/
・Polu Energy https://www.poluenergy.com/
審査員
・日本航空株式会社 イノベーション本部 事業創造戦略部 部長 大森 康史氏
・Forbes JAPAN Web編集部 編集長 谷本 有香氏
・株式会社電通 京都ビジネスアクセラレーションセンター エグセクティブプロジェクトディレクター 前田 浩希氏
・NEC- X, Inc. Director of Innovations 森田 信之氏
EcoponicX
左)EcopoinicX CEOアメさん、右)審査員:電通の前田さん
島外からの資材調達にハードルがあるハワイという環境にあって、独自開発した100%リサイクルのプラスチック製独立小型モジュラーをベースにした垂直農業ユニットで葉物野菜栽培をBtoC向けに展開しているEcoponicX。「コロナによって、食の生産・販売のサプライチェーンが、いかに脆弱なものかを思い知らされました。そんな中、我々のソリューションがBtoCにおける市場での可能性を広げています。」と話すCEOのアメさん。
質疑応答では、「垂直農業市場は、有望な市場ではありますが、多くの新興企業が参入し、競争が激しい市場でもあります。EcoponicXの市場における競争優位性はどこでしょうか?」との電通前田さんからの質問に対し、「独自開発した小型モジュラーでの栽培を行うことで、栽培した作物を葉から根までを切断せずに、全てを生産物として消費者に提供できる点が、優位性です。」とその栽培方法の特徴を語られました。
BoxJelly
左)BoxJelly CEOのレイチャンさん、右)審査員:NEC-Xの森田さん
Work Hard, Live Better.(しっかり働いて、良く生きよう!)をミッションに掲げ、ハワイのホテルをビジネス環境に最適な場所にするサービスや、独自のコ・ワーキングスペースビジネスなどを展開し、ハワイに来られた方が生産的に仕事ができる環境を提供するBoxJelly。
「コロナ禍にあって、Work from Homeが当たり前になってきています。ですが、一方で自宅は、仕事をするのに最適な環境ではありません。ハワイの働く環境は、今どのようになっているのでしょうか?」というNEC-X森田さんからの質問し対し、「アメリカ本土と比べ、ハワイは、感染者数も少なくすんでいることもありますが、ハワイの働く環境は、ここ1ヶ月で劇的に変わりました。自宅で仕事、時差出勤をするなど、今後どれだけ、コロナの状況が続いていくかわかりませんが、来年初頭からビジネスをもっと大きく展開していきたい」と、今後の展望を語られました。
Mermaid Mushrooms
左)Mermaid Mushroomsオーナーのアマンダさん、右)審査員:電通の前田さん
「ハワイで売られている食品の85-90%は、州外から輸入されたもので、世界的危機、災害がおきた際、ハワイの食料供給が絶たれてしまう可能性が高い。だからこそ地産地消のエコシステムを構築することが重要です。ハワイで売られているマッシュルームも、中国産やカルフォルニア産で、それらは、あまり美味しくなく、バリエーションが少なく、高いだけ。」カイルア・コナのマッシュールーム農園で、多品種のマッシュルームを生産販売するアマンダさん。
「日本でも消費者の健康意識の高まりで、キノコの市場は拡大していて、マッシュルームチーズバーガーなどが人気商品になっています。ハワイで商品化しているフードメニューはありますか?」という電通前田さんの質問に対し、「私も農家としてビジネスをしているので、付加価値のある製品を作っていきたい。今は、新鮮なマッシュルームへの需要が高いので、加工製品をつくるという余裕はないのですが、事業が拡大していけば、例えば、アメリカ本土でも話題になっているマッシュルームコーヒーなんかもぜひ作ってみたいです。」と満面の笑みで答えられました。
Shaka Guide
左) Shaka Guide CEOのアンドリューさん、右)審査員:JALの大森さん
知らない土地を観光する際、知らない他人とツアーガイドに参加するか、ガイドマップを片手に、方向に迷いながら、どこに行けば良いかもわからない中、自分たちで行動するしかありません。そこで音声ツアーガイドサービス「シャカ・ガイド」が活躍します!その土地にある歴史やストーリーを知りながらあなた独自の観光が楽しめるのです、確かにコロナの影響により観光客が減り、売上も低下しましたが、12月から復活の兆しが見え始めています!コロナにより、ソーシャルディスタンスを求める人からのニーズがあったためです。」と話す、CEOのアンドリューさん。
「コロナの感染拡大により、音声ツアーガイドサービスのニーズがソーシャルディスタンスを求める人の中で高まり、今後のビジネスの広がりに大きな期待を寄せているとのことですが、どのような理由で、シャカ・ガイドのレピュテーションは高まったとお考えですか?」というJAL大森さんからの質問に対し、「良い商品には、良い品質が求められるように、我々は、商品であるコンテンツの質の高さを自負しています。旅行する方の視点に立って、その体験がどうあるべきか。どこに行き、どんなストーリーを展開すべきか、そしてどうすればその場所との繋がりを感じていただけるかにこだわっています。」と、そのコンテンツ開発への思いを熱く語られました。
Polu Energy
左)Polu Energy CEOのテイトさん、右)審査員:Forbes JAPANの谷本さん
流暢な日本語で冒頭の挨拶をし、ピッチを始められたCEOのテイトさん。「私たちのソリューションは、『Blue Energy』つまり、クリーンかつ信頼性が高いエネルギー発電です。塩水と淡水のみを使用し、クリーンなエネルギーを作り出す独自の技術を開発しています。この発電装置の技術を用いれば、ワイホヌ地区の50,000平方メートルの土地にある太陽光パネルで発電しているのと同等の電力を80平方メートルの広さで、かつ安価に発電することが可能です。」とその優位性について熱く語られました。
「電力供給の効果について、どの程度の耐久性、持続性があるものでしょうか?」というForbes JAPAN谷本さんからの質問に対し、「我々のテクノロジーにおける他の電力供給と比較して優位性がある点です。風力発電において、風が止まると電力供給は止まりますし、太陽光発電は、陽が落ちると電力供給は止まります。一方我々の技術は、潮力をベースにしているので、海洋水が波打つことをやめない限り、継続して電力は供給され続けます。」と語られました。
JAL20万マイル獲得の優勝者は「Shaka Guide」!!
JAL大森さんより発表していただきました。
「5社それぞれ素晴らしかったのですが、Shaka Guideが最もアグレッシブ、グローバルに行くぞという気概があり、とてもエネルギッシュで、聴衆に届くものがありました。コロナの影響で国際線も多くのキャンセルが出てしまいましたが、コロナの状況がおさまったら、アンドリューさん、そして聴衆のみなさんもぜひフライトを楽しんで、様々なところを訪れ、ビジネスを拡大していただければと思います!」とお話しされイベントを締めくくられました。
コロナ禍にあり、島特有の課題が顕在化するなか、その逆境を乗り越え、新たな価値を世界に発信しようと日々努力しているハワイのスタートアップを通し、ハワイの今を知ることのできるとてもレアなイベントでした。
2021年2月、3月には、日本のスタートアップをハワイに紹介するイベントを予定
ハワイと日本の相互発展を目指すIsland Innovation Projectでは、2021年2月にサステイナブル(循環型社会)、3月にはアグリ(農業)をキーワードに、日本のスタートアップをハワイそしてアメリカ本土の投資家、企業、政府機関に向け紹介する、オンラインピッチイベント「Island Innovation Pitch from Japan」を開催予定です。
ハワイは、米国の州の中で、最も日系人の人口が多く、日本語と英語をバイリンガルで話す方が多い州で、日本とのビジネス経験を持つ企業も多く、観光以外の訪問客を今後増やそうというハワイ州政府の戦略もあり、ハワイは、北米マーケットそしてグローバルをめざす企業には、ビジネス戦略上、ぜひ検討していただきたい場所でもあります。
「Island Innovation Pitch from Japan」に興味をお持ちいただいたスタートアップ企業のみなさん、是非、Island Innovation Program事務局までお問合い合わせください。
Island Innovation Program事務局 iip@engawakyoto.com