プロデューサー

片山 俊大

Toshihiro Katayama

一般社団法人Space Port Japan共同創業者&理事。 2002年電通入社。総合飲料メーカーのプロモーション担当の後、メディアマーケ、CDCに所属。 その後、化粧品メーカー、総合電機メーカー、日本政府の担当営業を歴任。 得意分野は「宇宙産業」「M&A」「インフラ輸出」「エネルギー産業」「課題解決型コンテンツ開発」。 常に、道がないところを歩くようにしている。

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【新連載!】スタートアップに聞いてみた(株)Stroly 高橋真知Co-CEO

今回から始まりました。新連載、スタートアップに聞いてみた。実は京都BACはスタートアップ企業との取り組みも多く、面白い視点でのサービス・プロダクト展開をされている企業の紹介やいまだから聞きたいことなど、いろいろお話してみる連載にしていきます。 第一回目は在京都の地図のイノベーションを起こす(株)StrolyからCo-CEOの高橋真知さんのインタビューです。 インタビュアーは京都BACの片山俊大さんでお送りします。   コロナ禍で、インタビューはオンラインにて行いました。笑顔が素敵な高橋Co-CEO。   京都BAC片山(以下、片山):Stroly(ストローリー)は、どのようなサービスを提供しているのでしょうか?    Stroly高橋さん(以下、高橋さん):世界中には、数えきれないほどの“地図”が存在しますよね。京都の地図、パリの地図、カフェマップ、手書きマップ、江戸の古地図、イベントマップ、遊園地マップなどなど、挙げ始めたらキリがない。しかし、それらの地図の多くは、いまだにデジタル化の恩恵を受けておらず、もっともっと地図が持つ魅力を活用・拡大することができると思います。 そこでStrolyでは、どんな地図でも誰でも簡単にオンライン上に登録することができ、デジタル化&GPS連動を通じてさまざまなインタラクティブな体験を提供するというプラットフォームを提供しています。これにより、いろんな個性・切り口をもつ地図たちに、デジタル化によるさまざまなメリットをもたらすことができるようになりました。   Strolyウェブサイトより   片山:Strolyは、どのような成り立ちですか?   高橋さん:Strolyとは、Stroll(散歩する)+Story(物語)を掛け合わせた造語です。元々はATRという研究所の社内ベンチャーとして立ち上げ、2016年6月に会社として独立、2度の資金調達を経て、現在創業4年目に入りました。2017年には、日本人唯一のSXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト、以下SXSW)のファイナリストに選ばれ、SXSWの公式マップも手掛けております。社員も約半分は女性で1割以上が外国人、Google出身者など、初期の段階からグローバル&ダイバーシティを意識した体制となっております。   編集長註: SXSWとは? 毎年3月にアメリカのテキサス州オースティンで行なわれる、音楽祭・映画祭・インタラクティブフェスティバルなどを組み合わせた大規模イベントです。ここでファイナリストに選ばれることはとってもすごいことなんです!   片山:素敵な会社ですね。Strolyのサービス内容をもう少し詳しく教えてください。   高橋さん:Strolyのコンセプトは、“Share the way we see the world”(世界の見え方をシェアしよう)です。本来、同じ街や場所でも、100人いれば100通りの見え方がある。だからこそ、さまざまな視点で描かれた個性的な地図をもっと活用することで、社会をもっと楽しく豊かにすることができる。そのために、世界中に散らばっている地図をデジタル化してシェアする仕組みを提供しています。   Strolyのウェブサイトより。数多くの国から多数のクリエーターが地図を登録している。   地図をストローリーのプラットフォームに登録すると、簡単に位置情報を定義付けることができ、それにより、利用者はスマホ上でGPSと連動することで自分自身の位置情報がいて供されるのはもちろん、さまざまなお店や目的地の情報やクーポン等を提供することができます。つまり、登録したどんな地図であっても、デジタルならではの利便性を活用することができるようになるのです。ちなみに、イラストマップや古地図など、登録した地図の縮尺が大きく歪んでいたとしても、アルゴリズムで計算して位置情報を定義してくれます。   片山:多様性と利便性の両立ですね。   高橋さん:今では、世界50か国以上からさまざまな個性的な地図が投稿されています。たとえば、「ベトナムのサステナブルファッションに関する地図」とか「カリブ海の豊かさに関する地図」など、切り口がかなり独特・個性的な地図もあります。地図というものは、それぞれの国や人特有の文化を映し出す鏡と言えますし、それがシェアされることによるメリットや面白さは大いにあると思います。   片山:企業との連携などに関してはいかがでしょう?   高橋さん:既に多くの企業と連携をさせていていただいております。不動産デベロッパーと組んだエリアマップ、ゲーム会社とタイアップしたマップ、テレビ番組公式街歩きマップなど、さまざまな切り口の地図をプロデュースしてきました。ロックフェスティバルの公式マップでは、エリア内の屋台情報やトイレ情報などの必要情報をオンタイムで提供しました。 街を楽しみながらエンタテインメントや便利情報を提供することで、自然な流れで消費者の行動喚起、販売促進へとつなげることも可能です。   実際に登録されているタイアップ地図の一例。京都の世界観が表現されたオリジナル地図の上に、おすすめスポットがプロットされている。     電通との協業は? 片山:電通ともさまざまな連携を行っていますね?   高橋さん:ここ京都では、engawa Kyotoのイベントで登壇させていただいたり、Royal College of Art(以下、RCA)のアートシンキングのプログラムに参加させていただいたり、クロステックマネジメントとのコラボ企画を推進したりと、さまざまな連携をさせていただいています。また、電通本社を通じて、クライアント企業との連携等も進めております。   RCAを招いて行われたInnovation Masterclass in Kyotoの様子   編集長註: RCAを招いて実施したInnovation Masterclass in Kyotoの内容はこちらから! 世界が認めるフレームワークを使って未来の本質課題を開拓するワークショップレポート  前編   後編     気になる新型コロナの影響と新しい取り組みとは 片山:コロナ禍で世界は大きく変わりました。Strolyには影響ありますか?   高橋さん:もちろん影響はあります。そもそも人が家に閉じこもっていますからね(笑)。しかし、私たちは悲観していません。そもそもStrolyは、デジタルプラットフォームですから。これからは、Strolyにとって2つのチャンスがあると思います。1つ目が「ローカルの再発見」、2つ目が「バーチャル散歩・旅行」です。   片山:「ローカルの再発見」とは何でしょう?   高橋さん:今回のコロナ禍で、人々は、“自宅の半径〇〇m以内”といったような、ローカルの範囲内で生活することを強いられています。そして、地元のスーパーに行き、地元のレストランでテイクアウトし、地元の公園で息抜きをする。その際、地元に関するいろんな情報が必要になると思います。例えば、スーパーの混雑具合を知りたいだとか、テイクアウトを始めたレストランのメニューや時間を知りたいだとか、そういったさまざまな“ローカルの情報”に関するニーズなどです。そういったニーズに対応したマップを、これから多く手掛けていきたいと思います。これからますます“地元愛”が高まると思いますから。   片山:「バーチャル散歩・旅行」とは何でしょう?   高橋さん:これからは、“リアル”な散歩・旅行に加え、“バーチャル”な散歩・旅行も、普通に行われるようになると思います。バーチャル空間を訪れて散歩し、そこで買い物をし、人と出会う。さまざまなプラットフォームを通じて、そういった行動が急増しています。そういった、バーチャル散歩・旅行に対応した、オンライン上だけでも十分に楽しめ活用できる地図サービスを積極的に提供したいと思います。 残念ながら中止となってしまいましたが、先日、SXSW 2020のイベント周辺マップを企画プロデュースしました。元々は、Stroly上のマップがリアル空間と連動するよう設計されていましたが、そもそもリアルが中止になってしまったので、方針転換して、バーチャルのみで楽しめるマップを提供しました。今後は、オンライン上で音楽イベントを行ったり、物販を行ったりするなど、オンライン上ででも盛り上げていければと思います。また、そのマップ自体、アーティスト田中 紳次郎さんオリジナル制作の、アート作品なのです。“デジタル&インタラクティブな機能をもつ地図”のアート作品は、人類史上初だと思います。(笑)   アーティスト田中 紳次郎さんオリジナル制作によるバーチャルSXSW2020の地図。会場とイベントが地図上にプロットされている。   同じオースティンの地図でもNight Map(夜を楽しむ地図)、Music Map(音楽イベントの地図)などバリエーションから選べ、同じエリアでも違うクリエーター、違うスポットが紹介されている   片山:夢が広がりますね。最後に、Strolyの未来ビジョンについてお聞かせください。   高橋さん:私たちは、起業当初からずっとグローバルに照準を合わせてサービスを展開してきました。しかし、それでもなお、これまでは国内の比重が高かったと言わざるを得ません。今回のコロナ禍を受けて、リスク分散の観点も含め、完全なグローバルサービスへとシフトしていこうと考えております。 また、昨今ますます世界全体が分断され混沌としてきていますが、私たちは“Share the way we see the world”(世界の見え方をシェアしよう)というコンセプトを活かし、さまざまな文化シェアし、それを発見し楽しむことで、世界平和へ一歩でも繋がればと想っています。   片山:本日は素敵なお話しありがとうございました。   高橋さん:こちらこそありがとうございました!   編集長後記 地図という機能が求められる情報にアートを掛け合わせたデジタルイノベーションという素晴らしいアイデアを事業化されているStrolyさん。コロナ禍で人が外に出ないという“地図”には厳しい状況の中、それを逆手にとったあっぱれな新サービスに転換されました。そんなStrolyさんのさらなる快進撃に今後も大注目です!